企業概要と最近の業績
株式会社壽屋
壽屋は、フィギュアやプラモデル、雑貨などの企画、製造、販売を主な事業とするホビーメーカーです。
自社で企画・開発したオリジナルIP（知的財産）商品に加え、国内外のアニメ、漫画、ゲームといった人気作品のキャラクター商品を展開しています。
特に、自社IPである「フレームアームズ・ガール」や「メガミデバイス」などの美少女プラモデルシリーズが国内外で高い人気を誇ります。
製品の販売は、自社のECサイトや国内外の直営店、および全国のホビーショップや量販店を通じて行われています。
2025年6月期第3四半期の連結業績は、売上高が124億76百万円となり、前年同期比で1.8%の減収となりました。
営業利益は13億83百万円で前年同期比38.9%減、経常利益は13億2百万円で同43.1%減、親会社株主に帰属する四_半期純利益は9億3百万円で同41.8%減となり、減収減益でした。
これは、プラモデル製品の販売が国内外で好調に推移したものの、為替相場の変動による影響や、フィギュア製品の販売が伸び悩んだことが主な要因です。
特に海外市場では、円安が進行したことで、一部地域での販売が想定を下回りました。
価値提案
コトブキヤは、高品質なホビー商品を提供し、キャラクターの魅力を最大限に引き出すことを重視しています。
フィギュアやプラモデルは細部までこだわり抜くことで、コレクターから初めて購入する方まで満足できる仕上がりを実現しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、キャラクター愛や世界観を忠実に表現することが、ホビー業界においては最も求められる価値の一つだからです。
そこでコトブキヤは、モデリング技術や彩色技術を徹底的に磨き上げることにより、「本物そっくり」「イメージそのまま」といった評価を得ることを目指してきました。
さらに自社オリジナルIPを活用することで、他社にはない独自のブランドイメージを築き上げ、その結果「コトブキヤなら安心できる」と思わせる信頼感を提供しているのです。
このような価値を届けることで、ファンとの長期的な関係が生まれ、継続的な売上につながっています。
主要活動
商品企画の段階から徹底したマーケットリサーチを行い、ヒットが期待できるキャラクターやジャンルを選定します。
製造は自社工場や提携工場をフル活用し、品質チェックを厳格に行っています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、ホビー商品は発売後の売れ行きが需要の変動に左右されやすく、在庫リスクを最小限に抑えることが重要となるためです。
そのため市場データやファンの声を元に、リリース時期や数量を入念に検討する習慣が根づきました。
また、繊細なフィギュア造形やプラモデルのパーツ精度を守るために、製造工程の品質管理を強化した結果、「壽屋のフィギュアなら安心して買える」というファンからの信用が定着しています。
さらにマーケティングにも力を入れ、SNSやイベントでのプロモーションを活発に行うことで、商品企画から販売まで一気通貫の活動サイクルを整えているのです。
リソース
自社オリジナルIPや高度な企画・開発チームの存在が最大の強みです。
さらに提携する製造設備も充実しており、大量生産だけでなく小ロットの特別企画にも柔軟に対応しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、長年にわたるフィギュア製造の経験が蓄積され、オリジナルIPの企画力と造形技術が高いレベルで融合したからです。
その結果、「他の会社では出せない商品を出してほしい」というファンの要望に応える形で、自社独自のプラモデルシリーズやキャラクター商品を展開できるようになっています。
さらに、独自IPを保有していることでライセンス費用にかかる負担を一部抑えられ、利益率の向上にもつながっています。
これらのリソースがあるからこそ、新商品の開発サイクルを短縮しながらも高品質を維持することが可能となり、競合他社との差別化を図っているのです。
パートナー
アニメやゲームの版権元企業と強固なライセンス契約を結ぶことで、有力タイトルの商品化を実現しています。
さらに製造委託先や販売代理店との協力関係も重要です。
【理由】
なぜそうなったのかというと、ホビー業界では、魅力的な作品やキャラクターとのコラボが商品の売上を大きく左右するためです。
そのため人気のあるアニメやゲームの版権を安定的に取得するには、版権元との信頼関係が不可欠です。
コトブキヤはこれまでの実績から「ヒット商品を生み出してくれるパートナー」と認められており、新たなIPのライセンスも比較的獲得しやすい環境にあります。
また、製造委託先や流通パートナーとの連携によって、国内外への供給網が整備されており、多くのファンへ商品を届けやすくなっています。
チャンネル
直営店のコトブキヤショップやオンライン通販、さらに量販店や専門店への卸売など、多角的な販売ルートを持っています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、ホビー商品のユーザーはネットショッピングを積極的に利用する一方で、実店舗で実物を見てから購入を決めたいという層も多いからです。
そのためオンラインショップと直営店の両方を活用し、多様なニーズに応える販売チャンネルを構築してきました。
卸売も行うことで幅広い地域に商品を届けやすくなり、人気商品をいち早く手に取ってもらえる仕組みが整っています。
これによりファンとの接点を増やし、新商品やキャンペーンの情報を早期に伝えることが可能となりました。
顧客との関係
ファンイベントやSNSでの商品情報発信を重視し、ユーザーの意見を取り入れながら企画やキャンペーンを実施しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、ホビー商品はコレクターやファンとのコミュニケーションが大切で、ユーザーの声がダイレクトに商品の売れ行きを左右するためです。
SNSやイベントでファンと交流することで、商品の改良点や新作のアイデアを得やすくなりました。
また、限定アイテムの先行販売や特典付きキャンペーンなどファンを喜ばせる施策を実施することで、「コトブキヤの商品ならチェックしておきたい」というリピーターを育てています。
こうした深い関係づくりが、長期的なブランド強化につながっています。
顧客セグメント
アニメやゲームが好きなホビー層、フィギュアコレクター、プラモデル好きなど幅広い年齢層がターゲットです。
【理由】
なぜそうなったのかというと、ホビー商品は若者向けと思われがちですが、実際には30代以上のコレクター層も多く存在するためです。
アニメやゲームに興味を持つ層は幅広く、その世界観に関連した商品を集める楽しみ方は年代を問いません。
コトブキヤは細部までこだわった高品質を追求することで、「大人の鑑賞に耐えうる製品」を生み出し、多様な層のハートをつかんでいます。
さらに自社IPを活用し、新規ファンも取り込みやすい環境を整えているため、顧客層がより一層広がっています。
収益の流れ
フィギュアやプラモデル、キャラクターグッズの販売収益が中心で、オリジナルIPのライセンス収入も一部含まれます。
【理由】
なぜそうなったのかというと、ホビー業界は商品単価が比較的高く、まとめ買い需要や限定版などの付加価値で一度に大きな売上を得る可能性があるからです。
また、自社IPを他企業に使用許諾することでライセンスフィーを得られるため、通常の販売収益に加えて安定的な収入が期待できます。
アニメやゲームなどの人気作品とのコラボ商品は需要が読みやすく、発売時期を合わせていくことで売上計画を立てやすい仕組みが整っています。
このように複数の収益源を確保することで、リスク分散が実現しているのです。
コスト構造
製造工程のコストや版権取得のライセンス費用、そして広告宣伝などのマーケティング費用が主要なコスト要素です。
【理由】
なぜそうなったのかというと、フィギュアやプラモデルは、造形の精度や彩色の質によって大きくコストが変化するためです。
クオリティを維持するためには高度な技術が必要となり、それに見合った製造コストが発生します。
また人気タイトルの版権を取得する際にはライセンス費用がかかるため、その分を商品価格に反映しつつも、販売数を伸ばして回収するビジネスモデルが求められました。
さらに広告宣伝費も無視できず、SNSやイベントに加えて、時には大型メディアを使うこともあるため、これらの費用を含めた総合的なコスト管理が重要となっています。
自己強化ループ
コトブキヤの自己強化ループは、自社オリジナルIPや人気キャラクターのフィギュアを通じてファンを増やし、その売上や評判から得られた資金と知名度をもとに、さらに新しい商品を開発して市場を拡大するという循環で成り立っています。
例えば、自社IPのプラモデルシリーズが好調だと、そのシリーズに関連する新たなキャラクターやバリエーションモデルを企画しやすくなります。
その結果、ファンが「次はどんな新商品が出るのだろう」と期待して注目するため、さらに販売数が伸びる可能性が高くなります。
また、ファンイベントやSNSでのユーザーとの交流を通じて得られた声を、次の企画や改善点に反映させることで、商品のクオリティと訴求力が向上し、ファンが離れにくい構造を作り上げています。
こうしたループが積み重なり、ブランドの地位を強固にすることにつながっているのです。
採用情報
初任給の具体的金額は公表されていませんが、平均休日は年間120日以上とされており、ワークライフバランスを重視する姿勢がうかがえます。
採用倍率については公開されていないため詳細は不明ですが、人気のあるホビー企業ということもあり、幅広い専門知識と熱意を持った人材を求めているようです。
企画、開発、マーケティングなど多方面で活躍できるチャンスがある環境といえます。
株式情報
コトブキヤは東証スタンダードに上場しており、銘柄コードは7809です。
配当金や1株当たりの株価は常に変動するため、最新情報のチェックが欠かせません。
ホビー市場全体の成長や海外展開による売上拡大が見込まれるため、投資家にとっても注目度が高い銘柄の一つとなっています。
未来展望と注目ポイント
コトブキヤは国内だけでなく、海外市場の開拓にも力を入れています。
グローバルにファンが増えているアニメやゲームの需要を取り込むことは、今後ますます大事な戦略となるでしょう。
特に自社オリジナルIPの開発と展開が成功すれば、ライセンス費用を抑えながら独自の世界観を築くことができ、ブランド価値をさらに高めることが期待できます。
また、SNSやYouTubeなどを使ったプロモーションを強化することで、若い世代だけでなく、世界中のファンへ直接情報を発信し、リピーターや新規ユーザーの獲得につなげられる点も強みです。
実店舗とオンラインの両面から商品を展開していくことで、購買機会を逃さず売上拡大につなげる取り組みが進んでおり、こうした多角的なチャンネル戦略と既存の人気シリーズのブラッシュアップが組み合わさることで、さらなる成長が見込まれます。
特にビジネスモデルを強化するIR資料に注目すると、海外イベントへの出展やグローバル市場への展開計画が示唆されているため、今後の動向にも大いに期待が持てるのではないでしょうか。
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