企業概要と最近の業績
株式会社富士ソフト
独立系のITソリューションベンダーです。
自動車や産業機器などの制御・組込みシステム開発を行う「SI(システムインテグレーション)事業」を中核としています。
また、業務系ソフトウェア開発や、AI、IoT、クラウドなどの先進技術を活用したITサービス、自社プロダクトの販売なども手掛けています。
2025年12月期第2四半期の連結業績は、売上高が1,605億2,100万円(前年同期比7.0%増)、営業利益が160億6,200万円(同10.0%増)と、増収増益で上半期として過去最高を更新しました。
経常利益は162億1,600万円(同9.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は108億6,100万円(同9.9%増)となっています。
主力のSI事業において、自動車のCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)関連や、工場の自動化(FA)といった組込み系ソフトウェア開発が引き続き好調でした。
また、企業の旺盛なDX(デジタルトランスフォーメーション)投資を背景に、業務系ソフトウェア開発やITインフラ構築の需要も堅調に推移し、業績を牽引しました。
【参考文献】https://www.fsi.co.jp/
価値提案
株式会社富士ソフトの価値提案は、高品質なITソリューションを通じて顧客のビジネス課題を解決し、DXやシステムイノベーションを実現することにあります。
特に企業の業務効率化や新規事業の立ち上げを支援するシステム開発、クラウド移行サービスなど、多岐にわたるソリューションを用意していることが強みです。
【理由】
なぜそうなったのかというと、ITがあらゆる業界の競争力を左右する時代において、ワンストップでシステムの企画から導入、運用まで請け負うことが顧客企業にとって大きな付加価値になるからです。
顧客は複数ベンダーをまたぐ手間が省け、品質面も一定水準を担保できるため、高度な問題解決能力を持つ企業が選ばれる傾向にあります。
このように幅広い領域でサービスを提供することで、安定したリピーターの獲得と新規案件の開拓を同時に実現しているのです。
主要活動
同社の主要活動には、システムインテグレーションやコンサルティング、保守運用などが含まれます。
具体的には、業務システムの要件定義から設計、開発、導入後の運用サポートまで、エンド・トゥ・エンドでサービスを提供していることが特徴です。
【理由】
なぜそうなったのかというと、顧客企業がIT戦略を進めるうえで必要となる機能を一括して引き受けることで、顧客にとっての利便性が高まり、長期的な取引関係が築きやすくなるためです。
また、新たな技術潮流に合わせてクラウドサービスやDX推進コンサルを強化していることで、時流に合った最新の提案を行える点も評価を得ています。
これによって単にシステムを作るだけでなく、企業変革を支える総合的なパートナーとしての地位を確立しているのです。
リソース
高度な技術を持つ人材や豊富な開発拠点、そして多様な業種・業態の顧客基盤などが、同社の主要なリソースといえます。
【理由】
なぜそうなったのかというと、長年のシステム開発の経験と実績を重ねることで、各業種固有のノウハウや技術力を蓄積してきたからです。
さらに、最新技術に対応するための研究開発拠点を整備し、エンジニアのスキルアップを支援する教育体制を強化していることもリソースの質を高める大きな要因になっています。
こうした人材と拠点の組み合わせが多角的な案件への対応を可能にし、結果として企業価値を高める源泉となっているのです。
パートナー
ハードウェアメーカーやソフトウェアベンダー、大学や研究機関との連携を重要なパートナーシップとして位置づけています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、ITは多くの分野の技術やノウハウの組み合わせが必要とされるため、社外の専門機関やメーカーとの協力が不可欠だからです。
特に新しいサービス開発や先端技術の実証実験などにおいては、幅広い連携体制を築くことで早期に成果を出せる環境を整えています。
このような協業体制が、同社のソリューションの幅と質を継続的に高める要因となっているのです。
チャンネル
直接営業やオンラインプラットフォーム、パートナー企業経由での提案など、多彩なチャンネルを通じて顧客にアプローチしています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、ITニーズは業種や企業規模によって多岐にわたるため、それぞれのターゲットに合った販売・提案チャネルが必要だからです。
直接営業によるきめ細かい対応から、オンラインによる効率的な情報提供、さらには大手メーカーなどとの共同提案を組み合わせることで、幅広い顧客層をカバーできるようになっています。
このように複数のチャネルを活用することで、新規案件の創出と既存顧客への深耕を同時に進めているのです。
顧客との関係
長期的な契約を前提とするプロジェクトが多く、専任担当者が継続的にサポートする仕組みを築いています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、システム開発や保守運用は導入後も改善やトラブル対応が必要となるため、顧客との長期的な信頼関係が不可欠だからです。
同社が一度構築したシステムを継続的に保守していくことで、顧客にとっては安心感が高まるだけでなく、将来的な追加開発やアップデートの提案もしやすくなります。
その結果、リピート受注につながり、安定した収益モデルを形成できるのです。
顧客セグメント
製造業や金融業、公共セクター、中小企業など多様なセグメントを対象としています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、IT活用の必要性が業種を問わず広がっており、それぞれの分野で専門的なニーズを持つ顧客が増えているからです。
また、組み込みソフトウェア開発では家電や自動車向けといった製造分野に強みを持ち、システムインテグレーションでは金融や公共領域にも実績を積み重ねています。
こうして複数の業界へアプローチすることで、景気変動の影響を分散しつつ、安定した成長基盤を確保しているのが特徴です。
収益の流れ
プロジェクト単位の開発収益や保守契約による定期的な収入、ライセンス料などが主な収益源です。
【理由】
なぜそうなったのかというと、システム開発は一度限りの契約に終わらず、その後のアップデートや運用サポートが必要となるため、保守やライセンスを通じた継続的な収益確保が可能になるからです。
また、新しいサービスをパッケージ化してライセンス提供することで、開発と保守の両面から利益を生み出す仕組みを構築しています。
この二重三重の収益モデルが、長期的な安定経営に寄与しているのです。
コスト構造
人件費や開発設備費、研究開発費などが主なコストとなります。
【理由】
なぜそうなったのかというと、高度なITサービスを提供するには優秀なエンジニアの確保や先端技術の研究投資が欠かせず、それらにかかる費用が大きな比重を占めるためです。
特に最新技術へのキャッチアップには、日々の研修や設備投資が必要であり、これらのコストを適切に配分することで市場の変化に対応できる体制を維持しています。
結果として、この投資こそが同社が高品質なサービスを保ち続ける原動力となっているのです。
自己強化ループについて
同社が持つ強みとして、高い技術力や実績が新規案件の獲得を促し、その新規案件を通じてさらに技術を磨くという好循環が挙げられます。
具体的には、大規模プロジェクトを担当することで新たな課題や高度な要件に直面し、それを解決する過程で組織全体のナレッジが蓄積されていきます。
このナレッジが次の案件でさらに高度な技術提案を可能にし、顧客満足度を高めてリピート受注につながります。
リピート受注によって安定した収益を得た結果、余力を研究開発や人材育成に再投資できるようになり、技術力が強化されるという流れです。
こうした自己強化ループが企業全体を押し上げ、持続的な成長を支える大きな要因となっています。
採用情報
同社の採用では、初任給が月額22万円と設定されており、大卒の新入社員を中心に幅広く募集を行っています。
平均年間休日は120日で、ワークライフバランスに配慮した就労環境を整えていることがうかがえます。
また、採用倍率は約10倍ともいわれており、IT業界の中でも比較的高めの人気と厳選採用を実施しているのが特徴です。
未経験者への研修体制や先端技術への学習機会があることから、スキルアップを目指す人材にとって魅力的な環境といえます。
株式情報
証券コードは9749で、年間配当は50円が予定されています。
株価は2025年3月1日時点で1株当たり2,500円となっており、DX関連銘柄としての注目度が高まることが見込まれます。
配当を維持しつつも成長投資に力を入れる姿勢があるため、長期的な視点での投資先として検討されやすい点が特徴です。
未来展望と注目ポイント
これからのIT市場は、AIやクラウド、IoTなどの先端技術を活用したビジネスモデルがますます拡大すると考えられます。
株式会社富士ソフトは、既に幅広い業種での実績を持ち、これら新技術の導入サポートに対応できる強みを備えています。
加えて、デジタル化の流れが止まらないなかで、組み込みソフトウェアやセキュリティ対策などのニーズも高まるでしょう。
こうした状況下での同社は、自社が得意とするシステムインテグレーションや保守運用などの総合力を活かし、さらに大きな成長を期待できる立場にあります。
DXに加えて、スマートフォンや自動車などの組み込み領域で技術革新が続く限り、同社の開発案件は多様化していくと予測されます。
その結果、長期的な視野で見れば、さらなるIR資料での情報開示や株主還元策の拡充などにも注目が集まる可能性があります。
業界全体が高度化していくなかで、同社が蓄積したノウハウと実績が競争力を高める原動力となり、今後も安定的かつ持続的なビジネス成長を続けていくことでしょう。
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