企業概要と最近の業績
株式会社山大
当社は、植林から製材、プレカット加工、住宅資材の販売、そして木造住宅や大規模な木造建築の設計・施工までを一貫して手掛ける住宅関連の総合商社です。
木を植え、育て、加工し、建てるという持続可能なサイクルを大切にしています。
事業は、住宅資材事業、建設事業、賃貸事業の3つのセグメントで構成されています。
2026年3月期の第1四半期決算は、連結業績での報告となりました。
売上高は11億9百万円、営業損失は8,100万円、経常損失は7,800万円、親会社株主に帰属する四半期純損失は7,900万円です。
セグメント別に見ると、住宅資材事業の売上高は7億6,200万円、営業損失は1,900万円、建設事業の売上高は3億2,900万円、営業損失は6,000万円、賃貸事業の売上高は1,800万円、営業利益は1,000万円でした。
新設住宅着工戸数の軟調な推移や資源価格の高騰が業績に影響を与えています。
前年同期は非連結での業績を開示しており、売上高は7億8,400万円、営業損失は1億2,100万円、経常損失は1億1,600万円、四半期純損失は1億1,600万円でした。
【参考文献】https://www.yamadai.com/
価値提案
株式会社山大が提供する価値の中心には、国産木材の魅力を最大限に引き出した高品質な住宅資材と、環境負荷を抑えながら安心して暮らせる木造建築サービスがあります。
自社の山林で育成したスギやヒノキを使用し、プレカット技術や防腐加工などを活用することで、丈夫で長持ちする木材製品を安定的に供給できます。
自然素材ならではの風合いや断熱性を活かすことで、利用者に心地よい住環境を届けることができる点が好評です。
また、林業から建設までを一貫して手掛ける姿勢は「森林資源を大切に守りながら豊かな暮らしに貢献する」という大きな使命感とも結びついています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、国内の森林資源を有効活用するニーズが高まる中で、信頼できる国産材を安定供給できる体制の構築が必要とされているからです。
加えて、国土の多くを占める森林を守りながらビジネスを成長させるためには、素材そのものの価値を高めることが重要であり、その結果として自社山林での育成から加工・販売まで一括管理するモデルが確立されています。
主要活動
株式会社山大の主要活動は、大きく分けて木材加工、住宅資材販売、建築施工、そして山林管理に集約されます。
木材加工では、コンピューター制御によるプレカット技術や高度な乾燥技術を駆使し、品質と効率を追求しています。
住宅資材販売では、合板や住宅設備機器など多様な資材を卸・小売形態で幅広い顧客に提供し、安定した売上基盤を確保しています。
大型木造建築や木造注文住宅を担う建設事業は、木材の特性を熟知した職人技術が生かされ、ニーズに合わせた柔軟な施工ができる点が好評です。
山林管理では、植林や間伐を計画的に実施し、持続的に利用できる森林資源を育成しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、木材という自然資源を中心に事業を展開している以上、素材の安定供給と加工技術の充実が欠かせません。
さらに、高付加価値の製品を適正価格で提供するには、一貫したバリューチェーンの中で無駄を省き、顧客ニーズに合った製品を的確に生産・流通させる必要があるためです。
この一貫体制こそが株式会社山大の基盤になっています。
リソース
株式会社山大が保有する最大のリソースは、自社で管理する山林です。
豊富な国産材を継続的に生み出せる森林と、その森林を守り活かすノウハウを蓄積していることが特徴的です。
加えて、木材のプレカットや防腐加工を可能にする最新鋭の加工設備も重要なリソースとなっています。
これらの設備によって、安定した品質の資材を短納期で供給できる体制が整えられています。
さらに、長年木材に携わってきた熟練の技術者や設計・施工の専門スタッフも欠かせない人的リソースです。
彼らの知見と熟練の手腕が、製品やサービスの品質を高めています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、同社が山林を所有し始めたのは、木材の安定供給と品質管理を両立するためです。
近年は森林資源の保護意識が高まっており、自社の森を計画的に育てながら伐採し、再投資によって循環型の林業を行うことで、持続可能なビジネスモデルを築いてきました。
こうした背景があるからこそ、山林・設備・人材の三位一体による強固なリソース基盤が整備されています。
パートナー
パートナー関係としては、住宅施工を行う工務店や設計事務所、そして他の木材供給業者との連携が挙げられます。
建築プロジェクトごとに素材やデザインのニーズが異なるため、幅広い専門家や流通業者と協働しながら、最適な資材と工法を提案しています。
また、行政機関や地域コミュニティと連携し、森林保全や地元経済への貢献を目指す取り組みも行われています。
こうしたネットワークにより、木材の調達先や販売チャネルを多面的に確保し、地域に根ざした活動を広げています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、木造建築には高度な設計ノウハウや施工技術が必要であり、一社単独では対応しきれない範囲があるからです。
さらに、地元の森林を守るためには各種補助制度や専門的な知識も不可欠です。
そのため、多様な業種・立場のパートナーとの協力体制を構築することで、事業の安定化と地元社会への貢献を同時に実現できるようになっています。
チャンネル
株式会社山大が顧客と接点を持つチャンネルとしては、直接販売による営業活動や展示会への出展が代表的です。
特に住宅資材に関しては、実際に木材の質感や仕上がりを見てもらうことが重要であるため、ショールーム的なスペースやイベントでの実物展示が効果的です。
さらに、インターネットを活用した情報発信にも力を入れており、公式サイトやオンラインでの問い合わせフォームを用意することで、遠方の顧客にもアプローチしています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、建材や住宅設備を選ぶ際には実物を見たり触れたりすることが購買意欲を左右しやすいからです。
また、遠隔地との取引が増えつつある現代では、オンラインでの情報提供や見積もり依頼の受付が欠かせません。
こうした複数チャンネルを使い分けることで、幅広い層の顧客ニーズに応える体制を整備しています。
顧客との関係
株式会社山大は、個別の営業担当が直接訪問して提案を行うほか、施工後のアフターサービスにも注力しています。
住宅や建築案件は長期的なメンテナンスを要するため、施工後も定期点検や相談対応を続けることが信頼獲得の鍵となっています。
顧客からの要望を素早く吸い上げられる仕組みを整え、木材の追加注文や修繕の相談などに柔軟に応えることでリピート率を高めています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、木材は自然素材であるがゆえに経年変化や湿度の影響など、様々な要素が品質に影響する可能性があります。
そのため、顧客が安心して長く住まいを維持できるように、常にフォローアップする体制が重要ですです。
また、建築分野は紹介や口コミも大きな集客要因となるため、丁寧なアフターサービスがビジネス拡大にも直結するという背景があります。
顧客セグメント
顧客セグメントとしては、住宅建築業者や工務店、さらには注文住宅を検討している個人顧客が中心となります。
木造建築の特性上、自然素材を好む顧客や、環境配慮型の住宅を望む層からの支持が特に高いです。
また、大型木造建築の需要が増加傾向にあることから、公共施設や商業施設の発注者も潜在的な顧客層として注目されています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、近年ではSDGsや脱炭素社会の流れにより、木造建築が見直されつつあります。
RC造（鉄筋コンクリート造）やS造（鉄骨造）に比べて木造は軽量かつリサイクル性が高く、特有の温もりを感じられるというメリットがあります。
こうした時代の流れに合わせ、企業や自治体も木材活用を促進しているため、株式会社山大の顧客セグメントは多方面に広がりを見せているのです。
収益の流れ
株式会社山大の収益は、住宅資材の卸・小売販売による売上と、建築施工の受注収入が大きな柱を形成しています。
住宅資材の分野では、建築業者や工務店への安定供給により継続的な注文が期待でき、建築施工では大型施設や注文住宅のプロジェクト単位で収益が計上される形となります。
木材の加工技術を活かしたプレカットサービスの需要も高く、建材販売との相乗効果で利益率を向上させています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、木材そのものの価格変動リスクを自社の山林保有によって緩和できることが大きいです。
素材から加工、施工までを一括で行うことで中間マージンを削減し、利益率を確保しています。
さらに、木材需要が高まる市場環境下で、加工精度やアフターサービスに対する評価が高い同社には、安定した受注が集まりやすいのです。
コスト構造
同社のコスト構造で大きな割合を占めるのは、木材加工設備の維持・更新費や、山林の管理費、人件費などです。
山林事業では植林や伐採、間伐など長期にわたる管理が必要となるため、計画的な投資と人員配置が求められます。
木材加工設備については、プレカットマシンなどの先進機器を導入し、効率性を高める一方で定期的なメンテナンスや更新コストも発生します。
【理由】
なぜそうなったのかというと、自社で山林を保有しながら加工から販売・施工までを行う一貫体制では、各工程における専門スタッフや機械設備が不可欠だからです。
長期的な目線で森林資源を運用するためには、植林・加工・販売・再投資というサイクルを回す必要があり、運営コストも多岐にわたります。
それでも一貫管理による強みがコストを上回る価値を生み出しているため、この構造が維持されています。
自己強化ループについて
株式会社山大が実現している自己強化ループは、自社山林で育てた木材を加工・販売し、その利益を再度山林事業へ投資するという循環によって成り立っています。
具体的には、植林や間伐などで森林資源を継続的に育てながら、プレカットや防腐加工などの付加価値を高める技術を導入し、その結果得られた収益を再び森林管理や設備投資に充てるというサイクルが回っています。
このフィードバックループにより、山林の持続可能性と事業の拡大が同時に進む仕組みが生まれています。
木材価格の変動リスクに左右されにくい安定した供給体制を確立できるため、建築業者や施主にとっても信頼度の高いパートナーとなります。
加えて、伐採した森に再度植林を行うことで環境保全につながり、企業イメージの向上や新たな事業機会の創出にも寄与しています。
採用情報
初任給は月給155,000円から300,000円まで幅広く設定されており、職種や経験によって変動します。
社員の平均勤続年数は12.4年と長期的に働きやすい環境が整っていることがうかがえます。
月平均残業時間は12時間程度で、比較的ワークライフバランスを取りやすいのが特徴です。
休日数や採用倍率の詳細は公表されていませんが、製造や林業関連の仕事に興味がある方、木造建築やSDGsに関心がある方にとってはチャレンジしがいのある企業といえます。
株式情報
同社の銘柄コードは7426です。
資本金は11億318万円で、発行済株式総数は1,187,368株となっています。
配当金や1株当たり株価は市況や経営方針によって変動するため、興味をお持ちの方は適宜IR資料を確認するとよいでしょう。
木材や建設分野の需要動向によって業績が左右されやすい面もあるため、中長期的な視点で企業価値を見極めることが大切です。
未来展望と注目ポイント
今後は国内外問わず、木造建築への注目度がさらに高まる可能性があります。
特に大規模な木造建築や公共施設での木材利用が増えることで、プレカット技術や高品質な国産材が必要とされる場面は増えていくと考えられます。
株式会社山大は、自社山林の持続可能な運営を継続しながら、新たな加工技術や施工技術を取り入れることで競争力を高める方針とみられます。
さらに、環境保護と木材の循環利用が強く求められる時代背景を踏まえ、伐採から植林まで一貫して管理する取り組みは企業イメージの向上につながるでしょう。
地方創生への貢献や、林業従事者の雇用創出といった社会的なインパクトも期待されるため、今後の成長戦略には大いに注目が集まりそうです。
SDGsを意識した事業運営を続けることで、長期的な視点で安定した成長と持続可能な森林利用を同時に実現し、さらなる飛躍を目指す可能性が十分にあります。
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