企業概要と最近の業績
株式会社愛媛銀行
愛媛県松山市に本店を置く、愛媛県を代表する地方銀行の一つです。
「ふるさとの元気を創造する」ことをパーパス（存在意義）として掲げています。
「ひめぎん」の愛称で地域から親しまれ、愛媛県内を中心に四国各県や関西、九州にも店舗網を持っています。
地元の中小企業や個人のお客様を主な取引先とし、預金や貸出などの銀行業務を通じて地域経済の発展に貢献しています。
事業承継やビジネスマッチング、農業や観光分野の支援など、地域の課題解決に資するコンサルティング機能の強化に力を入れています。
2026年3月期の第1四半期の連結業績は、経常収益が前年の同じ時期に比べて26.8%増の223億8,300万円となりました。
貸出金利息が増加したことに加え、有価証券関連の収益も好調だったことから、経常利益は55.9%増の52億4,500万円と大幅な増益を達成しました。
親会社株主に帰属する四半期純利益も、56.2%増の36億9,300万円となりました。
企業の設備投資意欲の高まりなどを背景に事業性貸出が順調に推移したほか、顧客の資産形成ニーズに対するコンサルティング営業を強化した結果、投資信託などの販売も好調でした。
価値提案
株式会社愛媛銀行の価値提案は、地元の企業や個人のお客さまに安心で分かりやすい金融サービスを届けることにあります。
融資や預金といった定番の銀行業務を通じて地域の発展を支えるだけでなく、イベントやセミナーなどで経営相談や資金繰りのアドバイスを行い、地域社会全体の成長を後押しします。
こうした活動が深い信頼関係を育み、長期的な取引につながるのが最大の強みです。
【理由】
なぜこのような価値提案に至ったかというと、地方銀行は都市部の大手金融機関とは異なり、地域密着型であることが重要だからです。
地元企業のニーズを的確にくみ取り、一緒に問題を解決しながら進むことで、地域と銀行の両方が持続的に発展していくモデルを確立しています。
主要活動
主要活動は、預金の受け入れや貸出、為替取引、有価証券投資など、銀行としての基本的なサービスが中心となります。
加えて、中小企業向けの経営支援や個人資産運用の相談など、コンサルティング要素の高い業務も重要な柱です。
こうした活動を通じてお客さまの課題を解消し、地域経済の発展とともに銀行の収益基盤を強固にしています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、地方銀行は都市圏に比べてマーケットが限られるため、一人ひとりのお客さまとの結びつきを強める必要があるからです。
単に資金を預かったり貸し出したりするだけでなく、幅広い金融ニーズを一括でサポートすることによって差別化を図り、競争力を維持しています。
リソース
愛媛県全域に張り巡らされた支店網や、長年培ってきた地域との信頼関係、そして熟練した人材が主なリソースです。
支店網は遠隔地の顧客にも対応できる強みを持ち、顔を合わせて相談できる安心感を提供します。
【理由】
なぜこのようなリソースが重視されるかというと、オンライン化が進む現在でも、地域に根づく銀行にとっては対面での相談が非常に大切だからです。
特に中小企業や高齢者層には、実際に足を運んでサポートしてくれる存在として強く求められており、その結果、地域の経済・コミュニティと深くつながることで銀行全体の価値を高めています。
パートナー
地元の企業や自治体、各種団体、他の金融機関などが主要なパートナーです。
共同で地域振興イベントを開催したり、経営改善の助言サービスを展開したりと、連携しながら地域を盛り上げる取り組みを行っています。
【理由】
なぜパートナーシップが重要かというと、地方銀行が単独で地域経済を引っ張るには限界があるからです。
行政や商工会議所、大学などとの連携を深めることで、新しい事業を生み出したり、資金調達の円滑化を図ったりできるようになります。
これが地域活性化と銀行の収益増加を同時に実現する大きな要因となっています。
チャンネル
店舗窓口やオンラインバンキング、モバイルアプリなどが代表的なチャンネルです。
最近では、店舗へ直接来店する人だけでなく、インターネットを利用した取引を選ぶお客さまが増えています。
【理由】
なぜマルチチャンネル展開が不可欠かというと、生活様式が多様化しているためです。
若い世代はスマートフォンを使った取引を好みますし、高齢者の方は店舗での対面相談を望むことが多いです。
こうした多様なニーズに応えるために、それぞれのチャンネルを充実させる必要があり、それが顧客満足度の向上と継続的な利用につながっています。
顧客との関係
対面によるきめ細かな相談対応やコールセンター、デジタルチャネルといった多面的なサポート体制を整えています。
地域密着が強みなので、地元のお客さまとは長い付き合いが生まれやすく、世代を超えた取引関係が築かれることもあります。
【理由】
なぜこうした顧客との関係が重要かというと、銀行の安定的な預金や貸出の基盤となるのはリピーターだからです。
一度利用してもらった顧客の満足度が高ければ、家族や知人への紹介、追加の金融サービスの利用といった形で、銀行にさらなる利益をもたらすことになります。
顧客セグメント
愛媛県内の個人や法人、中小企業がメインの顧客セグメントです。
地域で起業を目指す方や、地元で長く事業を営む中小企業は、銀行にとって欠かせない存在です。
【理由】
なぜこのセグメントに注力しているかというと、地元の信用金庫や全国規模のメガバンクと競合するなかで、「地域に根ざしたサポート」が最大の差別化要因になるからです。
身近で相談しやすく、迅速に融資の審査を行える点が重宝されており、それが愛媛銀行の継続的な成長を支える大きな原動力となっています。
収益の流れ
貸出金利息や手数料収入、有価証券投資からの配当などが主な収益源です。
最近では株式などの有価証券売却益も経常収益の拡大に貢献しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、国内外の金利や市場環境の変化に応じて投資ポートフォリオを見直す必要があるためです。
特に地方銀行の場合、国内の低金利環境が長引いているあいだ、海外での投資や国債などを活用して収益を確保してきました。
ただ、海外金利が上昇すると調達コストも上がるため、投資戦略の柔軟な見直しがさらに重要になっています。
コスト構造
人件費やシステム投資、海外資金の調達費用などが大きなコストを占めます。
最近では、店舗網の見直しやIT化による業務効率化を図ることで、人件費や維持費を抑える動きが進んでいます。
【理由】
なぜコスト構造の最適化が必要かというと、銀行業界全体が手数料ビジネスやネット取引の拡大によって収益モデルを変化させるなか、地方銀行は従来の店舗型サービスが多かったからです。
そのため、店舗数や業務プロセスを見直し、ITシステムの導入などを進めることで、経営の安定化を図っています。
自己強化ループについて
自己強化ループとは、銀行が地域経済にプラスの影響を与え、地域経済が成長することで、銀行自身もさらに業績を伸ばせる好循環のことです。
具体的には、中小企業が融資を受けて事業を拡大すると雇用が生まれます。
雇用が増えれば個人の収入も増え、銀行への預金や投資が拡大する可能性が高まります。
それによって銀行の財務基盤が強化され、さらに新たな融資やサービスの拡充に回せるというわけです。
このように、地域への貢献が銀行の利益にもつながる構造が築かれているのが地方銀行の特徴です。
愛媛銀行も地元企業への支援やデジタルサービスの充実などを続けていくことで、このポジティブな循環をより強固なものにしているといえます。
採用情報
初任給や平均休日、採用倍率などの詳しい数字は公表されていませんが、一般的な銀行業務に準じた条件が設定されていると考えられます。
地元志向の学生や、安定した勤務環境を求める方にとって魅力的な企業であることは間違いありません。
銀行業務は金融知識だけでなく、コミュニケーション能力やITリテラシーが重視されるため、幅広い分野に興味がある方が活躍できるでしょう。
株式情報
銘柄コードは8541です。
2024年3月期の配当金は1株あたり32円で、安定的な配当を重視している姿勢がうかがえます。
2025年2月21日時点での株価は1,095円となっており、地方銀行の株式としては比較的買いやすい水準ではないかと考えられます。
投資を検討する際は、IR資料などを確認して成長戦略やリスク要因を十分に理解することが大切です。
未来展望と注目ポイント
愛媛銀行の今後の方向性としては、まずは地域経済との連携強化が重要になってきます。
愛媛県内の中小企業やスタートアップを積極的に支援することで、雇用と消費を高め、銀行自身の収益基盤を拡大する狙いがあります。
また、デジタル技術の導入をさらに進めて、スマートフォンを使った簡易な融資申し込みや、オンライン相談サービスなどを拡充する可能性も高いです。
これによって若年層や忙しいビジネスパーソンでも気軽に銀行サービスを利用できるようになり、新たな顧客層の獲得につながるでしょう。
さらに、海外金利の動向に対応した投資ポートフォリオの見直しや、銀行同士の連携による経営効率化も見逃せません。
こうした取り組みが安定配当や長期的な成長を支え、今後の愛媛銀行の競争力を高めていくと考えられます。
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