企業概要と最近の業績
株式会社揚羽は、企業ブランディングのコンサルティングやクリエイティブ制作を中心に活躍している会社です。
コーポレートブランディングだけでなく、インナーブランディングやサステナビリティに特化した情報発信のサポート、採用ブランディングなど、多角的なアプローチで企業価値を高めています。
2023年3月期のIR資料を確認すると、売上高は約35億円を記録し、前年同期比で15%ほど増収したことが分かります。
営業利益も約2.8億円に達し、特に新規プロジェクトの拡大や継続的なコンサルティング案件が好調だったことが寄与したようです。
コロナ禍の影響が徐々に緩和される中、ブランディングへの需要が高まり、安定した収益構造を築いていることが最近の数字から見て取れます。
今後はオンラインとオフラインを組み合わせた成長戦略を進めつつ、さらなる事業拡大が期待されている注目企業です。
ビジネスモデルの9つの要素
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価値提案
株式会社揚羽は、多様なステークホルダーに向けて企業の魅力を的確かつ印象的に伝えるブランディング支援を行っています。これは、単にロゴデザインやパンフレット制作だけでなく、企業の理念を社内外に浸透させ、持続的なファンや支持者を増やすことを重視している点が大きな特徴です。
【理由】
企業価値を高めるためにはブランドイメージの統一が欠かせず、その実現に必要なノウハウやクリエイティブ制作力を提供することで、クライアント企業が「選ばれる存在」へと成長できるよう伴走型でサポートする仕組みが求められているからです。 -
主要活動
同社の主要活動は、企業理念やロゴなどのブランドアイデンティティの設計といった上流工程から、Webサイトや映像、パンフレットなどの広報物の制作といった具体的なコンテンツ作成まで幅広く展開しています。これにより、クライアント企業のビジョンと実際の表現がブレることなく、ターゲットにしっかり届く施策を実施できる点が強みです。
【理由】
ブランド戦略の成功には、戦略策定から制作までを一貫して支援する体制が必要であり、顧客ごとに最適化されたクリエイティブをまとめて提供できる力が、差別化要因につながるためです。 -
リソース
企業ブランディングの専門知識や経験豊富なコンサルタント、デザイナー、ライター、映像クリエイターなど、多彩な才能がそろった人材が同社の中核リソースです。さらに、高品質の動画制作やWebコンテンツ開発のための設備・ソフトウェアなど、先端技術を使いこなす制作環境を整えている点も重要なリソースといえます。
【理由】
ブランドイメージの構築には、様々な観点からの提案と高水準のクリエイティブが必要であり、それを実現するために専門人材と設備の充実が必須であったからです。 -
パートナー
同社のパートナーは、まずクライアント企業そのものです。ブランディングを一緒に推進することで長期的な関係を築き、企業価値の向上に貢献しています。
また、映像制作やWeb開発の一部工程で外部のクリエイティブパートナーと連携し、プロジェクトごとに最適なチームを編成するケースもあります。
【理由】
ブランディングの領域は広く、専門分野での連携が不可欠だからです。適材適所の協力体制を整えることが、クライアントへの付加価値を最大化する要素となっています。 -
チャンネル
同社のサービス提供チャンネルは、自社の営業活動や公式Webサイト、セミナーやイベントなど多岐にわたります。特に近年はオンラインセミナーも積極的に活用し、ブランディングの最新事例やノウハウを発信することで潜在顧客を開拓しやすくなっています。
【理由】
ターゲットとなる企業に幅広くアプローチするには、直接面談だけでなく、オンラインを含む複数のチャンネルを活用する必要があり、情報収集手段が多様化している現代においては、認知拡大と顧客獲得を並行して行う戦略が重要だからです。 -
顧客との関係
クライアント企業との関係は一度きりの取引ではなく、ブランド戦略の長期的な更新や拡張を見据えた継続的なパートナーシップが特徴です。コンサルティングだけでなく、プロジェクト後も定期的にフォローアップを行い、企業の方針や市場環境の変化に合わせてアドバイスを提供する姿勢を大切にしています。
【理由】
ブランディングは一度整備すれば終わりではなく、時代の変化や企業の成長ステージに応じて常に進化させる必要があり、その伴走をすることでこそ企業との結びつきが強まり、成果も高まるからです。 -
顧客セグメント
同社の顧客セグメントは、取引先や消費者だけでなく、投資家や求職者、従業員や社会全体に至るまで、企業が関係を持つさまざまなステークホルダーを対象としています。たとえば、採用ブランディングでは求職者目線、サステナビリティブランディングでは社会や投資家目線を考慮してコンサルティングを行うなど、多面的なアプローチで価値を提供しています。
【理由】
企業活動は多くの利害関係者に支えられており、それぞれが持つ視点や期待に応えるためには、ターゲットを限定しない包括的なブランディングが求められるからです。 -
収益の流れ
収益源としては、ブランディングに関するコンサルティング費用や、具体的な制作物(Webサイト、映像、パンフレットなど)の制作費用が中心です。企業の課題を洗い出し、ブランドアイデンティティを再構築するプランニングから最終的なアウトプットまでを一貫して請け負うことで、プロジェクト単位で安定した収益を得られる仕組みを築いています。
【理由】
企業ブランディングには長期にわたるサポートが求められ、戦略策定から制作・運用までのすべてをセットで提供する方が、クライアントにとっても効率的で付加価値が高いからです。 -
コスト構造
コンサルタントやクリエイティブスタッフなどの人件費、制作設備やソフトウェアの投資、そしてマーケティング費用が主なコストを占めています。高度なクリエイティブを求められる案件も多いため、人材育成にかかる教育コストや外部パートナーとの連携費用も発生します。
【理由】
ブランド戦略やクリエイティブ制作は専門性が高く、質の高い成果を出すには優秀な人材と先端技術が欠かせません。その結果、定期的なスキルアップと設備投資によりコスト構造が形成されているのです。
自己強化ループ
株式会社揚羽が独自に考案している「バタフライモデル™」は、インナーブランディングとアウターブランディングを結び付ける画期的な仕組みとして注目されています。
社内で企業理念をしっかりと定着させ、その理念を社員一人ひとりが実践していくことで社外へも一貫したメッセージを発信できるようになります。
この流れが回り始めると、社内の士気向上や情報共有が進み、さらに外部からの共感やブランド認知度が高まるというポジティブなループを生み出します。
こうした自己強化ループを確立するために、同社は定期的な理念研修や行動指針の共有ミーティングを実施し、従業員が日々の業務の中で企業の価値観を自然と体現できるように支援しているのです。
この循環が強まるほど、企業イメージが向上し、さらなるクライアントの獲得や新規事業の展開を後押しする原動力となっています。
採用情報と株式情報
現在の採用情報として、初任給は月給23万円程度が目安とされており、年間休日はおよそ120日程度とされています。
採用倍率は非公表ですが、クリエイティブ職やコンサルティング職の人気が高く、選考では作品や実績が重視される傾向があるようです。
株式関連では、銘柄が9330であることはよく知られています。配当金は1株あたり5円前後を目標としているとの声が一部で見られ、最近の株価は1株あたり1,400円付近で推移しているとの情報があります。
今後のIR資料などで詳しい動向を確かめることで、投資家としての判断材料にもなるでしょう。
未来展望と注目ポイント
今後の成長戦略としては、
デジタル領域の拡大とサステナビリティ関連への深掘りが鍵を握ると考えられます。特に、企業が社会的な責任を果たす姿勢を積極的に示すことが求められる時代ですので、
サステナビリティブランディングに特化したサービスの需要はさらに高まるでしょう。
これに対応するため、オンラインセミナーやWeb制作の先端技術を活用したコンサルティングの強化が期待されます。
また、経営者が自社の魅力をしっかり伝えるためのIR資料作成支援など、より経営戦略に直結する分野での拡大も視野に入れ、経営陣と直接連携する事例が増える可能性もあります。
国内外の企業がブランディングに注力し始めている今、独自モデルを確立した株式会社揚羽の取り組みは多くの企業に新しい視点を与え、今後もビジネスモデルのさらなるアップデートを通じて多角的な成長を遂げていくことが期待されます。
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