企業概要と最近の業績
株式会社早稲田アカデミー
2025年3月期の連結決算は、売上高が350億69百万円となり、前の期に比べて6.7%の増加となりました。
営業利益は35億49百万円で前期比22.8%増、経常利益は36億円で前期比22.0%増となり、増収増益を達成しています。
親会社株主に帰属する当期純利益も23億38百万円と、前の期から9.7%増加しました。
この好調な業績は、期中の平均塾生数が順調に増加したことが主な要因であり、特に小学部が全体の成長を牽引しました。
また、中学・高校・大学の各入試において合格実績が大きく向上したことも、業績に貢献しています。
2026年3月期も増収増益を見込んでおり、売上高は376億83百万円、経常利益は37億31百万円を計画しています。
価値提案
株式会社早稲田アカデミーの価値提案は、生徒の学力向上と志望校合格を強力にサポートすることです。
保護者から信頼される理由として、独自のカリキュラムや厳選された教材を活用するだけでなく、きめ細かい面談や定期的な学習フォローを行う点が挙げられます。
【理由】
なぜそうという背景には、受験市場では合格実績が最もわかりやすい成果指標となり、実績を出すことで塾全体の評判が高まり、新たな生徒の入塾が期待できるからです。また、学力を着実に伸ばす指導方針により、生徒本人の自信が高まると同時に、保護者の安心感も生まれます。
このように、合格実績をベースとした価値提案が同社のブランド力を維持し、市場での存在感を高める大きな原動力になっています。
主要活動
主要活動の中心は、学習塾の運営と教育プログラムの開発です。
対面指導では、講師が生徒と直接やり取りしながら学習内容を深め、一方でオンライン授業を活用して通学時間の短縮や感染症対策など柔軟な学習環境を提供しています。
【理由】
競合もオンライン分野に参入しており、早稲田アカデミーとしても従来の集合授業に加えて利便性の高いデジタルツールを導入することで、多様なニーズに応えられるようになったからです。加えて、定期的な模試や講習会の実施も主要活動の一つで、こうしたイベント型のプログラムを通じて、生徒のモチベーションアップと学力把握が可能になります。
リソース
同社のリソースには、長年の受験指導から蓄積されたノウハウや、優れた講師陣、独自に開発された教材が含まれます。
講師の多くは自身も有名校出身で指導実績が豊富なため、受験生の不安を的確にフォローできます。
【理由】
受験という高い壁を乗り越えるために必要なのは、実践的な勉強法と、精神面のサポートだからです。独自教材は試行錯誤を重ねながら改訂を行い、過去の出題傾向や時代の要請に合わせてバージョンアップされています。
また、保護者や生徒と向き合うスタッフの教育研修も充実しており、人的リソースを継続的に高める体制が整っています。
パートナー
パートナーには教材会社や模試を提供する企業、さらには私立学校や教育関連企業との連携があります。
【理由】
独自の指導力を発揮するためには幅広い学習材料やテストデータが必要となるからです。各種模試やイベントを共同で実施することで、信頼性の高い学力診断が行え、生徒一人ひとりに合った対策をしやすくなります。
さらに、私立学校との連携によって最新の入試情報をいち早く入手できるのも強みです。
こうしたパートナーとの協力関係は、同社のブランド力に加え、多角的なサービス提供に大きく貢献しています。
チャンネル
チャンネルは、首都圏を中心とする教室とオンラインプラットフォームの2本柱で展開しています。
教室に直接通うことで緊張感や集中力が高まり、講師や仲間とのコミュニケーションが容易になります。
【理由】
対面指導でのコミュニケーションが学力向上や受験対策には効果的だからです。しかし、最近では働く保護者のニーズや遠方に住む生徒のために、オンライン授業を組み合わせる取り組みが進みました。
これにより、通学が難しい方でも同レベルの教育を受けられる環境を整え、同時に生徒数の拡大を目指しています。
顧客との関係
顧客との関係は、定期的な面談や保護者会を通じて築かれています。
【理由】
受験という長期戦においては、生徒だけでなく保護者のサポートも欠かせず、双方の不安を解消する必要があるからです。保護者には子どもの学習進捗や成績データをこまめに共有し、講師からのアドバイスなどを提供しています。
また、保護者会や説明会などのイベントを通じて受験情報や学習方法をオープンにすることで、不透明になりがちな受験対策をわかりやすくし、信頼関係を強めています。
顧客セグメント
小学生から高校生までの受験生と、その保護者が顧客セグメントです。
【理由】
早稲田アカデミーは中学受験、高校受験、大学受験のすべてに対応する幅広いカリキュラムを提供しており、早い段階から継続的に生徒を獲得しやすいからです。特に首都圏では中学受験が盛んであり、難関校への合格実績は保護者にとって大きな魅力になります。
大学受験までフォローが可能であるため、同じ環境で長期間指導を受けたいと考える家庭にも選ばれやすいです。
収益の流れ
収益は授業料や教材費、講習会や模試の参加費などから成り立っています。
【理由】
学習塾としてはカリキュラムを提供しつつ、追加で季節講習や模試を設定することで安定的な収益基盤を確保できるからです。定期的な模試は学力の客観的な評価や目標校決定に不可欠であり、結果的に利用者も参加しやすい仕組みになっています。
また、オンラインサービスの有料コースや映像授業の利用料など、新しいサービスも収益源の一端を担っています。
コスト構造
コスト構造では、人件費や教室の賃料といった施設運営費、そして教材の開発費が大きな割合を占めています。
【理由】
高品質な教育を維持するためには経験豊富な講師陣が必要であり、彼らの給与や研修費用がかさむためです。また、教室を多店舗展開しているため、首都圏の立地の良い場所では家賃や設備費が高額になりがちです。
加えて、独自教材の開発にも力を入れているので、印刷費や編集作業などのコストも無視できません。
こうしたコストに見合うだけの付加価値を生み出すことで、同社は教育業界での存在感を維持しています。
自己強化ループ
株式会社早稲田アカデミーが築いている自己強化ループは大きく二つに分けられます。
まず、生徒の合格実績が高評価につながり、その評判が新規入塾者を増やす好循環です。
合格実績が上がると、保護者からの信頼度が上昇し、口コミなどによる紹介が増えます。
次に、優秀な講師の指導が良い結果を生み出し、その結果を受けてさらに優秀な講師が集まるというループです。
講師は自身の指導力が評価されるほど働きがいを見出しやすくなり、塾全体のレベルアップが継続的に進むのです。
こうした好循環は、同社が多くの競合がひしめく学習塾業界で長きにわたり存在感を保っている理由のひとつになっています。
生徒と保護者、講師の満足度がそれぞれを高め合い、結果として企業のブランド価値を押し上げる構造を築き上げている点がポイントです。
採用情報
採用では、新卒採用と中途採用の両方を行っています。
初任給は一般的な大卒水準を基本としつつ、業績や業務内容によって変動することがあります。
休日は週休二日制を基本としつつ、講習会やイベントのシーズンではスケジュールに変動があるようです。
採用倍率は年度や職種によって大きく異なる傾向にあり、人気講師枠や本部スタッフなど専門性の高い部門はやや狭き門となる場合があります。
近年では働き方改革の流れもあり、休日や労働時間の管理を強化しているため、応募者にとっても魅力的な改善が進んでいるといえます。
株式情報
銘柄は東証プライム上場の早稲田アカデミーで、証券コードは4718です。
配当金は年度によって変動しますが、業績の伸びに合わせて配当性向を意識した支払いが行われる傾向にあります。
1株当たりの株価も市場の動向や企業の成長期待によって上下するため、タイミングによっては配当利回りも変動します。
学習塾業界は少子化の影響が懸念される一方で、高付加価値の教育サービスやオンライン授業の拡大により、投資家から一定の注目を集めています。
未来展望と注目ポイント
今後、株式会社早稲田アカデミーは少子化に対応した新たな教育サービスの開発や、さらなるオンライン教育の強化が期待されます。
特に、これまで主力としてきた首都圏の中学受験や高校受験だけでなく、大学受験や英語教育など幅広いニーズに合わせたカリキュラムの充実を図ることで、生徒の学習スタイルにより細やかに対応する見込みです。
また、AIやICTを活用した個別学習の効率化は、すでに業界内で注目を集めている領域です。
こうした技術や新しい教育手法を取り入れることで、従来の対面指導とオンライン指導のハイブリッド化がさらに進むと考えられます。
学校改革やグローバル化が進む中で、質の高い教育への需要は高まり続けることが予想されるため、早稲田アカデミーの取り組みには今後も大きな可能性があります。
受験指導だけでなく、子どもたちの将来や成長戦略に寄り添う教育サービスを提供し続けることで、安定した成長を続けることが期待されています。
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