企業概要と最近の業績
株式会社早稲田学習研究会
早稲田学習研究会は、群馬県・栃木県・埼玉県を中心に学習塾や予備校を展開する総合教育企業です。
「W早稲田ゼミ」のブランドで、小学生から高校生までを対象とした集団指導や個別指導の学習塾を運営しています。
高校受験や大学受験の指導を主軸としながら、近年は中学受験や中高一貫校のコースにも力を入れています。
その他、東進衛星予備校のフランチャイズ運営や、オンライン授業の提供も行っています。
2026年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が24億29百万円（前年同期比7.5%増）、営業利益が3億51百万円（同15.8%増）、経常利益が3億67百万円（同15.4%増）、親会社株主に帰属する四半期純利益が2億45百万円（同15.6%増）となり、増収増益でした。
生徒募集が順調に進み、小・中・高すべての部門で在籍生徒数が増加したことが主な要因です。
特に、春期講習会の集客が好調だったことに加え、高校生の在籍数が過去最高を更新し、業績を牽引しました。
また、校舎運営の効率化や経費削減の取り組みも利益の増加に貢献しました。
価値提案
株式会社早稲田学習研究会の価値提案は、質の高い教育サービスを通じて生徒の成績向上や目標達成を実現する点にあります。
全教師を正社員として採用しているため、専門性の高い授業を安定して提供できることが特長です。
個別指導や集団授業など多彩な指導形態を組み合わせ、学校ごとのカリキュラムや生徒の個性に合わせた丁寧なサポートを行っています。
勉強が苦手な生徒へのケアから難関校を目指す受験指導まで幅広く対応し、保護者が求める安心感も大きな魅力です。
【理由】
なぜそうなったかというと、学習塾業界では講師の質が直接的に成果や信頼につながるため、正社員講師を活用し、責任感とモチベーションを高く維持しているのです。
その結果、口コミや評判が広がり、生徒数増加とブランド力向上に貢献しています。
主要活動
主要活動は、各校舎での集団授業や個別指導の実施、新たな校舎の開設などが中心です。
特に成績アップを目指すためのカリキュラム開発や、講師研修による授業力向上が大きな役割を果たしています。
さらに、定期的な保護者面談や進路指導など、学習以外の不安を取り除く活動も積極的に行っています。
【理由】
なぜそうなったかというと、少子化の時代においては、サービスの質と多角的なサポート体制が保護者や生徒の満足度につながるからです。
そのため、ただ教えるだけでなく、面倒見の良さを重視し、進路相談などを含めたきめ細やかな活動を積み重ねることで、信頼を得ているのです。
リソース
最大のリソースは、専門性と熱意を兼ね備えた正社員教師陣と、全国に約60ある校舎のネットワークです。
講師は企業研修や新人教育でスキルを磨き、授業力を高いレベルで維持しています。
また、校舎数が多いことで、地域ニーズに合ったクラス編成やカリキュラムを素早く反映しやすいのも強みといえます。
【理由】
なぜそうなったかというと、生徒一人ひとりの状況に合わせられる柔軟さが求められる教育業界では、講師の質と校舎の数がシェア拡大に直結しやすいためです。
多様な生徒の学習状況や要望に対応できるリソースを持つことで、競合他社との差別化を図っています。
パートナー
教育関連企業や教材提供者など、質の高い学習教材を一緒に作り上げるパートナーを持っています。
学校の教科書会社とも協力しながら、生徒が理解しやすい独自テキストやテストを開発するケースも見られます。
【理由】
なぜそうなったかというと、常に最新の教育情報や教材を入手し、生徒の学力アップに必要な環境を整える必要があるからです。
また、教育システムやオンライン学習ツールの開発企業との連携により、教室外でも学びを継続できる仕組みを整えているため、より幅広い生徒のニーズに応えられています。
チャンネル
チャンネルとしては、各地の校舎で直接行う対面授業が主軸ですが、公式ウェブサイトを通じて体験授業の案内や問い合わせ受付なども行っています。
最近ではオンライン授業や動画配信など、インターネットを活用した学習サポートも拡充中です。
【理由】
なぜそうなったかというと、多様な学習スタイルに対応する必要があり、特に遠方の生徒や忙しい生徒にとっては、オンラインの選択肢があるかどうかが塾選びの決め手となるからです。
地域密着の校舎展開とデジタルツールの併用によって、生徒のモチベーション維持とサービスの利便性向上を同時に追求しています。
顧客との関係
顧客である生徒や保護者との関係づくりは、生徒第一主義の考え方をもとに個別のフォローを徹底する姿勢が特徴です。
たとえば定期テスト前の補習や質問対応、講師からの学習アドバイスなど、細かな連絡を密にとることで信頼関係を強めています。
【理由】
なぜそうなったかというと、教育サービスは結果だけでなくプロセスや安心感が大切であり、きめ細かいコミュニケーションが学習成果につながると考えられているからです。
保護者とも面談を重ね、学習進度やメンタル面を共有することで、最適なサポートを提供しています。
顧客セグメント
小学生から高校生までと幅広い年代を対象とし、それぞれの目標や学年に合わせたクラス編成を行っています。
保護者も大切な顧客ととらえ、家庭学習のアドバイスや進学相談など多面的なサポートを実施しています。
【理由】
なぜそうなったかというと、少子化の進む今の時代、教育サービスを利用する生徒の層を広くとりこむことが塾の安定経営に直結するからです。
また、高校生向けには難関大学を目指すクラスだけでなく、基礎学力向上を目指すクラスも用意し、多様な学習ニーズに応えられるのが特長です。
収益の流れ
主な収益は授業料ですが、教材販売や講習会費なども利益源です。
校舎のネットワークが広い分、地域ごとに合わせた時間割や集中講座を設定し、多種多様なコースを提供できることが収益拡大につながっています。
【理由】
なぜそうなったかというと、進学塾は季節講習などで生徒数が増えやすいため、時期に合わせたサービスを提供することが大きな収益になるからです。
また、正社員講師による指導は付加価値が高く、顧客の満足度が収益の安定化に寄与しているのです。
コスト構造
主に教師の人件費と校舎運営費が大きなコストです。
正社員講師を多く抱えるため、人件費は高めですが、講師の質がブランド価値の向上とリピート率の高さにつながっているので、投資としては合理的です。
加えて、新規出店に伴う初期投資も考慮する必要があります。
【理由】
なぜそうなったかというと、新しい校舎を作ることで生徒数拡大が見込め、得られた利益を再投資して成長を続ける自己強化ループを作り上げてきたからです。
結果として、高コストであっても長期的な視点で見ると十分にペイしていると考えられます。
自己強化ループ
株式会社早稲田学習研究会は、新規校舎を出店するごとに地域での知名度や信頼度を高め、生徒数を増やしています。
生徒が増えると授業料収入が上がり、その利益を使ってさらに新しい校舎を開くことができるのです。
この循環がうまく回ると、より多くの人件費や設備投資をまかなえるようになり、講師の研修や施設の改善にも注力できます。
その結果、生徒が集まりやすい環境が整い、口コミや評判を通じてさらに生徒数を増やすことが可能になります。
こうした好循環によって、同社は安定的な成長戦略を描くことができており、今後も拡大が見込まれています。
採用情報
初任給は月給40万円と高めで、30歳の平均年収も600万円以上とされています。
年間の休日数は一般的な企業と同程度で、120日前後が目安と言われています。
採用倍率については公表されていませんが、正社員講師のみを募集していることから、教育業界の中でも人気があり競争率は比較的高いようです。
社宅制度や社有車貸与制度、学習塾補助手当など福利厚生が充実しているため、長く働き続けられる環境として注目されています。
株式情報
同社は東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、銘柄コードは5869です。
1株当たりの当期純利益は106.23円で、自己資本比率は75.9パーセントと財務基盤は安定しています。
配当金や1株当たり株価については変動がありますが、IR資料でも安定経営をアピールしており、長期的に成長を目指す方針をうかがえます。
財務内容が良好なため、投資家からの信頼度が高い企業の一つです。
未来展望と注目ポイント
今後は、新規校舎の出店やオンライン授業の拡大に力を入れることで、生徒獲得の幅がさらに広がると考えられます。
少子化が進む中でも高品質の教育を求める保護者は多いため、質の高い講師を確保し、安定した授業力を提供することで差別化を図る見込みです。
また、高校生向けのハイ部門の売上が一時的に落ち込んでいるものの、オンライン講座や難関校向けクラスの強化により巻き返しを狙っています。
校舎ネットワークを広げながら、一部の業務をデジタル化することで、人件費を最適化しつつさらなる校舎開設の投資余力を生む可能性もあります。
こうした攻めと守りのバランスを保つことで、中長期的に安定成長を続けられると期待されるでしょう。
教育業界は変化のスピードが速いですが、同社のように講師の質と地域戦略をしっかり確立している企業は、今後も大きな注目を集め続けると考えられます。
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