企業概要と最近の業績
株式会社芝浦電子
株式会社芝浦電子は、温度を検知する「サーミスタ」という電子部品を主力とするセンサーメーカーです。
サーミスタ素子の開発から、それを用いた温度センサーの製造までを一貫して手掛けています。
同社の製品は、自動車のエアコンやエンジンの温度管理、家電製品の温度制御、給湯器、そして医療機器に至るまで、身の回りの様々な製品に組み込まれ、その性能と安全性を支えています。
サーミスタの分野では世界トップクラスのシェアを誇ります。
2026年3月期の第1四半期(2025年4月1日~2025年6月30日)の決算が公表されています。
当期の売上高は143億3,500万円で、前年の同じ時期と比較して3.1%の増収となりました。
営業利益は26億1,900万円で、前年同期比で3.6%の増益でした。
経常利益は30億8,300万円となり、前年同期と比較して8.6%の増益です。
親会社株主に帰属する四半期純利益は22億6,300万円で、前年同期から12.8%の増益となりました。
会社は、主力の自動車関連市場向け製品の販売が、国内外で堅調に推移したことが増収増益に繋がったと説明しています。
価値提案
高精度で信頼性の高い温度センサを提供。
-50℃から1,000℃まで幅広い温度帯への対応。
自動車や家電、医療機器など多様な分野で活用。
【理由】
なぜそうなったのかというと、同社は創業以来、サーミスタ技術をコアとした研究開発を重ねてきました。
長年のノウハウと高度な品質管理体制により、他社にはまねできない精度と耐久性を持つ温度センサを実現しています。
特に信頼性が重視される自動車関連や医療分野での実績が評価され、顧客企業の課題解決に貢献してきました。
こうした付加価値の高さこそが、同社の価値提案の原動力となっています。
主要活動
温度センサの研究開発。
サーミスタ素子およびセンサの製造・品質管理。
国内外の顧客への販売とアフターサポート。
【理由】
なぜそうなったのかというと、高精度の温度センサを開発するには、最新の材料技術や測定技術、厳格な品質検証が欠かせません。
同社は長年にわたるR&D投資を継続してきた結果、独自の測定・製造プロセスを確立しています。
また、顧客からのフィードバックを製品改良に素早く反映させることで、常に需要に沿った製品ラインアップを維持し、顧客満足度を高める活動を行っています。
リソース
先端的な研究開発チームと豊富な技術ノウハウ。
大規模な製造設備と精密検査装置。
高度な専門性を持つ技術者と生産スタッフ。
【理由】
なぜそうなったのかというと、高い温度測定精度を実現するためには、特殊な材料や複雑な工程を扱うスキルが必要です。
同社は創業期から技術者の育成や設備投資に力を注ぎ、積み重ねたノウハウを社内に蓄積してきました。
さらに、新たな市場や用途に対応するための研究開発体制を常に強化することで、安定供給と製品革新を両立させるリソースを確保しています。
パートナー
自動車や家電など多岐にわたる大手メーカー。
安定供給を支えるサプライヤー網。
国内外の代理店ネットワーク。
【理由】
なぜそうなったのかというと、温度センサはさまざまな製品に組み込まれる重要パーツであり、大手メーカーとの取引実績が事業継続の基盤となっています。
同社の高い技術力と信頼性が評価され、長期的な取引につながりやすい特徴があります。
また、サプライヤーや代理店との緊密な連携により、原材料や流通の最適化が進み、世界各地での安定販売を可能にしています。
チャンネル
自社営業を通じた直接販売。
代理店ネットワークによる広域展開。
オンラインを活用した製品情報の発信。
【理由】
なぜそうなったのかというと、温度センサなどの電子部品は専門的な知識が必要とされるため、直接顧客と対話しながらニーズを把握する仕組みが欠かせません。
一方で、海外拠点や新興国にもビジネスチャンスが広がっており、代理店とのパートナーシップが販路拡大の要となっています。
さらに、オンラインでの情報共有を進めることで、より多くの企業との接点を生み出し、新規顧客開拓につなげています。
顧客との関係
技術相談やカスタマイズを含む柔軟なサポート体制。
アフターサービスや定期メンテナンスの充実。
長期的な信頼関係を築くコミュニケーション。
【理由】
なぜそうなったのかというと、温度センサは製品性能や安全性に直接影響を与えるため、顧客企業はトラブルを極力避けたいと考えています。
同社は納入前の技術サポートから納品後のフォローまでを丁寧に行い、疑問や不安を解消しながら関係を深めています。
このように顧客ニーズを的確に把握し、迅速に対応する姿勢がブランドイメージを高め、リピート注文や新規プロジェクトへの参画につながっています。
顧客セグメント
自動車関連(エンジン制御やバッテリー管理など)。
家電製品(冷蔵庫、エアコン、洗濯機など)。
医療機器や産業機器など高精度が必要な分野。
【理由】
なぜそうなったのかというと、サーミスタは温度を正確に測るパーツとして多様な業界で必須となっています。
自動車の電動化や家電の省エネ化に伴い、高度な温度管理の需要が増加している背景があります。
また、医療や産業用ロボットなど、安全性や精度が重視される領域でも同社のノウハウが活かされるため、顧客セグメントが広がりやすいのです。
収益の流れ
温度センサやサーミスタ素子の販売収益。
カスタマイズや技術提供による付加価値収入。
長期取引から生まれる安定したリピート受注。
【理由】
なぜそうなったのかというと、同社の製品は多くのメーカーの製造ラインに組み込まれるため、一度採用されると継続的な需要が見込めるというメリットがあります。
さらに、顧客ごとに異なる要件に合わせて製品をカスタマイズすることで、単なる部品売りにとどまらず、エンジニアリングサービスとしての付加価値を高めています。
このようなビジネスモデルは収益を安定化させると同時に、顧客ロイヤルティを高める効果があります。
コスト構造
研究開発費や人件費。
原材料調達コスト(セラミックや金属素材など)。
製造設備の維持や販売管理費。
【理由】
なぜそうなったのかというと、高精度センサを開発・製造するには最新設備と高度な技術力が必要で、それに見合う人件費やR&D費がかかります。
また、原材料価格は国際情勢や為替などの影響を受けるため、安定調達とコスト管理が利益確保の鍵になります。
製造設備の維持や検査工程には高い水準の管理が求められ、これらが同社のコスト構造の大きな部分を占めています。
自己強化ループについて
同社では、高品質なサーミスタ製品の提供によって顧客満足度を高め、継続的な受注や新規顧客の獲得につなげています。
リピート受注が増えれば研究開発や設備投資に回せる資金が増え、技術力や生産能力がさらに高まります。
その結果、より高度な要求に応えられる製品を開発し、市場シェアをさらに拡大できるという好循環が生まれています。
このようなフィードバックループが回り続けることで、同社は継続的な成長とブランド強化を実現しているのです。
採用情報
株式会社芝浦電子では、大卒初任給として月額約22万円が設定されており、年間休日は120日以上と働きやすい環境づくりに注力しています。
採用倍率は公表されていませんが、先端技術の開発や安定したビジネスモデルを背景に、電子部品やものづくりに興味がある学生や転職希望者から幅広い人気を集めています。
株式情報
同社の銘柄コードは6957で、2025年3月期には1株当たり150円の配当金が見込まれています。
2025年2月21日11時30分時点での株価は4,600円で、比較的安定した株価水準と配当利回りが投資家に支持されています。
中長期的な成長戦略を視野に入れる投資家にとって、IR資料を確認しながら経営方針や市場動向を把握することが重要といえます。
未来展望と注目ポイント
電気自動車やスマート家電、さらには医療用機器の高度化など、温度制御が欠かせない分野は今後も拡大していくと予想されています。
同社はこれまで培ってきた技術力と世界トップレベルのシェアを武器に、新製品の開発や新興国での市場拡大を積極的に進める方針です。
また、研究開発費を戦略的に投下し、より高精度なセンサニーズに応える体制を整えることで、競合との差別化を図る見込みです。
原材料価格や為替リスクへの対応など課題はあるものの、サーミスタにおける強固な基盤は依然として同社の大きな強みとなっています。
今後の成長戦略を注視しながら、さらなる飛躍が期待される企業として要チェックといえるでしょう。
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