企業概要と最近の業績
株式会社野村マイクロ・サイエンス
当社は、半導体やFPD（フラットパネルディスプレイ）などの電子デバイスを製造する上で不可欠な「超純水」を製造する装置の設計、建設、販売を手掛けるリーディングカンパニーです。
超純水とは、水に含まれる不純物を極限まで取り除いた、極めて純度の高い水のことです。
当社は、顧客である半導体工場などのニーズに合わせて、最適な超純水製造システムをオーダーメイドで提供しています。
また、装置の納入後も、消耗品であるイオン交換樹脂の再生サービスや、装置のメンテナンスといったサービスを提供し、顧客の安定生産を支えています。
近年では、韓国、台湾、中国、アメリカにも拠点を広げ、グローバルに事業を展開しています。
最新の2026年3月期第1四半期の決算では、売上高は210億8百万円となり、前年の同じ時期に比べて68.3%の大幅な増収を達成しました。
本業の儲けを示す営業利益も43億7百万円となり、前年同期の12億75百万円から3倍以上に増加し、過去最高の業績を更新しています。
これは、国内の大型案件の工事が進捗したことに加え、海外、特に台湾向けの大型案件の売上が好調だったことが主な要因です。
事業別に見ると、装置の設計・建設などを行う「水処理装置事業」が大きく伸長しました。
納入後のメンテナンスや消耗品の販売を行う「サービス・消耗品事業」も、顧客の設備稼働率が高水準で推移したことにより、堅調に業績を伸ばしました。
価値提案
同社の価値提案は、高純度の超純水を必要とする製造工程に高品質な水処理ソリューションを提供することです。
半導体や医薬品の製造には微細なゴミや汚染物質を極限まで取り除く必要がありますが、同社の装置はそのニーズに応えることができます。
【理由】
長年にわたり水処理技術の研究開発を続けてきたことで、ろ過膜やイオン交換、逆浸透などの多様な技術を組み合わせ、高い純度を保つ仕組みを確立したからです。
これにより、顧客企業は製造ラインの品質を向上させたり、歩留まりを良くしたりすることができるようになります。
また、超純水の安定供給をサポートすることで、製造プロセスの効率化だけでなく、安全性や環境対応にも貢献できる点が大きな魅力となっています。
主要活動
同社の主要活動は、研究開発、製造、販売、アフターサービスといった一連の工程を包括していることです。
研究開発によって新しい水処理技術を生み出し、それを自社の製造拠点で形にして、国内外の企業へ販売しています。
さらに導入後のアフターサービスにも力を入れており、定期メンテナンスや故障時の修理などで顧客と長期的な関係を築いています。
【理由】
水処理装置は導入後にも高い精度が求められるため、保守サービスが欠かせないからです。
販売のみならずメンテナンスを提供することで、顧客の信頼を高めるとともに安定収益にもつなげています。
リソース
同社のリソースは、高度な技術力や専門知識を持つ人材、豊富な実績から得られるノウハウ、そして装置の製造設備に集約されています。
特に水処理のノウハウは簡単に模倣できない重要な資産であり、長年の実績から得られた知見が大きな強みです。
【理由】
水処理分野は装置が稼働する環境や用途によって必要とされる純度や処理方式が異なるため、多様なケースに対応できる専門性が蓄積されてきた結果です。
こうしたリソースを活かして、半導体向けや医薬品向けなど、それぞれの業界ニーズに合わせた提案が可能になっています。
パートナー
同社は部品供給業者や技術提携先、販売代理店などとのパートナーシップを築いています。
水処理装置を構成する各種フィルターやポンプなどの部品調達先との協力関係が深く、安定した供給体制を確立しています。
【理由】
水処理分野は高い信頼性が不可欠であり、品質の良い部品を安定調達することが業界での評価に直結するからです。
また、販売代理店との連携により海外市場を開拓しやすくなり、グローバル展開の拡大に役立っています。
チャンネル
同社のチャンネルには、直販だけでなく代理店経由やオンラインでの情報提供などがあります。
展示会への出展やIR資料による情報開示も積極的に行い、新規顧客や投資家との接点を増やしています。
【理由】
超純水装置は比較的高額で導入のハードルが高いため、顧客が導入を判断しやすいように多面的なアプローチが必要だからです。
代理店を活用すれば地理的に遠方の顧客にもリーチしやすく、さらなる市場拡大が見込めます。
顧客との関係
同社は装置納入後もメンテナンスや定期検査を行い、長期的なサポートを続けています。
【理由】
超純水を供給するためには安定した稼働が重要であり、トラブルや性能低下を避けるには専門家によるサポートが欠かせないからです。
顧客は高水準のアフターサービスを受けられる安心感を得られ、同社はリピート受注や部品交換などで収益を確保できます。
こうした良好な関係がブランド力の強化にもつながっています。
顧客セグメント
同社は主に半導体、医薬品、食品業界など高い純度の水を必要とする企業を顧客としています。
【理由】
それらの業界は微細加工や品質管理が厳しく、水の純度が製品の合否を左右する場面が多いからです。
超純水の安定供給ができれば生産効率が上がり、品質も高まるため、同社の装置が重要視されます。
特に半導体産業は投資規模が大きい反面、市況の影響も大きいので、業績変動に直結する重要なセグメントとなっています。
収益の流れ
同社の収益は、装置の販売収益とアフターサービス、メンテナンス契約、部品交換などの継続収益によって成り立っています。
【理由】
}超純水装置は一度導入すれば終わりではなく、常に高いクオリティを保つためにメンテナンスが求められるからです。
これによって同社はストック型の収益を獲得しやすく、顧客企業としても一定のコストで水質を維持できるメリットがあります。
初期投資だけでなく、長期的なサポートまでカバーしている点が強みです。
コスト構造
同社のコスト構造は、研究開発費、製造原価、販売やマーケティング費用、そしてアフターサービスにかかる人件費などが主な内訳です。
【理由】
超純水装置の技術開発には多額の投資が必要なうえ、品質維持に注力するため検査やテストのコストもかかるためです。
さらに、海外展開を進めるには現地対応のスタッフ教育や物流コストなども増大します。
しかし、その分だけ高い技術力とブランド力を維持し、顧客の信頼を得やすくなる点が同社の強みです。
自己強化ループ
株式会社野村マイクロ・サイエンスでは、技術開発と市場ニーズの連動による自己強化ループが生まれています。
顧客の製造現場で超純水の重要性が高まるほど、その要求される水質はより厳しくなり、それに応える技術開発が進みます。
新しい技術を活かした高性能の装置が販売されると、売上が増加し、さらに研究開発へ投資できる資金が得られます。
この投資が新たな技術革新を生み、装置の性能や耐久性が向上し、顧客満足度が上がることで次の受注につながるのです。
また、導入後のアフターサービスの充実が顧客のリピート受注を呼び、長期的な売上確保とブランド価値向上をもたらしています。
この好循環が同社の成長エンジンになっている点が大きな特徴です。
採用情報
同社は公式には初任給や平均休日、採用倍率などを明確に公表していません。
ただし、半導体関連の装置メーカーとして高い技術力が求められる環境のため、理工系の知識を持った人材が活躍しやすいと考えられます。
水処理技術は幅広い分野で応用される可能性を秘めていることもあり、将来的に専門性を高めたい方にとって魅力的な職場となりそうです。
株式情報
銘柄は6254で、2025年3月期の1株当たり配当金は70円を予定しています。
株価は2025年2月18日13時39分時点で2739円、時価総額は1112億2500万円と公表されています。
配当利回りは2.56パーセントで、PERは10.68倍、PBRは3.59倍となっています。
配当性向が高すぎないため、今後も安定した配当を続けられるかが注目されるポイントです。
未来展望と注目ポイント
今後は世界的に半導体需要が再び増加すると見られており、同社にとっては大きなビジネスチャンスとなる可能性があります。
特に先端半導体を扱う企業は、微細加工技術の進化に伴い超純水の水質や安定供給がさらに重要になっていくでしょう。
また、ESGやSDGsへの関心が高まる中で、水処理技術は環境負荷の低減にも貢献しやすく、企業価値をアピールする絶好の機会となります。
海外市場に目を向けると、中国や東南アジアだけでなく、欧米でも次世代半導体やバイオ医薬品製造の設備投資が継続的に行われる見通しです。
同社がこれら地域での販路拡大や技術提携を進められれば、一段と成長が期待できます。
水処理は一度導入すれば終わりではなく、長期間にわたるメンテナンスが欠かせない分野です。
そのため、アフターサービスの強化と新技術の研究開発をバランスよく進めることが、今後の成長を左右する鍵になるでしょう。
また、IR資料を活用しながら、投資家への情報発信を充実させることで、株主とのコミュニケーションを深め、企業価値のさらなる向上を目指すことが期待されます。
コメント