企業概要と最近の業績
株式会社高砂鐵工は、兵庫県尼崎市に本社を構え、1923年の創業以来、鍛造品とエキスパンドメタルの製造を中心に事業を展開しています。長年培ってきた技術力を強みに、高強度で耐久性の高い鍛造品と、軽量かつ通気性に優れたエキスパンドメタルを提供してきました。自動車や建設など、多彩な業界からの信頼を得ており、顧客基盤は全国に広がっています。最近の業績では、2024年3月期の売上高がおよそ150億円に達し、前年から約8パーセント伸びたと発表されています。営業利益は約12億円で、設備投資によるコスト増を吸収しながらも、着実に収益を拡大している点が注目されています。これは、継続的な技術開発と省エネルギー対策が功を奏し、製品の品質向上や競争力の強化につながった結果といえます。今後も国内外の需要を見極めながら、新製品の開発やさらなる生産効率の向上に取り組む方針を掲げています。鍛造分野は海外企業との競争が厳しさを増す一方、エキスパンドメタルの需要は建設や製造の多方面で拡大が期待されており、同社は安定した売上構成を維持しています。これらの成果をより多くのステークホルダーに向けて発信するために、IR資料の充実や成長戦略の明確化にも力を入れているところが特徴です。
ビジネスモデルの9つの要素
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価値提案
同社の最大の価値は、高い強度や耐久性が求められる鍛造品と、軽量かつ視認性に優れたエキスパンドメタルを提供できることです。鍛造品は鉄やステンレスなど多様な素材に対応し、車両部品から産業機械用部品まで幅広く利用されています。一方、エキスパンドメタルは建築資材としての利用だけでなく、内装やデザイン素材としても注目が高まっています。なぜそうなったのかというと、同社は創業以来の蓄積されたノウハウを活かしながら、顧客ニーズをくみ取った製品開発を進めてきたためです。高付加価値製品に特化することで、競合他社と差別化を図りながら価値提案を実現しています。 -
主要活動
まずは鍛造品やエキスパンドメタルの設計開発を行い、試作品を作成して品質や強度を検証します。その後、工場での量産に移る際には、最新設備を活用して効率的な生産プロセスを構築します。さらに製品の品質管理や検査にも力を入れており、出荷後のアフターサポートも欠かしません。なぜそうなったのかというと、長年の実績から得た「品質こそが競争力の源泉」という考えが社内で根付いているからです。結果として、顧客満足度を高めつつ、リピーターや新規顧客を増やす流れをつくることに成功しています。 -
リソース
同社のリソースとして重要なのは、高度な技術を持つ熟練工と、効率的な生産を可能にする最新の製造設備です。特に鍛造プロセスでは、素材の特性を把握しながら温度や圧力を細かくコントロールできる専門技術者の存在が欠かせません。エキスパンドメタルにおいても、切断と引き伸ばしの技術を駆使し、軽量ながら強度を保つ仕組みを安定的に実現するノウハウがあります。なぜそうなったのかというと、1923年の創業以来、顧客要求に合わせて技術者を育成し、設備更新を継続してきたからです。 -
パートナー
原材料を安定供給する製鉄所や金属加工業者などとの関係が極めて重要です。物流業者とも連携し、全国規模での迅速な納品体制を構築しています。さらに、産学連携や研究機関との協力によって新素材や新工法の開発にも積極的に取り組んでいます。なぜそうなったのかというと、高付加価値化を進めるうえで自社だけでは解決できない技術課題を外部の専門家の力で補完し、競争力を高める戦略を取ってきたからです。 -
チャンネル
営業担当による直接訪問を基盤にしつつ、代理店を通じた販売ルートも活用しています。最近では公式ウェブサイトやオンライン展示会などを通じた情報発信にも力を注ぎ、新規顧客との接点を増やす取り組みを進めています。なぜそうなったのかというと、海外製品との競合や顧客ニーズの多様化を背景に、より広範囲の潜在顧客にリーチする必要があるためです。 -
顧客との関係
同社は一度取引を開始した顧客と長期的な関係を築くことを重視しています。納品後のアフターサポートやメンテナンス相談など、技術者が直接対応する仕組みを整えています。なぜそうなったのかというと、製品の品質以外にも、運用やメンテナンスの面で安心感を与えることが、リピート受注や口コミ紹介につながると考えているからです。 -
顧客セグメント
主に建設業界や自動車産業などの法人顧客が中心です。建設では外装や内装の資材としてエキスパンドメタルが活用され、自動車や産業機械向けには耐久性が重視される鍛造品が求められます。なぜそうなったのかというと、創業以来積み上げた高度な金属加工技術が、これらの業界のニーズと相性が良かったことが背景にあります。 -
収益の流れ
主な収益源は鍛造品とエキスパンドメタルの販売です。特注品の受注生産や高品質が求められる市場に強みがあるため、比較的安定した受注が期待できます。なぜそうなったのかというと、価格競争が激しい汎用品よりも独自性の高い製品ラインナップに注力し、付加価値をつける方針を取ってきたからです。 -
コスト構造
大きな要素としては原材料費と生産設備の維持管理費、人件費が挙げられます。特に鍛造の工程では高温で金属を加工するためエネルギーコストが高く、またエキスパンドメタルを安定供給するための装置も定期的な保守点検が必要です。なぜそうなったのかというと、品質を維持・向上するために最新技術を導入し続けていることと、安全管理や環境対策にも投資を惜しまない姿勢を貫いているからです。
自己強化ループ
同社が取り組む省エネルギー対策や設備投資には、実は大きな自己強化ループがあります。たとえば製造工程で省エネルギー技術を導入することでランニングコストを抑え、その浮いた分の資金をさらに新しい技術の開発に投じることができます。こうした設備更新は製品の品質や生産効率を高め、市場での信頼性と付加価値をさらに高めます。その結果、顧客からの評価が上がって売上や利益が増え、新たな設備投資が可能になるという好循環が生まれています。さらに環境に配慮したイメージが定着することで、企業としてのブランド力も向上し、優秀な人材や新たな取引先が集まりやすくなるのです。こうしたプラスの循環が回り始めると、より高い競争力と利益率を確保できるだけでなく、社会的な評価を得ることもできるため、長期的な成長が見込めると考えられています。
採用情報
初任給は学歴や職種によって異なり、大卒総合職の場合は月額21万円前後とされています。平均休日は年間120日程度を確保しており、週休2日制の採用が進んでいます。採用倍率は時期や部門により変動はありますが、技術系や研究開発部門などでは全国から応募が集まり、競争が激しいこともあるようです。若手の育成プログラムや資格取得支援制度も充実しており、長期的にキャリアを築ける環境を目指しています。
株式情報
銘柄は株式会社高砂鐵工で、証券コードは5458です。配当金は足元では1株あたり年30円程度が見込まれており、投資家に対する還元にも力を入れています。1株当たり株価は2025年2月現在で約1,200円前後で推移しているとされ、設備投資や業績の拡大が株価を押し上げる材料として注目されています。継続的な業績拡大とともに、さらに安定した株主還元策が期待されています。
未来展望と注目ポイント
これからの同社の方向性としては、鍛造分野で培ったノウハウを海外展開に活かすことと、新用途を開拓するエキスパンドメタルのさらなる普及が重要なポイントになりそうです。国内では既に幅広い顧客基盤を築いているため、今後はアジアや欧米の需要を取り込むことを視野に入れています。また、SDGsやカーボンニュートラルのトレンドを追い風に、省エネルギー機器や環境対応技術の導入を強化し、持続可能な生産体制の構築に力を注ぐと考えられます。さらに、建設資材としてのエキスパンドメタルのデザイン性を高め、建築家やデザイナー向けの提案を行うことで、製品の付加価値を高める戦略も注目されます。こうした取り組みによって売上と収益力を維持しながら、社会的課題の解決に貢献できる企業としての評価を高めることで、長期的な成長と企業価値の向上を狙っています。中長期的には、研究機関との連携による新材料開発や、製造工程のデジタル化によるさらなる効率化など、さまざまな成長戦略が考えられ、今後の動向からますます目が離せません。
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