株式会社cottaの企業概要と最近の業績
株式会社cotta
お菓子・パン作りのための材料や道具、ラッピング資材などを販売するECサイト「cotta」を運営している企業です。
個人のお客様から、街のパン屋さんやお菓子屋さんといったプロのお客様まで、幅広い層に利用されています。
8万点以上の豊富な品揃えを誇るだけでなく、1万件以上のレシピコンテンツを無料で提供するなど、お菓子・パン作り文化の発展にも貢献しています。
2025年8月13日に発表された2025年9月期第3四半期の連結決算によりますと、売上高は80億3,000万円で、前年の同じ時期に比べて4.2%増加しました。
一方で、営業利益は3億9,800万円で、前年の同じ時期から12.1%の減少となりました。
経常利益は4億1,000万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は2億7,500万円となり、増収減益という結果でした。
サイトの会員数は順調に増加し売上は伸びたものの、原材料価格の高騰や円安に伴う仕入コストの上昇、および広告宣伝費の増加などが利益を圧迫する要因となりました。
【参考文献】https://www.cotta.co.jp/
価値提案
- 個人や小規模事業者でも手が届きやすいよう、小ロットで材料や包装資材を購入できる仕組みを整えています。これにより、自分に必要な分だけを無理なく買える点が評価されています。
- 単価も低めに設定し、お菓子作りを趣味とする方が気軽に挑戦できる環境を整備しています。さらに、短納期を掲げることで「必要なときにすぐ届く」利便性を高めているのが特徴です。
【理由】 個人や小規模事業者は多品種を少量ずつ欲するニーズが強く、在庫過多のリスクを避けたいと考えています。そこで、あらかじめ多種の製菓材料を豊富に確保し、小ロット販売に特化することで顧客の必要性に柔軟に対応できるようにしたことが背景にあります。こうした価値提案は、ネット通販を主体とした販売システムと相性が良く、時間や地域的制約を超えて広く利用してもらえる点につながっています。
主要活動
- 製菓材料や包装資材など、幅広い商品ラインアップを整えるための調達と、それらをスムーズに届ける物流の最適化が中心です。
- オンラインストアの運営も主要な活動であり、顧客がストレスなく購入できるウェブ環境を整備しています。
【理由】
製菓材料は季節商品やトレンド要素が強く、需要が急増するイベント時期などの変動要因に対応する必要があります。そのため、在庫管理を効率よく行い、必要なときに必要な数を提供する体制が求められました。加えて、オンラインストアを活用することで全国の個人や事業者へ販売可能になり、マーケット拡大と同時に、リアル店舗を複数構えるよりもコストを抑えられるメリットがあります。このような活動を通じ、顧客満足と経営効率を両立しようとしているのが特徴です。
リソース
- まず、様々な製菓材料や資材を取り扱う仕入れ先とのネットワークが大きな強みです。
- さらに、オンライン販売に適したシステム開発や在庫管理システムを構築し、スムーズな注文・発送フローを可能にしています。なぜそうしているかというと、ネット販売では、リアルタイムで在庫状況を更新し、複数のサプライヤーから効率的に仕入れる仕組みが欠かせません。そのため、高機能なECプラットフォームと倉庫管理システムが重要なリソースになっています。
- 加えて、利用者が増えれば増えるほどシステムの効率性が求められるため、IT分野のリソースをしっかり確保・投資する必要があるのです。こうしたリソースが整っていることで、短納期や多品目を扱える体制が維持できているといえます。
パートナー
- 製菓材料や包装資材を供給するサプライヤー企業との連携が欠かせません。小ロットでの仕入れにも協力してもらえるパートナーと長期的な関係を築くことで、品揃えや安定供給を確保しています。
【理由】 多様化する顧客ニーズに対応するためには、複数のメーカーや問屋など幅広い仕入れルートが必要です。特に、数量やタイミングを細かく調整しやすいパートナーと協力することで、在庫リスクを抑えながら豊富な商品ラインアップを維持することができます。 - また、仕入れ先と密に情報共有することで新商品の開発や独自のキャンペーンを企画しやすくなり、顧客に飽きさせないサービス提供につながっています。
チャンネル
- 主力となる自社オンラインストアを通じて、個人や事業者に直接販売しています。インターネット環境が整った今、PCやスマートフォンを使って気軽に必要なものを注文できる点が好評です。
【理由】 リアル店舗で展開すると広い地域に顧客を抱えにくい一方、オンラインなら全国規模で集客が可能になります。また、在庫を集中管理することで規模の経済を活かしやすく、チャンネルを絞ることでシステム開発やマーケティングに経営資源を集中させやすいという利点があります。こうしてオンライン販売に注力することで、実店舗の大きな固定費や地域的制限を回避しながら、幅広い市場をカバーできるようになっています。
顧客との関係
- 商品の使い方やレシピなどをウェブ上で紹介し、顧客が気軽にアクセスできる情報を提供しています。問い合わせに対してはオンラインでサポートを行い、丁寧な対応を心がけています。
【理由】 製菓材料の購入には「どんなレシピに使うか」「どの程度の分量が必要か」といった具体的なアドバイスが求められることが多いからです。そこで、オンラインコンテンツを拡充することで顧客満足度を高め、リピート購入に結びつけようとしているのです。購入者の声を集めることで商品ラインアップやサービス向上にも活かしており、ネットを介した口コミ効果も期待できる仕組みです。
顧客セグメント
- お菓子作りを楽しむ個人ユーザーや、小規模の製菓・飲食事業者がメインターゲットです。
【理由】 大量生産を行う大手企業は物流や調達の面で別の大規模サプライヤーを使う傾向があるため、そこを狙うのではなく、小口ニーズを抱える層を狙った方が自社の強みを活かしやすいからです。
- 個人ユーザーは趣味としての菓子作りを楽しむ人が増加傾向にあり、小規模事業者は高額な一括仕入れを行いにくいため、小ロットや低単価の需要が高まります。こうした顧客層に焦点を当てることで、競合他社との差別化がはかりやすくなっています。
収益の流れ
- 製品販売から得られる売上が主な収益源です。オンラインストアを経由しての取引が中心で、顧客が購入した分だけが直接的な売上となります。
【理由】 サブスクリプションモデルや広告収益などを取り入れるより、まずは小ロット・低単価・短納期を武器に、モノの販売でシェアを拡大しようという戦略に基づいているからです。手厚いサポートや豊富な品揃えによってリピート購入を増やすことが、収益を安定化させるうえで重要になっています。将来的には、追加サービスや関連コンテンツを有料化する可能性もありますが、現時点では製品販売が中心となっています。
コスト構造
- 仕入れ費用と物流コスト、そしてECサイトや在庫管理などのシステム運営費用が大きなウェイトを占めています。
【理由】 小ロット販売を重視するためには細かく在庫を揃えておく必要があり、物流費用や倉庫管理費用がどうしてもかさんでしまうからです。また、オンライン販売を円滑にするためにはシステム維持やセキュリティ面での投資も必要となります。ただし、リアル店舗に比べて固定費は抑えやすい側面があるため、コスト増をシステム面の効率化でどこまでカバーできるかが経営のポイントになっています。
自己強化ループについて
株式会社cottaでは、個人や小規模事業者が気軽にお菓子作りを楽しめるように小ロット・低単価・短納期という価値を提供しています。
これが「必要な材料を必要なだけ購入できる」という顧客満足につながり、リピート購入が増える構造を生み出しています。
リピートが増えると安定した売上が見込めるうえ、仕入れや物流をまとめて行いやすくなるため、コスト効率がさらに向上します。
コストが下がれば値段を据え置く、もしくはサービスを拡充できるため、ますます顧客に選ばれやすい存在となります。
この循環が自己強化ループとして働いており、オンラインでの口コミやSNS拡散も合わせると、より一層の集客効果が見込めるようになるのです。
採用情報
初任給や平均休日、採用倍率などの具体的な情報は現在のところ公開されていません。
近年は人材獲得競争が激しく、特にオンライン販売システムを支えるIT人材の需要が高いと考えられます。
今後の採用情報の更新に注目しておくと、企業としてどのような人材を求め、どんな待遇を用意しているかが明らかになる可能性があります。
株式情報
銘柄は3359で、2024年9月期の配当金は1株あたり8円となっています。
2025年2月14日時点での株価は1株あたり435円です。最近の業績では利益が減少しているものの、個人向けEC市場の拡大に伴い今後の業績回復や配当方針の変化も考えられます。
今後の未来展望と注目ポイント
製菓材料のEC市場はまだ発展途上であり、個人や小規模事業者がさらに増えていくと見込まれています。
株式会社cottaは小ロット販売という差別化要因を持つため、このままターゲットを拡張すれば大きくシェアを伸ばせる可能性があります。
また、季節限定商品や海外の珍しい製菓材料を積極的に扱うことで新規顧客を獲得でき、さらにリピーターを増やすためのサービスやレシピ提案などの付加価値コンテンツを充実させる余地も残されています。
利益面での課題は、仕入れコストや物流費の最適化がどれほど実現できるかにかかっていますが、販売チャネルをオンラインに特化する利点を活かし、高度な在庫管理や顧客データ分析を進めれば、コスト削減と顧客満足度の両立が期待できます。
今後のIR資料などでどのような成長戦略を打ち出すか注目が集まっており、EC市場の拡大とあわせて大きな飛躍を狙う企業として目が離せない存在です。
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