企業概要と最近の業績
株式会社unerry
当社は、スマートフォンアプリなどから得られる位置情報を活用した、人流データプラットフォーム「Beacon Bank」を運営するテクノロジー企業です。
「リアル行動データ」と呼ばれる、月間800億件以上の人の動きのデータをAI（人工知能）で解析しています。
このデータを活用し、消費者一人ひとりに合わせた最適な広告を配信したり、店舗への来店効果を可視化したりするマーケティングソリューションを提供しています。
また、街づくりや観光、防災などの分野でもデータ活用を推進し、スマートな社会の実現に貢献することを目指しています。
2025年5月15日に発表された2025年6月期第3四半期の決算短信によりますと、売上高は16億3,300万円となり、前の期の同じ期間に比べて36.5%の大幅な増加となりました。
営業利益は2億2,800万円で、前の期の同じ期間から39.4%の大幅な増加となりました。
この好調な業績は、主力であるリテール（小売）企業向けの販促支援や、食品・消費財メーカー向けの広告サービスの需要が力強く伸びたことが主な要因です。
新規顧客の獲得も順調に進み、大幅な増収増益を達成しました。
価値提案
株式会社unerryの価値提案は、リアルな人々の行動データをもとに企業や自治体が必要とする意思決定をサポートするところにあります。
自社開発のBeacon Bankを使えば、いつどこに人が集まり、どのように移動するのかを細かく把握できるため、店頭施策の最適化や施設の安全対策、街づくりの計画など幅広く活用できます。
これにより、企業は無駄の少ないマーケティングを実行し、自治体は住民にとって便利で安心な都市環境を整えやすくなります。
【理由】
スマートフォンの普及や位置情報技術の進歩により、人の流れを把握することが以前よりも簡単になった背景が大きいです。さらに、企業や自治体がデータドリブンな手法を求めるようになり、リアルタイム分析を提供できるプラットフォームが強く必要とされるようになったため、unerryの価値提案は注目を集めています。
主要活動
unerryの主要活動は、人流データを大量に収集し、それを解析して顧客企業や自治体へ提供することです。
Beacon Bankでは、各地に設置されたビーコンや連携サービスなどから膨大なデータを集め、それをAIや機械学習の技術を用いて分析しています。
こうしたデータの分析結果を顧客が使いやすい形にまとめ、コンサルティングや技術サポートも含めてトータルに提供するのがunerryの活動の中心です。
【理由】
データそのものを持っているだけでは価値が生まれず、使いこなすための解析とサポートが不可欠だからです。現場が求めるのは単なる数字の羅列ではなく、具体的な施策や効果測定に使えるレポートや提案です。
そのため、データの収集から活用に至るまでワンストップで支援するというスタイルが採用されています。
リソース
unerryのリソースは、月間840億件を超える人流データを安定して取得できる技術基盤と、AI解析を担う優れたエンジニアやデータサイエンティストの存在です。
これらの人材とインフラがあることで、大量のデータをリアルタイムに処理し、顧客がすぐ活用できるような洞察を生み出すことが可能になります。
【理由】
もともとスマホアプリやIoT機器などからデータを集める仕組みを整えるには相当な投資と専門知識が必要です。また、分析に用いるAIの開発には高度なノウハウが欠かせません。
unerryは早い段階からこれらのリソース整備に力を入れた結果、データ収集と解析の両面で高いレベルを実現しています。
パートナー
小売業者や自治体、さらに技術系企業などとの連携がunerryの主要なパートナー関係を形成しています。
小売店や商業施設と協力することで、実際の店舗にビーコンを設置し、人の動きを詳細に把握できるようになります。
また、自治体と連携すればスマートシティ構想の具体化に貢献でき、さらに多様なパートナーとの協業で集められるデータの質や量が増すメリットもあります。
【理由】
人流データの収集には実際の生活空間でどれだけ多くのポイントを押さえられるかが重要ですし、こうした取り組みを単独で行うのは難しく、多数の小売業者や自治体、IT企業などとの協力関係がなければ、これほど大規模な人流データの収集と運用は実現しないためです。チャンネル
unerryは自社のウェブサイトや営業スタッフによる直接の提案を通じて顧客とつながっています。
また、業務提携を結んだパートナー企業からの紹介や共同プロジェクトも重要なチャンネルとして機能しています。
こうした複数のチャンネルを活用することで、顧客企業や自治体が抱える多様な課題に対応できる体制を整えています。
【理由】
人流データの活用はマーケティング分野だけでなく、都市開発や観光振興、防災などにも応用可能なため、さまざまな業種やセクターへの提案が必要になるからです。ウェブサイトや説明会だけではなく、パートナーからのつながりなど幅広いチャンネルでアプローチすることが、事業拡大につながっています。
顧客との関係
unerryは、データ分析をベースとしたコンサルティングや技術支援を行うことで、顧客と長期的な関係を築いています。
ただデータを提供するだけでなく、データから見える改善策を提案したり、具体的なキャンペーン設計をサポートしたりすることで、顧客が成果を出せるよう伴走する姿勢を取っています。
【理由】
リアル行動データを扱う領域はまだ新しく、顧客側が自力で扱いきれないケースも多いからです。信頼できる専門家がそばにいることで、データ活用へのハードルを下げられ、顧客が継続的に契約しやすくなるメリットがあります。
結果的に顧客満足度が上がり、長期的な関係が築かれるのです。
顧客セグメント
顧客セグメントとしては、小売業や商業施設の運営企業、自治体、都市開発事業者などが挙げられます。
店舗の売上向上や街づくりの効率化など、人の行動を知ることで成果を出しやすい分野が中心となっています。
ショッピングモールの動線管理から大規模イベントの人流コントロールまで、多彩なニーズに応えられる点が特徴です。
【理由】
人がどのように移動し、行動するかを把握することは商業活動や街づくりに直結する大きなテーマだからです。特に小売業者は売り場設計や販促の最適化に、自治体は防災計画や観光施策に、都市開発事業者は施設の配置計画に活用するなど、幅広い応用範囲があります。
収益の流れ
unerryの収益は、主にデータ提供や分析サービスの販売、コンサルティング料金によって支えられています。
自社開発のプラットフォームを利用する利用料や、特定のキャンペーン用のデータ分析の依頼など、顧客の目的に合わせた形で料金形態を設定しているのが特徴です。
サブスクリプション型の契約を導入している場合もあり、安定した収益基盤を確保しやすくなっています。
【理由】
ビジネス的に見てもデータそのものの価値と、それを分析する専門技術の両方に対して対価を得るのが最も合理的だからです。マーケティング施策の提案やスマートシティの企画など、コンサルティング要素が大きい分野なので、継続的に支払いを受ける方式と相性が良いと判断されています。
コスト構造
コスト構造としては、データを収集するために必要なビーコンなどの機器やネットワークインフラの維持費、そしてAI開発や解析を行う高度な人材の人件費が大きな割合を占めています。
さらに大規模なデータ処理のために必要なクラウドサーバーの利用料、顧客への提案やサポートを行う体制の運営費も無視できません。
【理由】
リアルタイムで動く大量データを扱うには安定したインフラと専門的な知識が欠かせず、どちらも継続的に資金を投じる必要があるからです。また、セキュリティやプライバシー保護の仕組みを強化するために専門スタッフを確保する必要もあり、そうした背景がコスト全体を押し上げています。
自己強化ループのポイント
unerryの最大の強みの一つは、人流データを収集すればするほどサービスの精度が高まり、その高精度な分析が新たな顧客を呼び込み、さらにデータが増えることで精度が増していくという好循環が生まれることです。
たとえば、新しく導入した小売店舗から取得できたデータは、他の顧客の施策立案にも役立つ可能性があり、結果的に分析ノウハウとデータ精度の両面が強化されていきます。
一度このループに入ると、データを活用した成功事例が増えるので、さらに多くの顧客が興味を持ち、新たな契約が増える流れになります。
これはネットワーク効果にも似た構造で、データプラットフォーム事業の成長に欠かせない特長といえます。
こうした自己強化ループがあるおかげで、unerryは持続的な成長エンジンを内在化しているのです。
採用情報と株式情報
採用情報では、初任給として月給333,334円から500,000円が提示されており、固定残業手当を含むかたちです。
年間120日以上の休日が確保されているなど、ワークライフバランスにも配慮しているようです。
採用倍率に関しては公開情報がないため不明ですが、高度なデータ解析やAI技術を扱うポジションが多いと考えられます。
株式情報としては、証券コード5034で上場しており、配当金については今のところ公開されていません。
2025年2月7日時点の株価は1株あたり2,024円となっており、成長企業として投資家からの注目度も高いといえます。
現在は成長投資を優先しているため、配当が出るタイミングや金額には今後の事業展開や業績推移が影響を与えると考えられます。
未来展望と注目ポイント
今後、unerryはリテールDXやスマートシティの分野をさらに拡大させていくと予想されます。
特にスマートシティ関連では、防災や交通管理などの観点で人流データの活用が注目されており、自治体との連携が増えることで大きな社会的インパクトが期待できるでしょう。
また、分析に用いるAI技術も進化を続けており、人流の動きを予測して最適な施策を提案できるレベルに達すれば、企業や自治体からのニーズはさらに高まります。
さらに、海外展開の可能性も視野に入れることで、新興国の都市開発や大規模国際イベントなどへの貢献チャンスが広がります。
膨大なデータを扱う企業として、プライバシー保護やセキュリティ対策もますます重要となってくるため、この点をしっかり確立することで信頼性と差別化を高めることができそうです。
今後のIR資料などで示される戦略や取り組みにも注目が集まり、ビジネスモデルの強化と新規領域への進出がどのように展開されるかが楽しみなところです。
中学生でも分かるくらいシンプルなデータ活用モデルでありながら、社会や産業界に与える影響は大きく、成長企業として見逃せない存在になりつつあります。
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