独立系ビルメンテナンス企業ハリマビステムの成長戦略を徹底解説

サービス業

企業概要と最近の業績

ハリマビステム株式会社

建物の清掃、警備、設備管理などを請け負う総合ビルメンテナンス事業を主力としています。

また、PFI事業(民間資金を活用した公共施設整備)や指定管理者制度に基づき、公共施設の維持管理・運営も行っています。

「人と社会の快適環境を創造する」を経営理念に掲げ、オフィスビルや商業施設、病院、学校など幅広い建物の管理を手掛けています。

2026年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が85億4,300万円(前年同期比3.2%増)、営業利益は5億1,200万円(同5.8%増)と増収増益でした。

経常利益は5億3,500万円(同6.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は3億5,800万円(同5.9%増)といずれも好調です。

主力の総合ビルメンテナンス事業において、既存顧客との契約を継続したことに加え、官公庁や民間企業からの新規案件の受注が順調に推移しました。

また、PFI事業や指定管理者となっている公共施設においても、安定的に収益を確保し、全体の業績向上に貢献しました。

【参考文献】https://www.harima-bstem.co.jp/

価値提案

ハリマビステムの価値提案は、「高品質な建物維持管理サービスを提供し、顧客が所有する建物の資産価値を高めること」です。

具体的には、独立系として系列の制約を受けず、多種多様な建物に合わせた最適な管理プランを提案できます。

ビルやマンションだけでなく、公共施設や学校などの公共性の高い物件にも対応することで培われたノウハウが、きめ細やかなサービスを可能にしています。

また60年以上にわたり多種多様な物件を扱ってきた実績は、清掃や設備点検などの基本サービスだけでなく、省エネや安全対策といった付加価値の高い提案につながります。

さらに顧客企業やマンション管理組合に対して専門知識をわかりやすく説明する姿勢も重要視されており、建物の価値がしっかりと守られ、さらに向上していくことが期待されます。

【理由】
なぜそうなったのかというと、独立系であることにより、特定の企業系列に依存せず最適なサービスを選択できるからです。

長い歴史と幅広い物件の管理経験によって、質の高いサービスを提案する基盤があるからです。

建物の資産価値を意識し、顧客ニーズと専門性を融合させたサービスを提供する姿勢を貫いてきたからです。

主要活動

ハリマビステムが行う主要活動は、ビルやマンションの清掃、設備管理、マンション管理人業務、施設管理などです。

清掃業務では日常的な美観維持に加えて定期清掃や特別清掃を実施し、衛生的で快適な環境を保つことを重視しています。

設備管理では空調や電気、水道といった建物に欠かせないインフラを点検・維持し、安全性と快適性を維持しています。

マンション管理人業務では、入居者や管理組合とのコミュニケーションを円滑にしながら、建物の安全や修繕における日常管理を担っています。

さらに多彩な施設の管理にも取り組み、公共施設や学校などでも培われた専門知識を生かし、利用者が安心して過ごせる環境づくりに力を注いでいます。

【理由】
なぜそうなったのかというと、60年以上にわたる経験から、清掃や設備管理などの基本業務を中心に幅広く対応するノウハウが蓄積されてきたからです。

顧客からの信頼を得るために、マンション管理人業務など顧客密着型のサービスを重視したからです。

公共施設や学校にも取り組むことで、安定した収益源と多様な管理実績を確保し、経営の安定化を図ってきたからです。

リソース

ハリマビステムのリソースとして最も重要なのは、人材と長年の業界経験です。

4,366名の社員を抱え、そのうち多くのパート社員が実際の清掃や設備管理を支えています。

社員一人ひとりの技能向上を図るため、資格取得支援制度や研修制度を設けているのが特徴です。

また、60年以上の歴史が育んだノウハウは、清掃の効率化やトラブル時の迅速な対応法など、業務に密着した知識として受け継がれています。

加えて、顧客のニーズや物件の特性を把握するための情報管理体制もリソースの一部として挙げられ、効率的なスケジュール管理やコスト管理に貢献しています。

【理由】
なぜそうなったのかというと、ビルメンテナンスの品質は現場スタッフの技術力に依存する部分が大きいため、人材育成に力を入れているからです。

長い運営歴史のなかで蓄積されたノウハウは、競合他社との大きな差別化要因になり得るからです。

顧客ごとに異なる管理ニーズに的確に対応するには、人材・知識・情報管理のすべてが必要となるからです。

パートナー

ハリマビステムは独立系企業であるため、特定のグループや系列企業に属していない点が特徴です。

一方で、ビルメンテナンスを円滑に行うには、さまざまなメーカーや専門業者との連携が欠かせません。

空調や電気設備の部品交換を必要とする場合には設備メーカーとの協力が重要になりますし、専門的な清掃が求められる場合には高度な技術を持つ企業とパートナーシップを組むことがあります。

こうしたパートナーとの信頼関係を築くことで、ハリマビステムは顧客に対し最適な提案と迅速な施工を実現できる体制を維持しています。

【理由】
なぜそうなったのかというと、独立系として系列のしがらみにとらわれず、必要に応じて最適なパートナーを選べるからです。

ビルメンテナンスには多岐にわたる専門的な技術が求められ、総合力を高めるために各分野の専門企業との連携が必要だからです。

顧客満足度を高めるため、スピード感のある対応を可能にする外部リソースの確保が求められるからです。

チャンネル

ハリマビステムは、営業活動やウェブサイトを中心とした情報発信によって顧客獲得やサービス周知を行っています。

営業担当が直接顧客を訪問し、建物の現状をヒアリングしたうえで、必要なサービスや改善提案を行うケースが多いです。

ウェブサイトでは、会社概要やサービス内容を掲載し、問い合わせ窓口を設けることで、新規顧客が気軽に相談できる体制を整えています。

また、既存顧客へのフォローアップや追加提案なども大事なチャンネルとなっており、長期的な信頼関係を築くためにコミュニケーションの継続を欠かさない仕組みがあることもポイントです。

【理由】
なぜそうなったのかというと、建物の管理内容は顧客ごとに異なるため、直接対話でニーズを把握する営業手法が効果的だからです。

インターネット検索が一般的になり、企業のウェブサイトが新規顧客獲得の入り口として重要になったからです。

既存顧客に対する追加提案や継続的なサポートは、長期的な安定収益につながるため、定期的なコミュニケーションが不可欠だからです。

顧客との関係

ハリマビステムは、長期的な契約と信頼関係の構築を重視しています。

ビルメンテナンスは一度契約すれば毎日の清掃や定期的な点検など継続的な関わりが必要になる業務です。

そのため、定期的な打ち合わせや報告を通じて顧客が安心できる情報提供を行い、建物の状況を細かく把握することが大切とされています。

さらに、管理業務においては緊急対応が発生することもあるため、迅速かつ柔軟なサポートができるよう、24時間体制で連絡を受け付ける仕組みを整えるなど、顧客が「困ったときに頼りになる」存在として信頼を得ることを目指しています。

【理由】
なぜそうなったのかというと、ビルメンテナンスは長期的な管理を前提とするビジネスであり、リピート契約が収益を安定化させる鍵だからです。

顧客の建物に異常があった際に迅速に対応することで、信頼感が高まり、評判や口コミを通じた新規顧客獲得にもつながるからです。

顧客満足度を維持し続けることは、ビルメンテナンス会社としての評価やブランド力を高めるうえで不可欠だからです。

顧客セグメント

顧客セグメントは、オフィスビルやマンションのオーナーだけでなく、公共施設や学校など多岐にわたっています。

これはハリマビステムが独立系として幅広い建物を受託できる強みを持っているためです。

オフィスビルオーナーの場合は、清潔感や空調の安定性などが重視され、マンションオーナーの場合は、入居者対応や共用部の清掃など、住民の快適な暮らしを支援するサービスが求められます。

学校や公共施設では安全性や衛生管理が特に重要視されるため、過去の経験や専門知識が大きな役割を果たします。

こうした多様なセグメントに対応できる柔軟性とノウハウこそが、同社の強みです。

【理由】
なぜそうなったのかというと、独立系でありながら多様な物件管理を通じて実績を積み重ねてきたからです。

マンション、オフィスビル、公共施設それぞれで求められる管理内容は異なり、その幅広いニーズに対応することで事業を拡大してきたからです。

公共施設や学校を含むことで、景気変動に左右されにくい安定的な収益を確保しやすくなるからです。

収益の流れ

ハリマビステムの収益は、各種ビルメンテナンスサービスの提供に基づく契約料金から得られています。

具体的には、清掃・設備管理・マンション管理人派遣などの月次契約費用が主な収益源となり、定期清掃や特別清掃、修繕工事などの追加業務も収益に加算されます。

継続的な管理契約を結ぶことで、毎月一定の売上が見込まれる仕組みを確立しています。

また、長期的に安定した収益を得られるビジネスモデルであるため、新規契約の獲得だけでなく、既存顧客との契約をいかに継続するかが収益最大化のポイントになっています。

【理由】
なぜそうなったのかというと、建物の管理業務には日常的・定期的に発生する作業が多く、継続型のビジネスモデルとして成り立つからです。

特別清掃や設備更新など追加工事の需要も定期的に発生し、メイン契約に上乗せする形で収益を拡大できるからです。

長期的な関係構築を目指すことで、経営の安定にも直結し、投資へのリターンが予測しやすいからです。

コスト構造

ハリマビステムのコスト構造で大きな割合を占めるのは、人件費です。

清掃や設備管理を担当するスタッフを多数雇用していることから、社員やパートスタッフの給与、研修費用が主要なコストとなります。

また、管理する物件が多岐にわたるため、清掃器具や資材、点検機器などの維持コストも発生します。

さらに、オフィス運営や営業に必要な広告費用や交通費などもあり、これらを最適にコントロールしながらサービスの質を落とさずに効率よく運営することが求められます。

【理由】
なぜそうなったのかというと、ビルメンテナンスは労働集約型のビジネスであるため、人件費が最も大きなコストになるからです。

専門的な機器や資材を必要とする業務が多く、それらの費用が一定規模で発生するからです。

物件数が多いほど設備維持費や交通費なども増えるため、効率的なスケジュール管理や配置が重要になるからです。

自己強化ループ

ハリマビステムには、「社員のスキル向上がサービス品質の向上につながり、その結果として顧客満足度が高まり、さらに社員のモチベーションアップや新規契約の獲得につながる」という自己強化ループがあります。

具体的には、資格取得支援制度によって社員は常に新たな知識や技術を身につける機会を得られ、向上心を持って業務に取り組むことができます。

高い技術力は清掃や設備管理の質を向上させ、顧客からの評価や信頼を高めます。

その信頼の積み重ねが新規顧客の獲得や既存顧客との長期契約に結びつき、企業としての安定的な経営基盤を築く原動力となります。

さらに、充実した福利厚生や人材育成が社員の定着率を高めることで、長年培ってきたノウハウを継続的に社内に蓄積できる好循環も生み出されています。

社員が安心してスキルアップを図れる環境が整っている点が、同社のサービス品質と企業成長の土台になっているといえるでしょう。

採用情報

ハリマビステムでは、2024年4月から初任給の引き上げを予定しており、若手や新卒社員への待遇改善を積極的に行っています。

休日は年間120日以上を確保し、プライベートとのバランスを取りやすい環境を整えています。

残業時間も月平均13時間程度に抑えられており、社員が無理なく働ける体制を目指しているのが特徴です。

採用倍率については詳細は公表されていませんが、ビルメンテナンス業界全体の人手不足が進むなかで、ハリマビステムは働きやすい職場づくりに力を入れています。

資格取得手当や財形貯蓄制度、各種慶弔金など福利厚生面も充実しているので、安定した環境のもとでキャリアを築きたい方に向いているといえます。

株式情報

ハリマビステムは東証スタンダード上場の銘柄です。

証券コードは9780となっており、総合ビルメンテナンス企業として注目を集めています。

配当金や1株当たりの株価については最新の公表情報が確認できませんが、安定したビジネスモデルを持つ企業として、中長期的に安定収益を期待する投資家に向いている可能性があります。

企業の成長余地や投資リスクについては、ビルメンテナンス業界全体の労働力不足や経済状況の影響なども考慮しつつ、IR資料などをチェックして判断するのがよいでしょう。

未来展望と注目ポイント

ハリマビステムは、労働力不足が課題とされるビルメンテナンス業界にあって、充実した福利厚生や資格取得支援を通じて人材育成に注力しています。

これによりサービス品質を維持・向上させ、既存顧客の満足度を高めながら、新規契約の拡大を目指している点が大きな強みです。

さらに、独立系企業であることを活かして公共施設や学校などの多様な物件を受注し、景気変動に左右されにくい安定収益を確保できる仕組みを維持しています。

省エネ化やセキュリティ強化など、建物管理に求められる新たなニーズが拡大する中で、これまで築き上げてきたノウハウを活かし、顧客への付加価値提案を積極化することで成長が見込まれます。

ビルメンテナンスは景気に大きく左右されにくい一方、IT化や人材不足への対応が求められる業界でもあるため、ハリマビステムがどのように技術革新や働き手の確保に取り組むかが今後の成長を左右すると考えられます。

今後も安定と革新のバランスを保ちながら新たな領域を切り開く姿勢が、投資家や就職希望者にとっても大いに注目されるポイントといえるでしょう。

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