企業概要と最近の業績
築地魚市場株式会社
築地魚市場は、豊洲市場を拠点とする水産物の卸売会社です。
国内外から集荷した生鮮・冷凍の水産物を、仲卸業者や大規模な需要者へ販売する水産事業を中核としています。
また、水産加工品の製造・販売を行う食品事業や、旧築地市場の跡地などを活用した不動産賃貸事業も展開しています。
首都圏の食生活を支える水産物の安定供給を使命としています。
2026年3月期第1四半期の決算短信によりますと、売上高は92億79百万円となり、前年の同じ時期と比較して3.9%の減少となりました。
一方、営業利益は1億65百万円で、前年同期の89百万円の損失から黒字に転換しました。
経常利益は2億2百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は1億38百万円となり、それぞれ前年同期の損失から大幅な黒字化を達成しました。
水産事業において取扱高が伸び悩み減収となったものの、収益性の高い不動産賃貸事業が安定的に推移したことなどが、利益を押し上げたと報告されています。
価値提案
新鮮で高品質な水産物を安定的に提供することを大切にしています。
魚は鮮度が命といわれるため、最短時間で届く流通ルートの整備や温度管理システムの導入を積極的に実施しています。
これにより飲食店や小売店はいつでも安心して仕入れができ、消費者へ安全なお刺身や寿司を提供しやすくなっています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、市場競争が激化し価格だけで勝負するのが難しくなった中、品質と安定供給こそが最大のアピールポイントになると判断したからです。
実際に、いくら安くても品質が落ちていれば評価が下がってしまいます。
そこで時間と温度の管理に力を入れ、漁獲地から市場まで、そして市場から店先まで徹底した品質管理を行うようになりました。
この工夫が実績と信頼を積み上げ、さらに顧客が増える要因になっています。
主要活動
この企業の主要活動は、水産物の仕入れと卸売、そして冷蔵・冷凍設備を活かした保管サービスです。
豊洲市場などで魚介類を仕入れ、仲卸や小売店、飲食店などに販売しています。
さらに自社の冷蔵庫を利用して温度管理を行い、忙しい時期や大量需要にも対応できる体制を整えています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、業務範囲を広げることで季節や漁獲量の変動に強いビジネスを作りたいと考えたからです。
漁獲量が多い時期にきちんと在庫を保管し、需要が増える時期に合わせて供給することで、価格や品質を安定させやすくなります。
その結果、取引先からの信頼が深まり、追加注文や長期契約などにつながっています。
リソース
リソースとしては、市場での販売スペース、大規模な冷凍・冷蔵施設、そして魚の鮮度を見極める熟練の目利き技術を持ったスタッフが挙げられます。
特に冷凍・冷蔵設備は高性能なものを備え、厳格な温度管理を実現しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、新鮮なまま魚を届けるには即日流通が理想ですが、需要と供給のタイミングを完全に合わせるのは難しいからです。
そのギャップを埋めるために、しっかりとした冷蔵庫や冷凍庫で品質を維持することが不可欠になりました。
また、市場のスペースを確保していることで対面取引が可能になり、漁業者や仲卸とのやり取りもスムーズに進みます。
このようなリソースによって、企業は高品質とスピード配送という両方を実現しています。
パートナー
築地魚市場株式会社のパートナーには、漁業者や漁協、物流会社、そして外食チェーンや小売チェーンがあります。
漁業者や漁協とは直接仕入れをすることで、安定的かつ鮮度の高い魚の確保が可能です。
物流会社と連携することで、全国の顧客へ効率よく商品を届けることができます。
【理由】
なぜそうなったのかというと、水産物は産地が全国に散らばっており、会社単独で全ての流通をカバーするのは難しいからです。
また、外食チェーンや小売チェーンと協力することで、需要の規模が見込みやすくなり、安定した仕入れ計画を立てることができます。
これにより仕入れコストや廃棄リスクを抑えられ、双方にメリットがある関係が築かれています。
チャンネル
この企業の主なチャンネルは、市場での直接販売とオンラインでの受発注、それに電話やFAXの従来型注文があります。
市場での直接取引では顔を合わせて商談ができるため、信頼関係が深まります。
オンライン取引では遠方の取引先や忙しい顧客の注文がスムーズに処理されます。
【理由】
なぜそうなったのかというと、昔ながらの対面取引に加えて、デジタル技術の普及で新しい顧客接点が増えたからです。
電話やFAXだけでは追いつかなくなった現代でも、なお対面取引を求める顧客は多いので、それぞれに合った方法を提供しています。
結果として、幅広いニーズに対応でき、取引件数の拡大につながっています。
顧客との関係
顧客との関係は信頼を重視した長期的な取引が基本です。
特に飲食店や小売店にとって、魚の品質はお店の評判に直結するため、相手が安心して仕入れできるように頻繁に情報を共有しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、水産物は日々の相場変動や鮮度変化があるため、密なコミュニケーションが求められるからです。
価格だけでなく、水揚げ量や入荷のタイミングについても素早く連絡することで、顧客は在庫切れやロスを避けやすくなります。
こうしたきめ細やかな対応によって、リピーターが増え、口コミで新規取引先を獲得する好循環を生んでいます。
顧客セグメント
主な顧客は小売業者や飲食店、加工業者です。
小売店はスーパーや専門店が中心で、家庭向けに鮮魚を販売しています。
飲食店は寿司屋や居酒屋など幅広く、鮮度が勝負となるメニューを提供するところが多いです。
加工業者は惣菜や冷凍食品を製造し、スーパーやコンビニへ出荷します。
【理由】
なぜそうなったのかというと、魚の用途はさまざまであり、最終消費者がどのように食べるかによって必要な加工度合いが異なるからです。
生のまま販売する小売店、刺身や寿司で提供する飲食店、加熱加工して販売する加工業者に応じて、対応を変えていく必要があります。
その結果、複数の顧客セグメントを取り込むことで売上の安定につながり、多少の景気変動でも柔軟に対応できる仕組みを作り上げています。
収益の流れ
収益の柱は水産物の販売によるマージンと、冷蔵・冷凍倉庫の利用料です。
卸売販売では、仕入れた魚を一定の価格差をつけて仲卸や小売店に提供し、そこから売上を得ています。
また、冷蔵・冷凍倉庫を使用する顧客からは、保管料や管理料を受け取ることで安定収益を確保しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、魚の販売は相場に左右されやすい面があり、在庫を効率的に活用できる仕組みが欠かせないからです。
冷蔵庫の利用料は比較的安定しており、卸売の利益が落ち込む時期でも収益の底上げに寄与します。
こうした複数の収益源を持つことで、景気や漁獲量の変動に強いビジネスモデルを構築しているのです。
コスト構造
大きなコストは仕入れコスト、物流費、人件費、そして市場や冷凍倉庫の維持管理費です。
魚の仕入れコストは相場によって変動があり、時期によっては高騰することもあります。
物流費は全国へ配送するためのトラック代や燃料費などが中心です。
【理由】
なぜそうなったのかというと、水産物は鮮度管理が命なので、迅速かつ温度管理の行き届いた輸送手段を確保する必要があるからです。
さらに、目利き技術や品質管理を行うスタッフの人件費もかかります。
こうしたコストを適切にコントロールしつつ、高品質な水産物を安定的に供給することで、顧客満足を維持しながら利益を確保しています。
自己強化ループについて
築地魚市場株式会社の自己強化ループは、高品質な水産物と信頼関係の循環によって形成されています。
鮮度を守るための物流や保管を強化すると、飲食店や小売店からの評価が高まり、その情報が口コミや評判として広がって新たな取引先の獲得につながります。
そして取引先が増えればさらに物流ネットワークや冷蔵設備への投資が可能になり、より高品質なサービスを提供しやすくなるという好循環が生まれます。
また、豊洲市場で築いた実績が企業のブランド力を高め、優秀な人材の採用や漁業者との直接契約もスムーズに進むようになります。
こうした一連の流れは長期的な安定経営に寄与し、会社全体の成長エンジンとなっています。
採用情報
初任給は公表されていませんが、水産物の取り扱いに興味を持つ人や流通・品質管理に関わりたい人に向けた採用を行っています。
平均休日も正式な数値はありませんが、市場の稼働スケジュールに応じて休みが決まることが多いようです。
採用倍率は非公開ですが、食品業界の中では独自の専門性を求められることもあり、志望者は多いといわれています。
入社を検討する場合は会社の最新の募集要項や説明会情報を確認してみるとよいでしょう。
株式情報
銘柄は築地魚市場株式会社で、証券コードは8039です。
配当金に関する情報は公式発表を随時チェックする必要があります。
株価は取引所や金融情報サイトでリアルタイムに確認できます。
業績やIR資料などを参考にすると、会社の戦略や方針がつかめるため、投資を検討する際にはそれらをしっかりと読み込むことをおすすめします。
未来展望と注目ポイント
築地魚市場株式会社は、今後も成長戦略を進めていく上でオンライン取引の強化や新たな物流拠点の拡充を検討しています。
魚介類は生鮮食品の中でも特に鮮度維持が難しい分野ですが、同社は冷凍・冷蔵設備と市場で培った人的ネットワークを活用し、安定供給を目指しています。
また、海外からの観光需要が回復するにつれて、高級魚や旬の魚に対する注目が高まることが予想されます。
こうしたトレンドに合わせた商品提案や、新たなサービスを開発することで、さらなるシェア拡大が期待できるでしょう。
さらに、食の多様化に応じて水産物の加工食品やレトルト製品などの市場も拡大傾向にあります。
同社が持つ冷蔵・冷凍技術や取引先とのパイプを活かすことで、これまでになかった新しい事業領域へ参入する可能性もあります。
こうした動きが順調に進めば、築地魚市場株式会社は日本の水産流通をリードする存在として、今後ますます注目を集めると考えられます。
コメント