企業概要と最近の業績
中越パルプ工業株式会社
新聞用紙や印刷用紙、包装用紙などの製造・販売を手掛ける大手製紙会社です。
「『紙』の可能性を追求し、未来を拓く」をスローガンに掲げています。
国産の竹を原料とした「竹紙」や、次世代の新素材として期待されるセルロースナノファイバーの研究開発にも力を入れています。
また、木質バイオマス発電などのエネルギー事業も展開しています。
2025年8月8日に発表された2026年3月期第1四半期の連結決算によりますと、売上高は252億3,000万円で、前年の同じ時期に比べて2.8%増加しました。
しかし、営業利益は10億500万円で、前年の同じ時期から11.2%の減少となりました。
経常利益は11億2,000万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は7億800万円となり、増収減益という結果でした。
包装用紙の需要は堅調に推移したものの、ペーパーレス化の進行により新聞・印刷用紙の販売が減少しました。
また、原材料や燃料価格の高止まりが利益を圧迫しました。
価値提案
中越パルプ工業の価値提案は、高品質な紙製品とパルプを安定的に提供し、顧客の多様なニーズに応える点にあります。
新聞用紙から包装紙、さらに特殊加工紙まで幅広い用途を網羅していることで、顧客企業は一社でさまざまな紙製品を調達できるメリットを享受できます。
これは自社でパルプ生産から紙加工までの一貫体制を構築していることが大きく貢献しており、高品質を保ちながらスピーディーに対応できる点が強みです。
【理由】
なぜそうなったのかといえば、紙パルプ産業は需要の変動や品質要求が厳しく、外部依存が多いと安定供給が難しいケースがあるためです。
独自のパルプから最終製品までをワンストップで仕上げる体制が、安定した品質と供給を両立し、顧客にとっての付加価値を高める仕組みにつながっています。
主要活動
同社の主要活動は、紙とパルプの製造および販売に加え、自家発電を含む発電事業にも取り組んでいる点が特徴です。
紙製造プロセスでは原料の処理から抄紙、加工、出荷までを社内で一貫して行い、きめ細かい品質管理とコスト最適化を図っています。
また、製紙工程で生じる副産物やバイオマス資源を活用することにより、発電にも注力しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、紙製造に大量のエネルギーが必要なため、エネルギーコストの削減や廃棄物の有効活用を同時に進めることで、競争力と環境負荷低減を両立する狙いがあるからです。
さらに、自社発電を行うことで、外部電力への依存を減らし、需要の変動やエネルギー価格の高騰にも柔軟に対処しやすい仕組みが整っています。
リソース
同社が有するリソースには、長年のノウハウが詰まった製造設備と熟練した技術者、そして安定的に原材料を調達するためのサプライチェーンが挙げられます。
自社工場には最新鋭の抄紙機やパルプ生産ラインが導入されており、多様な紙種に対応可能な生産体制を整えています。
また、製紙工程を熟知した技術者・研究開発陣が、独自の品質管理手法や商品開発をリードしています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、紙パルプ産業では加工技術や配合レシピなどが長年の経験と蓄積により研ぎ澄まされており、それを維持・発展させるためには自社内での技術開発が欠かせないからです。
さらに、国内外の原材料供給業者とのネットワークを持ち、原材料の安定確保に取り組むことで、品質面でもコスト面でも優位性を保つ体制を構築してきました。
パートナー
中越パルプ工業は、原材料供給業者や物流業者、販売代理店など、多岐にわたるパートナーを持っています。
原材料となるパルプ材や古紙を安定的に入手するには、国内外で信頼できるサプライヤーとの長期的な契約が不可欠です。
また、製品の輸送には大量かつ迅速な出荷が求められるため、物流面でも専門業者との連携が欠かせません。
【理由】
なぜそうなったのかを考えると、紙パルプ産業においてはサプライチェーン全体が一体となって効率化を図る必要があるためです。
特にコストや納期が利益率に直結しやすい業態のため、パートナーとの関係強化は企業競争力を支える重要な要素になっています。
チャンネル
同社のチャンネルは、直販ルートと販売代理店、そして一部オンラインでの受注窓口です。
大口需要を抱える印刷会社や新聞社などには、直販による柔軟な納期調整や技術サポートを提供しています。
一方で、地域や業種を問わず幅広い顧客にリーチするために、各種代理店や商社とも提携しています。
【理由】
なぜこのようなチャンネル構造になっているかというと、紙パルプ製品は用途や求められる品質が多岐にわたり、ニッチな需要にも対応する必要があるからです。
代理店を活用することで、地域的な小口需要から専門分野での特殊紙需要まできめ細かく対応でき、同社の製品ラインナップを最大限に活かすことができます。
顧客との関係
中越パルプ工業はBtoB取引が中心となるため、継続的な品質保証とアフターサポートが重視されています。
顧客企業の製造ラインや印刷機に合わせた特注品の製造や、納期調整、在庫管理など、密接なコミュニケーションを伴う関係構築が求められます。
【理由】
なぜそのような関係性を築いてきたのかといえば、紙製品は印刷適性や加工適性に細やかな違いがあるため、顧客ごとにきめ細かな調整を行わないと品質トラブルが生じやすいからです。
そのため同社は、営業や技術部門が一体となって顧客サポートにあたり、長期的な信頼関係を醸成するビジネスモデルを確立しています。
顧客セグメント
同社の顧客セグメントは、印刷業者、包装関連企業、新聞社などが中心です。
印刷・情報用紙は、カタログや商業印刷物を手掛ける会社に広く使われ、新聞用紙は大手新聞社をはじめ地方紙にも供給されています。
さらに、EC市場の拡大に伴い、梱包や物流で用いられる包装紙の需要も高まっています。
【理由】
なぜこれらの顧客セグメントに注力するかといえば、印刷・包装・新聞といった分野は紙の需要が一定以上見込まれ、長期的な取引が構築しやすいからです。
特殊加工紙の領域では多種多様な業種に対応しており、ニッチ需要を取り込むことで収益の安定化を図っています。
収益の流れ
中越パルプ工業の主な収益源は、紙とパルプの製品販売による売上です。
各種紙製品は注文ごとの生産が中心ですが、中には定期的な発注契約を結ぶ長期顧客も多く、安定的な受注構造が形成されています。
加えて、自社での発電事業から得られる電力販売収益も収益の一部を占めています。
【理由】
なぜ電力販売を行うかというと、製紙工程の熱や廃棄物を有効利用してバイオマス発電や自家発電を行っているからです。
エネルギーコストの削減と同時に、余剰電力を売却することで売上機会を増やし、事業ポートフォリオをより多角化させる仕組みを作っています。
コスト構造
同社のコスト構造は、原燃料費、製造コスト、物流費が大きな比率を占めています。
特に原燃料費は、木材や古紙の価格変動、エネルギー（重油やLNGなど）の市場価格に大きく左右されるのが実情です。
紙製造には大量の水と熱エネルギーが必要となるため、燃料価格が高騰すると製造原価が大幅に上昇するリスクがあります。
【理由】
なぜこのようなコスト構造になっているかというと、紙パルプ製造は素材とエネルギーの両面でコスト負担が大きく、かつ物流コストも重視される業種だからです。
商品のかさばりやすさと重量から配送経費も高めになりがちで、これらの要素をいかに最適化するかが企業収益に直結しています。
自己強化ループ
中越パルプ工業では、品質向上とコスト削減の取り組みが互いを強化する好循環を作り出そうとしています。
例えば、高品質な紙製品を安定的に供給できる体制を確立すると、顧客からの信頼が高まり、継続的な受注や新規案件の獲得につながります。
生産量が増えることで設備投資や研究開発への資金が確保でき、結果として生産工程の効率化や新商品の開発が進むため、さらなる品質の向上やコストダウンが期待できます。
また、発電事業などを含めた資源循環型のシステムを最適化していくことで、エネルギーコストの抑制と環境負荷低減を同時に達成し、企業イメージやブランド力の向上にも寄与するという好循環が見込めます。
このように、顧客満足度アップと生産性向上を両輪とする自己強化ループが、紙パルプ市場での持続的な競争優位につながると考えられます。
採用情報
同社の初任給や平均休日、採用倍率などの詳細情報は公開されていません。
そのため、就職活動中の方が具体的な数値を確認するには、会社説明会やエントリー時の案内資料をチェックする必要があります。
企業としては、紙パルプ分野や工場勤務に興味を持つ人材や、環境問題への取り組みに意欲的な人を採用していく傾向があるため、技術職だけでなく総合職や企画職など幅広い職種で活躍できる可能性があります。
興味のある方は、公式ホームページなどを確認しながら応募検討を進めると良いでしょう。
株式情報
中越パルプ工業の銘柄コードは3877です。
2024年度の中間配当金は1株当たり35円が予定されており、株主への安定的なリターンを意識した経営姿勢がうかがえます。
株価に関しては公開情報がなく、市場動向や世界的な原燃料価格の変動などによって大きく変化する可能性があります。
投資を考える際は、事業リスクと成長余地の両面を吟味することが重要です。
未来展望と注目ポイント
紙需要はデジタル化の進展で一部減少が見られますが、EC市場の拡大による梱包資材の需要増や、環境意識の高まりに伴いプラスチックから紙への代替ニーズが拡大しているといった新たな機会も生まれています。
中越パルプ工業は、多様な紙種を扱う強みを活かして、高付加価値の特殊紙や包装紙分野でさらなる成長が見込まれます。
さらに、自社発電やバイオマス利用を強化し、SDGsやESG投資への関心が高まる中で、環境対応型のビジネスモデルを磨き上げる可能性があります。
今後は、国内市場だけでなく海外輸出や新規事業への展開にも期待がかかり、企業の競争力をさらに底上げできるかが注目ポイントです。
業績面では、原燃料コストや物流費の変動リスクとの闘いが続きますが、効率的な生産体制と多面的な製品ポートフォリオを武器に、持続的な利益成長を目指す姿勢がうかがえます。
今後もIR資料などを通じて戦略や投資計画の進捗をチェックしていくことで、さらなる成長戦略の具体像が見えてくるでしょう。
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