英国風パブを通じて広がる新しいコミュニケーション ビジネスモデルとIR資料から見る成長戦略

小売業

企業概要と最近の業績

株式会社ハブ

2025年2月期の決算は、売上高が10,632百万円となり、前の期に比べて8.7%増加しました。

営業利益は453百万円で63.6%増、経常利益は441百万円で72.9%増と、大幅な増益を達成しています。

当期純利益も446百万円となり、前の期から65.2%増加しました。

事業は英国風PUB事業の単一セグメントで運営されています。

業績が好調だった背景には、人流の回復やインバウンド需要の増加に加え、ラグビーワールドカップをはじめとするスポーツイベントの放映がお客様の来店動機に繋がったことが挙げられます。

また、期中には新たに3店舗をオープンするなど、事業拡大も進められています。

【参考文献】https://www.pub-hub.co.jp/

価値提案

株式会社ハブの価値提案は、日本国内において英国風パブ文化を気軽に楽しめる場所を提供する点にあります。

単なる飲食の場にとどまらず、スポーツ観戦を盛り上げるスクリーン設備や、地域や季節に合わせたイベント企画を通じてコミュニケーションの場を創出していることが大きな魅力です。

英国風の空間演出や多彩なドリンクメニューが備わっていることで、一味違った異文化体験を提供することが可能になっています。

【理由】
なぜこうした価値提案が生まれたのかというと、日本の飲食業界が居酒屋やバーといったカテゴリーに集中する中で、新たなジャンルを開拓したいという思いと、海外のパブ文化の持つフランクかつ多国籍な雰囲気に目をつけたことがきっかけとなっています。

国際的なイベントや外国人観光客の増加に合わせ、独自のパブスタイルが多様なニーズに応えやすい点も、同社が選択した価値提案の強みといえます。

主要活動

同社の主要活動は店舗運営とイベント企画に大きく分かれます。

まず店舗運営では、英国の雰囲気を再現する内装やメニュー開発に注力し、ビールやウイスキーなどの酒類を中心にしたドリンクメニューやフードメニューを拡充させることで集客を図っています。

イベント企画の面では、サッカーの試合観戦や外国の祭日に合わせたパーティなど、多様なテーマを設けて顧客を飽きさせない仕掛けを行っています。

【理由】
なぜこれが重要なのかというと、飲食店の差別化が難しい昨今、他店との差を作るためには食事やドリンクだけではなく、そこに付加される体験価値が大きな役割を果たすからです。

英国風パブという特性を最大限に活かし、スポーツや異文化交流の文脈を取り入れることで、店舗での滞在時間やリピート率を高める活動につなげています。

リソース

同社が強みとしているリソースは、まず全国に展開する店舗ネットワークです。

主要都市を中心に複数の店舗を展開し、地域特性に合わせたサービスやイベントを打ち出すことで、英国風パブという新鮮な体験を各地で安定的に提供しています。

さらに、英国風パブの空気を演出する内装デザインやメニューレシピを生み出すノウハウも貴重なリソースとなっています。

【理由】
なぜこうしたリソースが重要かというと、競合となるバーやカフェとの違いをはっきり打ち出すためには、英国風の雰囲気を体現できる内装やメニューのクオリティが鍵となるからです。

加えて、現場でお客様をもてなす従業員の接客力も重要なリソースです。

多様な顧客層に対応し、フレンドリーでありながらきめ細やかなサービスを提供することで、英国らしい社交文化の再現と顧客満足の向上に貢献しています。

パートナー

原材料の仕入先や酒類メーカーとの関係はもちろんのこと、スポーツ関連のイベントを共催する団体や、外国人向けのコミュニティと提携する動きも同社のパートナーシップの一端を担っています。

【理由】
なぜこれが不可欠なのかというと、英国風パブの良さを最大限に活かすためには、料理やドリンクの質だけでなく、イベントや文化的な要素を取り入れる必要があるからです。

例えば、サッカーの試合観戦イベントでは、テレビ局やスポーツ団体と調整を行いながら放映権や宣伝活動を進める必要があります。

こうした外部のリソースや協力関係によって、より本格的な英国風パブ体験が実現し、集客効果のアップに貢献しているのです。

チャンネル

同社が顧客との接点を持つチャンネルは、大きく分けて店舗そのものとオンラインの二つです。

まず店舗では、通りがかりの利用客やリピーターを直接もてなし、実際のサービスや商品の魅力を伝えています。

一方でオンラインでは、公式ウェブサイトやSNSを活用して新メニューやイベント情報を発信し、店舗に足を運んでもらうための導線を作っています。

【理由】
なぜこうした複数チャネルが重要かというと、コロナ禍以降オンラインでの情報収集がますます増えた背景もあり、リアル店舗だけに頼る集客では限界があるからです。

さらにSNSを通じて海外から来日する観光客や留学生へのアピールもしやすくなり、グローバルに日本国内のパブ体験を広める効果も期待できます。

顧客との関係

顧客との関係は、カジュアルでフレンドリーな接客を基軸としています。

スタッフが声をかけやすく、困り事があればすぐに対応できる雰囲気づくりに重点を置いています。

【理由】
なぜこれが重視されるのかというと、英国風パブの魅力は単なる飲食店というより、人と人との交流が生まれる社交の場である点にあるからです。

特に初めて利用する外国人観光客や飲食店になじみの少ない若年層にも、リラックスして利用できるような雰囲気を作ることがリピート率や口コミにつながります。

またスポーツイベント時にはスタッフも観戦を盛り上げる役を担い、店内全体が一体感を味わえる空間を演出することで、より強固なファンコミュニティを築きやすくなっています。

顧客セグメント

同社の顧客セグメントは、20〜40代のビジネスパーソンや学生、さらに在住外国人や旅行客といった多様な層にわたります。

【理由】
なぜ幅広い層を取り込めるのかというと、英国風パブというコンセプトが持つ「異文化を気軽に体験できる場所」というイメージが大きいからです。

また、ビールやウイスキーなどのアルコール類だけでなく、軽食やソフトドリンクもそろっているため、お酒が苦手な方でも利用できることが幅広い客層を取り込む要因になっています。

さらにスポーツ観戦を楽しむ男性客だけでなく、外国人パブ文化を楽しみたい女性客やグループ利用も狙える点で、競合他社と比べてより多面的に顧客を獲得できる仕組みが生まれています。

収益の流れ

同社の収益源は主に飲食物の販売とイベント関連収入に大別されます。

ドリンクやフードの売上が基本となりますが、大型スポーツイベントや季節イベントなどを開催することで、参加費や追加購入による収益を上乗せしています。

【理由】
なぜこうした構造を選択しているのかというと、パブという業態は単にお酒を売るだけでは価格競争になりやすく、安定的な収益を維持しにくいからです。

イベントやキャンペーンを通じて特別感を演出し、単価を上げる仕組みが不可欠なのです。

また一定のブランドイメージを確立することで、新規店舗のオープン時や提携先とのコラボ企画などにも応用しやすい収益構造を構築し、継続的に売上を伸ばす体制を整えています。

コスト構造

コストの大部分を占めるのは人件費と店舗運営費です。

英国風パブらしい雰囲気を維持するためには、照明やインテリアなどの空間づくりにも費用がかかりますが、それ以上に重要となるのがスタッフの接客力の確保と研修です。

【理由】
なぜここに重点を置くのかというと、英国風パブの醍醐味は「店員と客が一体になって楽しむ」社交文化にあるからで、人件費を削りすぎると店舗の満足度が下がりやすいからです。

さらに原材料費もビールやウイスキーなど輸入品を扱うことが多いため、為替レートの影響を受けやすい面があります。

しかしながら、ブランド力やイベント力で一定の価格設定を維持できることで、コスト高を吸収しながらも利益を確保することに成功しています。

自己強化ループ

株式会社ハブの自己強化ループは、英国風パブ文化を体験した顧客がその魅力を口コミなどで広げることで、新たな顧客層を呼び込むサイクルにあります。

具体的には、スポーツ観戦を盛り上げるコミュニティや外国人との語学交流など、店舗を通して生まれたつながりがSNSや日常の会話で拡散されることにより、「雰囲気が良い」「外国人と交流できる」「イベントが楽しい」といった評判が自然と広がります。

こうした評価がリピーターの定着だけでなく、まだ来店したことのない人々に対する集客効果を高めるのです。

結果として売上や店舗数が増えれば、さらにイベントやメニューの多様化が可能になり、より多くの顧客に対応できる強固なネットワークが生まれます。

この正のフィードバックが繰り返されることで、同社のビジネスモデルは持続的な成長を続けやすい構造を築いているといえます。

採用情報

採用面では初任給として月給約26万円を提示しており、飲食業界の中でも比較的高水準のスタートといえます。

平均休日や採用倍率の詳細は公表されていませんが、活気ある職場環境や多様な顧客とふれあえる点が魅力とされ、サービス業や飲食業に興味を持つ求職者にとって注目度が高い企業です。

グローバルなコミュニケーションを楽しみながら働きたい人や、英語など語学を活かしたい人にとっては、英国風パブならではの国際感覚を養える環境も魅力の一つといえます。

株式情報

同社は東証スタンダードに上場しており、銘柄コードは3030です。

配当金に関しては詳細が公開されていませんが、投資家にとっては安定成長を続ける飲食ビジネスとしての将来性や、イベント戦略による収益拡大の見通しが注目されています。

なお、2025年1月24日時点で1株当たりの株価は770円となっており、長期的な視点での投資価値を検討する銘柄の一つとしても意識され始めています。

未来展望と注目ポイント

今後はインバウンド需要の回復やグローバルスポーツイベントが重なるタイミングに合わせて、新たな顧客層を取り込むチャンスが広がると考えられます。

英語をはじめとした多言語対応や、地域や季節に即したイベント企画を積極的に展開することで、国内外のさまざまな人々が交流できる場所としての価値を高められる可能性が大いにあります。

さらに、オンライン予約やテイクアウトサービスといった新たなサービスを拡充することで、顧客接点を増やし収益の多角化を図る戦略も考えられます。

ブランド力の向上とともに国内店舗網を拡大すれば、より大きなスケールメリットを得ることができ、地域特性に合わせたコンセプトの店舗運営により差別化を図るチャンスもあるでしょう。

こうした動きが株価や業績の安定成長につながることが期待されており、今後の動向からますます目が離せない企業といえます。

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