企業概要と最近の業績
長谷川香料株式会社
当社は、食品や飲料、香水、化粧品、日用雑貨品など、幅広い製品に使われる「香料」を開発、製造、販売している香りの総合メーカーです。
私たちが日常で口にする食品の「フレーバー（食品香料）」と、化粧品や芳香剤などの「フレグランス（香粧品香料）」の両方を手がけています。
長年の研究開発で培った技術力と、世界中から調達する多様な原料を組み合わせることで、お客様の製品に魅力的な香りと美味しさを提供しています。
日本国内だけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、アジアにも拠点を持ち、グローバルに事業を展開しています。
2025年5月9日に発表された2025年9月期第2四半期の決算短信によりますと、連結売上高は432億4,900万円となり、前の期の同じ期間に比べて6.2%の増加となりました。
営業利益は63億3,200万円で、前の期の同じ期間から10.2%の増加となりました。
国内では、飲料向けや冷菓向けのフレーバーが好調に推移しました。
また、海外事業においては、円安の影響に加え、米州や欧州でフレーバー・フレグランス共に販売が伸長したことが全体の業績を押し上げ、増収増益を達成しました。
価値提案
長谷川香料の価値提案は「高品質で多様な香料を提供し、顧客の製品価値を高める」ことにあります。
特に食品向けのフレーバー分野では、飲料や菓子、インスタント食品など、それぞれに合わせた繊細な香りを開発し、消費者の嗜好や市場トレンドに合った提案を行っています。
日用品や化粧品向けフレグランス分野でも、独自の技術力を活かした調香を実施し、メーカー各社が求めるブランドイメージを実現する手助けをしています。
【理由】
香料の品質や特徴によって、最終製品の評価が大きく左右されるからです。
とりわけ差別化を図りたいメーカーにとって、香りは購入意欲を高める重要な要素です。
そのため、高度な調香技術を活かし、個別要望にもきめ細かく対応できる価値提供を行うことが、リピート受注や新規顧客開拓につながっています。
主要活動
同社の主要活動は、香料における研究開発、製造、販売、そして品質管理に集約されます。
研究開発では、香りの組成や自然由来素材の活用などを追究し、新しいフレーバーやフレグランスを生み出すことに力を入れています。
製造工程では、安全面と効率性を重視しながら、大量生産とカスタマイズ製造を並行して行うことで、多彩な顧客ニーズに応えます。
販売面では、顧客企業への直接提案だけでなく、代理店や海外拠点を通じた展開も行っており、グローバルな成長を目指しています。
【理由】
香料は一度開発して終わりではなく、継続的に改良や新製品の投入を行う必要があるからです。
市場の嗜好やトレンドの移り変わりが激しいため、常に研究開発を重視し、かつ高品質かつ安定した生産体制を整えることが重要になりました。
さらに、大手飲料・化粧品メーカーなど多様な顧客へアプローチするには、国内外を問わず幅広い販売チャネルを確立することが欠かせません。
リソース
長谷川香料のリソースには、高度な調香技術と専門知識を持つ人材、最新の研究施設や設備、そして豊富な香料の在庫や原材料調達ルートなどが含まれます。
長年にわたって積み重ねてきたノウハウと実績が、顧客企業に信頼される大きな理由となっています。
複雑な香りの配合や天然由来素材の安定調達など、他社が簡単には模倣できない体制を築いています。
【理由】
香りの開発には非常に繊細な技術が必要であり、調香師の経験や専門研究員の科学的アプローチが不可欠だからです。
さらに、独自の成分解析や最新機器を備えた研究施設があることで、新製品の開発スピードを高めることができます。
こうしたリソースの積み重ねが、安定的な品質と差別化された製品づくりを可能にしています。
パートナー
食品・化粧品メーカー、原材料サプライヤー、研究機関などが長谷川香料にとっての主要なパートナーです。
サプライヤーとは品質の良い原材料を安定的に調達するための連携を深め、食品・化粧品メーカーとは新製品の共同開発や専用レシピ作成などで密接にやり取りをしています。
研究機関や大学との連携によって、最新の香り分析技術を取り入れることも重要になっています。
【理由】
香料の開発は単独ですべてを完結させるのが難しく、高品質な原材料や専門知識を持つ外部機関との協力が不可欠だからです。
消費者の嗜好は日々変化しており、新たな香りや自然由来の素材を探求するには、多角的な情報と技術を融合する必要があります。
結果として、多様なパートナーとの連携が競争力の底上げに直結しているのです。
チャンネル
同社のチャンネルは、直接営業や代理店販売、さらに海外拠点を活用したグローバル展開など多岐にわたります。
食品大手や日用品・化粧品メーカー向けには担当営業が密にコミュニケーションを取り、製品仕様や要望をヒアリングすることで、最適な香料を提案する仕組みを整えています。
また、オンラインでの情報発信や問い合わせ対応も拡充し、新規顧客との接点を増やしています。
【理由】
香料ビジネスでは顧客企業との緊密なやり取りが必須だからです。
香りの成分や使用シーン、商品コンセプトによって最適解が変わるため、実際にサンプルを試しながら双方で調整を行う必要があります。
代理店網や海外拠点の充実は、グローバルな成長戦略を進めるうえでも欠かせない要素となっています。
顧客との関係
カスタマイズ対応や技術サポート、共同開発を通じて、顧客企業との強い関係を築いています。
例えば、新商品を開発する際には、香りのコンセプトやターゲット層を共有しながら、長谷川香料側が試作を繰り返して最適なフレーバーやフレグランスを完成させます。
そうした過程で培われる信頼関係が、長期的な取引にもつながっています。
【理由】
香料の効果は最終製品を利用する消費者にとって非常に重要であり、微妙な香りの差が大きな差別化につながるケースが多いからです。
顧客企業が抱える課題やニーズを深掘りするためには、ただ製品を売るだけではなく、共同開発パートナーとして長い時間をかけて調整する必要があります。
その結果、生まれた信頼がリピート契約や新規案件の獲得に影響を与えます。
顧客セグメント
主な顧客セグメントは、食品・飲料メーカー、化粧品メーカー、日用品メーカーです。
それぞれの市場で必要とされる香料の種類や品質基準は異なりますが、長谷川香料は幅広い技術と製品ラインナップを持つことで、多岐にわたる要望に応えています。
国内外の大手企業との取引を通じ、安定したビジネス基盤を形成している点も特徴です。
【理由】
食品や化粧品など日常的に使われる商品の多くで香りが購入意欲や満足度を左右するからです。
生活者が毎日手に取る製品に採用される香りだからこそ、高品質かつ安全性が求められます。
こうした高いハードルに対応するために、同社は顧客セグメントごとの要望を深く研究し、企業ごとに異なるターゲットやブランドイメージを支援できる体制を整えています。
収益の流れ
同社の収益源は、香料製品の販売による収益が中心です。
特に食品フレーバーに関しては安定した需要があることから、リピート注文が収益の基盤となっています。
また、新しい香りの開発や技術特許を活かしたライセンス収入も一部獲得しており、多角的な収益ポートフォリオを持っています。
【理由】
香料は一度採用されると継続的に発注されるケースが多いビジネスです。
飲料やお菓子などのロングセラー商品に使われる香料であれば、商品が市場にある限り安定した需要が見込めます。
さらに、独自の技術をライセンス化することで、自社製造以外にも収益源を広げているのが特徴です。
コスト構造
同社のコスト構造は、研究開発費、製造コスト、販売・マーケティング費用などで成り立っています。
特に研究開発費は新しい香りや安全性を追求するための投資として、大きな割合を占める点が特徴です。
製造コストは原材料価格の影響を受けやすく、為替レートや植物由来の素材の収穫量などにも注意が必要です。
【理由】
香りは一見すると感性的ですが、実際は科学的な分析と試作の積み重ねによって生み出される側面が大きいからです。
よって、研究員や調香師の確保、分析機器への投資を継続しなければ、競合他社との差別化を図ることが難しくなります。
また、香料市場はグローバル化が進んでいるため、原材料調達のコスト変動も大きなリスク要因となるのです。
自己強化ループの仕組み
長谷川香料は、高品質な香料を提供することによって顧客満足度を高め、リピート注文や新規顧客の紹介を得るという好循環を築いています。
さらに、安定した収益が研究開発への投資を可能にし、新しい香りや技術の開発力を高めることで市場競争力を維持・強化します。
研究で生まれた成果は次世代のフレーバーやフレグランスに活かされ、いち早く需要の変化に対応できるのも強みです。
こうしたプロセスを繰り返すことでブランド力が高まり、海外展開や新規分野への進出も比較的スムーズに行えます。
結果として、革新的な香りを提供し続ける姿勢が企業イメージを向上させ、さらに顧客が集まるという自己強化ループが成立しているのです。
採用情報
長谷川香料の初任給は月額21万円程度とされており、製造や営業、研究など幅広い職種で同程度の給与水準が設定されています。
年間休日は120日以上で、ワークライフバランスにも配慮した体制を整えています。
募集人数が比較的少ないのに対して、プレエントリー候補登録者数が数千人にのぼるため、採用倍率は高い傾向にあります。
調香や化学分野の専門知識に加えて、コミュニケーション能力も重視されるため、就職先として人気が高まっています。
株式情報
証券コード4958で上場している長谷川香料は、2025年9月期の年間配当金を74円と予定しています。
2025年2月7日時点での1株当たり株価は2,881円となっており、食品や化粧品向け香料の需要が堅調に推移していることから、投資家から一定の評価を得ている状況です。
需要が比較的安定している業界のため、大幅な景気変動があっても業績が落ち込みにくい点が魅力といえます。
未来展望と注目ポイント
今後、長谷川香料がさらなる成長を見込める理由としては、健康志向やサステナブル志向などのトレンドが世界的に広がっていることが挙げられます。
植物由来の原材料や人工添加物を抑えた香りへの需要は今後ますます高まり、新市場の開拓や新製品の提案につながる可能性があります。
また、海外への展開も引き続き強化される見通しで、新興国の加工食品需要や現地企業との連携などを通じて売上を伸ばすチャンスが広がっています。
さらに、研究開発力を活かして特許取得や独自成分のライセンスなど、多角的なビジネスチャンスも期待できます。
競合他社との差別化を図り、持続的な成長戦略を進めるうえで、いかに迅速に市場の変化を捉えられるかが鍵となるでしょう。
このように、豊富な実績と新分野への挑戦意欲を兼ね備えた長谷川香料は、今後も安定した業績拡大とブランド価値の向上に向けて前進していくことが期待されます。
コメント