株式会社関門海の成長戦略がつまったビジネスモデルがすごい

小売業

企業概要と最近の業績

株式会社関門海

2025年3月期の連結決算は、売上高が前の期に比べて7.8%増の62億3500万円でした。

営業利益は2億600万円の黒字に転換し、前の期の1億200万円の赤字から大幅に改善しました。

経常利益も2億3100万円の黒字(前の期は7100万円の赤字)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億1400万円の黒字(前の期は1億100万円の赤字)となり、黒字転換を達成しています。

主力の「玄品ふぐ」業態において、インバウンド需要の回復や全国旅行支援などの効果で客数が増加したことが主な要因です。

また、コースメニューの改定や適正な価格設定、不採算店舗の整理なども利益の改善に貢献しました。

【参考文献】https://www.kanmonkai.co.jp/

ビジネスモデルの9つの要素

価値提案

おいしいふぐ料理を安全に楽しめる場所を提供しています。

ふぐは取り扱いに特別な免許や知識が必要で、一般家庭では調理が難しい食材です。

そのため、安心して食べられる専門店の存在は大きな魅力となっています。

【理由】

ふぐは高級食材として認識されてきましたが、専門店であれば品質管理や熟練の調理技術を確保しやすく、信頼につながりやすいからです。

また特別な日に利用するだけでなく、顧客が繰り返し足を運べるように価格やメニューに工夫を凝らしてきたことにより、多くの人が気軽にふぐを楽しめるようになりました。

主要活動

店舗を運営し、ふぐの仕入れから調理、接客、衛生管理にいたるまで一貫して行っています。

従業員教育や品質維持のためのマニュアル作成などの取り組みも大切な活動です。

【理由】

ふぐ料理には高水準の安全管理が求められ、さらに専門性のある調理技術の継承が必要です。

店舗運営を通じてスタッフに直接指導できる環境を整え、マニュアル化や研修体制を充実させることで、安定したサービスを提供できる体制が築かれました。

その結果、ブランド力の向上とリピーターの獲得を可能にしています。

リソース

全国各地の店舗や調理設備、またふぐを取り扱うための資格を持つ調理師などの人材が重要なリソースです。

さらに、とらふぐ料理専門店としての知名度と、蓄積されたノウハウも大きな財産といえます。

【理由】

ふぐには毒があり、扱うには国家資格を持つ調理師が必要です。

こうした厳しいハードルを乗り越えられる人材やノウハウを確保することが、他社には真似しにくい強みを生み出しました。

また、新しい店舗を開設する際にも、豊富な経験を活かして短期間で戦力化できる点が安定した店舗展開を支えています。

パートナー

食材供給業者との信頼関係を築き、新鮮なふぐを安定して仕入れています。

フランチャイズ加盟店との連携や、オンライン配送のための物流パートナーなども欠かせません。

【理由】

ふぐは漁獲量や産地、季節によって品質や価格が変動しやすい食材です。

そのため、複数の仕入れルートを確保し、安定供給が可能な業者とのネットワークを広げる必要があります。

フランチャイズやオンライン販売にも対応するためには、店舗オーナーや配送企業との協力体制が必須となり、長期的な信頼関係を築くことがビジネスの根幹を支えています。

チャンネル

直営店やフランチャイズ店を中心に、オンライン予約や通販サイトを活用し、顧客との接点を増やしています。

これにより店舗利用だけでなく、おうちでふぐを味わえるサービスも整えています。

【理由】

ふぐは贈答品としても人気が高いため、店舗での飲食だけでなく、家庭用セットとして全国に発送する仕組みが求められました。

店舗数が増えるにつれて知名度が上がり、さらにウェブを通じた情報発信によって新規顧客を取り込む流れが強まっています。

多様なチャンネルを活かして売上を伸ばすことが成長戦略の一環となっています。

顧客との関係

店舗での丁寧な接客や、調理技術の高さをアピールすることで信頼関係を築き、リピーターを獲得しています。

定期的にキャンペーンや会員向け特典を実施するなど、継続的な顧客コミュニケーションも重視しています。

【理由】

ふぐ料理は一度食べるとその特別感やおいしさが印象に残りやすい食事です。

そこで再来店を促すため、店頭での接遇やキャンペーンを強化してきました。

ふぐに対する疑問や不安を丁寧に解消する接客がリピーター増につながり、口コミでの評判も高まっています。

顧客セグメント

高級和食を好む国内外の顧客を中心に、接待や祝い事、観光などさまざまな目的で利用されます。

最近では若い世代やファミリー層にも広がっており、より気軽にふぐを楽しむ層が増えています。

【理由】

ふぐは一般的に高額なイメージが強いものの、リーズナブルなコースやランチメニューなどを設けることで幅広い層へのアプローチが可能になりました。

さらに海外からの観光客にとっても日本独特の食文化として注目され、インバウンド需要の拡大を受けやすい業態となっています。

収益の流れ

店舗での飲食収入がメインですが、フランチャイズ料やオンライン販売の収入も大きな柱となっています。

季節による需要の差を通販などで補うことで、安定的な収益を確保しています。

【理由】

冬場に売上が集中しやすいふぐ料理の宿命を緩和するため、年間を通じて購入できる通販を積極的に活用しています。

特に贈答文化の強い時期には需要が高まり、フランチャイズ展開により収益源を多様化することで会社全体の売上を下支えしています。

コスト構造

ふぐの仕入れコスト、人件費、店舗の賃料や光熱費などが主な支出になります。

調理師の資格や専門的な技術習得に関する研修費用も重要なコスト要素です。

【理由】

ふぐは他の魚と比べて仕入れ価格が高く、さらに熟練の調理師による技術が必要です。

そのため、一般的な飲食店よりもコストがかかります。

しかし高付加価値を提供できるからこそ、収益性を保ちながら継続的な店舗運営が可能となっています。

自己強化ループ

株式会社関門海では、高品質なふぐ料理と丁寧な接客を行うことでお客さまの満足度が高まり、リピーターや口コミが増えていきます。

これによって店舗の売上が安定すれば、新メニュー開発やスタッフ研修へ再投資できるようになります。

再投資によりサービス水準がさらに上がり、口コミでの評価も高まるため、新規顧客がまた増えるという好循環が生まれます。

ふぐという特別な食材を通じて「特別な時間」を提供しつつ、価格帯を工夫して普段でも足を運びやすい店舗づくりを行うことで顧客層が幅広くなり、結果としてブランド力が強化されていきます。

このように、お客さまの満足度をエネルギー源にして事業が拡大し、安定化につながるサイクルが自己強化ループの要となっています。

採用情報

初任給は月給225000円で、シフト制勤務を基本としています。

具体的には10時から19時や12時から21時など、数パターンの勤務時間帯があり、スタッフが交代で働きやすい仕組みをとっています。

休日はシフト制なので、希望休を取りやすい環境づくりを目指しています。

採用倍率は非公開とされていますが、専門性の高さや将来性に興味を持つ方も多く、飲食業界でも注目度が高い企業の一つといえます。

株式情報

銘柄コードは3372で、現時点では配当は実施していません。

2025年3月7日時点での株価は1株あたり228円となっています。

多店舗展開や新規事業への投資を積極的に行う姿勢もあり、利益を成長に再投資することで今後の株主還元につなげる方針が見られるかもしれません。

未来展望と注目ポイント

今後は季節に左右されやすいふぐという食材の弱みをカバーしつつ、さらなる成長をめざして新しいアプローチを行う可能性があります。

例えば、ふぐ以外にも旬の海鮮メニューを拡充することで、年間を通じて集客を高める戦略が考えられます。

また、オンライン販売の強化や海外展開による新市場の開拓も重要なポイントとなるでしょう。

海外では日本食ブームが根強いため、安全で高品質なふぐ料理を専門的に提供できるという強みは、大きな武器になりそうです。

さらに、スタッフの教育体制を整え、高水準の調理技術や接客を提供し続けることで、ブランドイメージの維持と向上が期待できます。

株式市場の視点では、配当再開や増配といった株主還元がいつどのタイミングで行われるかにも注目が集まっています。

成長戦略において投資を優先する一方、成果が安定すれば株価や投資魅力の向上につながる展開が見込めるでしょう。

売上や利益の拡大に伴って市場での評価がさらに高まり、高級食材専門店としての地位をより盤石にする可能性があります。

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