魅力が詰まった株式会社ツバキ・ナカシマが描くビジネスモデルと成長戦略

機械

企業概要と最近の業績

株式会社ツバキ・ナカシマ

当社は、ベアリング(軸受)に使われる鋼球(こうきゅう)で世界トップシェアを誇る、精密部品メーカーです。

主力である「精機事業」では、鋼球やセラミック球、ころ(ローラー)といった、あらゆる機械の回転を支える基幹部品を製造しています。

もう一つの柱である「リニア事業」では、回転運動を直線運動に変えるボールねじなどを手掛け、工作機械や半導体製造装置といった最先端分野を支えています。

世界中に生産・販売拠点を持ち、グローバルに事業を展開しています。

2025年12月期第2四半期の連結業績(IFRS)は、売上収益が458億9,700万円(前年同期比0.2%増)、営業利益が50億1,100万円(同13.5%減)となりました。

精機事業では、主力のベアリング向け鋼球の販売が、米州では底堅く推移したものの、欧州や中国での需要減速の影響を受けました。

リニア事業では、半導体市場に回復の兆しが見られ、ボールねじの販売が増加しました。

利益面では、原材料価格の上昇や人件費の増加に加え、欧州での生産調整などが影響し、減益となりました。

【参考文献】https://www.tsubaki-nakashima.com/

価値提案

高精度で高品質な精密部品を供給し、顧客企業の製品性能や信頼性を高めることが大きな特徴となっています。

自動車や医療機器では安全性や耐久性が重要視され、産業機械では高い生産効率が求められます。

株式会社ツバキ・ナカシマは幅広いニーズに対応できる技術力を強みとしており、その結果として多様な業界との取引実績を築いています。

【理由】
長い歴史の中で蓄積された精密加工技術と徹底した品質管理が、競合他社との差別化を可能にしているからです。

さらに顧客の要望に合わせたカスタマイズにも応じることで、より付加価値の高い製品を提供しています。

主要活動

同社は精密スチールボールやセラミックボール、ボールねじなどの開発と製造に力を注ぎ、品質管理から販売に至る一連の流れを社内で完結させています。

これにより、問題が発生したときには素早く原因を突き止め、迅速に改善策を講じることが可能です。

また多品種少量生産を求める顧客ニーズにも対応しやすい柔軟な生産体制を築いています。

【理由】
高い技術力を基盤とする開発部門と、長年の製造ノウハウを持つ生産部門の連携が強固であることが要因です。

さらなる効率化を追求するための設備投資やAI活用などの取り組みも進んでおり、こうした活動が競争力を高める原動力となっています。

リソース

高度な加工技術を持つエンジニアや、最新鋭の製造設備が同社の重要な資源となっています。

特にスチールやセラミックなどの硬く繊細な素材を扱うには、微細な加工が求められるため、長年培われた熟練の技能が欠かせません。

また世界規模での拠点展開により、地域ごとのニーズにきめ細かく対応できる点も大きな強みです。

【理由】
創業以来の長い歴史の中で技術者の育成を重視してきたことに加え、国内外で顧客企業との緊密なコミュニケーションを図ってきた結果、優れた人材と設備投資の両面で充実した環境を作り上げているからです。

パートナー

自動車メーカーや工作機械メーカー、医療機器メーカーなどの顧客企業をはじめ、素材供給元や物流企業との連携が不可欠です。

これによって安定した原材料の調達とスムーズな製品供給が実現します。

同社はまた、業界の展示会や学会などで研究機関とも情報交換を行い、新素材や新技術の開発に取り組むことも特徴的です。

【理由】
精密部品は最終製品の品質に大きく影響を与えるため、供給先や共同開発先との協調関係が特に重要と考えられているからです。

このパートナーシップを通じ、最新のニーズをいち早くつかみ取ることができるようになっています。

チャンネル

国内外の直販ルートを中心に、代理店やオンラインプラットフォームも活用しています。

工作機械や自動車関連の大手メーカーとは直接やり取りすることで、仕様の打ち合わせや納期調整を円滑に進められる利点があります。

一方で中小企業向けには代理店を通じてきめ細かなサポートを行い、オンラインの情報発信も拡充することで、新規顧客の開拓にも力を注いでいます。

【理由】
海外市場の拡大や多様化する顧客ニーズに対応するためには複数の販売チャネルが必要であり、戦略的にチャネルを使い分けることで販売機会を最大化しているからです。

顧客との関係

同社は顧客との長期的な取引を重視し、製品のカスタマイズ要望や技術サポートにも積極的に対応しています。

たとえば新しい形状や素材を試したいというケースがあれば、開発担当者との打ち合わせを重ねながら試作品を提供し、課題解決を図ることが可能です。

【理由】
精密部品はモノづくりの根幹を支える存在であり、トラブルがあれば生産ライン全体に影響を及ぼすリスクが高いためです。

顧客企業に対して密なサポート体制を築くことで、トラブルを未然に防ぎ、また新規案件の獲得にもつながる相乗効果を生み出しています。

顧客セグメント

自動車や産業機械、医療機器など、さまざまな業種の大手から中小まで幅広い企業が対象となります。

高精度ボールやローラーが必要とされる分野は拡大を続けており、同社はそのニーズに対応することで安定した売上を確保しています。

【理由】
汎用性が高い精密部品でありながら、分野によって要求される技術特性が微妙に異なるため、特定分野に依存しすぎない経営戦略を採用してきたからです。

これがリスク分散を可能にし、さまざまな産業での需要を捉え続ける要因になっています。

収益の流れ

主に製品販売による収益が中心ですが、付加価値の高いセラミックボールやボールねじの特注品などは利益率が高いといわれています。

大量生産だけでなく、多品種や小ロットの製造でも安定した収益を確保できる体制を整えていることも特徴です。

【理由】
ひとつのラインアップだけでなく、多角的に製品展開することで収益源を分散し、経営の安定性を高めようという狙いがあるためです。

また研究開発を通じて新たな需要を生み出し、既存製品の改良や新製品の投入で継続的な収益増を目指しています。

コスト構造

原材料費や設備投資などの製造コストに加え、研究開発費と人件費が大きな割合を占めます。

特に精密加工には高度な技術者が必要であり、教育や技術継承のためのコストも無視できません。

【理由】
高品質を維持するには厳格な品質管理と熟練工の技術が欠かせず、最新設備への投資も定期的に行う必要があるためです。

これらのコストは高い製品力として顧客に認められ、最終的には収益向上につながる投資となっています。

自己強化ループの仕組み

同社では製品を導入した顧客からの評価や要望を積極的に収集し、それを開発部門と共有する仕組みを整えています。

例えばボールねじの微妙な調整が必要という意見があれば、それを受けた開発チームが新素材や新製法を試行し、より高精度で耐久性のある製品へと改良していくのです。

こうした改良品が市場で高い評価を得れば、さらに多くの顧客が関心を持ち、新規受注や追加発注が増えていきます。

新たな売上によって生まれた資金はさらなる研究開発や設備投資に回され、製品力が一段と高まるため、新しい顧客の獲得や既存顧客のリピートオーダーが増す流れが強化されます。

このサイクルによって市場での存在感を高め、結果として安定成長へとつながる好循環を生み出しています。

採用情報について

株式会社ツバキ・ナカシマの初任給は、技術系と事務系で異なる場合がありますが、一般的に月額20万円台からのスタートが多いといわれています。

平均休日も年間120日以上を確保し、ワークライフバランスを重視する風土があります。

採用倍率に関しては人気の部署ほど高めとされていますが、全社的に人材育成に力を入れており、新卒だけでなく中途採用においてもチャレンジしやすい環境が整えられています。

株式情報と投資の魅力

同社は証券コード6464で上場しており、配当方針としては安定した還元を掲げています。

最近の配当金は1株あたり40円前後で推移しており、1株当たり株価は2025年時点でおよそ1600円前後と報じられています。

業績の安定感や今後の需要拡大が期待される中、投資家にとっては長期保有の魅力がある銘柄といえます。

未来展望と注目ポイント

今後は電気自動車や再生可能エネルギー関連の市場が拡大し、それに伴い精密部品の需要も高まることが見込まれています。

株式会社ツバキ・ナカシマはスチールボールだけでなく、軽量性や耐食性に優れたセラミックボールの分野にも強みを持っているため、新たなアプリケーションへの参入余地が大きいと考えられます。

また半導体製造装置など、高度な精度が求められる装置向けのボールねじやローラーにも期待が寄せられています。

さらに今後はAIやIoT化が進むことで、より精密で高耐久な部品が必要とされる時代が到来するでしょう。

同社は研究開発に積極投資を行いながら、グローバルな販路拡大を狙うことで収益基盤を盤石にすると見られています。

こうした柔軟な成長戦略によって、将来にわたって安定した業績とさらなる飛躍が期待されています。

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