企業概要と最近の業績
株式会社水道機工
当社は、水の処理に関する総合エンジニアリング企業です。
人々が利用する水道水をつくる浄水場や、生活排水をきれいにする下水処理場など、水インフラ設備の設計、建設、維持管理を行っています。
また、工場で使われる工業用水や排水の処理設備の提供も手掛けています。
長年培ってきた水処理技術を基盤に、安全な水環境の創造と保全に貢献しています。
2026年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が87億8,100万円(前年同期比11.9%増)、営業損失が1億9,600万円(前年同期は2億5,500万円の損失)、経常損失が1億1,500万円(前年同期は1億9,400万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が1億1,000万円(前年同期は1億5,100万円の損失)となりました。
官公庁向けの設備工事の進捗や、維持管理業務が順調に推移したことにより、売上高は前年同期を上回りました。
利益面では、増収効果により前年同期に比べて損失額は縮小したものの、一部の工事において採算が悪化したことなどから、損失の計上となりました。
なお、当社の事業は公共工事が中心であるため、売上や利益は年度末にかけて計上される傾向があります。
価値提案
価値提案とは、お客さまに「どんなメリットを提供できるか」という点を指します。
株式会社水道機工の場合、安全で高品質な水処理技術と製品の提供が大きな柱となっています。
わかりやすくいえば、飲み水が安心して飲めるようにしたり、工場などで利用した水を再利用できるようにしたりする技術を提供しています。
【理由】
創業時から水関連の設備や薬品開発などに一貫して取り組み、長年の研究と経験で高い信頼を得てきたからです。
さらに、企業や自治体が水の安全や環境保全を重視する時代の流れによって、水道機工のサービスが求められる場面が増えてきました。
これにより「安全」「高品質」「持続可能」という付加価値を提供することが、同社の魅力となっています。
主要活動
主要活動は「実際に何をしているのか」という部分で、株式会社水道機工は水処理プラントの設計から施工、そしてメンテナンスまでを一貫して行っています。
これには浄水場の新設やリニューアル、下水処理施設の整備、産業用の廃水処理設備の導入など、多種多様な業務が含まれます。
【理由】
水処理に必要な作業は幅広く、設計だけでなく、作った後の維持管理までフォローしないと本来の効果が発揮できないからです。
そこで同社は、設計・建設だけでなく、その後のアフターフォローや薬品供給なども担うことで、お客さまと長期的な関係を築いています。
このように完結型のサービスを提供することで、安定的な売上や顧客満足度の向上につながっているのが特徴です。
リソース
リソースとは事業を支える「資源」のことです。
株式会社水道機工の場合、まず100年に及ぶ歴史とそこで培われた技術力や経験が最も重要なリソースといえます。
水処理は専門的な知識や技能が必要な分野であり、長年の現場経験が品質や安全性の高さにつながります。
さらに全国各地の浄水場や下水道施設で培ってきた実績やノウハウも大きな強みです。
【理由】
水処理にまつわる課題は地域によって異なるため、現場対応力が求められるからです。
そのため、多様な地域での経験を積み重ねてきた実績が「技術力の蓄積」と「信頼の獲得」を実現し、同社のビジネスモデルにとって欠かせないリソースとなっています。
パートナー
パートナーは一緒に事業を進める仲間や企業のことを指します。
株式会社水道機工は、東レ株式会社との資本関係をはじめ、グループ企業である株式会社水機テクノス、山田設備機工株式会社などと連携して事業を展開しています。
こうしたパートナーの存在によって、水処理技術の共同開発や、より大規模なプロジェクトの受注が可能になります。
【理由】
一社だけではカバーしきれない技術面や販売網の拡充、研究開発などを効率的に行う必要があるからです。
お互いの強みを活かして協力し合うことで、より総合的な水処理ソリューションを提案できるようになり、市場のニーズに合わせて柔軟に対応できる仕組みが整っています。
チャンネル
チャンネルとは、お客さまと接点を持つ方法のことです。
株式会社水道機工は、全国各地に支店や営業所を構えており、自治体の水道局や企業などに直接アプローチしています。
専門スタッフが地域の状況をくわしく理解しているので、現地のニーズに合わせた提案が可能です。
【理由】
水処理施設はその地域の水質や人口、産業構造など多くの要素を踏まえる必要があるからです。
直接足を運び、顔を合わせることで安心感を与え、長期的な信頼関係を築きやすくなります。
また、実際に稼働中の施設を見学してもらうことで、自社の技術力やメンテナンス力をアピールできるという効果もあります。
こうした地道な取り組みが安定的な受注につながっているのです。
顧客との関係
顧客との関係は「どのようにお客さまとつながり続けるか」という部分です。
株式会社水道機工では、プラント設計や施工が終わった後も、メンテナンス契約や技術サポートを通じて密接なつながりを保っています。
【理由】
水処理設備は長い年月にわたり運用するため、故障や老朽化といったリスクに対応する必要があるからです。
そのため、定期的な点検や補修、薬品の供給サポートなどを行うことで、トラブルを未然に防ぎ、お客さまに安心を提供しています。
結果として、安定した売上が見込めると同時に、顧客満足度の高さから新たなプロジェクトの依頼が入るなど、良いサイクルが生まれやすくなります。
顧客セグメント
顧客セグメントは「どんな人や組織がお客さまになるか」という点です。
株式会社水道機工では、自治体の水道局や下水道局が最も大きな顧客となりますが、工場などの産業施設や建設現場など、多様なセグメントにもサービスを提供しています。
【理由】
水は生活や産業活動に欠かせない資源であり、規模や用途が違っても安全と効率を求めるニーズが共通して存在するからです。
さらに、近年は水不足や環境問題に対する関心が高まっていることから、処理水の再利用や汚泥からの資源回収といった新しいサービスを求める企業も増えています。
その結果、自治体だけでなく幅広い業界に向けてソリューションを提供する体制が整えられています。
収益の流れ
収益の流れは「どのようにお金が入ってくるか」ということです。
株式会社水道機工では、主にプラントの設計や施工で得られる収益、薬品やシステムの販売による収益、さらにメンテナンスサービスの契約から生まれる継続的な収益があります。
【理由】
水処理事業は一度設備を作るだけで終わらず、設備が正常に稼働し続けるために継続的なサポートが必要だからです。
プラントや設備を導入した後、定期点検や薬品の供給などが不可欠なので、長期的な視点で収益を確保できる仕組みが形成されました。
結果として、景気変動に影響されにくい安定的なビジネスモデルになっているのが特徴です。
コスト構造
コスト構造は「どこにお金がかかるか」を示します。
株式会社水道機工では、技術開発費や人件費、設備投資などが大きなコストになります。
さらに、メンテナンス関連の費用も重要な項目です。
【理由】
水処理技術は専門性が高く、研究や人材育成が欠かせないことに加え、浄水場や下水処理場など大規模な施設の建設・維持には大きな投資が必要だからです。
しかし、こうした投資をしっかり行うことで、より高度な技術を開発でき、顧客に安心して使ってもらえるサービスを提供できます。
コストは大きいものの、その分、高い品質と信頼性を売りにすることで安定した収益を生み出せる体制を確立しています。
自己強化ループのポイント
自己強化ループとは、成功要因が次の成功につながる仕組みのことをいいます。
株式会社水道機工では、高品質な水処理技術を開発し、それをお客さまが高く評価することで新たなプロジェクトを受注しやすくなるという好循環が生まれています。
受注が増えると売上が伸びて、研究開発や設備投資に回せる資金が確保でき、さらに高性能な技術を開発できるようになります。
その結果、より多くの顧客に選ばれ、新規事業やメンテナンス契約の拡充へとつながっていきます。
また、自治体との長期契約を結ぶことで安定した収益を得られるため、景気の変動に左右されにくい経営基盤を築ける点も重要です。
こうしたポジティブなフィードバックループが同社の強みを一層高め、継続的な成長を実現していると考えられます。
採用情報
採用情報としては、初任給や平均休日、採用倍率などの具体的な数値は公表されていません。
興味がある方は、同社の公式サイトや求人情報ページなどをチェックしてみるとよいでしょう。
水処理や環境技術に興味がある学生や転職希望者にとって、社会貢献度が高い業界ですので注目度も高まっています。
株式情報
証券コードは6403です。
配当金や1株当たりの株価などの細かいIR資料は最新のものを確認する必要があります。
投資を検討する際には、過去の決算短信や事業報告書などを参考にするのがおすすめです。
今後も持続的な水需要が見込まれるだけに、同社の成長余地には期待が寄せられています。
未来展望と注目ポイント
株式会社水道機工は100年の歴史を持つ企業でありながら、常に新しい技術やサービスを開拓しています。
たとえば、水道事業だけでなく、下水処理や汚泥の資源化、産業用水の循環利用など、社会が求める機能を総合的に提供できる点が強みです。
これからは気候変動による水不足や大雨対策、産業排水の高度処理などが国内外で課題となっており、同社の技術やノウハウがますます活躍する場面が増えるでしょう。
さらに、AIやIoTを使った設備管理の自動化・効率化なども期待され、先進的な取り組みがビジネスモデル全体を拡張していく可能性があります。
水という社会インフラを支える企業として、今後も国や自治体、産業界からの需要が堅調に推移すると考えられ、安定した成長戦略を進められる点が注目を集めています。
水をめぐる課題は世界的にも深刻化しており、海外展開を視野に入れた動きも今後進んでいく可能性があるでしょう。
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