企業概要と最近の業績
株式会社オムニ・プラス・システム・リミテッド
当社は、工業用の精密なプラスチック部品を製造・販売しているメーカーです。
主力製品は、コピー機や自動車の内装、家電製品などの内部で、部品をワンタッチで固定するために使われる「プッシュリベット」と呼ばれる留め具です。
企画・開発から金型の設計・製作、そして製品の成形までを一貫して自社で行う体制を強みとしています。
アジアを中心に海外にも生産・販売拠点を持ち、グローバルに事業を展開しています。
2025年8月8日に発表された2025年6月期の本決算によると、売上高は83億8,600万円で、前の期に比べて6.2%増加しました。
営業利益は11億3,100万円で、前の期と比べて27.3%の大幅な増加となりました。
経常利益は12億1,400万円(前期比29.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は8億9,600万円(前期比29.7%増)と、大幅な増収増益を達成しています。
主要な販売先であるオフィス関連機器や自動車業界の生産が回復したことが、この好調な業績を牽引したと報告されています。
価値提案
株式会社オムニ・プラス・システム・リミテッドの価値提案は、プラスチック製品に関わる企画・設計から物流までを一貫して提供できる点にあります。
多くの企業では、開発を行うチームと製造工場、物流業者を別々に契約しなければなりません。
しかし同社は、社内外の専門家や物流ネットワークを統合し、顧客の要望に応じてスピーディーに動かせる仕組みを構築しています。
これにより、時間とコストの最小化を実現しやすくなるため、限られた予算やタイトなスケジュールで製品を開発したい企業から信頼を得てきました。
さらに、顧客が新たに製品を開発する際には、素材や設計の提案だけでなく、量産化に向けた工程管理や品質チェックなどもサポートしています。
これらのサービスは、単なる下請け的な立場ではなくパートナーとして顧客のプロジェクトに深く入り込むことを可能にしています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、背景には、プラスチック業界において素材選びや製造方法が多種多様であることがあります。
顧客企業にとっては、複数業者との連携が煩雑になりやすく、コミュニケーションミスによるトラブルや納期遅延のリスクを常に抱えていました。
そこで同社は、一貫したサポート体制を強みにすることで、顧客企業が余計な調整を行わなくても円滑に製品開発を進められるようにしたのです。
こうした総合力こそが、同社の大きな価値提案となっており、成長を後押しする原動力にもなっています。
主要活動
同社の主要活動は、プラスチック製品の設計・開発、サプライチェーンの管理、そして製造と物流の調整に大きく分けられます。
設計・開発では、専門のエンジニアが素材選定や製品形状の検討を行い、試作や品質検査までトータルにサポートします。
ここでのポイントは、顧客との共同開発にも積極的であることです。
要望を細かくヒアリングし、製品特性や耐久性、コストなどを総合的に考慮して設計を行う姿勢が高く評価されています。
サプライチェーン管理の面では、同社が培ってきた物流ルートと在庫管理のノウハウを最大限に活用しています。
これにより、原材料の安定的な調達や必要最小限の在庫維持が可能になり、顧客企業は余分なコストを抑えながら製品を迅速に市場へ送り出せます。
そして製造と物流の調整では、海外の製造拠点や国内の物流ハブとの連携がスムーズに行われています。
【理由】
なぜこうなったのかというと、プラスチック製品の製造は工程が多岐にわたる一方で、最終的な納期を守ることが非常に重要だからです。
サプライヤーや工場間のコミュニケーションが滞ると、大きな納期遅延や品質トラブルに発展してしまいます。
同社は、このリスクを最小化するために主要活動を細かく分割し、それぞれの専門チームが綿密に連携する体制を整えました。
こうした仕組みによって、エンドユーザーに最適な時期とコストで製品を届けるというゴールを達成しやすくしているのです。
リソース
リソースとして特に強みになっているのは、熟練した技術チームと広範な物流ネットワーク、それからバリエーション豊かな製品ラインナップです。
技術チームはプラスチック素材に関する深い知識だけでなく、最新の製造プロセスやCADソフトを使った設計にも精通しています。
これにより、クライアント企業の求める機能や品質を満たすために、最適な素材の組み合わせや加工手法を提案することができます。
物流ネットワークは国内外に広がっており、複数の拠点を活用することで、製品や原材料を効率的に動かせる体制が整っています。
【理由】
なぜこのようにリソースを拡充できたのかというと、同社が長年にわたって多くの業種の顧客と取引を重ね、要望に合わせてサービスを拡張してきたからです。
製品ラインナップについては、家電部品や自動車部品、医療機器など幅広い用途に対応できるようにノウハウを蓄積しています。
これらのリソースを組み合わせることで、例えば高精度が求められる医療機器に対しても、カスタマイズ設計や品質保証のサービスを提案できるのです。
こうした強力なリソースがあるからこそ、顧客は多種多様なニーズをワンストップで解決できるメリットを感じやすくなります。
プラスチック製品の領域は競合企業が多いですが、これだけ揃ったリソースを持つ企業は決して多くはありません。
そのため、差別化要因としても大きな意味を持っているのです。
パートナー
同社は顧客企業だけでなく、原材料メーカーや物流業者、さらには設計支援ツールを提供するIT企業などとも連携を深めています。
こうしたパートナーシップを築くことで、素材の開発段階から改良案を出したり、物流費の削減策を導入したりすることが可能になります。
【理由】
なぜパートナーを幅広く持つのかというと、プラスチック製品のサプライチェーンは非常に複雑で、一社のみで全工程をカバーするのは大変だからです。
特に、海外の工場を使ってコストを下げたい場合や、新素材を実験的に導入したい場合などは、外部パートナーの存在が欠かせません。
同社はパートナー企業との強い信頼関係を築いてきたため、数量や納期、品質に関する融通が利きやすくなっています。
結果として、顧客企業に対しても柔軟な対応ができるようになるのです。
こういった連携体制が整っているからこそ、大規模プロジェクトでもスムーズに動くことができます。
しかも、パートナーとの共同開発によって新たなノウハウが生まれたり、新製品の可能性が広がったりする効果も見逃せません。
同社が総合力で勝負できる背景には、こうした多様なパートナーとの関係が大きく寄与しているのです。
チャンネル
同社のチャンネルは主に直接営業、オンラインプラットフォーム、パートナー企業経由の3つが中心とされています。
直接営業では、専門チームが顧客企業を訪問し、課題や要望を細かくヒアリングすることで信頼関係を深めます。
オンラインプラットフォームは資料請求や問い合わせに対応しており、見積もりや試作品のリクエストなども素早く行える仕組みが整えられています。
そしてパートナー企業を通じたチャンネルでは、共同で展示会に出展したり、顧客紹介を受けたりする形で新たな取引が生まれます。
【理由】
なぜこのように複数のチャンネルを持つのかというと、プラスチック製品のニーズは業界や地域によって大きく異なり、それぞれに合ったアプローチが必要だからです。
直接営業だけではカバーしきれない地域や業界の潜在顧客にも、オンラインプラットフォームを使って情報を届けられることは大きなメリットとなります。
また、パートナー企業との協働によって、お互いの顧客基盤を活用し合うこともできます。
こうした多面的なチャンネル戦略を採用することで、同社は多種多様なニーズを取り込めるようにしているのです。
近年はデジタル技術の活用に力を入れており、オンラインでの問い合わせ後のフォローアップ体制を強化するなど、顧客獲得をさらに円滑に進める工夫が進んでいます。
顧客との関係
顧客との関係はコンサルティングや共同開発を通じて、非常に密接に構築されています。
同社の担当者は、単に注文を受け付けるだけでなく、顧客企業がどんな製品を目指しているのか、どんな課題を抱えているのかをヒアリングしながら最適な解決策を提案します。
【理由】
なぜこうなったかというと、プラスチック製品の開発には素材特性や製造プロセスに関する専門知識が不可欠で、顧客企業だけで解決できない問題が多いためです。
その際、同社のスタッフはコンサルタントのような立ち位置で参加し、ときには開発初期からアイデアをすり合わせていきます。
さらに、完成した試作品を顧客と一緒に検証し、不具合があればすぐに修正を加えるなど、共同開発のようなフレキシブルなスタイルを取ることで、顧客満足度が高まりやすくなります。
これによって、一度取引を始めた顧客は長期的に同社をパートナーとして選ぶケースが多いといわれています。
関係強化のためには、定期的なミーティングや納品後のフォローアップも欠かしません。
こうした綿密なコミュニケーションが顧客との信頼関係を深め、結果的にリピート受注や新製品開発案件の相談へとつながっていきます。
顧客セグメント
同社の顧客は家電メーカー、電子機器メーカー、自動車部品メーカー、通信機器メーカー、医療機器メーカーなど多岐にわたっています。
プラスチック製品が使われる領域は非常に広いため、これらの業種が必要とする部品や製品の特徴もさまざまです。
家電分野であれば見た目のデザインとコストを両立することが求められ、自動車部品分野では強度や耐熱性、医療機器分野では安全基準と品質保証が特に重要になります。
同社がなぜ幅広い顧客セグメントに対応できるのかというと、過去の開発実績や製造ノウハウを通じて、各業界の求める品質や規格を把握してきたからです。
さらに、業界ごとの法規制や検査方法にも精通しているため、新規顧客が検討する際にも安心して任せやすいと評価されています。
市場環境の変化によって、たとえば医療分野の需要が増えたり、自動車の電動化が進んだりしても、その変化に対応できるだけの技術やリソースがあることが強みです。
こうした幅広い顧客セグメントを持つことで、ある特定の産業に依存しすぎるリスクを軽減し、安定したビジネス基盤を築くことにも成功していると考えられます。
収益の流れ
同社の収益源は主にプラスチック製品の販売、そしてコンサルティングサービスやエンジニアリングサポートといった付加価値サービスから成り立っています。
プラスチック製品の販売では、開発段階から携わり、製造まで一貫して請け負うケースが多いため、顧客にとっては安心感がある一方、同社にとっては大きな売上を得やすいモデルです。
コンサルティングサービスやエンジニアリングサポートでは、素材の選定や設計手法の提案、工程管理などを有償で提供する形になります。
【理由】
なぜこうした形態を取るのかというと、製品販売だけに依存していると市場価格の変動や原材料コストに左右されやすく、利益率が不安定になりやすいからです。
付加価値サービスを充実させることで、単純な製品価格競争から抜け出し、より安定した収益を確保することができます。
また、顧客側から見れば、コンサルティングと開発・製造を同じ会社に任せることでコミュニケーションがスムーズになり、全体の品質や納期管理もしやすくなります。
このように、モノを売るだけでなく、技術とノウハウを売ることで高い付加価値を生み出している点が、同社の収益構造の特徴といえます。
コスト構造
同社のコスト構造は、製品開発に必要な人件費と研究開発費、そして物流や在庫管理にかかる費用が大きな割合を占めます。
特にプラスチック製品は素材の仕入れコストが変動しやすいため、原材料費の管理が重要になります。
また、エンジニアやコンサルタントなど専門職が多いため、人件費や教育費もコストの大きな要因です。
【理由】
なぜこうした構造になっているのかというと、同社が製品の設計から製造、そして出荷までを一貫して行う形でビジネスを展開しているからです。
外部の協力会社に委託する部分もありますが、重要なコア業務は社内で担っているため、自社スタッフによるサポート体制を維持する必要があります。
物流と在庫管理は、顧客の要望に合わせたスケジュールで製品を届けるために欠かせません。
多拠点で在庫を持つ場合、その分だけ倉庫コストや輸送コストが増えるリスクがありますが、納期を守るためにはある程度の在庫が必要になることも多いです。
同社は長年の経験から、需要予測を行いながら最適な在庫水準を保つよう工夫しており、無駄なコストを削減しつつ品質と納期を守る体制を整えています。
研究開発費については、新素材の導入や製造プロセスの改善に力を入れるため、一定の投資が恒常的に必要になっています。
こうしたコスト構造を的確に管理することで、収益率を安定させる努力を続けているのです。
自己強化ループ(フィードバックループ)
同社の自己強化ループは、製品開発力と顧客満足度の向上が相互に影響し合うことで成立していると考えられます。
たとえば、同社が優れたプラスチック製品を開発して納品すると、顧客はその品質やサービス体制に満足し、継続的な取引を行う可能性が高まります。
その結果、同社には安定した売上がもたらされ、新たな研究開発投資の原資も確保できるようになります。
さらに、開発投資を行うことで新素材や新しい設計手法の導入が可能になり、より高付加価値のある製品を生み出すことができるようになります。
この一連の流れが繰り返されることで、同社は競合他社との差別化を強めていきます。
また、顧客との共同開発プロジェクトが増えれば増えるほど、実績とノウハウも蓄積され、市場での信頼度がさらに高まります。
顧客としても、新しいアイデアを実現できるパートナーとして同社に期待を寄せるため、次のプロジェクトでも同社を選ぶことが多くなるのです。
こうした繰り返しが自己強化ループとなって、企業の成長とブランド力の向上に貢献しています。
万一コスト増などの要因で収益が圧迫されても、すでに培った技術や信頼関係が支えとなり、短期的な調整で乗り切りやすい点も、このループの強さを示しています。
採用情報
初任給や平均休日、採用倍率などの詳細は公表されていないようです。
ただし、プラスチック製品やサプライチェーンの分野で専門性を高めたい方にとっては、幅広い経験が積める職場環境が整っているといわれています。
技術職から営業職、さらには物流関連の職種など、さまざまなキャリアパスが想定されるため、幅広い人材を募集する可能性があります。
興味がある方は最新の採用ページや求人情報を確認すると良いでしょう。
株式情報
銘柄コードは7699です。
一株当たりの株価は2025年2月18日時点で725円となっており、時価総額は約8億7千万円です。
発行済株式数は1,201,500株となっています。
配当金に関しては公表されていないため、投資家にとっては今後のIR資料などでの発表が注目されます。
比較的小型の銘柄であることから、今後の成長期待を踏まえて注目する投資家も増えつつあるようです。
未来展望と注目ポイント
今後、プラスチック製品の需要は環境対応素材や新素材の登場などによって、大きな変化が見込まれます。
同社はすでにサステナブルな原材料の開発や高機能樹脂の取り扱いに力を入れ始めており、この方向性が広がれば、家電や自動車だけでなくヘルスケアや通信分野での採用もさらに拡大するかもしれません。
特に通信機器や医療機器の分野では、高い安全性や精度が要求されるため、同社のように一貫した品質管理とエンジニアリングサポートを提供できる企業が重宝されます。
また、成長戦略として海外展開を強化する可能性も考えられます。
海外工場との連携や、現地のパートナー企業との協力体制がすでに整っている場合、関税や為替の変動を見越したコスト管理を強化すれば、新たな市場を切り開くチャンスがあるでしょう。
プラスチック製品は世の中にあふれているからこそ、今後の動向次第で業績が大きく伸びるかもしれません。
特に環境意識の高まりに対応した新製品を開発できれば、企業価値の向上につながるだけでなく、SDGsに取り組むグローバル企業からの引き合いも増えると期待されます。
こうした背景から、株式会社オムニ・プラス・システム・リミテッドは、今後の市場変化に合わせた柔軟な対応と技術革新を続けることで、さらなる飛躍が期待できる企業といえます。
今後のIR資料や事業報告に注目しながら、新しいサービスや製品の開発動向を追いかけることが大切になりそうです。


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