企業概要と最近の業績
株式会社島津製作所
当社は、京都に本社を置く、精密機器や計測器、医療機器、航空機器などを製造するメーカーです。
「科学技術で社会に貢献する」という理念のもと、幅広い分野で事業を展開しています。
主力事業の一つである分析・計測機器事業では、物質の成分を分析する液体クロマトグラフや質量分析計などを提供し、医薬品開発や品質管理、環境計測といった分野を支えています。
また、レントゲン撮影装置などの医用機器や、航空機の制御システム、半導体製造に欠かせない真空ポンプなども手掛けています。
2025年8月6日に発表された2026年3月期第1四半期の決算によると、売上高は1,252億2,700万円で、前年の同じ時期に比べて5.9%増加しました。
営業利益は110億3,000万円で、前年同期比で4.5%の増加となりました。
経常利益は132億8,100万円(前年同期比2.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は97億1,300万円(前年同期比5.4%増)と、増収増益を達成しています。
主力の分析・計測機器事業が、国内外の製薬会社の設備投資などを背景に好調だったことに加え、航空機器事業も回復が続いたことが業績を牽引したと報告されています。
価値提案
株式会社島津製作所は、高精度かつ高い信頼性を備えた計測機器や医用機器を提供することで、多様な顧客の課題解決をサポートしています。
たとえば、医薬向けの質量分析装置は、薬の開発スピードや品質の向上に貢献し、人々の健康維持に大きく寄与します。
【理由】
 なぜそうなったのかというと、同社は長年にわたる研究開発の積み重ねによって培った高度な技術を基盤とし、顧客のニーズをきめ細かく分析して製品設計を行ってきたからです。
こうした価値提案が、医療機関や製造業界からの高い評価につながり、さらには企業のブランド力と信頼度を高める要因にもなっています。
主要活動
研究開発から製造、販売、アフターサービスまでを一貫して行う体制を整えています。
最先端の研究施設を活用し、新しい計測技術や診断技術の開発に注力しながら、自社工場で高品質な製品を安定的に生産しています。
【理由】
 なぜそうなったのかというと、同社が幅広い分野で事業を展開する中で、技術力を常に磨く必要があったからです。
また、自社の強みを最大限に活かすため、研究開発と製造を密接に結びつけ、フィードバックを素早く次世代製品に反映できる仕組みを築いています。
結果として、市場の変化に柔軟に対応しながら、付加価値の高い製品を供給することが可能になっています。
リソース
同社のリソースとしては、熟練したエンジニアや研究者、最先端の研究施設、長年のノウハウが挙げられます。
世界水準の技術開発を行うための設備投資も惜しまず、複雑な分析機器や高度な医用システムを開発しています。
【理由】
 なぜそうなったのかというと、創業以来、理科学機器の開発で培われた伝統的な技術力に加え、新たな領域へ進出する柔軟性を重視してきたからです。
これらのリソースが相乗効果を発揮し、企業としての成長エンジンとなっています。
さらに人材育成にも力を入れ、高度な専門知識を身につけた人材を継続的に輩出することで、常に革新的な製品を生み出す土台を維持しています。
パートナー
大学や研究機関、医療機関、そして半導体関連企業など、多岐にわたるパートナーとの連携を進めています。
共同研究や開発契約などを通じ、新技術の実証や市場ニーズの把握を効率的に行っています。
【理由】
 なぜそうなったのかというと、自社だけでイノベーションを起こすには限界があるため、外部との協力体制が極めて重要だと認識しているからです。
また、パートナーシップにより、幅広い分野の専門知識や技術を取り込みやすくなり、最先端の製品をいち早く市場に投入することが可能になります。
こうした協働の成果が、同社の事業領域拡大と競合他社との差別化にもつながっています。
チャンネル
国内外の販売拠点やオンラインプラットフォームを通じて、世界中の顧客にアプローチしています。
特に海外市場では、現地法人を設立したり代理店を活用したりすることで、ローカルのニーズに対応した営業活動を行います。
【理由】
 なぜそうなったのかというと、多様な製品ラインアップをグローバルに展開するためには、現地の言語や文化、規制に合わせたサービス体制が必須となるからです。
また、オンラインによる製品紹介やサポートを強化することで、時差や距離の壁を越えた迅速な対応を実現しています。
これにより、顧客満足度を高めるだけでなく、新規顧客の獲得チャンスを広げることができます。
顧客との関係
直接販売だけでなく、カスタマーサービスや技術サポートを通じて長期的な関係を築いています。
故障時の迅速な修理対応や定期点検など、導入後も安心して使ってもらえる体制を整えています。
【理由】
 なぜそうなったのかというと、製品が高度化すればするほど、ユーザーにとってはサポートの質が重要になるからです。
精密機器を利用する現場では、少しのトラブルが大きな損失につながるため、信頼できるサポート体制が企業評価を左右します。
同社はこの点を重視し、顧客との密接なコミュニケーションを継続することで、継続的な買い替え需要や追加導入の際にも選ばれる存在となっています。
顧客セグメント
医療機関や研究機関、製造業の企業などが主な顧客となっています。
【理由】
 なぜそうなったのかというと、同社の製品群が医療や科学研究、産業プロセスなどで必要不可欠な精密な測定・分析技術を提供するからです。
医療機関では画像診断装置や検査装置が使われ、研究機関では分析機器や実験装置が導入されるなど、分野ごとのニーズに合わせた製品展開が可能になっています。
半導体製造業向けの装置や、防衛関連の航空機器なども含め、幅広い産業にソリューションを提供することで、経済状況の変化や特定分野の需要減少リスクにも柔軟に対処できる体制が整っています。
収益の流れ
収益源は製品販売だけでなく、保守サービスや関連ソリューションの提供にも及びます。
【理由】
 なぜそうなったのかというと、高度な機器ほど導入後のメンテナンスやアップグレード需要が見込めるため、アフターサービスを充実させることで継続収益を得られるからです。
また、顧客の要望に応じてカスタマイズされた装置やソフトウェアを追加販売するケースもあります。
これにより、一度の取引だけで終わらず、長い期間をかけて安定的な収益を確保するビジネスモデルを確立しています。
その結果、市場の変動にも強い企業体質を築くことができています。
コスト構造
研究開発費や製造コスト、販売・マーケティングにかかる費用が大きな比率を占めます。
【理由】
 なぜそうなったのかというと、最先端の技術開発を行うためには設備投資や人件費が必要不可欠であり、グローバルに自社製品を展開するためには営業拠点の整備やプロモーションも欠かせないからです。
一方で、同社は複数事業分野を持つことで一定のスケールメリットを享受し、コスト負担を分散しています。
さらに、製造工程の効率化やサプライチェーンの最適化にも取り組み、品質を落とさずコストを抑える努力を続けています。
これらの施策を通じて高い競争力と収益性を保ち、継続的な成長を目指しています。
自己強化ループ
同社の事業には、研究開発と市場ニーズを循環させる自己強化ループが存在しています。
まず、多様な顧客セグメントから寄せられる要望を、研究開発部門が素早く吸い上げます。
これにより、顧客の課題解決につながる製品が次々と生まれ、市場で高い評価を獲得します。
その結果、販売が伸びて収益が増え、さらに研究開発に投資できる資金が確保されるのです。
こうして生まれた新技術や新製品は再び顧客の関心を集め、さらなる売上増につながります。
また、複数分野で成功を収めているため、一つの分野で築いた技術が別の分野にも応用され、互いの事業を強化し合う相乗効果も生まれやすいです。
これらが連鎖的に繰り返されることで、同社は長期的に安定した成長を実現しています。
採用情報
初任給は博士了が308,930円、修士了が290,000円、大学卒が266,000円と比較的高めの水準になっています。
年間休日は125日で、完全週休2日制や長期休暇もしっかりと確保され、働きやすい環境が整っています。
手当も役職手当や次世代育成手当、通勤費補助などが用意されており、社員の生活面をサポートする姿勢がうかがえます。
採用倍率は公表されていないものの、安定した経営基盤と高い技術力を持つ企業として毎年人気が高いといわれています。
そのため志望者は事前にしっかりと企業研究を行い、明確な動機を伝えることが重要になります。
株式情報
銘柄コードは7701です。
2022年度の配当金は年間で50円(中間22円、期末28円)と、安定した株主還元を行っています。
2023年3月31日時点での株価は4,140円ほどで、時価総額は1兆2,257億円を超えており、日本の精密機器セクターを代表する企業の一つです。
配当利回りや業績の推移を丁寧にチェックすることで、中長期的に魅力を感じる投資先として注目されることも少なくありません。
未来展望と注目ポイント
今後は、グローバルでの需要拡大に対応しながら、研究開発をさらに強化していくと見られます。
たとえば、医薬品開発向け分析装置の需要は世界的に伸びており、新薬やバイオテクノロジーの進歩に合わせた高精度の装置が必要とされています。
また、半導体製造装置向けターボ分子ポンプや防衛関連の航空機器分野も、国際情勢や技術革新の影響で市場が活性化しやすい領域です。
こうした複数の成長余地を持つ事業をバランスよく運営することで、経済環境の変動に強い経営を続けられる可能性が高いです。
さらに、顧客から寄せられる課題をスピーディに解決することが同社の強みなので、今後も新しいソリューションやサービスが誕生するでしょう。
世界各地の研究機関や医療施設とのコラボレーションを積極的に進めることで、一層の技術革新とブランド力向上が期待され、持続的な成長につながっていく見通しです。

 
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