企業概要と最近の業績
株式会社青山商事
紳士服販売の最大手企業です。
主力である「洋服の青山」を全国に展開し、スーツやフォーマルウェア、関連洋品などを販売しています。
その他にも、若者向けの「THE SUIT COMPANY」や、オーダーブランドの「UNIVERSAL LANGUAGE MEASURE’S」など、多様なブランドを運営しています。
また、フランチャイズ事業として「ダイソー」や焼肉店「焼肉きんぐ」の運営も手掛けるなど、事業の多角化も進めています。
2026年3月期の第1四半期決算は、売上高が434億1900万円となり、前年の同じ期間に比べて1.2%の減収となりました。
本業の儲けを示す営業利益は9億1000万円で、前年同期比49.3%の大幅な減益です。
経常利益は11億2300万円で前年同期比44.4%の減少、最終的な純利益は5億900万円で前年同期比59.8%の減少となり、減収減益での着地となりました。
価値提案
株式会社青山商事は、高品質かつ多様なビジネスウェアと関連サービスを提供しています。
長年のスーツ販売実績をもとに培ったノウハウとトレンドを取り入れることで、安心して利用できる商品ラインナップを実現しました。
こうした価値提案は、新社会人や就活生にも支持されやすく、就活スーツ専門コーナーなどが注目されています。
社員の接客力や商品の細かなディテールに注目することで、「自分の体に合った最適な一着」を求める顧客ニーズにしっかり応えているのが、同社の強みにつながっています。
主要活動
同社が行う主要な活動は、商品の企画・開発から店舗運営、そしてマーケティングまで多岐にわたります。
ビジネスシーンや就職活動に適したスーツのデザインや素材選定に力を入れ、店頭での販売に加えてオンラインストアの活用によって幅広い顧客層へのアプローチを図っています。
ここまで一貫した活動体制が整えられているのは、長年のスーツ専門店としての実績に基づき、顧客がどのような商品を求めるかを具体的に把握しているためです。
リソース
全国規模の店舗網や、信頼を獲得してきたブランド力、さらに店舗で働く熟練スタッフの接客技術などが重要なリソースとなっています。
例えば、多店舗展開は地域密着型の販売を可能にし、近くに店舗があることで顧客が買い物しやすい環境を整えています。
また、ブランド力があるからこそ、新規事業分野にも展開しやすく、顧客が「青山なら大丈夫」と安心できるのです。
パートナー
材料や生地の仕入れ先といった素材供給業者や、全国に商品を届ける物流業者、さらには宣伝を担う広告代理店が同社の主要パートナーです。
長年の取引を通じて構築されたパートナーシップがあるため、急な販売計画の変更や需要変動にも柔軟に対応できます。
こうした連携強化は、顧客に安定した品質の商品を届ける基盤ともなっています。
チャンネル
直営店舗、オンラインストア、そして近年ではスマートフォン用のモバイルアプリを活用しています。
従来の対面販売では実際に商品を手に取って確認できる安心感が魅力であり、オンラインやアプリでは忙しいビジネスパーソンや地方在住の方に便利なサービスを提供しています。
こうした多彩なチャンネル展開は、店舗とECの両面から売上増を狙う戦略が背景にあります。
顧客との関係
会員制度やポイントプログラムを充実させることで、リピーターを獲得しやすくしています。
例えば、購入金額に応じてポイントが貯まる仕組みを設けることで、定期的な来店や新作スーツの買い替えニーズを促進しています。
同社の接客スタイルは丁寧なカウンセリングを重視するため、顧客との関係構築が深まりやすいです。
顧客セグメント
同社はビジネスパーソン、就活生、さらにフォーマルウェアを求める幅広い顧客を対象としています。
新入社員から管理職層まで、それぞれの年代に合ったデザインや価格帯の製品を豊富にそろえている点が特徴です。
こうした顧客層の幅広さが、多少のトレンド変化や景気変動にも左右されにくいビジネスモデルをつくりあげています。
収益の流れ
主な収益はスーツやシャツ、シューズなどの販売収入ですが、カジュアルウェアや雑貨、リペアサービスからの売上も伸びています。
特に、修理やクリーニングといったアフターサービス部門は、一度購入した顧客のリピート利用を期待できるため、収益の底上げにつながっています。
コスト構造
商品の仕入れや全国店舗の運営費、人件費、広告・マーケティング費用などが中心となっています。
店舗数が多い分、固定費も大きくなりますが、その分高いブランド認知度を活かした安定した売上につなげています。
多店舗展開によるコストはかかるものの、それを超える販売実績と固定客の存在が、現在のビジネスモデルを支える重要な要因となっています。
自己強化ループ
株式会社青山商事が成長するうえで大切なのが、顧客との信頼関係によってブランド価値がさらに高まり、その結果としてリピーターが増えるという好循環です。
例えば、就職活動時に利用した学生が社会人になり、スーツの買い替えやドレスシャツの追加購入のために再び店舗を訪れるという流れが典型的です。
このループが動くほど、ビジネスウェアだけでなく雑貨やリペアなどの多角的な事業にも興味を持ってもらえるチャンスが広がります。
その結果、同社としては事業領域をさらに強化でき、顧客からは「青山があれば困らない」というブランドイメージが固定化されていきます。
こうした自己強化の仕組みは、営業利益などの指標にも表れており、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客をしっかり抱え込むことで安定した売上と収益を生み出す原動力になっています。
今後もカジュアル化やオンライン需要への対応を強化することで、この好循環をさらに強めていくことが見込まれています。
採用情報
株式会社青山商事では、初任給に関しては公式には詳細を公表していませんが、アパレル業界や小売業界の水準に合わせた形と推測されています。
年間休日は120日程度で、働きやすい環境づくりにも配慮が見られます。
また、採用倍率も非公開とされていますが、店舗スタッフ以外にECサイト運営や商品企画、物流管理など多岐にわたる職種があり、これらの部門で意欲を発揮したいと考える方にとっては幅広いチャンスがあるといえます。
株式情報
同社の銘柄コードは8219です。
2025年3月期には、1株あたり61円の配当金が予定されています。
株価は日々変動するため、投資判断の際には直近のマーケット情報を合わせて確認することが大切です。
長期保有での安定配当を狙う投資家にも支持されている一方で、市場環境や消費動向の変化によって株価が動きやすい面もあります。
未来展望と注目ポイント
今後はカジュアル志向がさらに強まる可能性がありますが、リモートワークやオンライン会議の増加によって逆に上半身のフォーマル感を重視する人が増えるなど、新たな需要も考えられます。
こうした変化に合わせて、スーツからカジュアルライクなジャケット、さらには雑貨やインテリアへと事業を広げることで、顧客の生活シーン全体をサポートする企業としての強みを確立することが期待されます。
特にリペアサービスや雑貨販売など、スーツに留まらない分野の拡大は収益源を多角化するうえでも大きな役割を担います。
また、オンラインストアやアプリの利用を促進するデジタル戦略も重要となっており、自宅にいながらサイズ測定をアシストする仕組みや、AIを活用したコーディネート提案など、次世代の買い物体験を整備することで顧客満足度を上げる動きが見られます。
これらの取り組みが実を結べば、新規顧客や若年層をさらに取り込めるだけでなく、既存顧客との関係も一段と深まるでしょう。
今後の成長戦略としては、これまで築いてきたブランド力と全国規模の店舗ネットワークを活かしながら、消費者ニーズの変化に柔軟に応えていくことが鍵となります。
ここで培われたノウハウや顧客データを活用することで、独自の商品開発やサービス展開につなげることが期待されます。
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