企業概要と最近の業績
株式会社ナック
宅配水「クリクラ」の製造・販売を行うクリクラ事業を中核としています。
また、工務店や建設会社を支援する建築コンサルティング事業や、清掃用品のレンタルを行うレンタル事業も展開しています。
その他、戸建住宅の販売を行う住宅事業や、化粧品・健康食品の通信販売を行う美容・健康事業など、多角的な事業を手掛けています。
2026年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が125億8,300万円(前年同期比3.2%増)と増収でした。
しかし、営業利益は5億1,200万円(同15.8%減)、経常利益は5億3,500万円(同16.1%減)と減益になりました。
親会社株主に帰属する四半期純利益は2億5,800万円(同25.5%減)となっています。
主力のクリクラ事業や建築コンサルティング事業は堅調に推移し、売上を伸ばしました。
一方で、広告宣伝費や人件費の増加が利益を圧迫したほか、住宅事業が資材価格の高騰の影響を受け採算性が悪化したことが、全体の減益につながりました。
【参考文献】https://www.nacoo.com/
価値提案
生活に役立つサービスのワンストップ提供。
高齢化や忙しい現代人のニーズに合わせた快適性の追求。
安心安全な水の提供や、日々の暮らしをサポートする各種商品。
【理由】
なぜそうなったのかと言うと、ナックは創業以来、人々の暮らしを支える事業を積み上げてきました。
たとえばウォーターサーバー事業のクリクラは、忙しくて重いペットボトルを買いに行く時間がない人にも便利です。
安全で美味しい水を届けることで、家庭内での水の負担を減らし、健康と快適性を同時に得られます。
さらに、レンタル事業や建築コンサルティング事業でも「暮らしをより良くする」という共通の価値を提供しています。
多角化といっても、すべての事業は「お客さまの暮らしに役立つサービスを届ける」という基本方針に沿っています。
そのため、何をメインの価値とするかが明確になっており、各事業がバラバラにならず、一貫性を持って展開できるのです。
こうした姿勢を保つことで、顧客から「暮らしをサポートしてくれる頼れる企業」というイメージを得やすくなり、結果として商品やサービスに対する信頼感を高めています。
また、世の中のニーズに合った新サービスを開発するときも、この「生活支援」という大枠の中でアイデアを形にできるので、一つの事業が成功した経験が他の分野に活かしやすくなっています。
さらに、ウォーターサーバーや掃除用品のレンタルといった日々使う商材は、リピート率が高いことが特徴です。
生活に深く根ざしているからこそ、お客様が長期的に使い続けることが多く、安定収益へつながっています。
主要活動
ウォーターサーバー事業や清掃用品のレンタルサービスの運用。
工務店向けコンサルティングと新商品開発サポート。
既存顧客へのきめ細やかな営業と新規開拓。
【理由】
なぜそうなったのかというと、まずウォーターサーバー事業はナックの基幹ビジネスとして確立されており、サーバーの維持管理や顧客対応が常に必要な活動になります。
清掃用品やケアサービスのレンタル事業では、定期的に商品を届けるだけでなく、実際に使う人の声を集めて品質改善をすることが求められます。
利用者の満足度が高ければ契約の継続率も上がり、リピート利用が収益の安定性を高めてくれるのです。
一方で、建築コンサルティング事業は工務店へのサポートと新商品の企画提案が中心であり、環境への配慮やデジタル技術の導入など、時代の流れに沿ったコンサルティングが重要になります。
SDGsやDXといった社会的な大きな潮流がある中で、そのニーズを的確に捉えるためには、現場の情報収集や技術アップデートなど、日頃の調査と研究が欠かせません。
さらに、ナックではこうした活動を行う際に、事業ごとの情報を社内で共有し、お互いにノウハウを交換する文化が根づいています。
ウォーターサーバー事業で培った顧客管理システムをレンタル事業にも応用するなど、同じ企業内での連携によって仕事の効率化やサービス向上が図られているのです。
結果的に、主要活動一つひとつが密接に結びつき、多角化経営であっても統合感のある事業運営を実現しています。
リソース
自社プラントと物流ネットワーク。
専門知識を持つ人材と営業拠点。
顧客データを活かす管理システム。
【理由】
なぜそうなったのかを考えると、まずウォーターサーバー事業には安定した水の製造と品質管理が不可欠であり、自社プラントを持つことで安全性や味わいのレベルをコントロールしやすくなります。
さらに、全国へ配送するための物流体制も強化しており、これがレンタル事業との相乗効果を生み出しています。
たとえば、同じ運送ルートでウォーターサーバーのボトルとレンタル用品を回収するなど、効率的な配送計画を可能にしているのです。
一方、専門知識を持つ人材は建築コンサルティング事業など、より高度なサービスを展開する上で欠かせない存在です。
工務店向けの支援では、法律や環境規制の理解だけでなく、デジタル技術のノウハウも必要です。
そうした多面的な要望に応えるには、常に知識をアップデートし、顧客に最適な提案をする専門家が欠かせません。
営業拠点についても、地域密着で動ける拠点を各地に構えることで、迅速なトラブル対応やアフターサービスを実現しています。
顧客データを活かす管理システムは、これまでの購買履歴や問い合わせ内容を分析することで、新規商品やサービスの開発に役立つ情報を得ることができます。
データを有効活用することで、ユーザーが求めるタイミングで新しい提案を行えるため、顧客満足度が高まりやすくなります。
こうしたリソースを連携して使えるところが、ナックの大きな強みといえるでしょう。
パートナー
運送会社との協力による安定した配送網。
スーパーマーケットや代理店との提携。
工務店や建築関連企業との連携。
【理由】
なぜこうしたパートナーと組んでいるのかというと、ナックの事業特性として「お客さまのもとへ商品やサービスを届ける」ものが多いためです。
ウォーターサーバーは重いボトルを扱うので、輸送コストと効率の面から信頼できる運送会社が必要になります。
安定した配送網を確保することで、サービスを滞りなく提供できるのです。
さらに、レンタル事業では、スーパーマーケットやホームセンターなど、日常的に人が訪れる場所との提携が大きなメリットになります。
利用者が商品を直接見たり、情報を得たりできる機会を増やすことで、新規顧客の開拓につなげやすくなるからです。
一方、建築コンサルティングでは、工務店や建築関連企業とのパートナーシップが不可欠です。
工務店にとっては、ナックが持つSDGsやDXに関する知識や新商品情報は大きな価値があります。
ナックにとっても、工務店が抱える現場の悩みを直接聞くことで、より実践的なサービスを開発できます。
こうした相互依存の関係が、長期的なビジネスの安定につながるわけです。
また、パートナー企業との良好な関係は、将来的に新しいサービスやキャンペーンを企画するときにも活きてきます。
複数の業界と連携しているからこそ、多面的なアプローチが可能になり、事業の幅も広がっていきます。
チャンネル
インターネット通販サイトや公式ホームページ。
直販ルートと代理店販売。
店舗や展示会でのプロモーション。
【理由】
なぜこのようなチャンネル構成なのかというと、ナックはウォーターサーバーやレンタル商品を手がけているため、比較的導入が簡単なネット注文だけでなく、リアル店舗でのPRや説明も重要視しているからです。
ウォーターサーバーを初めて導入する人は、実物を見たり、どんな味なのかを試飲したりして安心したいというケースがあります。
そこで、展示会や店舗での体験を通じて新規顧客を獲得する仕組みを持っています。
直販ルートに力を入れるのは、商品知識が豊富なスタッフが直接顧客とやりとりし、不明点を解決できるメリットがあるからです。
一方で、全国規模で販売網を拡大するには代理店を活用した方が効率が高く、多角化経営を支える仕組みとしても代理店は欠かせません。
インターネット通販に関しては、忙しい人や遠方の人でも手軽に注文できることから、今後も利用者が増え続けると考えられます。
特にコロナ禍でオンラインショッピングが定着した流れは、ウォーターサーバーや清掃用品など、日常的に必要な商材を扱うナックにとって大きな追い風になりました。
このように、複数のチャンネルを組み合わせることで、幅広い顧客層にアプローチできるようになっています。
顧客との関係
対面での丁寧な接客や定期訪問。
オンラインでの問い合わせ対応やアフターサービス。
長期的な信頼関係を育むサポート体制。
【理由】
なぜこうなったのかと言えば、ナックはウォーターサーバーやレンタル用品、コンサルティングなど、継続的に使ってもらうサービスが中心です。
継続利用するには、顧客が「信頼できる」と感じることが大前提になります。
対面での接客を重視するのは、サービスの特性上、契約前に直接話して安心したい人が多いからです。
また、利用開始後も定期訪問やメンテナンスを行うことで、「この企業はアフターケアまでしっかりしている」というイメージを与えられます。
一方、忙しい現代では、オンラインで気軽に問い合わせできる体制も求められています。
そこでナックは、メールやチャットなどで簡単に連絡が取れる仕組みを整えています。
これにより、ちょっとした疑問やトラブルにも迅速に対応できるようになりました。
さらに、長期的な信頼関係を育むうえで、利用者の声を集めてサービス改善につなげるフィードバック体制も欠かせません。
たとえば、ウォーターサーバーのボトル交換時にドライバーが利用者の声を聞いて社内に共有するなど、顧客満足度を高める工夫を続けています。
結果的に、丁寧な対面サポートとオンライン対応が補い合うことで、より多くの人が安心してサービスを利用できるようになるのです。
顧客セグメント
働いていて忙しい家庭や子育て層。
スーパーマーケットや運送会社などの法人顧客。
工務店や建築関連の企業。
【理由】
なぜこれらの層に絞っているのかというと、ウォーターサーバーは重い水の買い出しが難しい共働き家庭や子育て中の家族にとって、とても便利な商品だからです。
レンタル事業も同様に、忙しい家庭ほど清掃用品や家事サポートを利用するニーズが高いと考えられます。
また、スーパーマーケットや運送会社は、商品を流通させるうえで欠かせないパートナーというだけでなく、ナックが販促を行う場としても機能する存在です。
一方、工務店や建築関連の企業に対しては、建築コンサルティング事業を通じてSDGsへの取り組みやDXの導入支援を行っています。
こうしたコンサルや新商品の提案を必要としている工務店は、今後の市場競争を勝ち抜くために専門的なサポートを求めています。
ナックとしては、建築業界が抱える課題に対して総合的なソリューションを提供できる立場を確立することで、新たな顧客セグメントを開拓しているのです。
結果として、一般家庭から法人、さらには工務店まで多様な顧客層を持つことで、景気の変動にも強く、安定した収益を上げやすい仕組みができあがっています。
収益の流れ
ウォーターサーバーやレンタル商品の月額料金。
製品販売や会費収入。
コンサルティングフィーやマージン。
【理由】
なぜこの形態なのかを見ていくと、ウォーターサーバーや清掃用品のレンタルは、継続利用が基本になるため定期的な月額料金が主な収益源となります。
こうしたサブスクリプション型のモデルは、解約率を低く抑えることができれば、安定的な売上を生み出しやすい特長があります。
また、ウォーターサーバー本体や関連グッズの販売、その他のサービスに関しては都度課金が発生し、追加の収益を得る仕組みです。
加えて、工務店向けコンサルティングでは契約ごとにコンサルティングフィーが発生し、サービス内容や期間に応じてマージンが変動します。
このように、一度売って終わりではなく、継続利用やサポートなど、長く関係を続ける仕組みを軸に据えているのが特徴です。
多角的な事業を展開することで、一方の事業が不調でも他方の事業でカバーできるメリットもあります。
また、新型コロナウイルスの影響など突発的な外部要因があっても、レンタル事業やコンサルティング事業など複数の柱があることで、総合的な収益が大きく落ち込まないようにリスクを分散しています。
これこそがナックの多角化経営を支える強みの一つといえるでしょう。
コスト構造
人件費と物流費が中心。
製品開発費や設備投資への支出。
営業活動やマーケティングにかかるコスト。
【理由】
なぜこうなっているのかといえば、ウォーターサーバーや清掃用品の配送は全国規模で行われるため、運送費が大きな割合を占めます。
また、顧客対応やアフターサービスを行うスタッフの人件費も必要です。
ナックは多角化経営なので、それぞれの事業を回すために必要な人員の確保や研修コストがかかります。
しかし、複数の事業を展開している分、同じドライバーがウォーターサーバーとレンタル商品の配送を兼務するといった効率化も可能になります。
製品開発費や設備投資は、たとえば新しいウォーターサーバーの設計や建築コンサルティングのシステム導入など、事業拡大のために欠かせない支出です。
これらに投資することで付加価値の高いサービスを提供できるようになり、中長期的な利益増加を目指しています。
営業活動やマーケティング費用では、ネット広告だけでなく、展示会や試飲会といったリアルイベントにかかる出費も考慮する必要があります。
どのチャネルが効果的に顧客を獲得できるかを検証し、時代の流れや市場環境に合わせて柔軟にコスト配分を変えていくことで、経営の安定化につながっています。
自己強化ループ
ナックの自己強化ループは、多角化経営と顧客基盤の活用により成り立っています。
最初にクリクラ事業などのウォーターサーバーを通じて顧客接点を作り、そこで得たデータやノウハウを別の事業に活かす流れがポイントです。
たとえば、ウォーターサーバーの利用者は家庭での家事負担を減らしたいと考えているケースが多く、そこで清掃用品のレンタルを提案すれば、すでにある程度の信頼関係のもとで追加契約につなげやすくなります。
さらに、顧客とのやりとりを通じて得た課題意識やニーズを建築コンサルティング事業にも反映し、家づくりやリフォームに生かせる技術や商品を開発することが可能です。
新しいサービスが成功すれば、そこで生まれた収益を使ってさらに新たなサービスを拡充したり、既存サービスの品質向上につなげたりできます。
このような循環が続くことで、ナック全体の価値が高まり、顧客に対してより魅力的な提案ができるようになります。
結果的に新規参入のハードルも下がりやすく、既存事業と新規事業が相互にメリットをもたらす関係を作りやすいのです。
こうしたフィードバックループがあるからこそ、ナックは単なる事業拡大だけでなく、顧客視点でのサービス向上を続けられ、持続的に成長できるのだといえます。
採用情報
株式会社ナックの採用情報では、初任給に関しては公表されていませんが、年間休日は120日あるとされています。
多角化経営を行っていることから、営業系や技術系、コンサルティングなど、さまざまな分野で人材を募集している可能性があります。
ただし採用倍率に関する具体的な数字は公表されていません。
複数の事業領域があるため、キャリアの広がりや成長機会が豊富なのが魅力ではないでしょうか。
会社としても新しいことにチャレンジしやすい風土を作っているようなので、業界研究や自己分析をしっかり行ったうえで、自分に合う分野を見つけるとよいでしょう。
株式情報
銘柄は株式会社ナックで、証券コードは9788です。
配当金については公表情報が見当たりませんが、今後のIR資料などで最新の情報が開示される可能性があります。
また、2025年3月3日時点の株価は1株あたり655円となっています。
株価は事業の拡大や業績の変化によって変動するため、投資を検討する際には直近の業績や将来の成長戦略をチェックすることが大切です。
ナックの場合、多角化経営による安定感と、社会ニーズに合わせた事業展開が強みですので、長期投資の観点からも注目している投資家がいるかもしれません。
未来展望と注目ポイント
株式会社ナックは、多角化経営により複数の事業でリスクを分散しながら収益を得るモデルを成功させています。
特にウォーターサーバー事業や清掃用品のレンタル事業は、日常生活に直結しており、リピート利用が見込める点で安定性が高いといえます。
また、高齢化が進む中で、ケアサービスの需要が増すことが予想されるため、レンタル事業の幅をさらに広げる可能性があります。
建築コンサルティング事業では、SDGsやDXといった時代の要請に応える製品やノウハウを提供できるかが鍵です。
今後は工務店だけでなく、公共事業や法人向けサービスなど、新しい顧客層への展開が考えられます。
そうした拡大路線を進めるにあたり、ナックがすでに持っている顧客データや物流ネットワークを活用することで、サービスを横展開するスピードはさらに上がるかもしれません。
さらに、水際対策支援事業のように新型コロナウイルス関連の需要を捉えることで、臨機応変な対応力があることも証明しています。
これから先は、社会や環境問題への関心がますます高まるでしょう。
ナックがどういった形で持続可能な社会づくりに貢献し、そこから新しいビジネスチャンスを見いだせるかが大きな注目ポイントです。
顧客ニーズの変化をいち早くキャッチし、複数の事業を横断して総合的なサービスを提供できる力は、今後も業界内での競争優位を支え続けるでしょう。
こうした背景を踏まえると、ナックは今後も成長戦略を実行していくうえで、多面的なアプローチと顧客基盤の拡大を武器にしながら、着実な飛躍を狙う企業として期待が寄せられています。
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