株式会社安藤・間は、土木事業に強みを持つ間組と建築事業に強みを持つ安藤建設が合併して誕生した、国内トップクラスの実績を誇る総合建設会社(ゼネコン)であり、ダムやトンネルなどの大型インフラから超高層ビルや大規模物流施設にいたるまで、極めて高度な施工技術と確かなプロコンストラクションマネジメント能力を最大の強みとしています。
同社は、社会インフラの整備や国土強靱化を支える土木事業と、都市再開発や企業の生産拠点の新設・リニューアルを担う建築事業を二大中核に据えつつ、脱炭素社会の実現に向けた再生可能エネルギー事業や海外でのインフラ開発といった次世代を見据えたビジネスモデルを展開しており、国内外の建設市場において確固たる地位を築いています。
最終的な経営成果である親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比11.9パーセント増の12,279百万円となり、全体として堅調な増収増益を果たす底堅い決算となっています。
この業績結果をもたらした要因としては、土木・建築の両事業において豊富な手持ち工事の施工が順調に進捗したほか、民間企業の旺盛な設備投資意欲や国のインフラ投資が通期を通じて強力な追い風となりました。
セグメント別の動向としては、土木事業において難易度の高い大型案件の着実な進捗により高水準の利益を維持し、建築事業においても物流施設やオフィスビルなどの大型物件の竣工が寄与して完工高が大きく伸長しました。
さらに企業側が講じた施策として、建設業界全体における資機材価格や労務費の高騰といった厳しいコスト圧力に対し、初期段階からの徹底したVE(バリューエンジニアリング)提案による原価削減や顧客との粘り強い価格転嫁交渉を推進しました。
あわせて、デジタル技術を活用した施工現場の生産性向上や、調達ルートの最適化といった具体的な経営施策を徹底したことが実を結び、外部環境の悪化を補って確実な増益と安定した利益水準の確保へと繋げています。
価値提案
株式会社安藤・間は大規模インフラの難工事施工から民間高機能建築まで、高い品質と安全性を保証しつつ、最先端の通信技術を活用した建築ソリューションをワンストップで提供しています。
【理由】
なぜそうなったのかといえば、旧株式会社ハザマが持つ山岳土木の難工事対応力と、旧安藤建設株式会社が持つ都市型建築の営業提案力が合併によって見事に融合したためです。
自社開発の「山岳トンネルICT施工システム」を2025年3月期までに多数の山岳トンネル現場で稼働させ、工期短縮と高耐久を実現するプレキャストコンクリート工法を用いた先進的物流施設も年間数十件のペースで大量に施工しています。
さらに、環境に配慮したネット・ゼロ・エネルギー・ビル認証の取得案件も2025年3月期時点で多数獲得しており、発注者に対して施工速度の向上と省人化を両立する高付加価値な工法を提示し続けています。
主要活動
株式会社安藤・間は土木工事や建築工事の営業活動、および緻密な設計や施工管理を主軸としつつ、先端建設技術の研究開発や再生可能エネルギー発電施設の運営を行っています。
茨城県つくば市にある「つくば技術研究所」では、人工知能やロボットを活用した施工実験のほか、二酸化炭素を固定化するコンクリートなどの環境技術開発を推進しています。
【理由】
なぜそうなっているのかといえば、2024年4月に発動された時間外労働上限規制に対応し、単なる単価競争から脱却するために現場の施工管理プロセス自体をデジタル化して初期段階での最適設計を進める必要があるからです。
実際の現場では、トンネル切羽の地質を人工知能が画像解析して即座に支保工パターンを判定する「AI地質判定システム」を標準配備し、全国約1500社からなる協力会社組織「安藤ハザマ協力会」と一体となって施工品質の管理や安全衛生活動を展開しています。
リソース
株式会社安藤・間の競争力の源泉は、高度な専門資格を有する施工管理技術者と全国を網羅する支店営業網、そして長年培われてきた土木および建築に関する技術特許にあります。
【理由】
なぜそうなったのかといえば、建設業における直接的な収益力は、自社の施工管理者の能力と協力会社の職人を手配する力に大きく依存しており、人的資本への投資と協力会社との良好な関係維持が最重要の経営リソースとなるためです。
2025年3月31日時点において、社内には一級土木施工管理技士が約1200名、一級建築施工管理技士が約1100名、技術士が約150名在籍しており、盤石な施工体制を支えています。
また、「つくば技術研究所」の大型構造実験施設や音響・風洞実験施設といったハード面のリソースに加え、「安藤ハザマ協力会マイスター制度」を通じて優秀な職長や施工技能者へ年間数億円規模の直接手当を支給する制度も重要なリソースとして機能しています。
パートナー
株式会社安藤・間は、多数の専門工事業者や建機メーカー、大学や研究機関、そして大型プロジェクトで共同体を組む他の総合建設業者との間で強固なパートナーシップを築いています。
【理由】
なぜそうなっているのかといえば、大型の土木工事や高層建築は単一の企業のみで全工程を施工することが難しく、建設機械の自動化技術を開発するには専門メーカーとの連携が不可欠だからです。
具体的な提携先として、小松製作所などの建機メーカーと情報通信技術を用いた自動化建機に関する共同技術開発および現場での実証実験を継続的に行っています。
また、国土交通省の各地方整備局や東日本高速道路株式会社などと協働するほか、全国約1500社の専門工事業者で構成される「安藤ハザマ協力会」という強力なパートナー組織を有し、共に安全で高品質な社会インフラの構築を推進しています。
チャンネル
株式会社安藤・間は、日本全国および海外に展開する自社の事業拠点を通じた直接的な営業活動や、設計事務所および建設コンサルタントを経由した案件獲得チャネルを活用しています。
2025年3月31日時点で、国内には北海道から九州まで9つの支店を構え、海外にも台湾やベトナム、インドネシアなど8か所の拠点を設けて幅広く営業網を張り巡らせています。
【理由】
なぜそうなったのかといえば、地方自治体や地元企業の発注ニーズに即座に対応できる地域密着型の営業と、全国展開を行う大企業向けの広域営業をバランス良くカバーしていく必要があるためです。
官公庁の入札においては全省庁統一資格および主要自治体で最高格付のAランクを取得し、この入札参加資格というチャネルを通じて公共工事を安定的に受注するとともに、統合報告書やコーポレートサイトを通じたソリューション実績の周知チャネルも活用しています。
顧客との関係
株式会社安藤・間は、官公庁や自治体との間で総合評価方式などを通じた信頼関係を構築する一方で、民間企業との間では指名契約や随意契約を中心とした継続的な対話関係を築いています。
【理由】
なぜそうなっているのかといえば、単なる価格競争による収益の圧迫を回避し、技術力と安全実績が評価される総合評価落札方式での受注や、リピートでの特命発注を増やすことが中長期的な利益確保に直結するからです。
この結果として、国土交通省が発注する工事においては優秀工事表彰を受け、平均80点以上という高い工事評価点を安定して維持し続けています。
さらに、大手の物流デベロッパーや不動産会社からは物流施設やオフィスビルの継続的な特命受注を獲得しており、建物の竣工後も点検やリニューアルの提案を行うことで、既存の顧客から改修工事を連続して受注する盤石な関係を構築しています。
顧客セグメント
株式会社安藤・間の主要な顧客層は、国土交通省や地方自治体といった公共セクターと、不動産デベロッパーや製造業者などの民間セクターという2つの巨大な市場に分かれています。
【理由】
なぜそうなったのかといえば、景気後退の時期でも需要が底堅い公共インフラ工事と、民間企業の設備投資意欲に左右されやすい民間建築工事の両方の顧客層をバランス良く持つことで、景気変動のリスクを平準化させるためです。
2025年3月期の決算説明会資料などに基づくと、公共発注者は土木事業売上高の約60パーセントから70パーセントという大きな割合を占めています。
一方で民間発注者は、建築事業売上高の約80パーセントから90パーセントを構成しており、台湾高鐵の関連プロジェクトや東南アジアに進出する日系企業など、海外の発注者も全体の売上高の約5パーセント前後を占める重要な顧客層となっています。
収益の流れ
株式会社安藤・間は、工事の請負に伴う完成工事高を中心に収益を上げており、不動産の賃貸や売却による収益、再生可能エネルギー事業における売電収入も重要な収益源としています。
【理由】
なぜそうなっているのかといえば、天候や資材価格の変動に影響されやすい建設請負工事のフロー収益だけでなく、不動産や売電収入といったストック型の収益比率を引き上げることで、より安定した事業のポートフォリオを構築するためです。
2025年3月期の連結売上高の構成を見ると、土木と建築を合わせた完成工事高が全体の約94.7パーセントを占めており、不動産やその他の事業売上高は約5.3パーセントとなっています。
完成工事高の計上においては、発生した原価に基づく進捗率計算による進行基準が適用されており、長野県などの自社所有小水力発電所や青森県などでの風力発電所からは長期安定的な売電収入が継続的に生み出されています。
コスト構造
株式会社安藤・間のコスト構造は、工事原価の大部分を占める下請施工費などの外注費をはじめ、鋼材やコンクリートといった資材料費、労務費、そして本社や支店を運営するための販売費及び一般管理費で構成されています。
【理由】
なぜそうなったのかといえば、総合建設業者は自社ですべての作業員を直接雇用せず専門工事業者へ発注する下請構造をとるため、完成工事原価率をコントロールすることや販売費及び一般管理費を抑制することが直接的に営業利益率を左右するからです。
2025年3月期の実績において完成工事原価率は約88.0パーセントとなっており、完成工事総利益率として約12.0パーセントを確保しています。
また、2025年3月期の売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は約3.9パーセントという低い水準で効率的に運用されており、同期間の研究開発費は約28億円、自動化機器や自社施設への設備投資額は年間約50億円から70億円を投じています。
自己強化ループ
株式会社安藤・間の成長を支える独自の好循環は、高難度の工事における圧倒的な施工実績と自社開発による自動化施工の導入から始まります。
難易度の高い山岳トンネルや大型物流施設において人工知能やロボット技術を投入し、無事故かつ短工期で工事を完了させることで、国土交通省や大手デベロッパーから非常に高い評価を獲得します。
この高い評価が、総合評価方式の入札における落札率の向上や特命受注比率の拡大へとつながり、価格競争を避けた高粗利益の案件を厳選して受注できるようになります。
そこから生み出された豊富な営業キャッシュフローが、つくば技術研究所での技術開発や自社技術者への還元、自動化建機への設備投資へと再び投じられ、施工力がさらに強化されて次の高難度工事の獲得へと繋がっていきます。
この循環が実際に機能していることは、2023年3月期に9.8パーセントだった完成工事総利益率が2025年3月期には約12.0パーセントへと大幅に改善し、対象工事において平均80点以上の極めて高い施工評点を維持していることからも明確に読み取れます。
採用情報
株式会社安藤・間は、自ら主体的に行動してチームで大きな成果を成し遂げられる人や、困難な問題に対しても粘り強く誠実にやり抜く情熱を持った人材を広く求めています。
2025年4月および2026年4月入社予定の新卒初任給は、全学歴においてベースアップが実施されており、全国型の総合職で博士修了が31万5000円、修士修了が29万5000円、大学卒が27万5000円、高専卒が24万5000円という業界トップクラスの水準に設定されています。
2025年3月期の年間休日総数は125日となっており、土日休みの完全週休2日制に加えて祝日や年末年始休暇、初年度14日の年次有給休暇やリフレッシュ休暇など多様な特別休暇が整備されています。
直近の新卒採用人数は、2023年度が132名、2024年度が145名、2025年度が155名と増加傾向にあり、採用倍率は約15倍から20倍で推移しています。
2025年3月31日時点での平均勤続年数は18.2年、平均年間給与は982万円となっており、長期的に働きやすい環境と高い給与水準が両立されています。
株式情報
株式会社安藤・間の株式は証券コード1719で、東京証券取引所のプライム市場に上場しており、単元株数は100株に設定されています。
決算期は毎年3月期となっており、直接的な株主優待の制度は設けられていませんが、配当や自己株式の取得を通じた総合的な利益還元に力を入れています。
配当方針については、株主資本配当率4.0パーセント以上、または配当性向70パーセント程度のいずれか高い方を基準とする非常に高い還元目標を掲げており、原則として減配を行わない累進配当の姿勢を維持しています。
株価の水準は2025年5月から2026年8月時点でおよそ1100円台から1200円台で推移しており、単元株数から算出した最低投資金額の目安は約11万円から12万円程度となります。
なお、株価や業績などの数値は市場環境によって常に変動するため、実際の投資判断に際しては最新の情報を企業の公式資料などでご自身で確認していただきますようお願いいたします。
未来展望と注目ポイント
株式会社安藤・間は、2024年3月期から2026年3月期の3年間を対象とした中期経営計画「FIRST2025」を策定し、持続的な成長に向けた明確な目標を掲げています。
この計画の最終年度となる2026年3月期には、連結売上高4600億円以上、連結営業利益265億円以上という高い数値目標の達成を目指しています。
成長の柱として、山岳トンネルやダムにおける完全自動化などの施工デジタル化を推進して利益率を向上させるほか、環境に配慮したゼロエネルギービルの推進や再生可能エネルギー発電事業の規模拡大に注力しています。
また、3年間の成長投資枠として約300億円から400億円を設定しており、そのうち自動化建機などの投資に約100億円、不動産開発などに約150億円から200億円を投じる計画です。
建築と土木の枠組みにとらわれず、社会インフラと都市空間の価値を創出する企業として、労働力不足の時代においても力強い成長を続ける株式会社安藤・間の今後に注目が集まっています。
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