企業概要と最近の業績
株式会社ニューロマジック
2024年に上場したサービスデザイン会社のニューロマジックですが、2025年2月期の通期連結業績が発表されましたね。
同期の売上高は14億4,200万円となり、前の期と比較して9.2%の増収を達成しています。
利益の面では、営業利益が4,000万円となり、前の期の200万円の損失から見事に黒字へと転換しました。
経常利益も2,700万円と、前の期から96.5%もの大幅な増益となっています。
そして、最終的な親会社株主に帰属する当期純利益は800万円の黒字となり、こちらも前の期の1,400万円の損失から黒字化を達成するという素晴らしい結果になりました。
実は中間決算の時点では4,000万円の営業赤字でしたが、下期で大きく挽回し、通期での黒字化を果たした形です。
企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するコミュニケーションデザインやサービスデザインの領域が好調に推移したことが、この好業績につながったようです。
価値提案
クライアント企業の課題を解決し、最適な体験を提供することに重きを置いています
【理由】
企業のサービスやプロダクトがユーザーにどのように受け入れられるかは、その体験価値によって大きく変わります。
そこで、従来の広告代理店的な手法にとどまらず、デザイン思考やユーザー目線を取り入れたコンサルティングを行うことで、顧客満足度を高める必要がありました。
この視点が「クライアントの課題解決を支援する」という価値提案につながり、成果物の質だけではなく、それが生む体験そのものを提供する企業姿勢へと発展しました。
さらにリピート案件が多い背景には「具体的な課題解決に役立つ実感」をクライアントに与えてきた実績があるため、価値提案の一貫性が保たれているといえます。
主要活動
サービスデザイン、ブランドデザイン、UXやUI設計など
【理由】
クライアント企業の課題は単なるデザイン刷新ではなく、サービス全体の設計やブランド全体の価値再構築に及ぶことが増えています。
デジタル化の進展により、ユーザーが実際に触れるのはウェブやアプリなどのUIであることが多くなりました。
そこで、ただ見た目を整えるのではなく、サービスの本質から考えるサービスデザインや、企業の理念やビジョンを根底から見直すブランドデザインを主要活動として取り込むことで、クライアントが抱える複合的な課題に対応可能になりました。
ユーザー調査やワークショップなどを取り入れることで、実際の利用者の声を具体的に反映できる点も、この活動を重視する大きな理由になっています。
リソース
デザイナー、プロジェクトマネージャー、サービスデザイナーなど多彩な専門チーム
【理由】
顧客の多様なニーズに対応するためには、プロジェクト単位で専門家が柔軟に連携できる体制が欠かせません。
サービスデザインを行ううえではリサーチやプロトタイプ構築、ブランディングなど複数の専門分野が入り組むため、それぞれの分野に強みを持つ人材をそろえることが求められます。
さらに、プロジェクトを円滑に進行させるためのプロジェクトマネージャーが、スケジュールや品質管理を担当することでチーム全体の生産性を高めています。
こうした専門性の集積が、成果物のクオリティ向上やクライアントの満足度アップに直結しており、組織的なリソースとしての厚みが同社の競争力を支えています。
パートナー
具体的な外部パートナー情報は非公開
【理由】
同社がエクスペリエンスエージェンシーとして幅広い領域をカバーできる背景には、社内リソースだけでなく外部との連携も視野に入れている点が挙げられます。
例えば、テクノロジー企業やリサーチ専門機関との協業によって、デザインだけでなく技術面や市場調査面での強みを補完することが可能になります。
実際には公開されていないパートナー関係があることで、企業の規模以上の開発や調査にも柔軟に対応できる仕組みを確立していると想定されます。
公表されていない理由としては、競合他社との関係や機密契約などが考えられます。
チャンネル
公式ウェブサイト、セミナー、ニュースレターなど
【理由】
BtoBのエクスペリエンスエージェンシーとしては、営業担当による直接のアプローチだけでなく、ウェブ上での発信やセミナー、イベントの開催が非常に重要です。
公式ウェブサイトはポートフォリオや実績を分かりやすくまとめるための場となり、セミナーやニュースレターは新規顧客へ向けて取り組みの最新情報を発信する場として活用できます。
特に企業の意思決定者は、実際の業務課題が明確になった時点で情報収集を行うことが多いため、こうした多角的なチャンネル展開が案件獲得の機会を増やしています。
セミナーやニュースレターは対話的な関係構築の第一歩にもなるため、関係性の深耕に役立っています。
顧客との関係
クライアントと共に課題を探求し、解決策を提案するパートナーシップ型
【理由】
同社が推進するサービスデザインの手法は、クライアントが抱える根本的な課題を抽出し、最適な解決策を共に考えることに重きを置いています。
これは単に受託として作業をこなすのではなく、クライアントのチームの一員としてアイデアを練り上げていくプロセスです。
なぜこのパートナーシップ型が有効なのかというと、複雑化したビジネス環境では、課題そのものが多層的であることが多いからです。
クライアント企業内部の知見と、同社が培ってきたデザイン思考の知見とを掛け合わせることで、新しい発想が生まれる可能性が高まります。
これが長期的な信頼関係を生み、追加の案件やリピート契約へとつながっているといえます。
顧客セグメント
多様な業界の企業を対象
【理由】
デザインや体験設計という領域は、業種や業態を問わず重要性が増しています。
従来は消費財やアパレルなどブランディング重視の分野が中心でしたが、最近は金融や製造業などもユーザーエクスペリエンスを重視する傾向が強まっています。
そのため、同社は特定の業界に限らず、あらゆる企業の顧客体験向上を支援する姿勢をとっています。
結果として、業界知識の幅が広がり、クロスインダストリーのノウハウが蓄積されていくという好循環が生まれています。
ここで培われた知見が、新規案件にも活きていることが、多様な顧客セグメントをターゲットとする理由の一つと考えられます。
収益の流れ
プロジェクトベースでの収益が主流
【理由】
エクスペリエンスエージェンシーとしては、コンサルティングやデザイン制作を個別の案件ごとに進める形態が基本です。
クライアント企業のニーズはそれぞれ異なるため、プロジェクト単位で要件定義やスコープを策定し、その範囲で費用を設定していきます。
なぜこのプロジェクトベースが主流になっているかというと、デザインからブランド構築、UX/UI設計まで広範囲に及ぶサービスを一括契約で提供するのは難易度が高いからです。
むしろ、段階ごとに成果を確認しながら進める手法のほうが、柔軟な変更や追加の要望にも対応しやすく、クライアントにとってもリスクが低いメリットがあります。
大規模な案件の継続受注も、このプロジェクト形式を軸にして展開しています。
コスト構造
人件費とプロジェクト運営費が中心
【理由】
ビジネスモデルの特性上、同社が抱える最大のコスト要因は高度な専門性を備えた人材の確保と育成です。
デザイナーやプロジェクトマネージャー、サービスデザイナーなど、プロジェクトごとに求められるスキルセットが違うため、チームを維持し育成するには相応のコストがかかります。
また、クライアントと一体となって課題を深堀りするリサーチやワークショップの運営費も大きな割合を占めます。
これらのコストは、質の高いサービス提供を可能にするための必要投資と位置づけられており、その対価としてプロジェクトベースの収益を得る構造が成り立っています。
自己強化ループについて
エクスペリエンスエージェンシーとして重要なのは、優れた体験設計を提供することで高い評価を得て、その評判が新規顧客を引き寄せる流れを作ることです。
同社ではクライアント企業と二人三脚で課題を探求する過程で深い信頼関係を築き、プロジェクト完了後も追加の相談やリピート案件が発生しやすい土壌を作っています。
ここで獲得した実績やノウハウは、横展開で他のクライアントに応用できるため、成果が積み重なるほどに同社の価値提案力が強化されるという好循環が生まれます。
さらに、多様な業界の案件を担うことで柔軟なデザイン思考やサービス設計スキルが研磨され、それが新たな分野でも説得力のある提案につながります。
この自己強化ループこそが同社の持続的な成長を支えるエンジンといえます。
採用情報
同社の初任給は経験やスキルに応じて変動し、固定的な金額は公表されていません。
年間休日は122日となっており、ワークライフバランスを重視する人材にとって魅力的です。
採用倍率は非公開ですが、デザインやプロジェクトマネジメントなど専門的なスキルを持つ人材を幅広く募集しているとみられます。
自社内に多様な領域の専門家が集まっているので、スキルアップやキャリア形成を図りたい人にとっても大きなチャンスがある環境といえます。
株式情報
同社の銘柄コードは251Aです。
配当金や1株当たりの株価については現時点では公開されていません。
株式を通じた資金調達の有無や上場の状況についても非公開ですが、プロジェクトベースの収益をコアとする企業として、将来的なIR資料の充実が期待されています。
未来展望と注目ポイント
今後はデジタル技術の発展により、ビジネスプロセスそのものを大きく見直す動きがますます加速すると考えられます。
その中で同社の強みであるデザイン思考やサービスデザインのノウハウは、企業の変革を支援するうえで大きな武器になるはずです。
特に既存顧客からのリピート案件が増えれば、安定的な基盤が強化されますし、新規のクライアントに対しても豊富な成功事例をもとにした提案が可能です。
また、多様な業界を手がけることで蓄積される横断的な知見は、新しいサービスやプロダクトの企画などにも応用できるでしょう。
DXの潮流が続く限り、ユーザー体験の質を高める施策は企業競争力に直結します。
同社が目指す「最適な体験を通じて企業価値を高める」という理念は、時代の要請に合致しているといえます。
まとめ
株式会社ニューロマジックは、エクスペリエンスエージェンシーとしてクライアントと深く連携しながら課題解決を支援する存在です。
2024年2月期の売上高1,321,321千円、経常利益14,039千円という数字からも、しっかりと収益を確保しつつ事業を拡大していることがうかがえます。
その裏側には、価値提案から主要活動、リソースの活用まで一貫して「クライアントに最適な体験を提供する」という使命感が通底しているといえます。
さらに、プロジェクトベースで得た経験を蓄積し、自己強化ループを回すことで専門性を高めるビジネスモデルが強みとなっています。
採用情報や株式情報こそ詳細が非公開の部分もありますが、今後の成長戦略やIR資料の充実に期待が高まります。
幅広い業界をカバーする知見と、デザイン思考を実践する姿勢は、これからのデジタル社会においてますます需要が高まっていくでしょう。
ユーザー体験の向上を軸に据えた同社のアプローチは、変化が激しいビジネス環境でも大きな可能性を秘めていると考えられます。
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