独自のビジネスモデルで切り開く東京一番フーズの成長戦略 外食と養殖がもたらす新時代

小売業

企業概要と最近の業績

株式会社東京一番フーズ

2025年9月期第2四半期の連結経営成績については、売上高が41億97百万円となり、前年同期と比較して2.7%の減少となりました。

営業利益は3億13百万円で、前年同期比で14.0%の減少です。

経常利益は3億36百万円となり、前年同期に比べて10.4%減少しました。

親会社株主に帰属する四半期純利益は2億39百万円で、前年同期比25.0%の減少となっています。

飲食事業におきましては、既存店の売上高が前年同期を下回ったことなどから、セグメント売上高は38億78百万円(前年同期比4.5%減)、セグメント利益は8億36百万円(同11.5%減)となりました。

外販事業については、養殖とらふぐの販売が堅調に推移したことなどから、セグメント売上高は3億18百万円(前年同期比24.2%増)、セグメント利益は46百万円(同105.7%増)と増収増益を達成しました。

【参考文献】https://www.tokyo-ichiban-foods.co.jp/

価値提案

一貫体制による「高品質魚の安定供給」

専門店ブランドを活用した「新鮮なとらふぐ料理」の提供

【理由】
養殖から加工、流通、外食店舗運営までを自社で行うことで、魚の品質を一貫して管理できる体制を構築したからです。

もともと高級食材として認知度の高いとらふぐを看板商品とし、そこに自社養殖という付加価値を乗せることで、一度は食べてみたい特別感を演出すると同時に安定供給を実現しています。

この高品質とブランドイメージが、消費者にとっての価値となりリピート需要にもつながっています。

さらに、外食店舗でのサービスを通して直接顧客と接点を持つため、品質と接客の両面から強いブランド体験を提供できる点が他社との差別化要因にもなっています。

主要活動

魚の養殖・加工・配送

外食店舗の企画・運営

【理由】
魚の養殖事業と外食事業を縦につなぎ、相乗効果を最大化する方針をとったからです。

具体的には、自社養殖した魚を低コストかつ安定したクオリティで確保し、それを外食店舗で直接提供することで、中間マージンの圧縮と鮮度維持を両立しています。

この活動が消費者の満足度向上につながり、店舗ブランドの評価を高める原動力となっています。

また、養殖と外食の両軸で得られる情報をフィードバックすることで、新たな商品の開発や接客向上のための取り組みに活用できる点も大きな強みです。

リソース

自社養殖場・加工施設・物流拠点

直営店舗と専門スタッフ

【理由】
外部委託に頼らず養殖・加工・流通を内製化することで、高級魚に求められる品質管理と安定供給を可能にするためです。

また、自社で店舗運営を行うノウハウが蓄積されているため、顧客満足度を高めるサービス設計や、メニュー開発にも強みを発揮できます。

こうしたリソースがあるからこそ、競合他社が参入しにくいスケールメリットを出しやすく、コスト面や品質面で優位性を維持できる構造を作り上げています。

パートナー

水産業者や養殖関連機器のメーカー

物流業者や外部の外食チェーン

【理由】
事業規模が拡大するほど、養殖に必要な専用機材や飼料、物流ネットワークの確保が重要になるためです。

特に冷凍・冷蔵チェーンの整備は品質を維持する上で欠かせません。

また、外食チェーンへの卸売などを行う際には、生鮮食品を扱う特殊なノウハウが必要とされるため、長年にわたるパートナー関係が重要な役割を果たします。

これらの協力体制が強固であるほど、流通の効率化やリスク分散につながり、最終的に自社のブランドイメージの維持にも寄与しています。

チャンネル

直営店舗の店頭や予約システム

卸売・小売・オンライン通販

【理由】
高級魚やフグ料理を求める顧客には、実店舗での体験と安心感がとても大切だからです。

一方で、全国的に知名度を高めるには卸売やオンライン通販も活用し、多様な顧客ニーズに対応しなければなりません。

直営店舗では鮮度や調理技術を直接アピールできるメリットがあり、卸売やオンライン販売では地域や時間に関係なく魚を届けられる利点があります。

これら複数のチャンネルを組み合わせることで顧客接点を増やし、売上機会の拡大とブランド認知度の向上を同時に狙っています。

顧客との関係

高級魚専門店としての信頼感を醸成

顧客の声を生かした商品改良とサービス向上

【理由】
高級食材を扱う企業は、品質と安全性に対する信頼が何よりも重要だからです。

とらふぐやクロマグロなどの食材を扱うとなると、飲食店への信頼度が購入や来店の大きな決め手となります。

そこで、専門スタッフによる調理や接客、徹底した衛生管理など、店舗体験を通じて顧客満足度を高める体制を整えました。

さらに、外食店舗を通じて直接得られる顧客フィードバックを養殖や加工に反映することで、新たなメニュー開発や品質改善を進めることができ、結果としてリピーターの確保や口コミ拡散にもつながっています。

顧客セグメント

高級魚を求める外食利用客

外食産業や量販店を含むBtoB需要

【理由】
高級魚市場自体がニッチながら一定の需要を持つ一方、法人向けの需要も取り込むことで安定した売上を確保する必要があるからです。

個人客向けには「特別な日に高級魚を食べたい」というニーズがあり、外食店舗やオンライン通販での販売が効果的です。

法人向けには、フグやクロマグロを扱う他の外食チェーンや量販店への卸売を通じて取引を拡大できる強みがあります。

こうした二つの顧客セグメントをカバーすることで、経済状況や季節行事による需要変動を平準化し、安定経営を実現しています。

収益の流れ

自社養殖魚の販売収益

外食店舗における飲食サービスの売上

【理由】
自社で養殖した魚を自社の外食店舗で販売するモデルは、魚を仕入れるコストを抑えつつ高い付加価値をつけて販売できるからです。

養殖~加工~販売をすべて内製化することで、外部に支払うマージンを削減でき、利益率の確保につながっています。

また、外食店舗のメニュー構成を工夫することで、顧客単価を引き上げる余地もあり、高級食材であるフグやマグロは特別感を出しやすく、単価が高めに設定できるというメリットがあります。

結果として、外食と養殖の相乗効果により、幅広い収益源を持つビジネスモデルを築いています。

コスト構造

養殖・加工コストと店舗運営費

人件費・物流費

【理由】
高品質な魚を養殖するには大規模な設備投資や飼料、専門人材が不可欠であり、外食店舗の運営でも家賃や人件費、宣伝費など多岐にわたるコストが必要だからです。

特に生鮮食品を扱うため、急な価格変動や養殖リスクへの備えを行いながら、コスト管理を徹底しなければなりません。

しかし、一貫体制を確立しているおかげで、中間流通を極力排除し、品質に妥協せずに一定のコスト削減を実現できる点が競争力につながっています。

適切な在庫管理と生産調整を行い、資源の有効活用を進めることで、外部環境の変動に耐えうるビジネス基盤を形成しています。

自己強化ループ(フィードバックループ)について

東京一番フーズは、養殖した魚を外食店舗で提供する際に、顧客満足度や売れ筋メニューなどの情報を即座に生産現場へフィードバックできる強みを持っています。

例えば、とらふぐ料理で新しい調理法を導入したところ、顧客の反応が大変良ければ、それを養殖工程の魚サイズ調整や加工技術の改良に生かすことが可能です。

こうしたプロセスを繰り返すことで、単に養殖ノウハウが高まるだけでなく、消費者が本当に求めている商品品質や提供スタイルを深く理解できるようになります。

また、外食店舗側でも、品質の高い魚が安定的に届けられることで接客やメニュー開発に集中でき、結果として口コミの拡散やリピーター獲得にもつながります。

最終的に「養殖の高度化」と「外食店舗のブランド向上」が相互に押し上げ合い、同社のビジネスモデル全体を強固にする好循環が生まれている点が、大きな特徴と言えます。

採用情報

初任給は大学院卒・大卒・短大卒・専門卒すべてにおいて月給250,100円が設定されています。

年間休日は113日と、外食産業の中では比較的バランスの取れた体制を整えていることが特徴です。

採用倍率は公表されていませんが、水産事業と外食事業を横断して活躍できる専門知識やサービスマインドを持った人材が求められています。

若手のうちから多様な部署を経験することで、養殖から販売、調理まで幅広いスキルを身につけられる点が魅力となっています。

株式情報

同社の銘柄コードは3067で、2025年1月31日時点の株価は1株あたり479円となっています。

配当金については非公開のため明確な方針は不透明ですが、今後のIR資料などで方針が示されることを期待する投資家も少なくありません。

外食需要や養殖リスクなどの外部要因が業績に影響を及ぼす可能性がありますが、一貫体制によるコスト優位性とブランド力が将来的な業績安定につながるという見方もあります。

未来展望と注目ポイント

東京一番フーズの強みは、養殖事業と外食事業をシームレスにつなげるビジネスモデルにあります。

こうした垂直統合型の仕組みは、養殖の安定性が増すほど外食店舗で提供される魚の品質とブランドイメージが向上し、それがさらなる顧客獲得につながるという好循環を形成します。

今後は、高級魚以外の魚種や海外市場への展開、オンライン通販の拡充など、多角的な成長戦略も期待できます。

また、消費者の健康志向やサステナビリティ意識の高まりを捉え、養殖工程での環境負荷軽減やトレーサビリティの徹底を訴求する動きが強まれば、さらなる差別化が図れるでしょう。

とはいえ、気候変動による養殖リスクや、水産物の国際価格競争などの外部要因を避けることは困難です。

こうしたリスク管理と新規顧客開拓をいかに両立させるかが、企業としての次なる成長の鍵を握るポイントといえます。

競合他社が追随しづらい一貫体制を武器に、今後も安定かつ持続的な発展を実現するか注目が集まっています。

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