企業概要と最近の業績
株式会社ホギメディカル
2025年3月期の連結経営成績は、売上高が413億94百万円となり、前期と比較して7.4%の増収でした。
営業利益は47億12百万円で、前期比18.7%の増益となっています。
経常利益は50億78百万円で、前期比17.8%の増益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は34億6百万円で、前期に比べ14.1%の増益です。
セグメントの業績については、日本国内のヘルスケア関連事業の売上高は381億7百万円(前期比6.9%増)、セグメント利益は46億4百万円(前期比17.1%増)でした。
海外事業の売上高は30億15百万円(前期比12.9%増)、セグメント利益は3億30百万円(前期比34.7%増)となりました。
その他の事業の売上高は2億71百万円(前期比2.1%減)、セグメント利益は32百万円(前期比31.7%減)でした。
【参考文献】https://www.hogy.co.jp/
ビジネスモデルの9つの要素
価値提案
医療機関が抱える手術準備や物品管理の手間を大きく削減し、安全性も高めることが同社の大きな魅力です。
プレミアムキットを導入することで医療スタッフは必要な備品を一括で受け取り、個別の発注や滅菌作業を削減できます。
こうした効率化はヒューマンエラーを減らす効果もあり、医療事故防止の一助となる点が評価されています。
【理由】
医療の高度化と人材不足が重なり、現場の負担が増大していることが背景にあります。
そのため省力化と安全確保が両立できる製品が求められ、ホギメディカルはこうした要望に対応することで医療業界からの信頼を高めています。
主要活動
同社は医療用キット製品の開発から製造、そして医療機関への販売までを一貫して担っています。
製造時に滅菌などの厳格な衛生管理を行いながら、病院から寄せられる要望に合わせてキットを柔軟にカスタマイズする点が特徴です。
【理由】
医療の現場では手術科目や病院規模によって求められる消耗品が多種多様であり、汎用的なセットでは十分に対応できないケースがあるからです。
そのため提案段階から現場の声を聴き、必要なアイテムのみを選定する仕組みを整えることで、ロスの削減とコスト効率を両立させています。
リソース
高度な製品開発力と品質管理体制がホギメディカルのコアリソースです。
手術用製品は患者の身体に直接関わるため、開発時の精密設計や製造時の衛生基準は非常に高い水準が求められます。
【理由】
医療機関の信頼を獲得するためには、不具合やクレームが発生しない厳重な品質保証が不可欠だからです。
加えて、常に変化する医療現場の課題を把握し、迅速に製品化や改良に反映できる柔軟性も重要なリソースとなっています。
こうした体制がなければ、プレミアムキットのような幅広いニーズに対応できる製品を安定して提供することは難しいといえます。
パートナー
医療機関や医療従事者が同社の主要パートナーです。
手術現場の最前線で実際に製品を使う人々からのフィードバックを得ることで、製品改良に活かせる体制を作っています。
【理由】
医療の安全と効率を高めるためには現場目線の改善が欠かせず、大学病院や国公立病院など規模の大きい施設ほど新しい技術や製品に敏感だからです。
これらのパートナーとの協力関係を深めることで、既存製品の品質向上はもちろん、将来的な技術開発の方向性も定めやすくなり、継続的なビジネス成長につながっています。
チャンネル
同社は営業所から直接販売を行う体制を整えています。
地域ごとに密着しながら病院や診療所とコミュニケーションを取り、実際の現場で必要とされるキット内容を提案することで競合他社との差別化を図っています。
【理由】
カタログ販売のみに頼ると、細かい要望や緊急時のニーズに対応しきれないからです。
直接訪問し相談を重ねることで、特定の手術に特化したキットなど、カスタマイズされた提案が可能になります。
こうした営業スタイルが病院側の信頼を高め、リピート受注や新規顧客の紹介へとつながっています。
顧客との関係
コンサルティング営業を採用していることが大きな特徴です。
病院が抱える人手不足やコスト管理、備品の衛生管理など多角的な課題を聞き取り、それに合わせた製品プランを提案することで病院の運営をサポートします。
【理由】
医療機関ごとの事情が大きく異なり、一律の販売方式では満足度を高めにくいからです。
ホギメディカルは顧客との長期的な関係を築くことで、継続的に課題解決を支援し、同時に自社の知見を蓄積する仕組みを確立しています。
顧客セグメント
大学病院や国公立病院、民間病院といった大規模医療機関が主要顧客です。
【理由】
手術件数が多いほど備品のオーダーミスや在庫管理の手間を大きく削減できるメリットが顕著に表れるからです。
手術の種類も複数にわたり、院内の管理が複雑化しているほどプレミアムキットの効率性が評価される傾向があります。
今後は中小規模の病院や診療所など、より幅広い顧客セグメントへの展開が期待されており、さらなる導入余地があると考えられます。
これによって市場全体への普及が進めば、同社の販売拡大にもつながる可能性があります。
収益の流れ
プレミアムキットを中心とした製品販売が主な収益源となります。
病院が手術を行う限り継続的に必要となる消耗品であるため、長期的な収入が見込める仕組みです。
【理由】
単発の装置販売とは異なり、手術を行うたびに新たなキットが使われるため、繰り返し発注につながるからです。
また、その都度カスタマイズの要望が出れば単価アップの機会も生まれます。
定期的かつ安定した受注が見込める点が、同社の収益を支える基盤であり、医療機関との信頼関係を維持するほど安定性が高まる構造です。
コスト構造
製品開発と製造に要するコスト、そして営業活動費が主な負担要素です。
【理由】
高品質の消耗品を提供するには厳しい衛生管理と安全基準を満たす必要があり、研究開発投資や製造ラインの維持管理に費用がかかるからです。
さらに全国の病院へ提案型の営業を行うためには、多数の営業所と専門知識を持つスタッフが不可欠であり、その運用コストも大きくなります。
ただし、高い品質基準と現場ニーズに合わせた提案力が同社の信用を生み、価格競争だけに陥らないビジネスモデルを実現しているため、単純なコスト削減ではなく効率化や付加価値向上でバランスを取る戦略が求められています。
自己強化ループ
ホギメディカルのプレミアムキットは、導入した医療機関において手術の準備作業を大幅に短縮し、人的ミスのリスクを減らす効果が見込めます。
実際に効率化を実感した病院からは、スタッフの負担軽減や作業の標準化に役立つとの声が多く、結果的に他の医療機関へ口コミや評判が広がりやすい構造が形成されます。
この好循環こそが自己強化ループであり、導入先の増加に伴ってノウハウが蓄積され、製品の改良や提案の質もさらに高まるのです。
こうしたポジティブフィードバックによって、市場シェアを拡大しながら安定的な収益基盤を築ける点が同社の成長戦略を支える重要な要素になっています。
採用情報
営業職の初任給は月給23万円から33万円まで幅があり、医療業界の中でも比較的高めの水準といえます。
年間休日は約120日で土日がしっかり休める週休二日制を採用しており、ワークライフバランスも確保しやすい体制です。
2023年度の採用人数は11名で離職者はゼロという実績があり、社員が長く働きやすい環境づくりに力を入れている印象を受けます。
医療知識やコンサルティングスキルなど専門性の高い分野を身につけながら活躍できる企業として、志望者からの注目度も高まっています。
株式情報
同社は東証プライム市場に上場しており、銘柄コードは3593です。
2024年3月期の配当金は1株あたり80円を予定し、株主への還元姿勢も一定の評価を得ています。
2025年1月24日時点の株価は4,815円となっており、医療関連のディフェンシブ銘柄として中長期的な需要が見込める点が特徴です。
手術効率化や医療安全に対する社会的関心が高まる中、今後の業績次第では株価の更なる上昇や安定配当の継続が期待される可能性があります。
未来展望と注目ポイント
医療機関の人手不足や医療技術の高度化が進むほど、手術に関わる消耗品の管理や準備作業にかかる負担は増大する傾向があります。
ホギメディカルのプレミアムキットは、こうした負担を大きく削減できるという明確な強みがあるため、今後はさらなる市場拡大が見込まれます。
特に大学病院など大規模施設だけではなく、中小規模の病院や地域医療を担う施設への展開を進めることで、より幅広いニーズに応える体制の構築が重要になりそうです。
加えて、高付加価値化が進む中での製造コストや営業コストをどのようにコントロールするかも課題であり、その解決策が利益率の向上につながるポイントになると考えられます。
現場の声を活かした製品開発力とコンサルティング営業の強みを活かし、国内外で安定的な成長を実現できるかが注目を集めています。
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