企業概要と最近の業績
株式会社ブロードリーフ
2025年5月14日に発表された、2025年12月期第1四半期の決算情報についてお伝えします。
この期間の売上収益は44億6,900万円で、前年の同じ時期と比べて3.4%の減少となりました。
営業利益は3億5,200万円で、こちらは前年の同じ時期から27.0%の大幅な減益です。
親会社の所有者に帰属する四半期利益も2億3,600万円となり、30.4%の減少となっています。
同社が注力しているクラウドサービスへの移行は順調に進んでいるものの、それに伴う一時的な収益の減少や、人件費・研究開発費の増加が利益を圧迫したようです。
ビジネスモデルの9つの要素
価値提案
自動車整備や鈑金、販売店などの業務をITで効率化し、収益性向上を実現します。
月額サブスク制のクラウドソフトにより、常に最新バージョンが利用できるメリットを提供します。
【理由】
自動車業界は修理や部品管理など、アナログ作業が残りやすい業界といわれてきました。
そこで業務フローをシステム化することで、在庫管理や顧客対応などを大幅に効率化できます。
また月額課金にすることで、導入時の初期負担が軽減され、利用を検討しやすい仕組みになりました。
その結果、顧客は常に最新の機能が使え、開発企業側も継続収益を得てさらなるサービス強化に投資できるため、この形態が選択されたのです。
主要活動
クラウドソフトウェアの開発と提供。
従来型パッケージシステムの販売とサポート。
全国展開によるコンサルティング営業。
【理由】
クラウドシフトを進めるには既存パッケージユーザーが円滑に移行できるよう、サポートやコンサルが欠かせません。
加えて新規開発では常にユーザー目線での改良が必要となるため、全国をカバーできる営業体制やサポート体制を維持し続けることが競合優位性を高める鍵です。
そのため、開発と顧客サポートを主要な活動として戦略的に配置しています。
リソース
自社開発のクラウドプラットフォーム。
自動車業界に精通した人材とエンジニアリングノウハウ。
全国的な営業ネットワーク。
【理由】
自動車業界に適合したシステムを開発するためには、実際の業務フローや法令対応などの専門知識が不可欠です。
このような専門知識を持つ人材を長期的に確保し、ノウハウを蓄積してきたことが同社の強みになっています。
また営業ネットワークを全国に広げることで、地域特性やユーザーの細かな要望にも対応でき、顧客満足度と導入率が向上しました。
パートナー
自動車整備業者や部品商社との業務連携。
IT関連企業や販売代理店との協業。
【理由】
顧客の大半は自動車関連の事業者であり、それぞれの専門分野や流通チャネルを活用することが、システム導入をスムーズに進めるカギとなります。
そこで業界内で信頼度の高い企業や流通パートナーと協力することで、導入時のハードルを下げて多くのユーザーを獲得できました。
またIT企業との連携はクラウド技術の向上やセキュリティ面の補強にも貢献しています。
チャンネル
自社営業チームによる直接提案。
オンラインでの情報発信と問い合わせ対応。
パートナー企業との協業による販売拡大。
【理由】
自動車業界は対面重視の企業が多いため、現場に即したコンサルティングを行える自社営業が効果的です。
一方、昨今のデジタル化の流れを踏まえてオンラインでの相談やセミナーを実施し、新規顧客の獲得ルートを広げています。
こうした複数チャンネルを組み合わせることで、ビジネス規模を段階的に拡大する戦略を取っています。
顧客との関係
コンサルティング営業による長期的パートナーシップ。
定期的なバージョンアップやサポートによる継続的な顧客接点。
【理由】
システム導入後の現場オペレーション定着には、継続サポートが重要ですし、サブスクモデルを導入することで、常に最新機能を提供しながらサポートを行い、顧客が離脱しにくい関係を築きやすくなりました。
また、自動車業界特有の商慣習や法改正に伴う対応が頻繁に必要となるため、顧客との信頼関係を軸にアップデートや運用支援を続ける体制が求められました。
顧客セグメント
自動車整備工場や鈑金業者。
車両販売店。
部品商社や部品卸業。
【理由】
自動車業界では、修理や販売、部品流通など細分化された業態が共存しています。
ブロードリーフはそのすべての業態に対してITソリューションを展開し、業務効率化と収益増加を同時にサポートするポジションを確立してきました。
業種特化型のソリューションは参入障壁が高いため、幅広いセグメントをカバーできることが同社の大きな武器となっています。
収益の流れ
クラウドソフトの月額サブスクリプション収益。
従来型パッケージソフトの販売収益。
【理由】
近年はクラウド型の月額課金に移行が進んでおり、安定的なストック型収益が拡大しています。
一方で、まだクラウドに移行していない顧客や特殊要件のある事業者向けには、パッケージソフトの販売を続ける形を取っています。
これにより、大規模な顧客から中小の事業者まで幅広いニーズに対応でき、安定性と成長性の両方を確保できる収益モデルに至っています。
コスト構造
クラウドサービス開発と研究開発の投資。
全国規模での営業・サポート体制維持費。
データセンターやインフラ運用コスト。
【理由】
クラウドソフトを安定して提供するには、大規模な開発投資とインフラ費用がかかります。
さらに徹底した顧客サポート体制を全国規模で展開するために、人件費や運用費が大きな比率を占めます。
しかしながらこれらのコストをかけることで、顧客満足度の高いサービスを継続的に提供し、長期的なリピーターを増やす効果が得られるため、投資の意義が大きいと判断されています。
自己強化ループの仕組み
クラウドサービスはユーザー数が増えれば増えるほど、毎月のサブスクリプション収益も安定的に拡大する特徴があります。
この収益を再投資してサービス開発を強化し、より使いやすい機能や新しいソリューションを提供することで、さらなるユーザー獲得につながります。
するとクラウド基盤はさらに強固になり、既存顧客に対しても追加価値を提供しやすい状態になります。
こうした好循環が生まれることで、競合他社との差別化も進み、株主や投資家にとって魅力的な成長戦略を描きやすくなります。
最終的に、このループが自己強化を続けるほど、シェア拡大と顧客満足度向上が同時に実現され、収益安定性と事業規模拡大の両立を可能にしています。
採用情報
初任給は月額210000円で、営業に配属される場合は基本給に加えて営業手当が支給されます。
年間休日は121日あり、土日祝日が休みになっています。
採用倍率は一般に公開されていませんが、IT企業として専門性の高い人材を求める傾向があります。
研修制度なども整っており、若手でも早期に活躍できる環境が整備されている点が魅力といえます。
株式情報
銘柄コードは3673で、東京証券取引所のプライム市場に上場しています。
予想配当利回りは0.31パーセントで、2025年1月29日時点の株価は638円です。
配当利回りは高水準ではないものの、今後の成長投資やサブスクリプションモデルのさらなる拡充に期待が集まっています。
未来展望と注目ポイント
クラウドサービスのユーザー数拡大に伴い、安定的なストック収益が見込まれることから、同社の成長戦略は今後も注目度が高まると考えられます。
自動車業界では電動化や自動運転技術が話題となっており、整備や部品流通の形も大きく変わる可能性があります。
そうした変化に合わせてシステムを進化させる柔軟性や新技術への対応スピードが、今後の差別化要因となるでしょう。
クラウドプラットフォームを活かした追加サービスやビッグデータ分析の活用など、新たな価値提供を生み出すチャンスは大きいです。
実際に、サブスクモデルとデジタル技術を融合させることで、整備工場の経営支援や顧客接点の拡充など幅広い応用が期待できます。
今後のIR資料にも注目しながら、同社が自動車業界の課題をどこまで解決できるかをチェックしていくことで、より長期的な投資やキャリア選択における判断が得られるのではないでしょうか。
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