ビジネスモデル×成長戦略を徹底解剖 株式会社翔栄のIR資料から見る今後の可能性

不動産業

企業概要と最近の業績

株式会社翔栄

2025年3月期の通期連結決算は、売上高が87億27百万円となり、前の期に比べて1.3%の減少となりました。

本業の儲けを示す営業利益は16億24百万円で、前の期から13.0%の増加です。

経常利益は15億21百万円で9.5%の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は10億47百万円で16.7%の増加となり、減収増益という結果でした。

売上がわずかに減少したのは、一部の建設工事の完了時期がずれたことなどが影響しています。

一方で、主力のオフィスビルや商業施設などの賃貸事業が、高い入居率を維持し安定した収益を上げたことが利益増加に貢献しました。

また、工事コストの見直しなど、収益性を改善する取り組みも利益を押し上げる要因となっています。

【参考文献】https://www.shoei-d.co.jp/ir/

価値提案

不動産開発から賃貸、仲介、コンサルティングまでを一括して提供し、顧客の負担を軽減するサービスを生み出しています。

多くのステークホルダーが関与する不動産取引をワンストップでサポートすることで、迅速な意思決定とコスト削減を実現しています。

【理由】
多様なニーズを持つ投資家や企業、個人顧客からの要望が高まる中、利便性を追求することで差別化を図る必要がありました。

開発事業と仲介・賃貸運営を社内で完結できる体制を整えることで、競合企業との差別化に成功し、顧客ロイヤルティの向上につながっています。

主要活動

不動産の買取や再開発、既存物件のリノベーションなどを積極的に行い、賃貸運営と売買の両方で利益を創出しています。

バーチャル内見などのIT活用も重要な活動の一つです。

【理由】
不動産市場は経済環境によって大きく変動します。

そこで買取と開発によるバリューアップと、安定収益が期待できる賃貸を組み合わせるハイブリッドな戦略を採用することで、リスク分散を図りながら成長を続けています。

さらにオンライン技術を取り入れることで、成約率向上と業務効率化を同時に実現しています。

リソース

東京、名古屋、大阪など主要都市の拠点と豊富な不動産ポートフォリオに加え、不動産開発やコンサルティングに精通した専門人材が大きな資産となっています。

【理由】
都市部の不動産は需要が底堅く、リターンも高い傾向があります。

そのため主要都市を中心に優良物件を確保し、そこで働く人材の専門知識を活かせる環境を整えることで、効率的かつ高収益なビジネスを展開できるようになりました。

専門人材が物件の選定から開発までを支えることで、迅速な判断と的確な投資が可能となっています。

パートナー

大手金融機関や投資ファンドと連携して資金調達を行い、地元の不動産会社や施工業者との協力関係を築くことで、幅広い地域に対応しています。

また、最新技術を提供するIT企業との連携も進めています。

【理由】
不動産業は資金力が成長に直結する業態です。

豊富なキャッシュフローを生み出すために金融機関や投資家からの信頼を得る必要があります。

同時に、開発や運営を効率よく進めるためには地域密着型の企業との協業が不可欠です。

こうしたパートナーシップにより、スムーズな事業拡大が可能となっています。

チャンネル

公式ウェブサイトやSNSによる情報発信、各拠点での対面営業、オンライン内見プラットフォームなど、多角的なチャンネルを活用しています。

【理由】
顧客が不動産情報を収集する手段が多様化する中、オンラインから対面まで、複数の接点を確保する必要が生じました。

情報過多の時代においては、専門的なアドバイスやバーチャル内見のような体験型サービスが顧客満足度に直結します。

結果的に様々なチャンネルを整備することで、幅広い層の集客に成功しているのです。

顧客との関係

専門的なコンサルティングを通じて中長期的なパートナーとして信頼関係を築き、物件売買や賃貸管理などのリピートを獲得しています。

【理由】
不動産取引は長期にわたる大きな投資が多いため、信頼できるパートナー選びが重要になります。

コンサルティングやフォロー体制を充実させることで、顧客が安心して投資や契約を継続できる土台を作りました。

結果として、口コミや紹介といった形で新規顧客を獲得できる好循環が生まれています。

顧客セグメント

不動産投資家を中心に、賃貸物件の利用者、マイホーム需要を持つ個人、事業拡大を目指す法人など多岐にわたるセグメントを対象としています。

【理由】
住宅需要だけに依存せず、投資用・事業用物件や賃貸管理まで手掛けることで、経済環境の変動に左右されにくい収益構造を築いています。

また、複数の顧客セグメントを抱えることで、売買と賃貸の両面で安定したキャッシュフローを確保し、リスク分散にもつなげています。

収益の流れ

不動産売買による利益、賃貸物件からの家賃収入、仲介業務の手数料、コンサルティング報酬などが主要な収益源です。

【理由】
単一の収益モデルでは景気や市場の変化に対応しきれないため、複数の収益源を確保することが不可欠でした。

不動産開発の売却益と、継続的な賃貸収益を組み合わせることで、短期的な利益と長期的な安定収入を同時に手にし、経営リスクを抑える設計になっています。

コスト構造

不動産取得や開発にかかる投資コスト、人件費や広告宣伝費、IT技術導入の費用などが主なコストとなります。

【理由】
不動産取得と開発には大きな資金が必要となるため、投資判断やタイミングが企業の成長を左右します。

また、高い専門性を持つ人材の確保やバーチャル内見などのシステム開発にも相応の投資が必要です。

しかしこれらのコストは、将来的に高い収益や市場シェアを得るための重要な先行投資と考えられています。

自己強化ループ

株式会社翔栄は、不動産開発から賃貸・販売、さらにはコンサルティングまでを一括で提供することで、顧客の満足度と社内のノウハウ蓄積を同時に進めています。

例えば、開発事業で得た知見を賃貸運営や仲介サービスに還元することで、より精度の高い提案が可能になります。

また、バーチャル内見のような技術を活用した取り組みによって利用者満足度が高まり、さらに多くの成約率アップや口コミにつながり、企業のブランド価値が上昇していくのです。

こうした積み上げ型の良循環により、資本効率やマーケットシェアが高まるだけでなく、新たなサービス開発への投資余力も生まれます。

結果として、強固な信頼関係と多面的な収益源を築くことで、ビジネスモデル全体の安定と拡張性を高める自己強化ループが生まれているのです。

採用情報

初任給は総合職で月額25万円程度、年間休日は120日以上を確保し、働きやすい環境の整備を進めているようです。

採用倍率は部署によって異なりますが、高い専門性を求められる不動産開発部門では比較的高めの競争率となる傾向があります。

今後はIT技術やデジタルマーケティング領域でも採用を拡大し、人材育成に注力していくとみられています。

株式情報

銘柄は証券コード3483の株式会社翔栄で、不動産関連銘柄として市場でも注目されています。

配当金は1株あたり年間50円を目安としており、安定的な配当方針を示しています。

1株当たり株価は最近3,000円前後で推移しており、市場環境や不動産市況の動向に連動しやすい銘柄と言えるでしょう。

未来展望と注目ポイント

まず注目されるのは、既存事業の地域拡大です。

東京や名古屋といった主要都市だけでなく、今後は大阪や地方都市を含む広範囲での開発案件に投資し、新たな顧客層を掘り起こすと予想されます。

さらに、DX(デジタルトランスフォーメーション)時代に対応したオンラインサービスの進化にも期待が寄せられています。

バーチャル内見に留まらず、契約手続きのオンライン化や不動産の資産管理を簡易化するシステムの導入など、業務効率とユーザー利便性の向上を両立させる取り組みが加速しそうです。

これらの施策によって事業領域を拡大するだけでなく、長期的には海外投資家へのアプローチも視野に入れることで、さらなる成長戦略を描いていく可能性もあります。

特にインバウンド需要やグローバル資本の流入を捉えられれば、国内不動産の資産価値の向上にも追い風となり、企業価値の一層の向上が期待できるでしょう。

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