企業概要と最近の業績
株式会社マイネット
2024年12月期の第1四半期決算は、売上高が25億6,800万円となり、前年の同じ期間と比較して10.2%の減収でした。
利益面では、営業損失が1億3,100万円となり、前年同期の1,800万円の利益から赤字へと転換しています。
この業績は、主力であるゲームサービス事業において、既存タイトルのユーザー数の自然な減少に加え、他社からのタイトル買収がなかったことが主な要因です。
利益面では、不採算タイトルのサービス終了などに伴う費用が発生したことも、赤字転換の一因となりました。
【参考文献】https://mynet.co.jp/ir/
価値提案
買収および再生したゲームタイトルを活用し、新しい魅力や楽しさをユーザーに再提供している点がマイネットの最大の価値提案です。
もともと一定のユーザー基盤を持つタイトルを引き継ぎ、継続的な運営を通じて収益化を図る仕組みは、他社との差別化要因にもなっています。
さらに、スポーツ分野でのDX推進を行うことで、従来の観戦や競技参加とは異なるデジタル体験を提供し、ユーザーのスポーツとの関わり方を拡張させていることも大きな付加価値です。
【理由】
スマートフォン普及に伴い多数のゲームアプリがリリースされる一方で、息の長い運営を実現するノウハウが不足している開発会社も存在していました。
そこでマイネットは、運営知見を最大限に活用してタイトルを再生する専門的なポジションを確立し、効率よく収益化を図っています。
また、スポーツ分野に関しては、競技人口が減少傾向にある種目やファンコミュニティの拡大余地が大きい市場に着目し、デジタル技術を活用することで新たな観戦・参加形態を提案する流れが強まっていることも背景にあります。
主要活動
スマートフォンゲームの買収やタイトル運営が同社の中心的な活動です。
具体的には、既存ゲームのマーケティング強化やイベント企画、ゲーム内課金のバランス最適化などを行い、ユーザー満足度と課金率を高める取り組みを重ねています。
また、スポーツ事業ではスポーツクラブとの協業を進め、クラブ運営のデジタルトランスフォーメーションをサポートしながら、ファンタジースポーツの企画・運営も行っています。
【理由】
市場に成熟期を迎えたスマートフォンゲームが多いなかで、ヒットタイトルを開発するリスクよりも、既存タイトルの収益性改善を手がける方が投資効率が高いと判断したからです。
スポーツ領域への拡大も同様に、新規ユーザーを獲得できる分野として早期参入を目指した結果、主要活動の幅が広がっています。
リソース
豊富なゲーム運営ノウハウを持つプロデューサーやエンジニア、デザイナーなどの人的資源が最大の強みです。
長期運営に必要なイベント設計やデータ分析能力、サーバー負荷管理などの専門スキルをチーム内に蓄積しているため、買収したタイトルもスピーディーに改善できます。
スポーツ領域では、スポーツクラブの運営知識やファンタジースポーツの企画ノウハウを持つ専門人材の確保に力を入れています。
【理由】
買収や再生のモデルでは、開発初期のリスクよりも運営後のケアが重視されます。
バグ修正やイベント更新はもちろんのこと、運営データを分析してマネタイズを見直す作業が日常的に必要になるため、組織として多様なスキルセットが求められます。
さらに、スポーツDXでは競技団体やファンとの関係構築が要となるため、新しいリソースが必要になり、その確保を進めることで安定したサービス提供をめざしています。
パートナー
ゲーム開発会社やスポーツクラブ、各種技術提供企業との連携を重要視しています。
とりわけ、ゲーム開発会社との協業は不可欠で、既存タイトルのソースコードやアセットを円滑に引き継ぎ、運営やアップデートを継続できる体制を築き上げています。
スポーツクラブとの提携では、公式戦やイベントのリアルデータを取り込み、ファンタジースポーツを盛り上げる取り組みが進められています。
【理由】
マイネットは自社だけで0から開発を行うよりも、外部の開発リソースと共同で運営する方がスピードとコスト面で優位に立てると考えています。
また、スポーツクラブとの連携は、クラブ側にもメリットがあり、双方がウィンウィンの関係を築けるため、積極的にパートナーシップを形成しているのです。
チャンネル
主な配信チャネルは、スマホアプリストアや公式ウェブサイト、スポーツ関連プラットフォームとなります。
ゲームはGoogle PlayやApp Storeなどでリリースし、広告運用やコラボ企画を通じてユーザーへアプローチしています。
スポーツ関連では、クラブのオンラインサービスやファンタジースポーツの特設サイトなど複数のデジタルチャネルを駆使しています。
【理由】
スマホユーザーを中心に幅広い客層を狙うビジネスモデルでは、アプリストアが最も効率的な流通経路となります。
また、スポーツ事業においても、既存のファンコミュニティを活用できるように公式サイトやクラブ運営プラットフォームを利用することで、利用者をスムーズに取り込むことができます。
これらのチャネルを多角的に使うことで、同社は集客やブランディングを効率よく行っています。
顧客との関係
日々のユーザーサポートやコミュニティ運営、イベント開催などを通じて、ユーザーとの継続的な接点を確保しています。
ゲームでは定期的な大型アップデートやキャンペーンを実施し、ユーザーの満足度向上と課金意欲の維持を図ります。
スポーツサービスでは、試合観戦イベントやデジタル上でのコミュニティ交流を重視し、ファン同士が盛り上がれる環境作りをサポートしています。
【理由】
買収・再生したタイトルを長期的に運営していくには、ユーザーの意見を素早く取り入れる体制が不可欠だからです。
特に、運営するタイトルのコミュニティで不満が高まると、ゲーム離れが一気に進むリスクがあります。
同様に、スポーツ分野でもファンとの距離感が成否を分けるため、コミュニケーション重視の運営スタイルが欠かせないのです。
顧客セグメント
スマートフォンゲームユーザーを中心としながら、幅広い年齢層が顧客層となっています。
特に買収したタイトルによっては、比較的年齢が高いユーザーが中心になる場合もあり、そのユーザー層に合わせた運営やキャンペーンが展開されます。
また、スポーツ事業ではスポーツファンが主な顧客となり、ファンタジースポーツなどを通じて新たな楽しみ方を提供しています。
【理由】
複数のタイトルを運営するうえで、それぞれ異なるユーザー層をターゲットにしたビジネス戦略が必要になったからです。
ユーザーの趣味嗜好や課金傾向を深く分析し、適切なタイトルで適切なイベントやキャンペーンを打つことで収益の最大化を図っています。
スポーツファン向けには、ライブの熱狂やチーム愛をデジタル空間に再現するコンテンツを提供し、新規顧客の取り込みを狙っています。
収益の流れ
ゲーム内課金や広告収入、スポーツサービスの利用料などが収益源となります。
ゲームにおいては、アイテム販売やガチャシステム、期間限定イベントの課金収益が大きなウエイトを占めています。
スポーツ事業では、DXサービスの導入費やクラブとの利益分配、ファンタジースポーツの課金モデルなどを多角的に組み合わせています。
【理由】
運営型ビジネスでは、ユーザーが長期的にアプリやサービスを利用することが最重要課題となります。
そのため、課金誘導だけでなく、広告の最適配置や追加コンテンツ販売など、多様な収益モデルを試す必要が出てきます。
スポーツ分野も、単に視聴料ではなく、グッズやイベントとの連携など複合的な収益源を確保するほうが安定すると考えられるからです。
コスト構造
ゲームの開発費やサーバー運用費、人件費、そしてマーケティング費用が大きな比重を占めています。
特に買収したタイトルを再生する際の初期投資と、継続的なアップデートのための人件費が主要コストです。
スポーツ事業では、スポーツクラブとの契約費用やシステム導入費、宣伝活動などがコストとして加わっています。
【理由】
運営主体が多角化する中で、安定したゲームサービスを提供し続けるには開発や保守のコストを継続的に投下する必要があります。
また、スポーツクラブとの連携では、共同プロジェクトとして多方面に費用がかかるため、初期投資や継続的支出を見越したコスト管理が求められます。
結果として、運営維持のための人的・技術的リソースが大きな割合を占める構造になっています。
自己強化ループ
マイネットの自己強化ループの中心は、運営実績の蓄積とノウハウの共有にあります。
買収したゲームタイトルを運営するたびに、ユーザーの行動データや課金傾向、イベント成功の秘訣などが社内にストックされます。
これらの知見を新規タイトルや他の事業へ転用することで、同じ失敗を繰り返さず、より効果的な運営施策を打ち出せる好循環を生み出しているのです。
スポーツ事業にも運営ノウハウを横展開し、ファンタジースポーツにおけるユーザーエンゲージメントの高め方やデジタルマーケティングの手法を活かしています。
さらに、顧客のフィードバックを積極的に取り入れることで改良の速度が速まり、ユーザー満足度も上昇しやすくなります。
その結果、新たなファンの獲得や既存ユーザーの定着率向上につながり、収益の安定化と次の投資資金の確保が実現する仕組みを形成しています。
採用情報
初任給の具体的な金額は公開されていませんが、新卒向けの求人情報では、エンジニアやプランナーなどの専門職を中心に積極採用している傾向があります。
年間休日は122日で、ワークライフバランスにも配慮しているといわれています。
採用倍率は公表されていませんが、ゲームやスポーツ事業の成長性に興味を持つ人材が多く応募していると推測されます。
株式情報
マイネットは上場企業として、銘柄コード3928で取引されています。
2023年12月期は配当金が無配となっており、投資家にとってはキャピタルゲインを狙う投資スタンスが主流と考えられます。
2025年1月24日時点での1株当たり株価は316円となっており、今後の事業展開次第では変動する可能性があります。
未来展望と注目ポイント
マイネットの今後の成長戦略としては、ゲーム事業での新規タイトル獲得と既存タイトルの効率運営が引き続き重要なテーマになると考えられます。
特に競争が激しいゲーム市場では、差別化された運営施策やIPとのコラボを通じて、ユーザーを長期間飽きさせない工夫が求められます。
一方、スポーツ事業に関しては、DX推進における先駆者的な立場を確立し、クラブや競技団体との連携をさらに深めることで新たなサービスを展開しやすくなるでしょう。
また、ファンタジースポーツの市場拡大によって、新しい顧客を取り込むチャンスが広がる可能性があります。
これらの取り組みがうまく連動すれば、ゲーム事業とスポーツ事業のクロスセールスや運営ノウハウの共有など、相乗効果が期待できます。
今後もマイネットは既存ビジネスを盤石にしつつ、新領域への挑戦によって収益の多角化を図り、安定成長をめざすでしょう。
ビジネスモデルがより洗練され、IR資料などで新しい成長の兆しが見られた際には、一層の注目を浴びる可能性があります。
コメント