企業概要と最近の業績
ノムラシスコーポレーション株式会社
2025年12月期第1四半期の連結業績は、売上高が19億5,400万円となり、前年の同じ時期に比べて0.7%の減収となりました。
営業利益は1億1,800万円で、前年同期比で18.6%の減益でした。
経常利益は1億2,600万円（前年同期比18.2%減）、親会社株主に帰属する四半期純利益は8,700万円（前年同期比18.7%減）と、減収減益の結果となりました。
この業績は、主力の紙器事業において、顧客の在庫調整の影響を受けたことや、原材料価格の高止まりが主な要因です。
コスト削減に取り組んだものの、販売数量の減少とコストアップ分を価格へ完全に転嫁しきれなかったことが利益を圧迫しました。
価値提案
ノムラシステムコーポレーションが提供する価値提案は、企業が抱える複雑な業務プロセスを統合し、効率化と可視化を同時に実現する点にあります。
特にSAPの導入コンサルティングに強みを持ち、財務や人事、物流など多岐にわたる業務領域のシステム構築をサポートしています。
【理由】
国内外の大手企業を中心にERP導入が進む中で、導入プロセスに高度な専門知識と経験が必要とされるようになったためです。
同社は専門性の高いコンサルタントを育成し、顧客企業の要望に細やかに対応できる体制を整えてきました。
これにより、単にシステムを導入するだけでなく、業務フローを見直して最適化を図るなど、総合的な業務支援が可能となっています。
こうした付加価値の高さが、他社には代替しがたい独自の価値提案を生み出しているのです。
主要活動
同社の主要活動は、SAP導入に関わるコンサルティングやシステム設計・開発、さらに導入後の保守・運用サポートまで一連のプロセスを包括的に担うことです。
【理由】
なぜそうなったのかという背景には、企業のIT投資がシステム導入だけで終わるわけではなく、運用フェーズや追加の機能拡張、ユーザー教育まで長期的に行われる傾向があるからです。
このため、単発のコンサルだけでなく、その後の保守や運用の部分で安定的な収益を確保できる体制を築いてきました。
導入時には要件定義やシステム構成の設計など、事業課題を的確に把握するためのヒアリング能力が問われ、運用期にはトラブルシューティングや改修提案などが求められます。
これらをワンストップで提供できる点が、同社の主要活動における最大の強みとなっています。
リソース
ノムラシステムコーポレーションのリソースの中核となるのは、SAP認定コンサルタントなど高度な資格や経験を持つ人材です。
【理由】
ERP導入は単純なシステム知識だけでなく、顧客企業の業務内容や業界特性を深く理解する必要があるためです。
同社は独自の教育プログラムを設け、若手社員からベテランまで継続的に研修を行い、専門スキルの底上げを図っています。
さらに、導入経験を通じて蓄積されたノウハウも重要なリソースとして機能します。
このように、人材への投資を惜しまない姿勢が企業の競争力を支え、ERPを中心としたITコンサル市場で信頼を獲得しているのです。
パートナー
同社のパートナーとして最も大きな存在は、言うまでもなくSAP社です。
【理由】
グローバルに展開するSAP社のERP製品を扱うことで、大手企業を含む幅広い顧客層に対応できる基盤を得たからです。
また、場合によっては他のシステムインテグレーターやコンサルファームと協業するケースもあり、複数企業が連携して大規模プロジェクトに取り組むこともあります。
これにより、自社だけでは提供が難しいサービス領域を補完し、顧客に最適なソリューションを届けることが可能となっています。
結果的に、SAPをはじめとする技術パートナーとの関係性が、同社のビジネス機会を拡大する原動力となっています。
チャンネル
ノムラシステムコーポレーションは、自社の営業チームを通じた直接販売が主なチャネルとなっています。
【理由】
ERP導入は大企業との長期的かつ綿密なやり取りが必要なプロセスであり、代理店を挟んだ販売だけではきめ細かなコミュニケーションがとりにくいからです。
直接営業を行うことで、顧客のニーズや課題をしっかりとヒアリングし、それに合わせたソリューションを提案できます。
また、セミナーや展示会といったイベントを通じてリードを獲得し、そこから専門コンサルタントが深掘りして商談に結びつける流れも確立しています。
こうした営業チャネルの強化によって、安定した案件獲得が可能になっています。
顧客との関係
同社は、コンサルティングを通じて顧客と長期的なパートナーシップを築くことを重視しています。
【理由】
ERP導入は一度で終わるプロジェクトではなく、運用やバージョンアップ、追加機能の要望などが継続的に発生するからです。
導入時だけでなく、導入後のサポートを行うことで顧客との深い信頼関係を築き、追加の受注や他部門への横展開などにつなげています。
このように、単発の受注に留まらず、保守契約や運用支援を行うことで長期的な収益を生み出すビジネスモデルを確立できているのが特徴です。
顧客セグメント
同社の顧客セグメントは、大手企業を中心とした幅広い業種にわたります。
製造や小売、サービスなど、SAPが対応可能な業種であれば導入ニーズが高いためです。
【理由】
なぜそうなったのかを考えると、グローバル展開をしている企業が一貫したERPシステムを必要とするケースが多く、それを支援できるコンサルタントが求められているからです。
また、国内市場においてもDX化や働き方改革などの需要拡大に伴い、大手のみならず中堅企業もERPの導入を検討する動きが進んでいます。
こうした幅広い顧客セグメントを対象にできる点が、同社の安定した成長の背景となっています。
収益の流れ
収益の流れとしては、コンサルティングやシステム導入に伴う初期費用と、導入後の保守・運用サポートによる継続的なサービス費用が挙げられます。
【理由】
ERP導入では要件定義やカスタマイズなどの大規模な作業が発生するため、まずはプロジェクト型の報酬が生じます。
その後、導入後にもバグ修正やアップデート対応などが必要とされるため、保守契約による継続課金が同社にとって安定収益源となっているのです。
これにより、景気や企業の投資動向に左右されにくい強固な収益基盤が形成されています。
コスト構造
コスト構造で大きなウェイトを占めるのは、人件費や教育研修費、さらに技術開発費です。
【理由】
高度なSAP導入コンサルを行うには専門知識を持った人材の確保と育成が欠かせないからです。
特にERPに精通したコンサルタントの育成には長い時間とコストがかかりますが、その成果は顧客満足や競争力の向上につながります。
また、SAPの新機能や最新バージョンへの対応も必要不可欠であり、技術開発費への投資を怠ると競合に差をつけられてしまいます。
このような構造上、人材育成と技術力強化への投資こそが、同社のビジネスモデルを支える要のコストとなっています。
自己強化ループ
ノムラシステムコーポレーションの成長を支えている自己強化ループの重要なポイントは、人材育成による専門性向上と顧客満足度の連鎖です。
SAP認定コンサルタントをはじめとした専門人材が充実することで、より高度なニーズに応えられる体制が整い、結果として顧客企業からの信頼や追加案件の獲得につながります。
こうした案件増加によって現場での経験値がさらに蓄積され、コンサルタントのスキルアップが促されるという好循環が生まれています。
また、導入後の運用サポートでも蓄えられたノウハウが次の提案や新規顧客開拓に活用されるため、時間が経つほどにサービスのクオリティと企業のブランド力が高まっていきます。
この自己強化ループが持続することで、同社は安定した成長基盤を維持しながら、新しいサービス領域や顧客層に挑戦できる体制を確立できるのです。
採用情報
採用情報では、初任給と採用倍率については公表されていませんが、年間休日は120日以上が確保されています。
ITコンサルティング業界は高度な技術と知識が求められる一方で、働き方改革やワークライフバランスへの意識が高まっているため、休日数が多いことは人材確保の面でもプラス要素となっています。
入社後の研修や資格取得支援など、人材育成への投資が積極的に行われている点も注目ポイントです。
株式情報
同社の銘柄コードは3940です。
2024年12月期の予想配当金は1株当たり3.25円とされ、2025年1月30日時点の株価は122円で推移しています。
株価水準から考えた場合、一定の配当利回りが期待できる点は投資家にとって魅力といえます。
ERP市場の継続的な拡大が見込まれる中で、同社の今後の株価推移や配当方針に注目が集まっています。
未来展望と注目ポイント
今後、ERP市場は国内のみならず海外でもさらなる成長が期待され、SAP製品の需要は引き続き高い水準で推移するとみられます。
ノムラシステムコーポレーションは、国内大手企業だけでなく中堅企業にもアプローチを広げることで、新たな顧客層を獲得できる可能性を秘めています。
また、ERP導入は業務改革やDX推進にも深く関わるため、同社が蓄積してきたノウハウを他の関連領域に応用することで、新しいサービス展開やコンサル手法の確立が進むと考えられます。
さらに、人事ソリューションやクラウド活用の分野でも引き合いが増加しており、これらの分野への投資や人材育成を通じた体制強化が成長戦略の重要な鍵になりそうです。
企業のデジタル化ニーズが急激に拡大する中で、同社のように高い専門性と総合的なサポート力を併せ持つ企業は、今後も市場からの需要が絶えないでしょう。
継続的に高水準の業績を目指すためには、人材確保と教育、そして技術開発への投資をバランスよく行い、新しいテクノロジーやビジネスチャンスにも柔軟に対応していくことが不可欠と考えられます。
今後も同社のビジネスモデルや成長戦略に注目が集まることは間違いありません。
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