急成長を遂げるセキュリティ企業のビジネスモデルを徹底解剖 IR資料から読み解く最新トレンド

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企業概要と最近の業績

株式会社セキュア

2025年12月期第1四半期の売上高は20億50百万円となり、前年同期と比較して25.8%の大幅な増収となりました。

営業利益は1億80百万円(前年同期比35.2%増)、経常利益は1億78百万円(同34.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1億20百万円(同36.1%増)と、高い成長を達成しました。

主力のセキュリティソリューション事業において、AIを活用した監視カメラシステムやクラウド型の入退室管理システムの需要が、小売店舗やオフィスビル向けに大きく拡大したことが主な要因です。

特に、人手不足を背景とした店舗の省人化や防犯意識の高まりが、導入を後押ししました。

利益面では、増収効果に加え、プロダクトの標準化による利益率の改善が進んだことにより、大幅な増益を確保しています。

【参考文献】https://www.secua.co.jp/ir/

価値提案

同社が最も大切にしているのは、AIとセキュリティ技術を融合させることで「安全・安心の空間を提供する」という価値提案です。

監視カメラだけでは捉えきれない異常行動や不審者の検知をAI解析が補完することで、より迅速かつ的確にリスクを洗い出せる点が大きな特徴となっています。

また無人店舗においては、レジレス決済システムの導入によって顧客の利便性を高めるだけでなく、スタッフの人手不足に悩むオペレーター企業にも恩恵をもたらしています。

【理由】
なぜこうした価値提案が生まれたかというと、従来型のセキュリティシステムでは「リアルタイム性」や「精度」の面で課題があったからです。

例えば人が監視カメラ映像を常時チェックするには限界があり、リスクの見落としが発生する可能性があります。

その弱点をAIが自動的かつリアルタイムに解析する仕組みで補完することにより、安全性と業務効率を同時に高められる価値を打ち出したのです。

主要活動

株式会社セキュアの主要活動は、自社開発のAIアルゴリズムを搭載したセキュリティ機器や入退室管理システムの研究開発から販売までを一貫して行うことです。

監視カメラに組み込むAIの解析エンジンは独自モデルを持ち、常に新しいデータで学習を続けることで精度を高めています。

そのためR&Dへの投資額は他社と比較しても大きく、最新技術を取り込むスピードが速いのが強みです。

加えて同社は販売・導入のサポートサービスも提供しており、システムの設置からアフターサポートまでをトータルで担う体制を整えています。

【理由】
こうした一貫体制を築く理由は、顧客が安心して運用できるようにトラブル発生時の対応を迅速化し、継続的なメンテナンス契約を獲得するビジネスモデルを構築しているからです。

製品を売って終わりではなく、長期的な顧客満足と安定的な収益を得る活動が重視されています。

リソース

セキュアのリソースとして特筆すべきは、AI解析技術の専門家やセキュリティ機器に精通したエンジニアなど多様な人材が在籍している点です。

ハードウェアとソフトウェア両面での高い開発力を持ち合わせており、AIによる画像解析の精度向上や顔認証アルゴリズムの高速化など、専門性の高い分野にリソースを集中投下していることが競合他社との差別化につながっています。

また高精度の監視カメラや高性能サーバーを安定的に仕入れるための設備投資も重要なリソースとなります。

さらに自社独自のデータベースには膨大な映像データが蓄積されており、これがAIを進化させるエンジンとして大きな役割を果たしています。

【理由】
こうしたリソースが充実している背景には、早期からAI解析分野に着手し、積極的に研究開発を行ってきた姿勢があるためです。

この蓄積が現在の技術的優位とスピード感を生んでおり、同社の核となる強みを形成しています。

パートナー

同社のパートナーは大きく分けてAI技術面とセキュリティ機器面の二つに分けられます。

AI技術に関しては大学やベンチャー企業と共同で研究開発を行うことが多く、最新のアルゴリズムや解析技術を常時取り込むためのネットワークを形成しています。

一方でセキュリティ機器については、カメラメーカーやセンサーメーカーとの協業によって製品を拡張させるのが特徴です。

これによって、より高性能な監視カメラや高精度なセンサーをベースにAIを実装できるため、製品ラインナップを幅広く揃えることが可能になっています。

【理由】
なぜこうしたパートナーシップがなぜ必要かというと、セキュリティ分野は技術革新のサイクルが早く、単独企業だけではカバーしきれない領域が多いからです。

さらに代理店となるシステムインテグレーターとも連携し、導入支援やアフターサービスを強化しているため、製品拡販と顧客満足度の向上に役立っている点も大きなメリットになっています。

チャンネル

自社による直接営業やオンラインプラットフォーム、販売代理店を活用してさまざまな業種・業態に対して提案を行っているのがセキュアの主要なチャンネルです。

特に大企業や公共機関に対しては、セキュリティ強化の重要性が高いことから直販体制で深いコンサルティングを提供し、カスタマイズ性の高いシステム導入をサポートしています。

一方で中小規模の店舗やオフィス、無人店舗運営者向けにはオンライン経由や代理店経由のパッケージ商品を提供するケースが多く、導入のハードルを下げる工夫を行っています。

【理由】
チャンネルを多角化している理由は、市場ニーズが多様化しているなかで幅広い顧客にアプローチする必要があるためです。

また、直販の強みであるきめ細かなサポートと、オンラインプラットフォームの利便性を組み合わせることで、会社としての売上最大化を狙う戦略も背景にあります。

顧客との関係

セキュアでは単に製品を販売するだけではなく、導入前から導入後まで一貫してサポートを提供する方針を採用しています。

具体的には、入退室管理システムや無人店舗向けソリューションを提案する際に、顧客の施設規模やニーズを詳細にヒアリングし、最適な機器構成やソフトウェア設定を提案します。

導入後も定期的なメンテナンスやAIのアップデートを実施し、不具合やシステム障害が起きた際には迅速に対応する体制を整えています。

【理由】
こうした顧客との継続的な関係構築が重要視されるのは、セキュリティ製品が持つ「止めることができない」重要性の高さに起因しています。

システムダウンによるリスクは大きく、常に稼働する安心感を提供することが求められるからです。

そのためカスタマーサクセスチームが定期的に運用状況を確認し、顧客満足を維持する施策を欠かさないようにしている点が同社の特色です。

顧客セグメント

同社が主にターゲットとする顧客層は企業や公共機関、大型商業施設や工場など、防犯・監視体制の強化が急務のセグメントです。

加えて、近年注目されている無人店舗運営事業者にも積極的にソリューションを提供しており、レジレス決済を導入した小売店やコンビニなどでの導入実績を伸ばしています。

さらに顔認証を用いた入退室管理システムはオフィスや高セキュリティを要する研究施設などでも採用が進んでいます。

【理由】
こうした幅広い顧客セグメントにリーチできている背景には、高精度の監視カメラ技術とAI解析技術が、多種多様な用途に適用しやすいという強みがあります。

今後はスマートシティ構想や公共インフラのDX化など、より大規模なセキュリティ領域にも参入が見込まれ、潜在顧客層はさらに拡大していく可能性が高いと考えられます。

収益の流れ

セキュアの収益は大きく製品販売とサービス契約の二本柱で成り立っています。

製品販売は監視カメラや入退室管理システムなどのハードウェアと、AI解析ソフトウェアのライセンス費用を含む形で収益化しています。

一方サービス契約は、導入サポートから定期的なメンテナンス、そしてAI解析エンジンのアップデートなどを含む保守サービス料金が中心です。

このように初期導入時の売上だけでなく、運用・メンテナンスにおけるストック型の収益も確保することで、安定したキャッシュフローを生み出す仕組みを構築しています。

【理由】
なぜこうした収益構造を重視しているかというと、セキュリティ機器は一度導入すると長期運用が前提となるため、常に最新の状態を維持するサポートが求められるからです。

またハードウェアとソフトウェアを一括提供することで、他社との価格競争に巻き込まれにくい強固なビジネスモデルを実現している点も同社ならではといえます。

コスト構造

コスト構造のなかでも大きな割合を占めるのが研究開発費と人件費です。

AI解析の高度化や新製品の開発にはエンジニアやデータサイエンティストが不可欠であり、これらの専門家の確保と育成には相応の投資が必要になります。

また監視カメラやセンサーなどの製造・仕入れコストも重要ですが、技術革新が早い分野では高性能機器を適切に選定・調達することで品質を維持しつつ、コストを最適化する努力が求められます。

販売・マーケティング費用についても、市場拡大に向けて積極的な宣伝活動を行うことで一時的にコストが増加する傾向がありますが、それを上回る収益効果が期待できるため、同社では成長フェーズにおいて広告投資を厭わない方針を取っています。

【理由】
こうしたコスト構造が形成された背景には「高い技術力を軸に市場を拡大する」という戦略があり、他社との価格競争ではなく、製品の革新性や信頼性を重視する形で利益を確保しようとしているところに特徴があります。

自己強化ループ

同社の自己強化ループはいわゆるフィードバックループとも呼ばれ、AI技術が製品性能を高め、それによって顧客満足度が上がり、さらなる収益向上と研究開発への再投資が可能になる好循環を生み出しています。

まず高精度のAI解析技術を導入することで、監視カメラや入退室管理システムの付加価値が向上し、顧客にとっては導入メリットが明確になります。

すると新規顧客や既存顧客の追加購入につながり、売上高が上昇していきます。

この売上の一部はさらなるAI開発やハードウェアの改良に投資されるため、同社の製品はより高いパフォーマンスと安定性を備えるようになります。

性能が上がれば導入事例が増え、実績としての説得力も高まり、新規顧客の参入障壁が下がります。

この連鎖によって同社は継続的に成長しやすい環境を整えています。

AI技術の進化が早い中、こうしたフィードバックループがうまく回っている企業は少なくないものの、セキュアの場合はセキュリティ分野という社会的ニーズの高い領域で展開しているため、今後も加速度的な成長が期待される点が特徴です。

採用情報

提案営業職の初任給は月給36.89万円から49.49万円と高水準で、年間休日も120日以上を確保しています。

これは先端技術を扱うエンジニアやAI分野に精通した人材を含め、専門性の高い人材を幅広く確保するための方策と言えます。

採用倍率については公開されていませんが、AIやIoTの急成長分野に強い関心を持つ求職者が多いため、実際にはかなりの競争率になっていることが推測されます。

高い給与水準に加えて、最先端技術を使った開発や全国規模での顧客案件に携われる環境が整っているため、技術者として大きく成長するチャンスがあるのも魅力の一つです。

株式情報

同社は東証グロース市場に上場しており、銘柄コードは4264です。

2023年12月期は成長投資を優先する方針から配当は実施しておらず、今期は無配となっています。

株価は2025年1月27日時点で約1,876円で推移しており、AI関連銘柄としてマーケットからも注目度が高い銘柄の一つとされています。

中長期的には株主還元策の強化も検討されている可能性があり、今後のIR発表や会社の成長戦略にさらなる期待が寄せられています。

未来展望と注目ポイント

セキュアの未来展望としては、AIのさらなる高性能化に伴って監視カメラの映像解析や顔認証技術が一層進化し、より精度の高い防犯システムを構築できるようになることが挙げられます。

また無人店舗ソリューションも拡大余地が大きく、人手不足対策や省人化ニーズに直結するビジネスとして今後の導入が増える見込みです。

さらにスマートシティや公共インフラのDX化に向けた需要も見逃せません。

街中や交通機関など大規模なセキュリティ強化が進めば、複数の拠点を統合管理するためのAIプラットフォームが必要となり、それを提供できる企業としてセキュアへの依頼が増える可能性があります。

こうした成長領域の広がりに備えるために、引き続き研究開発への投資を積極的に行い、海外市場への進出やグローバルパートナーとの連携も視野に入れている点がポイントです。

今後はIR資料などで開示される新たな戦略や技術情報に注目が集まり、さらに高い成長を実現するポテンシャルを秘めていると言えるでしょう。

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