株式会社タウンズの成長戦略とビジネスモデルに注目しよう
株式会社タウンズ
独自のナノテクノロジーなどを活用した「体外診断用医薬品」の研究開発から製造、販売までを一貫して行うメーカーです。
特に、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症を医療現場で迅速に検査できる「感染症迅速診断キット(POCT)」を主力製品としており、「イムノエース」などのブランドで展開しています。
静岡県に拠点を置き、国内のみならず海外へも製品を供給することで、感染症の早期発見や適切な治療の支援に貢献しています。
2026年6月期第1四半期(2025年7月1日~2025年9月30日)の非連結業績は、売上高が23億6,800万円で前年同四半期比63.1%の減少となりました。
利益面では、営業利益が5億4,700万円で同85.4%減、経常利益が5億500万円で同86.5%減、四半期純利益は3億5,700万円で同86.7%減となり、大幅な減収減益となりました。
この主な要因は、新型コロナウイルス感染症の流行規模が前年同期を下回ったことや、市場における検査キットの在庫消化が継続したことにより、製品需要が縮小したためです。
なお、同社は体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略されています。
【参考文献】 https://www.tauns.co.jp/
価値提案
高品質かつ迅速に感染症を検出できる診断キットを開発し、医療現場の負担や検査時間を大幅に減らすサービスを提供しています。
【理由】
タウンズはPOCTと呼ばれる現場即時検査領域に強みを持ち、患者さんや医師にとってスピードと正確さが欠かせないことを理解しています。
そのため必要な技術開発に積極的に投資し、検査精度を保ちながらも操作が簡単なキットを生み出してきた結果、高い価値を提供する製品が完成しました。
主要活動
研究開発や製造工程の管理、そして販売後のアフターサポートまでを自社で行っています。
【理由】
感染症対策は医療の最前線で使われるため、安全性と信頼性を確保することが求められます。
そこでタウンズは外部依存を最小限にし、細かい品質管理ができる自社主導の体制を整えました。
これが同社の強みとなり、安定的な供給と品質維持に大きく貢献しています。
リソース
専門的な研究開発チームや最新式の製造設備を保有しています。
【理由】
感染症迅速診断キットの開発には高度な専門知識が必要です。
そこでタウンズは優秀な研究者や技術者を積極採用し、最先端の実験機器や製造ラインを整備してきました。
これにより、常に医療現場のニーズに合わせた新しい製品をスピーディーに作り出すことができています。
パートナー
病院やクリニックなどの医療機関、大学などの研究機関、国内外の販売代理店と連携しています。
【理由】
診断キットの信頼性は、実際に使用する医療従事者と密にコミュニケーションを取りながら改善することで高まります。
そこでタウンズは医療現場の声を素早く吸い上げられるパートナーシップを築き、技術面でも共同研究などを通じてより洗練された製品づくりを進めてきました。
チャンネル
自社営業、オンラインプラットフォーム、医療機関との直接契約
【理由】
感染症対策は緊急性が高く、必要となる現場にすぐ届けることが大切です。
自社営業やオンライン活用によって出荷や問い合わせ対応を素早く行い、タイムロスを減らす工夫をしてきました。
これにより顧客満足度の向上につながっています。
顧客との関係
専門的な技術サポートや製品トレーニング、カスタマーサポートを提供
【理由】
正確な検査結果を得るためには、使用方法の理解や機器の扱い方がとても重要です。
タウンズは利用者が安心して製品を使えるよう、わかりやすいマニュアルやスタッフによるトレーニングを用意しました。
こうしたサポート体制により長期的な信頼関係が育まれています。
顧客セグメント
病院やクリニック、研究機関など
【理由】
高度な検査が必要な大学病院などの大規模施設だけでなく、地域のクリニックでも簡単に使えるキットを目指してきたからです。
また研究機関では新しい病原体の調査などで迅速かつ正確な診断が必要とされるため、タウンズの製品が採用される機会が増えています。
収益の流れ
主に診断キットなどの製品販売による収入
【理由】
感染症は社会に大きな影響を与えるため、必要とされる時期に確実に販売が行われます。
タウンズは継続的に開発された製品を市場に投入し、医療機関からの定期的な購入ニーズに支えられて安定した収益を確保しています。
コスト構造
研究開発費や製造コスト、販売やマーケティングの費用が主な要素
【理由】
高品質の診断キットを提供するためには、常に研究開発を続けて製品をアップデートする必要があります。
また販売やマーケティングでは、感染症対策の重要性を広く伝えるための啓発活動や営業活動にコストがかかります。
これらの費用がタウンズのコスト構造を支えています。
自己強化ループの仕組み
タウンズが持つ自己強化ループの核となっているのは、製品へのフィードバックが即座に開発に生かされる体制です。
医療従事者から寄せられる意見を受けて、研究チームが改良案を検討します。
そして改良された診断キットが再び市場へ提供されることで、医療現場はより正確で使いやすい製品を手にできます。
すると利用者の満足度が向上し、結果としてタウンズのブランド力が高まります。
ブランド力が向上すれば市場での優位性が強まり、さらなる投資を呼び込むことにもつながります。
こうして生まれた利益がまた研究開発に回されることで、タウンズは継続的に新たな感染症や新技術への対応を進められるのです。
これはまさに正の循環を引き起こすフィードバックループであり、タウンズのビジネスモデルにおいて重要な支えになっています。
採用情報
タウンズでは新卒採用に力を入れ、初任給は大学院卒で月給239000円以上、大学卒で月給229000円以上となっています。
高校卒でも月給180000円以上が提示されており、製造現場や品質管理など幅広い部署でのチャンスがあります。
休日休暇は完全週休二日制で年間の休日数は十分に確保されており、有給休暇やリフレッシュ休暇など福利厚生も手厚いです。
採用倍率は毎年変動しますが、6~10名程度の採用枠を狙って多くの応募があるため、専門知識やコミュニケーション力をアピールできると有利になりそうです。
株式情報
タウンズは非上場企業なので株式市場での取引は行われていません。
そのため一般投資家が株式を取得することは難しい状況です。
配当金や1株当たりの株価といった詳細は公表されていないため、IR資料は社内向けや取引先向けの形で作成されることが多いようです。
今後もし上場を検討するとなれば大きな話題になる可能性があります。
未来展望と注目ポイント
感染症の脅威は今後もさまざまな形で現れると考えられています。
タウンズはこれまで培ってきた研究開発能力や販売体制をさらに拡張し、新しいタイプの病原体が発生したときにもスムーズに対応できる体制を整えようとしています。
医療機関からの需要は国内だけでなく世界的にも高まっており、海外市場への進出が成長戦略の一つとして期待されています。
また高齢化社会を迎える中、早期診断が重要になる病気が増えてくることも追い風となるでしょう。
タウンズの強みであるPOCT分野のノウハウは幅広い病気の検査に応用できる可能性を秘めており、今後さらに開発対象を拡大することで新たな市場を切り開くことができそうです。
業績も安定しているため、優秀な人材を集めることでより洗練された技術開発や国際展開を推進できると考えられます。
社会的にも必要とされる分野であるからこそ、タウンズの動向は今後も大きく注目されるでしょう。



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