企業概要と最近の業績
鳥越製粉株式会社(証券コード:2009)
【全体の業績】
鳥越製粉(とりごえせいふん)株式会社は、福岡県福岡市博多区に本社を置き、東証スタンダード市場に上場する、1877年(明治10年)創業の非常に長い伝統を持つ準大手の製粉・食品素材メーカーです。
同社は、九州地方を強固な地盤とし、パン用や麺用などの業務用小麦粉、ふすま、プレミックスを製造・販売する「製粉事業」をコアビジネスとしています。最大の強みであり、独自のニッチトップな地位を築いているのが、日本で初めて開発・工業化に成功した「低糖質(ローカーボ)小麦粉」や「食物繊維・胚芽」を配合した高機能・健康志向食品素材、そして欧州の伝統的な味わいを再現する「フランスパン用粉」の展開です。独自の穀物加工エンジニアリングを駆使し、製パン・製麺業界へ高付加価値なソリューションを供給するビジネスモデルを確立しています。
原材料費の落ち着きと粘り強い価格マネジメントが着実な増益をもたらした同社の最新の通期決算(2025年12月期)の連結業績は、売上高が262億5000万円(前期比0.3%増)、営業利益が13億1200万円(同23.3%増)、経常利益が15億2400万円(同8.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が11億3200万円(同19.1%増)となりました。
主力の製粉事業において業務用小麦粉の安定した数量をがっちりと維持し、売上高は262億円を突破。世界的なコストインフレの直撃を受けた前の期のプレッシャーを跳ね返し、本業の儲けを示す営業利益が2割超、最終利益も約2割近く跳ね上がる大幅な増益を達成し、底堅い回復力と収益の筋肉質化を証明する素晴らしい決算内容となっています。
この力強い利益成長を牽引した最大の理由は、主主力である製粉セグメントにおいて、政府による輸入小麦の政府売渡価格の改定動向に合わせた「製品価格の適正化(マージン管理)」が現場に深く浸透したことです。
エネルギーコストや人件費、物流費の上昇といった食品・製造業界共通の強いコストプレッシャーに直面しながらも、副原料を含む原材料価格の一部安定化や、製造工程における徹底した省エネ・能率化へのアプローチが最高の実を結びました。これにより売上総利益(粗利益)がしっかりと改善し、販管費の増加を完全に吸収して高い収益性をビルドアップしました。
財務面に関しても、極めて健全かつ超強靭な「超キャッシュリッチ体制」を盤石にキープしています。最新の貸借対照表において、総資産464億7300万円に対し、順調な利益蓄積を背景に純資産は367億9400万円へと拡大。財務健全性の重要指標となる自己資本比率は「79.1%」という、業界内でも圧倒的トップクラスの驚異的な安全性を誇っています。手元の現金及び現金同等物の期末残高も122億2800万円と極めて潤沢に確保されており、有利子負債を持たない実質無借金経営の強固なディフェンシブ体質は群を抜いています。
この手厚い業績成果と抜群のキャッシュ創出力を背景に、同社は株主還元を非常に手厚く強化しました。株主重視の方針を鮮烈に打ち出し、2025年12月期の年間配当金を直近の配当予想からさらに5円増配する1株当たり「49円」へと大幅増配。これに伴い、連結配当性向は「100.8%」と利益のほぼ全額を株主へ還元する姿勢を示しており、市場における予想配当利回りは4.5%を超えるきわめて魅力的な水準に達しています。
現在進行中の次期(2026年12月期)についても、直近の第1四半期(1Q)の連結経常利益が前年同期比2.2%増の3億7900万円となるなど、通期目標(売上高280億円、経常利益16億800万円)に向けて手堅く極めて順調なスタートダッシュを決めています。年間配当についても高水準な「49円」の維持を予定。伝統の確かな穀物科学技術と、ウェルビーイング(健康志向)のメガトレンドを捉えた低糖質素材の拡大を最大の武器に、圧倒的な財務の安全性と強烈なインカムゲインパワーを最高次元で融合させた、大人の渋みが光る見事な着地となっています。
【参考文献】https://www.the-torigoe.co.jp/ir
価値提案
株式会社鳥越製粉は、高品質な小麦粉の安定供給だけでなく、低糖質パン用ミックス粉や焼酎用精麦といった付加価値の高い商品を提供することで差別化を図っています。
健康志向が高まる中、従来の小麦粉ビジネスに健康関連の要素を加えた点が新しい魅力となっています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、食生活の多様化や健康ニーズの高まりに対応し、既存顧客だけでなく新たな市場を取り込むための取り組みが必要だったからです。
主要活動
同社の主要活動は、製粉・精麦・ミックス粉の製造と販売です。
業務用小麦粉や低糖質パン用ミックスなど、独自の製品開発を続けながら安定した生産体制を保っています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、創業以来の製粉技術を応用して精麦やミックス粉に領域を広げ、事業リスクを分散するとともに高収益分野へ積極的に参入してきたからです。
リソース
製粉や精麦に関する長年のノウハウと、健康商品への開発力が重要なリソースです。
加えて、九州地域に根付いた地盤も大切な基盤となっています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、地元に根差した企業として培った信頼関係や技術力こそが大手との差別化要素になってきたからです。
パートナー
焼酎メーカーやベーカリー、各種食品メーカーとの協力が大きな要素です。
製品を安定的に供給するだけでなく、新商品の共同開発をすることで双方の売上拡大と品質向上を目指しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、企業単独では生み出せないアイデアや販路をパートナーから得ることで、開発スピードと市場浸透力を高められるからです。
チャンネル
代理店や直販、オンライン販売など多面的な販売チャネルを活用しています。
外部の卸業者だけでなく自社販売ルートも確保しているため、柔軟な価格設定や顧客とのコミュニケーションが可能です。
【理由】
なぜそうなったのかというと、多様化する顧客ニーズに応えながら自社製品のブランド価値を高めるには、多方面で接点を持つ必要があるからです。
顧客との関係
同社は主にBtoBの取引を中心としていますが、継続的な受注と長期的なパートナーシップを大切にしています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、製粉や精麦の品質は安定供給が求められるため、一時的な取り引きよりも信頼ベースでの契約が重要視されるからです。
顧客セグメント
食品メーカー、飲食店、ベーカリーなどが顧客の中心です。
健康志向の高まりに伴い、今後は個人向け商品も注力対象になる可能性があります。
【理由】
なぜそうなったのかというと、法人向けで実績を積む中で、一般消費者にも価値を提供できる商品展開が求められつつあるからです。
収益の流れ
製品販売による収入がメインとなっています。
特に焼酎用精麦や健康系ミックス粉など、付加価値の高い領域が利益拡大の原動力になっています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、従来の小麦粉だけでなく、差別化された製品で利益率を上げる戦略が必要となったからです。
コスト構造
原材料費や製造コスト、物流コストなどが主要なコスト要因です。
さらに健康志向の製品開発を進めるには、研究開発費もかかります。
【理由】
なぜそうなったのかというと、利益率を保つためには品質維持や技術開発が欠かせず、それらの投資コストが将来の成長につながると考えられているからです。
これらの要素を総合的に組み合わせ、健康志向という時流に乗りつつ堅実な収益基盤を築いているのが同社のビジネスモデルの特徴といえます。
自己強化ループ
株式会社鳥越製粉が成長を維持するためには、消費者ニーズを的確に捉えた商品開発のサイクルと、パートナー企業との協力関係を絶えず強化していく必要があります。
例えば、低糖質パン用ミックス粉においては健康志向の高まりを的確に捉えたことでベーカリーなどからの受注が伸び、その実績がさらに自社の開発ノウハウを蓄積させる好循環を生み出しています。
同時に焼酎メーカーとのパートナーシップで培った精麦技術は、品質向上と企業間の信頼を高める要因となっています。
これらが組み合わさることで、同社は新製品の開発から販売拡大までをスムーズに進め、収益向上につなげることができています。
さらにこうした業績向上と信頼関係の強化が、IR資料などを通じて投資家や市場関係者にも好印象を与え、新たな投資や販路拡大につながることが期待できます。
まさに商品力とパートナーシップ、そして市場からの評価が循環して高まる自己強化ループが働いているのです。
採用情報
現在の従業員数は男性206名と女性50名で合計256名とされています。
売上高や企業規模を考えると、比較的コンパクトな組織ながらも多方面に事業を展開しています。
新卒採用における初任給や平均休日、採用倍率などの具体的な情報は公表されていませんが、製粉業界や食品分野への関心が高い学生や転職希望者にとっては魅力的な選択肢になる可能性があります。
健康に関わる商品開発や安定した製粉事業に携われる点は、食に関わりたい人にとってやりがいを見いだしやすいでしょう。
株式情報
銘柄は証券コード2009で上場しており、株価や配当金についての詳細はその時々の市場動向や企業の方針によって変化します。
最新の配当金や1株当たりの株価は公表されていないため、投資を検討する際には証券会社や金融情報サイトで最新データを確認する必要があります。
安定的な事業基盤と今後の成長可能性をどう評価するかが投資家からの注目ポイントになりそうです。
未来展望と注目ポイント
今後の株式会社鳥越製粉は、低糖質商品へのニーズが高まる中で、これまで以上に健康関連の分野へ開発リソースを注ぎ込み、商品ラインナップの拡充を目指すことが期待されます。
海外でも健康ブームは加速しているため、日本国内だけでなくアジア圏を中心とした展開が視野に入るでしょう。
さらに焼酎向け精麦は同社の安定収益源となっているため、そこから得られる利益を新規事業や研究開発に再投資できるサイクルを構築できれば、さらなる成長が見込まれます。
特に成長戦略を明確にしてIR資料などを通じてアピールすれば、投資家や市場からの資金調達も期待できるのではないでしょうか。
またBtoB主体のビジネスだけでなく、一般消費者の健康ニーズに応える直販やオンライン販売を拡大すれば、自社ブランドの認知度向上と収益多様化が一層進むと考えられます。
製粉業界は大手企業も多く競争が激しい分野ですが、同社が得意とする低糖質技術や精麦技術を軸に差別化を図り、企業の価値をさらに高めていく可能性は十分にあるでしょう。
そうした戦略が実行されることで、今後も同社の存在感はますます高まると見られています。
“



コメント