企業概要と最近の業績
株式会社セントラルスポーツ
フィットネスクラブ、スイミングスクール、体操教室、テニススクールなどを全国で運営している企業です。
「0歳から一生涯の健康づくりに貢献する」という理念を掲げ、子どもからお年寄りまで幅広い年齢層を対象としたサービスを提供しています。
フィットネスクラブ事業のほかに、企業や健康保険組合向けの健康支援サービス、介護予防事業、指定管理者として公共スポーツ施設の運営受託なども行っています。
2025年3月期の本決算短信によりますと、売上高は481億96百万円となり、前の期と比較して4.0%増加しました。
営業利益は26億8百万円で、前の期から14.1%の増益となりました。
経常利益は28億6百万円(前期比8.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は16億82百万円(前期比2.4%増)と、増収増益を達成しています。
フィットネスクラブの会員数が回復基調にあることに加え、スクール事業が堅調に推移したことが業績を押し上げました。
価値提案
セントラルスポーツは「0歳から一生涯の健康づくり」というビジョンを通じて、人々が長期的に健康を維持し、豊かな生活を送れるようにサポートしています。
具体的には、子ども向けのスイミングスクールや高齢者向けの運動プログラムなど、人生の各段階に応じたプログラムを用意することで、誰もが利用しやすい環境を整えています。
家族や友人同士で通えるフィットネスクラブとしての側面も強く、地域コミュニティの活性化にも一役買っています。
【理由】
健康に対するニーズが年々多様化する中で、特定の年齢層だけをターゲットにするのではなく、ライフステージに応じた横断的なサポートが必要と判断したからです。さらに「生涯スポーツ」という考え方を普及させることで、短期的な利用にとどまらない長期的な会員確保が可能となり、経営の安定にもつながります。
家族全員が利用できるサービスや、オンラインを活用したプログラム開発など、幅広い世代にアピールすることで口コミも広がりやすく、ブランド全体の知名度向上にも寄与していると考えられます。
セントラルスポーツがこうした価値提案を行う背景には、健康寿命延伸への社会的要請が強まっていることも大きな理由となっており、行政との連携事業や企業の福利厚生の一環としても選ばれる仕組みを作り出しています。
主要活動
セントラルスポーツの主要活動は、全国規模で展開するフィットネスクラブの運営、スイミングスクールなどのプログラム開発、そしてインストラクターの育成です。
これらの活動を通じて、利用者が安心して運動を継続できるようにサポートしながら、安全で成果の出やすいレッスンを提供しています。
【理由】
フィットネス事業では指導者の質が顧客満足度を大きく左右するため、インストラクターの教育システムを充実させる必要があったからです。加えて、地域に密着した運営を行うことで、一人ひとりのニーズを汲み取りやすくし、きめ細かなサービス改善を進められるようにしています。
特にスイミングスクールは子どもの水泳指導だけでなく、大人向けのアクアエクササイズなど、多彩なプログラムを定期的にアップデートすることで飽きさせない仕組みを整えています。
こうした主要活動を充実させることで、会員の継続率を高めるだけでなく、紹介や口コミによる新規入会も得やすくなるのです。
また、運営する施設を地域の健康イベントやスポーツ大会の拠点として活用するなど、コミュニティの盛り上げ役を担うことも多く、地元に愛されるブランドの確立にもつながっています。
リソース
リソースとしては、全国の施設網が最大の強みの一つです。
幅広い地域に施設を持つことで、多様な顧客層を取り込むだけでなく、それぞれの地域特性に合わせたプログラムを提供しやすくなっています。
さらに、専門知識を持つインストラクターやスタッフが企業価値を支える大きな柱であり、定期的な研修や資格取得支援などを通じて、質の高いサービスを提供するための人材育成に力を注いでいます。
【理由】
フィットネス事業は人の体を直接扱うものであり、利用者の安全や効果が高い指導を行うには、高度な専門知識が不可欠だからです。また、独自に開発したプログラムやノウハウも大切なリソースとなっています。
子ども向けのスイミング指導ノウハウから、高齢者向けのリハビリテーション要素を取り入れたプログラムまで幅広く蓄積しているため、競合他社と差別化を図りやすいメリットがあります。
こうした多岐にわたるリソースを有効活用することで、法人向けの健康支援サービスや地域行政との協業にもスムーズに参入できる体制を整え、企業としての存在感を高めているのです。
パートナー
セントラルスポーツは健康関連企業や教育機関、自治体などさまざまなパートナーと協業しています。
例えば、健康食品メーカーとのタイアップにより、会員向けに栄養学のセミナーを提供するケースがあります。
また、学校や学習塾との連携を通じて、子ども向けのスポーツ体験教室を開催するなど、地域全体でスポーツや健康意識を高める取り組みにも積極的です。
【理由】
健康づくりの意識が社会全体で高まるにつれ、スポーツクラブ単体では提供しきれないサービスや知識を補完する必要が出てきたからです。さらに自治体との協力では、公共施設の運営や地域住民に対する健康促進イベントの企画など、多岐にわたる事業を行うことで、セントラルスポーツの知名度向上や利用者拡大にもつながっています。
こうしたパートナーシップを築くことによって、単なる「運動の場の提供」にとどまらず、総合的な健康サポート企業としての立ち位置を確立できるようになります。
法人向け健康支援プログラムでも、健康保険組合との連携や専門家の助言を受けることで、企業が導入しやすいシステムを構築し、市場競争での優位性を高めている点も見逃せないポイントです。
チャンネル
主なチャンネルは自社が運営するフィットネスクラブやスイミングスクールですが、近年はオンラインプラットフォームの活用も進んでいます。
店舗へ直接足を運ぶだけでなく、自宅でエクササイズ動画を視聴しながらトレーニングができる仕組みも提供しており、コロナ禍で高まった在宅ニーズに対応しています。
【理由】
外部環境の変化によってクラブへ行けない、あるいは集団での運動を控えたいという人が増えたことから、オンラインでのサービス展開が急務となったからです。さらに、法人契約というチャンネルも大きな柱であり、企業の健康経営を支援するためのプログラムを提供する形で、一括して社員が利用できる仕組みを整えています。
企業側にとっては福利厚生としてのメリットを打ち出しやすく、セントラルスポーツにとっては安定的に利用者を確保できる利点があります。
また、地域のイベントやスポーツ大会への協賛などを通じて間接的なブランディングにも力を入れることで、より多くの顧客接点を生み出しています。
これら多様なチャンネルを活用することで、世代や地域を問わず利用しやすい環境を作り上げているのです。
顧客との関係
セントラルスポーツは、会員制サービスを中心に運営しており、定期的な利用や複数年にわたる継続を促すための特典を設けています。
たとえば、長期会員向けの料金プランや家族割引などを提供しており、家族全員で利用するケースも増えています。
【理由】
スポーツクラブは継続して通うことが利用者の健康増進にとって重要であり、同時に企業としても安定した収益源を確保するために必要不可欠だからです。さらにイベントの開催や定期的な体組成測定、運動測定などを行い、一人ひとりが運動の成果を実感できるようにサポートすることで、モチベーションを保ちやすくしています。
インストラクターとのコミュニケーション機会を増やす施策も重視されており、利用者が相談しやすい環境を整えることで離脱率を下げています。
オンラインでの問い合わせや予約システムも整え、トレーニングの進捗管理や食事アドバイスなど、きめ細かなサポートを得られる仕組みを取り入れているのもポイントです。
こうした顧客との関係を強化する取り組みにより、口コミでの新規会員獲得やリピート率向上に結びつけているといえます。
顧客セグメント
顧客セグメントは幅広く、子どもから高齢者までの個人客だけでなく、健康経営を推進する法人も含まれます。
子ども向けにはスイミングを中心としたスクールが人気で、技術習得だけでなく体力づくりや社交性の向上にもつながるプログラムを用意しています。
一方、高齢者向けには関節に負担をかけにくいプールでの運動や、リハビリ効果を取り入れたプログラムも提供しています。
【理由】
日本の人口動態や少子高齢化の進展を踏まえ、多様な年齢層へのアプローチが必須となったからです。さらに法人向けサービスでは、企業の健康経営宣言や社員の健康リスクの低減に貢献するプランを用意しており、福利厚生としてスポーツクラブを利用できる形を整備しています。
企業側は従業員の健康増進と生産性向上を狙えるため導入が進み、セントラルスポーツにとっては安定した利用者基盤の確保につながります。
このように複数の顧客セグメントをカバーすることで、景気の変動や少子化などの社会構造変化にも柔軟に対応できる体制を作り、長期的な事業安定を図っています。
収益の流れ
セントラルスポーツの収益源は、会費やスクール受講料が中心です。
定期的に支払われる会費はキャッシュフローを安定させる重要な要素であり、スイミングスクールの受講料は子どもの成長とともに長期契約に結びつきやすい特徴があります。
法人契約料も大きな収益の柱で、健康経営に取り組む企業が増える中、一括して従業員が利用できる仕組みを提供することで継続的な収益を見込めます。
【理由】
スポーツクラブ業界は単発利用だけでは安定した収益を確保しにくいため、定期的な支払いモデルを確立することが欠かせないからです。また、新規顧客の獲得コストが高い業界でもあるため、一度入会してもらい長期的に通ってもらうビジネスモデルが望まれます。
さらに、水着やスポーツウェア、サプリメントなどの関連商品の販売も副次的な収益につながっていますが、こちらは顧客満足度を高めるための付帯サービスの位置づけが強いです。
近年はオンラインレッスンや動画配信の有料コンテンツ化も模索しており、リアル店舗に加えてデジタルチャンネルでも収益を得ることを目指す動きが進んでいます。
コスト構造
コスト面では施設運営費と人件費が大きなウェイトを占めています。
全国に多数の施設を展開しているため、テナント料や設備維持費、光熱費などの固定費が高くなりがちです。
さらにインストラクターを中心とした専門人材を多く抱えているので、人件費も大きなコスト要素になります。
【理由】
スポーツクラブの質を左右するのは設備と指導力であり、その両方を高水準で維持するには継続的な投資が必要だからです。またプログラム開発費や宣伝広告費も無視できないコストとなっており、新たなプログラムやオンラインサービスを拡充するには研究開発やシステム構築などの費用が発生します。
こうしたコスト構造をいかに効率化するかが業績を大きく左右し、コロナ禍以降は特に設備投資や広告宣伝の見直しによるコストコントロールが重要な課題となりました。
一方で、コスト削減だけに注力するとサービス品質が下がり、顧客離れを招く可能性もあるため、バランスの取れた運営が求められます。
セントラルスポーツでは施設内の稼働率向上やオンラインサービスの活用などで、コスト効率とサービス満足度の両立を目指している点が特徴といえます。
自己強化ループについて
セントラルスポーツが強みを発揮している要因の一つに、自己強化ループがあります。
これはサービスの品質向上が会員の満足度と継続率を高め、それに伴って売上が増え、さらにサービス開発や人材育成に投資できるという好循環を指します。
例えばインストラクターの専門性を高めれば、利用者が望む成果や楽しさをより短期間で得やすくなるため、口コミ評判が向上します。
そうした口コミによって新規会員が増えれば、スイミングスクールやフィットネスクラブの稼働率が上がり、設備投資や新たなプログラムの開発にも予算を回すことが可能になります。
結果として多彩で質の高いプログラムをさらに充実させられるので、利用者は飽きにくく長期的に通ってくれる傾向が強まります。
こうしたポジティブな循環構造が、セントラルスポーツの安定成長を支える大きなエンジンとなっています。
またオンラインサービスや法人向け健康支援サービスでも、導入企業やユーザーの声を積極的に取り入れることで、サービス品質を向上させ、それが企業価値の向上につながるという連鎖も起きています。
自己強化ループを維持するためには、継続的な教育や研修、施設のメンテナンス、プログラム改良が欠かせないため、社内外の声をしっかり吸い上げる仕組みをさらに整えていくことが今後の課題といえそうです。
採用情報
セントラルスポーツの採用情報に関しては、初任給や平均休日、採用倍率などの詳細が公に示されていない部分があります。
新卒採用や中途採用では、トレーナーやインストラクター、運営スタッフ、法人営業など多彩な職種を募集していることが多いです。
スポーツや健康に関心がある人であれば、やりがいのある職場として魅力を感じやすいでしょう。
興味がある方はタイミングによって募集要項や条件が変わることもあるため、公式サイトや採用専用ページなどをこまめにチェックすることが大切です。
株式情報
セントラルスポーツの株式情報では、証券コードが4801であることが挙げられます。
2024年3月期の配当金は1株あたり41円となっており、投資家にとっても安定配当銘柄の一つとして認知されています。
また2025年1月20日時点の株価は1株あたり2,357円で推移しています。
業績が回復基調にある中で、今後の事業展開や成長戦略がどのように株価に反映されるかも注目されるところです。
健康産業は今後も需要が底堅いとみられているため、中長期の視点で注目する投資家が増える可能性もあります。
未来展望と注目ポイント
セントラルスポーツの今後を考える上で重要なのは、少子高齢化やリモートワークの定着といった社会的変化への対応です。
スイミングスクールについては少子化の影響を受ける可能性がある一方で、高齢者向けの運動ニーズは拡大が予想されます。
そのためプールを活用したリハビリ型のメニューや、中高年層でも安全かつ効果的に取り組める水中エクササイズの充実が期待されます。
またリモートワークの普及により、運動不足やストレス対策として、自宅でのトレーニングプログラムを求める層が増える見込みがあり、オンラインサービスの強化がさらなる収益源になるかもしれません。
法人向け健康支援サービスでは、社員の健康データ管理やオンラインレッスンの組み合わせなど、デジタル技術を活用した新たなアプローチが市場を拡大しそうです。
企業が健康経営を積極的に進める動きは続いており、福利厚生としてフィットネスクラブを選ぶ流れは止まりません。
そこでセントラルスポーツは幅広い企業ニーズに対応しながら、カスタマイズされたプランを提供することでさらなる成長が見込まれています。
今後は地域の行政との連携や大規模スポーツイベントへの協賛など、多角的なマーケティング戦略も進められると考えられます。
健康やスポーツに関する啓発活動が活発化している中で、企業としてのブランド力をより高め、ユーザーの幅広いライフスタイルを支援できる総合ヘルスカンパニーへと進化していく可能性があります。
こうした取り組みがどのように具体化し、IR資料で示される数値目標に反映されるかが今後の大きな注目ポイントといえるでしょう。
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