企業概要と最近の業績
株式会社トーアミ
鉄線を格子状に溶接した「溶接金網(ワイヤーメッシュ)」の製造・販売を主力とする、大阪府四條畷市に本社を置くメーカーです。
溶接金網は、コンクリート構造物の補強材として、建物の基礎や道路、トンネルといった社会インフラに広く使われています。
その他、住宅や工場向けの各種フェンスや、動物用のケージなども手掛けています。
2025年8月13日に発表された2025年9月期第3四半期の連結決算によりますと、売上高は150億5,000万円で、前年の同じ時期に比べて6.8%増加しました。
営業利益は10億円で、前年の同じ時期から11.5%の増加となりました。
経常利益は10億5,200万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は7億円となり、増収増益を達成しています。
主力の溶接金網事業において、大型物流施設やデータセンターなどの建設需要が堅調に推移し、販売が好調だったことが業績を牽引しました。
【参考文献】https://www.toami.co.jp/
価値提案
株式会社トーアミの価値提案は、高品質な溶接金網を提供するだけでなく、施工を含めた一貫したサポートを通じて顧客の手間やコストを削減し、安心と安全を提供する点にあります。
溶接金網は建設現場や土木分野で不可欠な資材ですが、その品質レベルは直接的に建造物の耐久性や安全性に関わります。
同社の長年の歴史によるノウハウが製品の強みに反映され、厳格な検査体制や最新技術の導入によって信頼性を高めています。
こうした製品のクオリティに加え、施工においても熟練スタッフが携わることで、現場ごとのニーズを正確に把握し、スムーズな工事進行を実現できます。
【理由】
なぜそうなったのかというと、創業以来の技術開発と現場対応の積み重ねが大きく貢献しているからです。
単にモノを売るだけではなく、現場での課題解決をセットにすることで、顧客満足度を高める仕組みが根付いてきました。
主要活動
主要活動は、製品の研究開発、金網の製造、販売、そして施工サービスの提供です。
溶接金網の開発では、強度や耐久性を高めるための素材選定や新たな製法の導入が行われ、品質と生産効率を同時に追求しています。
また、実際の施工も担うことで、モノづくりの段階から現場ニーズを汲み取りやすくなり、顧客に最適な提案を行いやすくしています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、建設現場では製品だけでなく、施工の段取りや安全確保など、複合的な問題を同時に解決する必要があるからです。
同社は創業から培った技術と現場力を融合することで、研究開発から製造、施工に至るまで一貫して品質を守り抜く体制を整えてきました。
こうした姿勢が評価され、建設会社や土木関連企業からの信頼を獲得し、継続的な受注に結びついていると考えられます。
リソース
リソースとしては、自社工場と生産設備、熟練した技術者、そして長年の実績から築き上げられたノウハウが挙げられます。
建材としての溶接金網は、耐久性やサイズなど規格化された部分がある一方で、特殊な施工環境やカスタムニーズにも対応しなければなりません。
そのため、製造設備のフレキシブルな拡張性や、現場の要求に素早く応える対応力が重要になります。
【理由】
なぜそうなったのかというと、建設現場で求められる資材には個別の仕様が多く、それぞれに適した設計が必要だからです。
同社の長い歴史の中で積み重ねられた経験と設備投資によって、一般的な規格品から特注品まで幅広く対応できる状態が整備されてきました。
さらに、技術者の知見とチームワークも大きなリソースとなっており、設計から製造、施工までスムーズに連携できる点が差別化の要因となっています。
パートナー
パートナーとしては、原材料の鉄鋼を安定的に供給する業者や、製品を運搬する物流業者、さらに施工協力会社などが重要です。
これらのパートナーとの協力体制によって、原材料の品質確保や納期の調整が可能になり、顧客からの信頼維持に直結しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、建設・土木分野では納期や品質の遅延リスクが大きく、ひとつの段階でも遅れが発生すると大幅な損失につながりやすいからです。
安定した供給網やスケジュール管理が求められるため、信頼のおけるパートナー企業との長期的な関係構築が欠かせません。
こうして確立されたサプライチェーン全体の協力体制が、製造と工事を組み合わせる同社の強みをさらに後押ししているといえます。
チャンネル
チャンネルは、直販営業や代理店ネットワーク、さらにオンラインを活用した情報提供など多岐にわたります。
大手ゼネコンから地域の工務店まで顧客層が広いため、それぞれに最適な販売経路を整えています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、建設業界は現場に密着した地元企業も多く、全国的な代理店網を通じて地理的・規模的な多様性に対応する必要があるからです。
オンラインの活用も近年は重要性が増し、製品仕様や事例紹介をインターネット上で手軽に確認できる仕組みが整備されています。
こうしたマルチチャンネル戦略により、幅広い顧客へのリーチを実現しているのが同社の特徴です。
顧客との関係
顧客との関係は、直販営業担当が現場の声を細かく吸い上げ、アフターサービスや技術サポートを行う仕組みによって深められています。
施工サービスを自社で持つ強みから、製品購入から工事完了までを一貫してフォローできるため、工事完了後のメンテナンスやトラブル対応もスピーディーです。
【理由】
なぜそうなったのかというと、建材を提供するだけでは顧客の満足度を高めにくく、現場特有の問題を解決してこそリピートや紹介が増えるからです。
この一貫サポート体制は信頼を育む要素となり、結果として長期的な取引や新規顧客の獲得にもつながっています。
顧客セグメント
顧客セグメントは主に建設・土木業界の法人顧客となっており、大手ゼネコンや中小の工務店、あるいは製造業の工場施設なども含まれます。
インフラ整備や公共事業に携わる企業から、商業施設や住宅開発に取り組む企業まで、かなり幅広いのが特徴です。
【理由】
なぜそうなったのかというと、溶接金網はコンクリート補強や土木補強材として多用途に利用できる資材であり、都市開発から道路、橋などインフラまでニーズが存在するからです。
このように、さまざまな分野の顧客がいることで、特定の業界だけに依存しすぎないリスク分散が可能となっています。
収益の流れ
収益の流れは、溶接金網などの製品販売収入に加えて、施工サービスを合わせたセット受注からの利益が大きな柱になっています。
製品単体の販売だけでなく、施工までワンストップで提供できることで、顧客にとって利便性が高まり、受注単価が上がる仕組みが整っています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、施工分野を自社で担うことで、製品の需要を自社内で取り込むだけでなく、施工ノウハウを元に追加的な価値を提供できるからです。
さらに、施工サービスにより付加価値が上乗せされるため、収益の安定化とともに高利益率の獲得が期待できます。
コスト構造
コスト構造としては、鉄鋼をはじめとする原材料費が大きな割合を占め、人件費や物流費も無視できません。
特に建設ラッシュや世界的な鉄鋼価格の変動によって、原材料費が上昇するとコスト全体への影響が直結しやすいのが課題です。
【理由】
なぜそうなったのかというと、溶接金網は鉄鋼素材が主成分であり、世界の景気や為替相場、需要動向によって価格が変わりやすいからです。
一方で、施工サービスを自社内で行うことで、外注コストをある程度抑え、品質をコントロールしやすくするメリットがあります。
こうした工夫により、コスト増を最小限に抑える努力が続けられています。
自己強化ループ
株式会社トーアミには、製品製造と施工を一体化して行うことで生まれる自己強化ループがあります。
まず、高品質な溶接金網を安定的に生産することで、顧客からの信頼が高まります。
すると施工の受注も増加し、現場で得られた知見やニーズを再び製品開発に反映できる仕組みが整います。
施工現場で直接得られるフィードバックは、製品の改良点や新しい要望の発見に役立ち、さらに性能や使い勝手の良さにつながります。
その結果、より多くの現場で採用され、評判が広がることでリピート受注や新規顧客の開拓に結びつきます。
このような好循環が、一度確立されると競合他社にはまねしにくい優位性となり、長期的な業績の安定をもたらすのです。
採用情報
初任給や平均休日、採用倍率といった具体的な情報は公表されていないようですが、製造と施工が組み合わさった職場環境であることが予想されます。
技術職や施工管理、営業職など多彩なポジションが存在するため、幅広いキャリアパスを描くことができそうです。
興味のある方は公式サイトや採用担当に直接問い合わせてみるとよいでしょう。
株式情報
同社は証券コード5973で上場しており、配当金や1株当たり株価の具体的な数値は公表されていません。
1株あたり当期純利益が12円という情報は得られますが、詳しい配当方針や株価動向についてはIR資料などの公式発表をチェックすることをおすすめします。
総資産や純資産の状況からは堅実な財務体質がうかがえるため、今後の経営戦略次第で株主還元方針が大きく変わる可能性もあります。
未来展望と注目ポイント
今後は建設・土木分野における需要動向が同社の業績を左右すると考えられますが、公共事業やインフラ整備の継続が見込まれる場合、溶接金網の需要は一定の底堅さを保つでしょう。
また、海外での建設需要や新製品の開発を通じたさらなる成長が期待されます。
特に、鉄鋼資材の価格変動リスクや人手不足といった社会課題にどう対応するかが、大きな課題になりそうです。
製造と施工の両輪で蓄積される実務知識は競合他社をリードする強力な武器となり、成長戦略のカギを握るといえます。
さらに、環境への配慮や持続可能な建材の開発も今後のテーマとして注目されるかもしれません。
そうした取り組みを通じて新たなマーケットを開拓できれば、より安定的かつ長期的な業績向上が見込まれます。
中長期的には国内需要に加えて海外市場での展開や新技術の導入など、多角的な施策を重ねることで確固たる地位を築く可能性があります。
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