株式会社イボキンで学ぶビジネスモデルの魅力と成長戦略

鉄鋼

企業概要と最近の業績

株式会社イボキン

当社は、金属スクラップのリサイクルを中核事業とする総合リサイクル企業です。

鉄や非鉄金属スクラップ、自動車、廃家電など、様々な廃棄物を収集・選別・加工し、再資源化して製鋼メーカーなどの資源需要家に販売しています。

「限りある地球資源を循環させ、持続可能な社会の実現に貢献する」ことを使命としています。

解体工事業や産業廃棄物の収集運搬・中間処理業も手掛けており、リサイクルに関する幅広いニーズに対応しています。

2025年6月期第3四半期の連結累計期間において、売上高は150億6,200万円となり、前年の同じ時期に比べて17.2%の減収となりました。

営業利益は6億3,900万円(前年同期比61.0%減)、経常利益は7億800万円(前年同期比59.1%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は4億8,000万円(前年同期比58.8%減)と、大幅な減収減益で着地しました。

主力の鉄スクラップの販売価格が、国内の鉄鋼生産量の減少などを背景に前年同期を下回ったことが主な要因です。

また、自動車リサイクル事業における中古部品の販売も、海外での需要減少により低調に推移しました。

【参考文献】https://www.ibokin.co.jp/

価値提案

株式会社イボキンの価値提案は、解体工事から産業廃棄物の収集・運搬・中間処理、そしてリサイクルによる再生資源の販売までを一貫して行うところにあります。

これによって顧客は複数の業者を手配する手間が省け、環境面の負荷を抑えつつ適切なコストで資源を再利用できるメリットを得られます。

【理由】
廃棄物処理やリサイクルを分業するケースが多い中で、建設・製造現場にとって一括管理が望まれる声が強かったためです。

その需要に応えるため、同社はリサイクル施設や専門車両などの自前資源を整え、最初から最後まで責任をもってサポートする仕組みを築き上げました。

このワンストップ対応は、環境保全意識の高まりや効率化を求める企業のニーズに適合しており、強固な差別化につながっています。

主要活動

同社が取り組む主要活動は、大きく分けて解体工事、産業廃棄物の収集運搬および処理、金属スクラップの加工販売、そして運輸サービスです。

解体事業ではビルや工場、プラント設備などを撤去し、そこで発生する廃材やスクラップを環境事業と金属事業で再利用へとつなげます。

【理由】
建設廃材やスクラップを新たな資源に変えて付加価値を生むには、解体から回収、選別、加工までの一連のプロセスを自社で管理する必要があったからです。

これによって外注コストを削減できるだけでなく、品質を安定させることが可能になり、顧客企業の信頼度向上にも結びついています。

その結果、解体案件とリサイクルビジネスが互いを支え合う形で事業を拡大しているのが特徴です。

リソース

同社の主要リソースには、専門的な技術を持つ人材が欠かせません。

解体工事には重機や特殊作業が伴うため、高いノウハウを備えた作業員やエンジニアを配備していることが強みです。

さらに最新の解体機器や自社の処理施設、運輸に使う車両なども大きな財産になっています。

【理由】
事業を効率よく回すには解体から廃棄物処理、運搬まで自前で進めることが有利だと判断し、設備投資を重ねてきた経緯があるからです。

こうした充実したリソースにより、顧客の要望に合わせた柔軟な工事計画や廃棄物の迅速な処理が実現し、多様な業種からの依頼を安定的に取り込むことが可能になっています。

パートナー

同社の主要パートナーには製鋼メーカーや建設会社、自治体、さらには産業廃棄物処理業者などが含まれます。

スクラップを一定の品質で提供するには製鋼メーカーとのやり取りが欠かせませんし、大型の解体案件を獲得するためには建設会社との協力体制が必要です。

【理由】
解体からリサイクルまでのプロセスには多岐にわたる専門知識と設備が関わるため、各段階でのパートナーシップを強化することで事業を円滑に進められるからです。

特に自治体との連携は廃棄物処理における法令遵守や地域環境への配慮に関して重要であり、これらの利害関係者との結びつきを強めることで、安定的な事業環境を整えています。

チャンネル

同社では直接の営業活動やウェブサイト、業界内のネットワークを通じて顧客との接点を築いています。

特に建設会社や製造業者との取引では、長年の実績を基にした紹介やリピート案件が多く、こうしたネットワークの存在が新たな受注の獲得に役立っています。

【理由】
解体工事や産業廃棄物処理は信頼関係がものをいう分野であり、顧客が安心して任せられる業者を探している背景があるからです。

そのため口コミや既存取引の延長で仕事が増える流れになりやすく、自社のウェブサイトや業界イベントなども補助的に活用して、広く情報を発信する戦略を取っています。

顧客との関係

顧客との関係は、単なるスポット契約にとどまらず、長期的なパートナーシップを目指しています。

解体工事や廃棄物処理は案件ごとに内容や規模が大きく異なるため、柔軟な対応と丁寧なプランニングが求められるからです。

【理由】
リサイクル率の向上やコスト削減といった具体的な成果を顧客が求めるため、継続的に相談を受けて最適なソリューションを提案する関係に発展しやすいのです。

このような信頼関係が築かれることで、同社にとっても安定した受注と顧客基盤の拡大につながっています。

顧客セグメント

株式会社イボキンがサービスを提供する顧客セグメントとしては、建設業者や製造業者、自治体、商業施設の運営者などが挙げられます。

大規模施設や工場の解体では特に高い専門性が必要とされるため、解体から廃棄物処理まで任せられる体制が評価されています。

【理由】
近年は環境負荷を減らす取り組みが社会的要請として強まっており、廃棄物の適正処理とリサイクルをしっかり行う企業をパートナーに選ぶ動きが広がっているからです。

こうしたニーズに応えることで、幅広い業種からの依頼を獲得できるようになっています。

収益の流れ

同社の収益は解体工事の受注、廃棄物処理の料金、そして鉄や非鉄金属のスクラップ販売によって構成されています。

例えば大規模な解体案件を受注すると、工事費用だけでなく回収された金属スクラップを加工し、製鋼メーカーに販売することで追加の収益を得ることができます。

【理由】
金属スクラップの価格は市況に左右される一方で、同社が解体から再資源化まで一括で行うことで、タイミングや品質管理を自社の裁量で最適化できるからです。

これによって安定的かつ複数の柱から利益を確保する構造が生まれ、事業全体のリスク分散にもつながっています。

コスト構造

同社の主なコストには、解体現場を担当する人件費や重機などの設備維持費、廃棄物の運搬にかかる燃料費、処理コストなどがあります。

また解体工事の現場や産業廃棄物の種類によって、安全対策や特別な処理が必要となる場合もあり、それらにかかる費用も無視できません。

【理由】
解体とリサイクルはともに専門性が高く、法律や規制の遵守、さらに環境や安全に配慮した運営体制を整える必要があるからです。

ただし自社での一貫管理により外注費を下げられる面もあり、収益性の維持と持続的なコスト削減策の両立が重要な課題となっています。

自己強化ループについて

株式会社イボキンの自己強化ループは、解体事業と金属事業の相互作用を軸に形成されています。

大型の解体案件を多数獲得すると、それだけ大量の鉄や非鉄金属スクラップが発生し、金属事業の売上が増加します。

さらに得られた利益をもとに解体機器やリサイクル設備に投資すれば、解体工事の効率化やリサイクル率の向上につながり、顧客企業へより高品質なサービスを提供できるようになります。

こうした実績が積み重なると、さらに大規模な解体工事を受注しやすくなるため、スクラップ販売による収益も増え、好循環が強まります。

このフィードバックループによって資金が内部から回り続ける形が作られ、継続的な事業拡張や経営の安定にも大きく寄与しています。

採用情報

同社の初任給や平均年間休日、採用倍率などの具体的な数値は公開されていないようです。

ただし解体や運搬、廃棄物処理には専門技術が求められるため、研修や資格取得支援制度などが充実している可能性があります。

就職希望者は説明会や採用担当者との連絡を通じて詳細を確認すると安心です。

株式情報

株式会社イボキンの株式は東証スタンダード市場に上場しており、銘柄コードは5699です。

配当金は2024年12月期において1株当たり32円が予定されています。

また株価は2025年2月14日時点で1株1334円となっており、今後のリサイクル需要や解体案件の拡大による業績動向が投資家の注目を集めています。

未来展望と注目ポイント

今後も解体や廃棄物処理の需要は、大型施設の老朽化や再開発プロジェクトの増加により続くとみられます。

特に古い建造物の更新や工場のリニューアルに伴う解体工事が活発化すれば、さらにスクラップ量の増加が見込めるため、リサイクル事業の拡張に弾みがつくでしょう。

さらに環境規制の強化やSDGsの推進によって、適切な廃棄物処理や再資源化のニーズはますます高まると考えられます。

株式会社イボキンは一貫体制を確立しているため、外部環境が追い風となった場合に大きな成長余地が見込まれます。

一方で金属価格や建設投資の動向に左右されるリスクもあるため、日頃から経済情勢を注視する必要があります。

それでも解体事業と金属事業が相乗効果を生み出すビジネスモデルは強固であり、安定的な事業基盤をベースに、さらなる成長戦略を描く可能性を十分に秘めています。

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