企業概要と最近の業績
日本電波工業株式会社
当社は、スマートフォンや自動車、５G基地局など、あらゆる電子機器に不可欠な「水晶デバイス」を開発・製造・販売する専門メーカーです。
水晶デバイスは、電子回路の基準となる正確な信号をつくりだす部品で、電子機器の安定した動作を支える心臓部ともいえます。
人工水晶の育成から一貫して生産する体制を持ち、小型・高精度な製品開発力に強みがあります。
モバイル通信や車載、産業機器といった幅広い分野に製品を供給し、情報通信社会の発展に貢献しています。
2026年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が128億53百万円となり、前年同期と比較して7.2%の減収となりました。
営業損益は3億5百万円の損失を計上し、前年同期の8億12百万円の利益から赤字に転落しました。
経常利益は52百万円（前年同期比95.1%減）、親会社株主に帰属する四半期純利益は1億15百万円（同88.9%減）となり、厳しいスタートとなりました。
この業績は、データセンター向けなどの産業機器関連や、PC・民生機器関連の需要が低迷したことが主な要因です。
主力の車載関連は堅調に推移したものの、他の分野の落ち込みを補うには至らず、減収および営業赤字となりました。
【参考文献】https://www.ndk.com/jp/
価値提案
高精度で高信頼性の水晶デバイスを提供し、5G通信や自動運転など先端分野の高負荷環境でも安定稼働することが大きな特長です
【理由】
なぜそうなったのかというと、独自の人工水晶育成技術により不純物を極力排除することで振動特性の安定性を高め、信号の精度維持やノイズ低減を実現してきたからです
さらに、水晶デバイスの小型化と高周波化を両立させることで、通信機器や車載部品などスペースの限られた分野でも導入しやすくなりました
このような付加価値が顧客企業にとって不可欠な要素となり、より高品質の製品を安定供給できるメーカーとして認知が高まりました
安定稼働を要求される場面で強みを発揮することで、多くの企業の信頼を獲得し続けています
主要活動
独自の人工水晶の育成から、デバイスの設計、製造、品質管理、研究開発まで一貫して行う体制を整えています
【理由】
なぜそうなったのかというと、水晶振動の特性を最大限に引き出すには、原材料となる人工水晶の品質が極めて重要だからです
外部からの供給だけでは必要とする純度や結晶構造を維持しにくいため、自社内で育成を行うことにより、精密なチューニングが可能になりました
また、設計から製造工程まで社内に専門チームを置くことで、顧客からのカスタマイズ要望に即応でき、品質管理の徹底も実現しています
こうした垂直統合型の生産体制こそが、同社の大きな競争力につながっています
リソース
埼玉県狭山市の技術開発拠点では、長年培われた人工水晶育成技術や熟練した技術者たちが大きな役割を果たしています
【理由】
なぜそうなったのかというと、高品質な製品を生み出すためには微細な結晶構造の評価や制御が求められ、長期の実験データや蓄積されたノウハウが不可欠だからです
そのため、同社は早くから研究と開発に投資し、専門技術を磨いてきました
これにより水晶の育成工程をより短期間で行いながら品質を保ち、さらに小型・高周波領域でも安定した特性を実現することができるようになっています
この知的資産は他社が容易には真似できず、重要な基盤となっています
パートナー
情報通信研究機構や東京大学、東北大学などと共同研究を行い、新素材の開発や次世代通信技術への応用を探っています
【理由】
なぜそうなったのかというと、水晶デバイスの性能向上には材料工学や電子工学など幅広い学術的知見が必要であり、産学官連携を通じて新たな可能性を開拓する方が研究効率や成功確率が高いからです
このようなパートナーシップを築くことで、最新の学術研究や国家プロジェクトの成果をいち早く製品開発にフィードバックできる体制が整えられます
結果として、他社に先駆けた製品リリースや技術力のブラッシュアップを行い、継続的な成長を実現しています
チャンネル
国内外の営業拠点を通じた直接販売と、オンラインでの情報提供を組み合わせています
【理由】
なぜそうなったのかというと、水晶デバイスは用途や性能要件が多岐にわたるため、顧客との綿密なコミュニケーションが重要であり、直接訪問による提案が求められる場面が多いからです
一方、オンラインでも製品情報やサポート手順を開示することで、世界中の顧客からの問い合わせに迅速に対応することができます
こうした複数の販売経路を活用することで、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客の利便性向上にもつなげており、ビジネスを着実に拡大しています
顧客との関係
技術サポートや製品のカスタマイズ対応を通じて、長期的なパートナーシップを育んでいます
【理由】
なぜそうなったのかというと、水晶デバイスは製品ごとに使用環境や周波数要件が異なるため、メンテナンスや仕様変更が発生する場合が多いからです
そこで、単なる納品だけではなく、導入後のフォローアップや不具合時の迅速な対応など、アフターサポートを充実させることで顧客満足度を高め、継続的な取引につなげています
おかげで、長期にわたり安定した受注を得やすい体制が確立され、顧客企業も信頼関係をもとに新製品開発の段階から相談しやすくなっています
顧客セグメント
主に通信機器メーカー、自動車メーカー、電子機器メーカーなどが中心となっています
【理由】
なぜそうなったのかというと、水晶振動子や水晶発振器が高い精度と安定性を必要とする分野で多用されるためです
自動車分野でも、高速通信や自動運転システムでのセンシングや制御に活用されるなど、ますます需要が拡大しつつあります
こうした広範な顧客層を対象にすることで、単一分野の景気変動に左右されにくく、安定した売上基盤を築ける点が特徴です
さらに、産業機器や医療機器などの領域にも市場を広げることで、将来的な成長余地を確保しています
収益の流れ
製品販売による収益が中心ですが、カスタマイズ対応費や技術サポートサービスの一部収益もあります
【理由】
なぜそうなったのかというと、個々の顧客に合わせて設計や周波数調整を行うケースが多く、その追加工数や特別対応の費用が発生するからです
ただし、そうしたサービス収益を大きく拡大するよりも、本業である水晶デバイスの大量生産と販売規模の拡大を優先させることで、業績を高める戦略をとっています
そのため、コスト削減や生産効率の向上といった取り組みを継続的に進め、競争力のある製品価格と安定的な収益源を確保しています
コスト構造
研究開発費や製造コスト、品質管理費が主なコスト要素となっています
【理由】
なぜそうなったのかというと、人工水晶の育成や高性能デバイスの製造には高度な設備投資と人材育成が必要だからです
また、高い信頼性が要求される業界向けに徹底した品質管理を行うため、検査体制や計測機器の導入にコストがかかります
ただ、こうした投資により高品質な製品が作り出され、付加価値の高い価格設定が可能になると同時に顧客の評価も高まります
結果として、長期的な視野で見ればブランド力が強化され、業績にも良い影響を与えていると考えられます
自己強化ループ
同社が生み出す高品質な水晶デバイスは顧客満足度を高め、リピートオーダーや新規顧客の紹介へとつながりやすくなっています
このサイクルが広がるほど売上が安定し、利益を研究開発や設備投資に再投入できるようになります
その結果、水晶育成技術や製造ノウハウがより高度化し、新たな高周波数帯や小型化に対応した製品開発を加速できるのです
そうして生まれた革新的な技術や製品が、さらに新しい市場や顧客の獲得につながり、また売上と利益が拡大するという好循環が形成されています
たとえば5Gや自動運転分野で活用される超高精度デバイスをいち早く提供できれば、顧客の満足度と信頼度が高まり、次世代の開発にも同社との連携を強く望まれるようになるでしょう
こうしたポジティブなループこそが、同社の成長エンジンになっています
採用情報と株式情報
同社の初任給や平均休日、採用倍率などの具体的な情報は現時点で非公開となっていますが、技術開発型企業として専門性の高い人材を求める傾向があります
銘柄コードは6779で東証プライムに上場しており、配当金や1株当たり株価の情報も公開されていません
上場企業として、IR資料の開示などを通じた投資家とのコミュニケーションに力を入れており、長期ビジョンや成長戦略を踏まえた経営方針を示しています
将来的に詳しい採用条件や配当方針が明らかになれば、投資家だけでなく就職を希望する方々からも注目されることでしょう
未来展望と注目ポイント
今後は2030年度に売上高1000億円、営業利益率20パーセントを目指す長期ビジョンを掲げており、ここに至るまでには既存事業の強化だけでなく、新規領域の開拓も不可欠とされています
たとえば次世代通信である6Gや、自動車の高度な運転支援機能、さらには産業用ロボットなど多様な成長市場での需要が期待されます
水晶デバイスの信頼性と高周波対応力がカギになる場面が増えるため、同社の研究開発への投資がさらに進む見込みです
また、海外市場を意識した営業戦略により、多国籍企業や国際プロジェクトへの参画機会も増える可能性があります
こうした動きが実現すれば、国内だけでなく世界規模でのプレゼンスを高めていき、株式市場や就職市場の注目度もよりいっそう高まることが期待されます
今後の展開に大いに目が離せない企業といえるでしょう
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