企業概要と最近の業績
株式会社さくらさくプラスは共働き世帯を支援するために保育所運営や子育て支援住宅、さらにはITシステム開発など多角的に事業を展開している企業です。証券コードは7097で、東京都内を中心に高い認可率を誇る保育所運営が大きな強みといえます。2024年7月期の売上高は172億1,200万円に達し、前年同期比で24.3パーセントの増加を実現しています。また純利益は6億700万円となり、前年より86.8パーセントも伸びている点が注目されます。保育需要の高まりに合わせた施設拡大と、それを支える保育システムやアプリケーションの開発が収益向上に寄与していると考えられます。さらに同社は子育て支援住宅の企画開発を行い、住まいと保育が一体化した利便性を提供することで利用者の満足度向上を図っています。こうした取り組みを通じて着実に業績を伸ばしており、保育分野の成長性と住宅・ITなど周辺事業を組み合わせた多面的な経営手法が功を奏しているといえるでしょう。
ビジネスモデルの9つの要素
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価値提案
・共働き世帯が安心して仕事と育児を両立できるよう、認可保育所と子育て支援住宅、そして保育業務向けシステムを提供
・なぜそうなったのか
都市部の待機児童問題や保育の質的向上の要望を受け、単なる保育所運営だけでなく「住まい」や「ITシステム」まで含めたサービスを一体化する必要が高まりました。共働き世帯のニーズを総合的にカバーすることで差別化を図り、社会の課題を解決しながら事業を拡大する戦略が有効と考えられたのです。その結果、保育と生活環境をまとめて設計するという価値提案が確立されました。 -
主要活動
・都市部にドミナント展開する認可保育所の運営
・子育て支援住宅の企画と開発
・保育業務支援システムやアプリケーションの開発と運営
・なぜそうなったのか
首都圏を中心とした共働き世帯の増加を受け、一カ所で効率よく保育施設を運営しながら周辺サービスも提供することでブランド力を高める考え方がとられました。さらに保育事業では行政との連携が必要になるため、認可保育所の獲得に積極的に取り組む一方、保育士の働きやすさをITで補完し、企業全体の運営を効率化する活動を重視しています。 -
リソース
・保育士や教育スタッフなどの専門人材
・都心部を中心とした保育施設や子育て支援住宅用の不動産
・保育向けシステムを開発できるITチーム
・なぜそうなったのか
保育の質を維持するには優秀な保育スタッフが不可欠です。また都市部での利便性を追求するための施設確保と、ITを活用した業務効率化のための開発リソースが同時に求められました。人材と不動産、そしてIT技術の三つがそろうことで、他社と差別化できるサービス基盤を形成しています。 -
パートナー
・地方自治体や行政機関
・教育関連企業や不動産開発会社
・保育用品や給食サービスの協力企業
・なぜそうなったのか
認可保育所の運営は自治体の認可が必要なため、公的機関との連携が事業拡大の要です。また住宅開発では不動産デベロッパーとの協力が欠かせず、より良い住環境を整えるためにパートナー企業とのスムーズな共同作業が重要視されました。保育サービスに付随する給食や設備などの外部パートナーと協力し、質の高いケアを提供することも必要です。 -
チャンネル
・自社ウェブサイトや直接営業
・提携企業からの紹介や行政窓口での案内
・なぜそうなったのか
保育所の利用者は自治体や地域の案内から情報を得るケースが多いことから、行政との連携を強化して認可保育所の情報を広く周知する体制が重視されました。一方、子育て支援住宅やシステム導入を検討する企業向けには自社サイトや営業担当の訪問が重要な窓口となり、さまざまなチャネルを使い分けることで幅広い顧客にアプローチしています。 -
顧客との関係
・保育所利用者への直接的なサービス提供
・利用者からのフィードバックをシステム開発や住宅開発に反映
・なぜそうなったのか
子どもを預かる保育所は、子育て中の保護者や子ども本人と密接に関わります。この特性上、現場の声をダイレクトに収集してサービス改善につなげることが競争力を生む鍵となりました。開発部門や経営陣が利用者からの意見を即座に取り入れる仕組みを整えることで、顧客との良好な関係を維持しながらサービスの質を向上させています。 -
顧客セグメント
・都市部で保育施設を必要とする共働き世帯
・保育所と連動した住まいを求める家族
・保育システムを導入したい法人や他の保育事業者
・なぜそうなったのか
都市部では待機児童問題が深刻であり、共働き世帯が安心して預けられる保育施設への需要が大きいのが背景です。さらに「保育所が近い住まいが欲しい」という要望から住宅開発へのニーズも生まれました。また、自社で開発したシステムは他の法人向けにも拡販することが可能となり、IT関連事業者や他の保育事業者も顧客セグメントに含まれるようになりました。 -
収益の流れ
・保育サービス利用料
・子育て支援住宅の販売や賃貸収入
・保育システム導入費用やサブスクリプション収益
・なぜそうなったのか
保育所運営だけでは給与や設備投資をカバーするのが難しいため、住宅開発やシステム開発で得られる収入を組み合わせてリスク分散を図る考え方がとられました。保育所を利用する保護者には月額利用料、住宅分野では販売利益や賃貸料、IT部門では開発費や使用料と、多元的な収益源を確保することで安定した経営基盤を築いているのです。 -
コスト構造
・保育スタッフなど人件費
・施設の維持費や賃貸料
・システム開発や運営に伴う研究開発費
・なぜそうなったのか
人件費が高水準となるのは保育業界全体の特徴ですが、優秀な保育士を確保するためには相応の投資が必要です。また都心部に施設を構えるため、テナント料や設備維持費などの固定費が大きくなります。IT分野でも常に最新の技術を取り入れるため、開発コストを確保しなければサービス品質を維持できないと判断されました。こうしたコストを支えられる複数の収益源がビジネスモデルの要となっています。
自己強化ループ
株式会社さくらさくプラスでは、保育所運営を通して蓄積したノウハウや保護者の声をシステム開発や住宅設計に活かす取り組みが見られます。保育の現場で改善点が見つかれば、それをITチームがシステムに反映し、業務効率化やサービス品質向上につなげる流れが生まれています。これによりスタッフの負担が軽減され、離職率の低下や利用者満足度の向上を期待できます。また子育て支援住宅の開発では、保育所が併設されたマンションや住宅を提供しているため、施設利用者とのコミュニケーションがさらに深まり、新しいサービスアイデアが浮かびやすくなる利点もあるでしょう。こうしたフィードバックの連続が企業価値を高め、結果的にIR資料でも好調な業績を示すことにつながります。保育に関わるあらゆる要素が、相互に成長を促進する自己強化ループを形成していることが大きな特徴です。
採用情報
初任給や平均休日、採用倍率などは公表されていませんが、保育士からシステムエンジニア、不動産開発の専門職まで幅広い人材が必要とされています。保育事業は人材確保が難しいとされるなかで、働きやすさをどのように向上させるかが今後のポイントになりそうです。都市部での出店拡大に伴い保育士の需要も高まるため、企業としては待遇改善やキャリアアップ制度の整備などに取り組むことが予想されます。
株式情報
株式会社さくらさくプラスの証券コードは7097で、2025年7月期の配当予想は1株当たり24円となっています。2025年2月21日時点での株価は1株あたり1,919円となっており、成長可能性と株主還元の両面から投資家の注目を集めています。保育や子育て関連は社会的ニーズが高い分野であり、企業の業績拡大が進めば今後の株価動向にも期待がかかりそうです。
未来展望と注目ポイント
今後は待機児童問題の解決や共働き世帯の増加に合わせ、首都圏だけでなく他地域でも保育施設が求められる可能性があります。株式会社さくらさくプラスが地方への展開をどのように進めるのかが、一つの注目材料になりそうです。また、子育て支援住宅は少子化や不動産市況の影響を受けやすい分野でもありますが、保育所と住まいをセットで提供するメリットを活かせば競合他社との違いをさらに打ち出せると考えられます。さらにITシステム事業では、保育所運営で得たリアルなノウハウをもとに新機能や新サービスを開発し、他社保育所や法人への外販で収益を伸ばしていく可能性があります。今後の成長戦略としては、保育事業を中心に新たな地域や業態へ展開しながら、ITを活用して業務効率を高めるという流れが続くでしょう。保育士不足や人件費などの課題もある一方で、社会的意義の大きい分野であることから行政支援を受けやすく、市場ニーズが今後も継続すると見込まれます。これらの要素が合わさって企業価値のさらなる上昇につながる可能性があり、引き続き注目される存在といえます。
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