企業概要と最近の業績
株式会社タチエス
株式会社タチエスは、自動車のシートを専門に開発・製造している独立系のグローバルメーカーです。
特定の自動車メーカー系列に属さず、国内外の様々な自動車メーカーに製品を供給しています。
シートの骨格となるフレームから、乗り心地や安全性を追求したシート全体の設計・開発・生産までを一貫して手がける「シートシステムインテグレーター」としての強みを持っています。
日本をはじめ、米州、中国、欧州など世界中に拠点を持ち、グローバルな事業活動を展開しています。
2025年8月6日に発表された2026年3月期第1四半期の連結決算によりますと、売上高は760億900万円となり、前年の同じ時期と比較して4.1%増加しました。
米州や中国といった海外での販売が好調だったことが主な要因です。
利益面では、この増収効果に加えて、円安の追い風や継続的な原価改善活動が実を結びました。
その結果、営業利益は25億2,500万円で前年の同じ時期に比べて49.3%増、経常利益は33億6,300万円で31.0%増と、大幅な増益を達成しています。
親会社の株主に帰属する四半期純利益は20億5,600万円となり、前年の同じ時期から33.4%増加しました。
価値提案
軽自動車から高級車、トラックまで多彩な車種に対応できる自動車シートを提供しています。
車種ごとに異なる要件に合わせ、高品質で安全性や快適性を追求した製品を設計することが大きな特徴です。
独立系メーカーならではの柔軟性と技術力により、どの自動車メーカーの要望にも合わせたカスタマイズが可能となっています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、顧客企業のニーズは車種やブランドによって細分化されるため、幅広い対応力が求められるからです。
また、タチエスは長年培ってきた研究開発力と品質管理のノウハウを活用し、乗る人が快適と感じるシートを作り上げることで市場での存在感を高めています。
こうしたきめ細やかな対応が信頼を得ており、各社からの安定した受注につながっています。
主要活動
自動車シートの設計や開発、生産、そして品質管理が主な活動です。
具体的には、車内空間を考慮したシートの設計図を作成し、試作品を通じて安全性や耐久性を検証します。
その後、量産ラインを整え、大量生産に移行する流れです。
【理由】
なぜそうなったのかというと、シートは車両の快適性と安全性に直結する重要部品のため、細やかな設計と徹底した品質管理が欠かせないからです。
さらに世界各地に生産拠点を持つことで、現地生産と短納期供給を実現し、顧客のニーズに迅速に対応できる体制を整えています。
このように、生産から品質管理まで一貫して行う活動がタチエスのビジネスモデルを支える重要な柱となっています。
リソース
タチエスの強みとなるリソースには、グローバルに展開している生産拠点と、そこで働く技術開発チームや熟練した作業員が含まれます。
11か国66拠点にわたるネットワークがあることで、世界各地の自動車メーカーに対してすばやく対応できる点が大きなアドバンテージです。
【理由】
なぜそうなったのかというと、国や地域によって求められるシートの仕様やデザインが異なるため、各拠点でカスタマイズ対応を行う必要があるからです。
さらに、研究開発部門では新素材や新構造のシートの開発にも注力しており、安全性や快適性の向上だけでなく環境面への配慮も進めています。
このように、幅広い地域で培われた現場力と先進的な技術力をリソースとして活かしている点がタチエスの大きな特徴です。
パートナー
自動車メーカー各社と部品サプライヤーが主要なパートナーです。
タチエスは独立系として自動車メーカーと直接取引を行うほか、関連部品を供給するサプライヤーとも緊密に連携しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、車両全体の設計や生産スケジュールとシートの仕様は密接に関わっているため、メーカー側とサプライヤーの両方と円滑にやりとりする必要があるからです。
これらのパートナーシップをうまく活かすことで、原材料の調達や設計変更にも柔軟に対応できるのが強みです。
また、世界各国で展開する自動車メーカーとの連携により、新たな市場開拓や技術共有の機会も得られています。
チャンネル
販売チャネルは主に自動車メーカーへの直接供給と、OEMとしての供給が中心です。
OEMでは自動車メーカーのブランド名でシートを提供することもあり、タチエスの技術力が裏方として生かされています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、シートは車の内装の一部でありながらブランドイメージを左右する重要な要素でもあるため、自動車メーカー側のニーズに合わせた最適な形で提供する必要があるからです。
こうしたチャンネル戦略により、タチエスの製品は幅広い車種で採用される機会を得ています。
新車のモデルチェンジやフルモデルチェンジのタイミングで大きな需要が発生するため、そこに合わせた柔軟な供給体制が構築されています。
顧客との関係
タチエスは自動車メーカーと長期的なビジネスパートナーとしての関係を築いています。
新しい車種を開発する段階から共同でシートの仕様を検討するため、非常に深い技術的な連携が生まれます。
【理由】
なぜそうなったのかというと、シートは車の安全性や快適性を大きく左右する要素であり、メーカー側も妥協を許さないためです。
そのため、継続的な開発協力や品質向上の取り組みを通じて、信頼関係が強固に育まれています。
こうした長期的な関係性があればこそ、安定した受注と継続的な売上が見込める仕組みが整っているのです。
顧客セグメント
国内外の自動車メーカーが主な顧客です。
日本をはじめ、北米や中南米、アジアなど、世界各地の自動車メーカーから受注があります。
【理由】
なぜそうなったのかというと、タチエスは多国籍に生産拠点を持つことにより、現地での開発や生産を可能にしているからです。
グローバルに展開しているため、特定地域の景気変動だけで業績が大きく左右されにくく、リスク分散が図れる点も特長です。
さらに、独立系メーカーとして特定の自動車ブランドに縛られないので、多様な顧客セグメントへ幅広く対応できる強みを持っています。
収益の流れ
自動車シートを販売した収益が主な収益源です。
メーカー向けに製品を納入することで売上が発生し、これがタチエスの経営を支えています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、シートは車両を構成する必須パーツであり、新車が発売される限り一定の需要が見込めるため、安定した収益化が見込めるビジネスモデルとして成立しているからです。
さらに、新興国市場などでの車両需要が拡大すれば、その分シートの受注も増加する可能性があります。
加えて、円安時には輸出関連で為替メリットが得られることも、収益増加の一因となっています。
コスト構造
材料費や製造コスト、研究開発費が主なコストです。
シートに使われる素材や部品の調達コスト、そしてそれを組み立てる生産ラインの維持費が大きな割合を占めます。
【理由】
なぜそうなったのかというと、快適性や安全性を高めるために高機能素材や新技術の研究が必要であり、そこに開発費がかかるからです。
また、多拠点で生産を行うことで輸送コストは抑えられる一方、それぞれの拠点の維持管理費も発生します。
こうしたコスト要素をいかに最適化するかが、利益率を高めるカギとなっています。
自己強化ループ
タチエスの自己強化ループは、グローバルなネットワークを活かして各地の需要に合わせたシートを提供し、その結果として売上と利益を安定的に伸ばすことにあります。
売上が増えれば研究開発や生産設備に再投資できるため、より高品質なシートを生み出す原動力となります。
こうした継続的な再投資が新技術の獲得や製品ラインアップ拡充につながり、さらに多くの自動車メーカーから引き合いが来るという好循環を生み出します。
独立系メーカーとして特定のブランドに固定されないことで多様な取引先を得ており、リスク分散と成長拡大を両立できる点が強みです。
こうした循環をうまく回し続けることで、タチエスは変化の激しい自動車業界でも安定的な地位を確立していると考えられます。
採用情報
タチエスの初任給は院卒が216000円、大卒が204500円、高専卒や短大卒などが190000円となっています。
年間休日は121日で、土日がしっかり休める完全週休二日制が基本です。
大型連休もしっかり取れるため、ワークライフバランスを重視する方にとって魅力的な企業といえます。
採用人数は技術系と管理部系を合わせて毎年21~25名ほどを見込んでおり、自動車関連の技術やグローバルな事業展開に興味がある方にとってはチャレンジしがいのある環境です。
採用倍率は年度によって変動しますが、自動車業界全体の人気も相まって競争は一定程度あると考えられます。
株式情報
タチエスの銘柄コードは7239です。
配当金についてはIR資料で最新情報を確認することをおすすめします。
また、1株当たりの株価は市場の状況によって日々変動するため、投資を検討する際は金融情報サイトなどで最新の株価をチェックすると良いでしょう。
自動車業界は世界経済や為替レートの影響を受けやすいため、株価動向にも注意が必要です。
未来展望と注目ポイント
今後はEV化や自動運転技術の進展に伴い、自動車に求められるシートの機能や価値が大きく変わる可能性があります。
例えば、走行中もリラックスできるような構造や、運転席が自動的に回転するなど、未来志向の新たな技術開発が期待されています。
タチエスはすでに研究開発に力を入れており、素材の軽量化や耐久性、そして快適性を高める取り組みを続けています。
グローバルに拠点を構える強みを活かして、各地域の消費者ニーズをキャッチしながら新しいシートの形を提案できることも大きな武器です。
さらに、多様な自動車メーカーとの取引実績をもとにEVや新興国向け車種への参入を強化していくことで、さらなる成長を狙えると考えられます。
これからは環境対策や安全面の規制が世界的に厳しくなりますが、それを逆手にとって新技術を開発できれば、タチエスの存在感はより高まっていくでしょう。
ビジネスモデルの柔軟性と成長戦略の巧みさが今後も注目されます。
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