INCLUSIVEとは 企業概要と最近の業績
INCLUSIVEはメディア・コンテンツ事業や食関連事業など多角的に展開する企業です。出版社やテレビ局のデジタルトランスフォーメーションを支援してきた実績を強みに、近年では宇宙やカーボンクレジットなど新分野にも進出しています。2024年3月期の売上高は535億円を記録し、前年同期から約11.5パーセントの増収となりました。経常利益はマイナス11億円ですが、前年同期のマイナス35億円から大きく改善し、赤字幅が縮小していることが注目を集めています。食関連事業では伝統を重んじる下鴨茶寮ブランドが好調で、新商品開発や販売チャネルの拡大によってさらなる売上向上が見込まれています。こうした多角化戦略によって、IR資料でも今後の成長余地が大きいとアピールされる場面が増えています。今後は収益性改善を軸にしながら、先行投資分野である宇宙領域などでの成果が期待されています。
ビジネスモデルの9つの要素
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価値提案
INCLUSIVEは、メディア企業や食品関連企業だけでなく、宇宙といった新領域まで幅広く支援することで、顧客が抱える課題を総合的に解決しています。デジタル化やブランドコンサルティングなど、それぞれの専門性を活かすことで、顧客にとって「一社で多面的なサービスが受けられる」利便性が生まれています。なぜそうなったのかというと、もともと出版社や放送局などのメディア支援で培われたノウハウが、他の業界にも転用しやすかったことが背景にあります。メディア事業で培ったコンテンツ制作力やマーケティングの知見は、飲食や宇宙領域においても強い差別化ポイントとなり、顧客からの信頼を高める重要な要素になっています。 -
主要活動
INCLUSIVEが中心的に行っているのはコンサルティングやコンテンツ制作、商品開発などです。メディアや広告の知識を活かしてブランド戦略を提案したり、高級料亭の運営で得た飲食事業のノウハウを横展開したりと、幅広い領域での企画力が強みになっています。なぜそうなったのかというと、同社はさまざまな領域を自ら運営・開発してきた経験があるため、単なる助言にとどまらず実務を伴った支援が可能だからです。単なるアドバイスで終わらず、実際にプロジェクトを動かせる体制を整えていることで、顧客も安心して任せられる体制を築いています。 -
リソース
同社の最大のリソースは、専門性を持つ多様な人材と長年にわたり構築してきたパートナーシップです。メディア業界のプロデューサー、ITのエンジニア、老舗料亭の料理人など、業界を横断した人材が集結していることで、各分野のノウハウを融合できるのが強みです。なぜそうなったのかというと、複数事業を同時に展開してきた結果、各セクターごとに必要な専門家を社内外で確保する必要があったからです。社内には多彩な経歴を持つ人々が集まり、それらを束ねる経営体制が機能しているため、総合力の高いソリューションを生み出せるようになっています。 -
パートナー
出版社やテレビ局などのメディア関連企業、食品業界の企業、さらには宇宙関連の機関など、多岐にわたるパートナーと提携を行っています。これらのつながりにより、新規ビジネスやコラボ企画が生まれやすいのもINCLUSIVEの特徴です。なぜそうなったのかというと、同社はもともとメディア支援を主軸にしていたことで大手出版社や放送局と緊密な関係を築き、それを他の業界にも展開できるようになったからです。また、下鴨茶寮の運営経験から食品業界とのネットワークも広がり、新事業領域への足がかりとなっています。 -
チャンネル
販売やサービス提供のチャンネルは、直接営業によるBtoB取引が主ですが、オンラインプラットフォームの活用やパートナー企業と共同でのプロモーションも活用しています。飲食事業では自社ECや百貨店での展開もあり、宇宙関連事業では専門ウェブサイトや展示会での案内など、多彩なチャンネルを確立しています。なぜそうなったのかというと、異なる事業領域ごとに適した販売経路を確保する必要があるからです。各業界に合わせたチャンネルを選択し、効率的にサービスを届けることで収益拡大を目指しています。 -
顧客との関係
プロジェクトごとに要件が異なることが多いため、長期的なパートナーシップを重視しています。コンサルティングやコンテンツ制作の場面では、継続的な打ち合わせと改善提案を繰り返すことで、顧客の満足度を高めています。なぜそうなったのかというと、単発の取引だけでは成果を最大化しづらい領域が多く、戦略的な連携を継続することで顧客に合わせたカスタマイズやアップデートが必要になるからです。特にメディア企業との連携では、媒体運営や広告モデルなど定期的な見直しが発生するため、長期的なフォロー体制を整えています。 -
顧客セグメント
主にメディア企業や食品事業者に加え、新領域として宇宙関連企業やカーボンクレジットを扱う企業も含まれます。幅広いセグメントを対象とすることで、特定の業界が不調でも他の事業で補えるのが強みです。なぜそうなったのかというと、インターネットメディアの変動が大きい市場でリスク分散を図る必要があったからです。また、成長市場とみられる宇宙分野に早期参入することで、先行者利益を狙う戦略も背景にあります。このように多様な顧客セグメントを持つことで、柔軟な成長を続けられる体制が生まれています。 -
収益の流れ
コンサルティングフィーやプロジェクト単位での報酬、商品販売による売上、さらには衛星データの提供や分析サービス料など、多面的な収益源を確保しています。なぜそうなったのかというと、一つの収益モデルに依存しすぎると市場の変動リスクが高まるため、あらかじめ複数の柱を築いておく必要があったからです。メディアコンサルやブランドコンサルで得る安定的なフィー収入に加えて、食関連商品の販売や宇宙事業のデータ利用料などを組み合わせることで、企業としての収益バランスを整えています。 -
コスト構造
人件費や研究開発費、マーケティング費用に加え、新事業の設備投資などが主要コストとなっています。宇宙関連事業の研究や衛星データの取得コストなども発生しているため、初期投資がかさむ面は否めません。なぜそうなったのかというと、新興領域である宇宙分野やデジタルメディア事業で早期に市場を押さえるには積極的な投資が必要だからです。ただしメディアコンサルや食品関連事業はすでにある程度の売上を生み出しており、固定費をカバーする下支えの役割を担っています。
自己強化ループ
INCLUSIVEが事業を拡大するにあたり、複数領域での経験値やノウハウがフィードバックループを形成しています。メディア事業で培ったデジタルマーケティングの知識を食関連事業に応用し、その成功事例を今度は宇宙ビジネスやカーボンクレジットの販路開拓に活かすというように、事業と事業が相互に強化し合う循環が生まれているのです。さらに、パートナー企業との連携によって得られた成功事例が新たな提携を呼び込むなど、好循環の輪が広がりやすくなっています。この仕組みによって、1つの事業だけでは実現できないような大きなシナジーを創出し、企業全体の成長スピードを加速させる効果が期待されています。
採用情報と株式情報
採用に関しては初任給の具体額は公表されていませんが、年間120日以上の休日を設定しており、多様な経歴やスキルを持つ人材を広く募集しています。採用倍率は明確に出されていませんが、新規事業が増えていることから、挑戦意欲のある人にとって魅力的な環境といえます。
株式情報としては、銘柄はINCLUSIVE株式会社で証券コードは7078です。現在配当金の実績はなく、2025年2月20日時点の株価は1株あたり526円でした。今後の業績回復状況によっては配当方針が変わる可能性もあるため、定期的なIR情報の確認が重要です。
未来展望と注目ポイント
今後、INCLUSIVEは赤字からの脱却を目指しながら、宇宙・新領域事業を中心に成長戦略を加速させると考えられます。特に衛星データを活用した分析やカーボンクレジット関連の取り組みは、市場の拡大が期待される分野です。また、食関連事業では老舗ブランドとしての強みを活かし、新商品開発や海外への販路拡大を狙う動きにも注目が集まります。メディア事業と組み合わせたプロモーション戦略など、異なる事業間のシナジーによって新たなビジネスチャンスが生まれやすい環境にあるのも魅力です。今後の決算発表やIR発表などをチェックし、どの事業がどのように利益を押し上げていくかを見極めることで、投資や就職の判断材料になるでしょう。継続的な変化に柔軟に対応できるかどうかが、将来の成長を大きく左右すると考えられます。
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