IR資料から読み解くグローバルセキュリティエキスパートのビジネスモデルと成長戦略の全貌

情報・通信業

企業概要と最近の業績

グローバルセキュリティエキスパート株式会社

2025年3月期の通期業績についてご報告します。

当期の売上高は82億5,000万円となり、前の期と比較して40.3%の増加を達成しました。

営業利益は10億5,800万円で、前の期から33.8%の増加です。

経常利益は10億5,100万円と、前の期に比べて33.0%増えています。

当期純利益は7億1,600万円で、前の期から33.1%の増加となりました。

この大幅な増収増益は、国内におけるサイバーセキュリティへの関心の高まりを背景に、全てのサービスが順調に拡大したことによるものです。

特に、企業のセキュリティ人材を育成する「セキュリティ教育サービス」や、企業の課題を解決する「コンサルティングサービス」が業績を力強く牽引しました。

また、セキュリティ製品を販売する「ITソリューションサービス」も、顧客基盤の拡大に伴って大きく成長しています。

【参考文献】https://www.gsx.co.jp/

価値提案

グローバルセキュリティエキスパートは、サイバー攻撃を未然に防ぐための教育プログラムやコンサルティングを提供し、企業の自衛力を高める点に強みがあります。

最新の攻撃事例をもとに実践的な訓練を行うことで、社員の意識改革から技術スキルの向上まで幅広くサポートしていることが特筆されます。

こうした包括的な価値を提供できるのは、ホワイトハッカーをはじめとした専門家チームが組織内に揃っているからです。

【理由】
サイバー攻撃の手口は高度化・多様化が進んでおり、標準的なIT教育だけでは脅威に対応できない企業が増えているためです。

その結果、コンサルティングと教育を一体化して企業のセキュリティ強度を大幅に引き上げる価値提案が求められるようになりました。

主要活動

同社の主要活動は、セキュリティ訓練サービスや脆弱性診断などのコンサルティングに加え、中堅・中小企業向けに最適化した製品導入・運用サポート、そしてITインフラ構築など多岐にわたります。

特に、教育講座では最新の攻撃パターンを取り入れたカリキュラム更新を重視しており、企業と技術者双方に対してスキルアップの場を提供しています。

【理由】
サイバー攻撃の被害を抑えるうえで予防策が重要視されてきたことと、さらに対策を行う際の具体的な運用支援が必要となってきたからです。

これにより、教育とコンサル、そして運用までを包括する活動領域が形成され、顧客に対してワンストップのサポートを提供しています。

リソース

最大のリソースは、ホワイトハッカーやセキュリティ専門家などの人材です。

彼らはリアルタイムで進化する攻撃技術に常にアンテナを張り、顧客企業が抱える脆弱性を的確にあぶり出して対策を講じることができます。

また、オンライン上でのトレーニングシステムや教育プラットフォームも重要なリソースとなっており、顧客企業が場所を選ばずに研修を受けられる体制を整えているのも特徴です。

【理由】
急速に広がるサイバー脅威に対応するには、柔軟かつ即時にアップデート可能な教育基盤が欠かせないからです。

専門性の高い人材と、それを支えるプラットフォームが連動することで、質の高いサービスを継続的に提供できる体制が作られています。

パートナー

兼松エレクトロニクスや丸紅I-DIGIOホールディングスなどの企業と提携し、セキュリティ製品やITソリューションを広範に扱えることが強みです。

複雑化するサイバーセキュリティの領域では、自社だけで全てをまかなうのは困難な場合が多く、信頼できるパートナーを通じて製品導入や専門サービスを補完しています。

【理由】
セキュリティ関連市場の拡大にともない、幅広い製品やサービスを顧客が一括で導入したいというニーズが高まっているからです。

パートナーシップを活用することで、自社の強みを活かしつつサービスの総合力を高め、顧客に対してより多彩なソリューションを提供できる体制を築いています。

チャンネル

自社営業チームによる直接アプローチと、パートナー企業からの紹介、オンラインプラットフォームを使った訴求など、多層的なチャネルを活用しています。

これにより、幅広い企業セグメントへのリーチが可能となり、とくに中堅・中小企業が抱えるセキュリティ課題にも機動的に対応できます。

【理由】
サイバーセキュリティ製品やコンサルティングは導入企業の規模や業種によってニーズが異なり、一つのチャネルだけでは機会損失を生むからです。

複数の販売・情報発信経路を持つことで、潜在顧客に対して効果的にアプローチし、顧客接点を最大化している点が特徴といえます。

顧客との関係

コンサルティングや教育事業を通じた長期的なパートナーシップが基本となっています。

一度セキュリティ対策を導入して終わりではなく、継続的な脅威情報の共有や定期的なセキュリティ診断を行い、常に最新のリスクに対応することを重視しています。

【理由】
サイバー攻撃の脅威が進化し続けるため、企業側も常に最新の対策をアップデートする必要があるからです。

同社は教育サービスや脆弱性診断を繰り返し提供することで顧客企業の防御力を高め、それが顧客満足度と信頼につながる結果を生み出しています。

顧客セグメント

中堅・中小企業から大手IT企業、さらにはSIerなど多様な業種や規模の企業をターゲットとしています。

特にセキュリティ専門家を十分に抱えられない中小企業に対しては、運用面でのサポートや教育を一括して提供できる点が評価されています。

【理由】
サイバーセキュリティに対するニーズは企業規模を問わず急拡大しており、特に中小企業のセキュリティ対策が遅れがちであるという課題があるからです。

同社はこのギャップを埋めるために、導入コストや運用体制を中小企業向けに最適化するサービスを展開し、幅広い顧客基盤を獲得するに至りました。

収益の流れ

教育サービスの受講料、コンサルティングフィー、そしてセキュリティ製品の導入・運用サポート料金など、多面的な収益源を持っています。

特に教育サービスでは、定期的な研修と更新プログラムによりリピート需要を確保し、安定的な売上を獲得しています。

【理由】
セキュリティ対策は導入後も継続的なアップデートや社員教育が不可欠であり、一度導入した企業が長期的に契約を続ける傾向が強いからです。

これにより、単発ビジネスにとどまらず、顧客生涯価値を高める形で収益を拡大できるモデルが確立されています。

コスト構造

人件費や教育コンテンツの開発費、さらにはセキュリティ製品の仕入れや運用サポートのコストが大きな割合を占めます。

ホワイトハッカーや高度な知識を持つコンサルタントを多数抱えるため、その採用と育成にかかるコストも無視できません。

【理由】
高度化するサイバー攻撃に対抗するには最新の専門知識を持つ人材が必要不可欠であり、常に人的リソースへ投資し続ける必要があるからです。

結果として、人材獲得と教育へのコストは大きくなる一方で、それが同社の付加価値を支える大きな原動力となっています。

自己強化ループ

グローバルセキュリティエキスパートの事業には、教育サービスとコンサルティングが相乗効果を生む仕組みが存在しています。

企業が教育サービスを受けることで社内のセキュリティ意識が高まり、次に具体的な脆弱性診断やコンサルティングを行いやすくなるという流れです。

コンサルティングを通じて発見された課題は新たな教育プログラムの開発につながり、より多くの企業に対して最新の脅威や対策手段を提供できるようになります。

これにより顧客満足度も上昇し、口コミや実績の評価を通じた新規顧客獲得が進む好循環が生まれます。

また、中堅・中小企業向けのソリューション導入で得た運用知見は教育カリキュラムの内容充実にも反映されるため、サービス全体の質と信頼性が一層高まることが期待できます。

採用情報

初任給や平均休日、採用倍率などの具体的な数字は現時点で公開されていません。

ただし、セキュリティ業界全体の需要拡大や高度な人材へのニーズから、今後も積極的な採用活動が行われると考えられます。

特にホワイトハッカーやセキュリティエンジニアをはじめとする専門職への期待は大きく、技術力やコンサルティング力を磨きたい方にとっては魅力的な環境といえます。

株式情報

同社は銘柄コード4417で東証グロース市場に上場しています。

2024年3月期の1株当たり配当は26.21円となっており、これまでの業績拡大を踏まえて株主に利益還元を実施している点が特徴です。

一方、1株当たりの株価は非公開情報となっていますが、サイバーセキュリティ分野の成長性を考慮すると、今後の動向に注目が集まる可能性が高いといえます。

未来展望と注目ポイント

サイバー攻撃が引き起こすリスクは年々深刻化しており、企業規模を問わず対策の重要性が高まっています。

グローバルセキュリティエキスパートは、教育からコンサルティング、運用サポートに至るまで一貫したサービスを提供できる点で優位性を発揮してきました。

今後はAIやクラウドセキュリティなど、新たな技術領域にも積極的に対応していくことが予想され、セキュリティコンサルタントの育成と高付加価値サービスの拡充が同社の成長戦略の要となりそうです。

また、海外のサイバー攻撃事例の研究やグローバル展開も視野に入れることで、さらなる顧客ニーズの獲得が期待されます。

高度化し続ける脅威に対して、常に最新の手法を学習し、教育プログラムやソリューションに反映し続ける姿勢こそが、同社の継続的な成長と競争力を支える鍵になるでしょう。

今後もIR資料などで公開される業績動向や新サービスの発表から目が離せません。

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