企業概要と最近の業績
株式会社フーバーブレイン
サイバーセキュリティ関連製品の開発・販売を手掛ける会社です。
主力製品は、ファイアウォールやウイルス対策といった複数のセキュリティ機能を一台に集約した「統合脅威管理（UTM）アプライアンス」です。
主に専門知識を持つ人材が不足しがちな中小企業向けに、情報漏洩や不正アクセスといった脅威から社内ネットワークを守るソリューションを提供しています。
2025年8月14日に発表された2026年3月期第1四半期の連結決算によりますと、売上高は13億300万円で、前年の同じ時期に比べて36.3%増加しました。
営業利益は3,600万円で、前年の同じ時期から184.6%の大幅な増加となりました。
経常利益は3,900万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は2億4,500万円となり、大幅な増収増益を達成しています。
主力のITツール事業で成長製品の販売が好調だったことに加え、M&Aによる子会社の貢献も業績拡大に寄与しました。
また、投資先企業の上場に伴う投資有価証券売却益を計上したことも、純利益を大きく押し上げました。
価値提案
フーバーブレインの価値提案は、高度なサイバーセキュリティ技術と働き方改革に貢献するソリューションを組み合わせ、企業の安全性と生産性の両面を同時に高める点にあります。
Eye“247” Safety Zoneがウイルスやマルウェアなどの脅威に対し多層防御を提供し、従業員の端末や社内ネットワークを総合的に保護します。
また、Eye“247” Work Smartでは労働時間管理やリモートワークの最適化を図り、従業員の働き方を見える化することで企業全体の業務効率を改善します。
【理由】
なぜこうした価値提案に至ったかというと、昨今のサイバー攻撃の巧妙化や、人材不足を背景とした生産性向上の必要性が高まっているためです。
セキュリティ対策に加え、コストや時間の削減を意識した新たな働き方のニーズが急増しており、これらを一括してサポートするプラットフォームを提供することで、継続的な利用や他社との差別化を図っています。
主要活動
フーバーブレインが注力している主要活動の一つは、サイバーセキュリティ製品と働き方改革ソリューションの研究開発です。
脅威の高度化に伴い、既存の検知エンジンや防御フレームワークの常時アップデートが求められています。
また顧客企業のニーズを的確に掴むためのマーケティングリサーチや、導入支援・コンサルティングも重要な活動領域です。
【理由】
こうした活動を支える理由は、競合が多いセキュリティ市場で差別化を図るためには、常に最先端の検知アルゴリズムや人工知能の活用が欠かせないからです。
さらに働き方改革分野においては、法令改正や多様な労務環境に合わせてシステムを柔軟に拡張する必要があります。
このように開発とマーケティング、サポートを有機的に結びつけることが、継続的な成長エンジンとなっています。
リソース
自社が保有する専門的な技術チームや、サイバーセキュリティ分野における知的財産がフーバーブレインの主要なリソースです。
常にアップデートが必要な分野であるため、優秀な技術者やデータサイエンティストが蓄積したノウハウと経験が大きな強みとなっています。
また、エンドポイントセキュリティや労務管理システムにおける特許技術や商標などの知的財産を活用することで、市場参入障壁を高める効果が期待できます。
【理由】
こうしたリソースに力を注ぐ背景には、セキュリティソリューションは模倣されやすい一方で、脅威を正確に検知し迅速に防御する高度な仕組みが求められるという独自性があるからです。
人材や知財を中核としてプロダクトを進化させることで、持続的な競争優位を生み出そうとしています。
パートナー
販売・導入においてはITディストリビューターやリセラーとの協業が欠かせません。
大手システムインテグレーターとの提携を通じて、幅広い顧客企業へのアプローチを実現することが狙いです。
また技術面では、セキュリティ関連の海外ベンダーやクラウドサービスプロバイダーとの共同開発やOEM提携も行うことで、最新技術の取り込みやサービスラインナップの拡充を図っています。
【理由】
パートナーシップが重視される理由は、セキュリティや働き方改革の市場が多岐にわたり、一社単独で顧客のすべてのニーズに対応するのが困難だからです。
外部との連携を通じ、相乗効果を生み出しながらサービス価値を高める戦略がとられています。
チャネル
フーバーブレインのチャネルは、直接販売だけでなくパートナー経由での販売やオンラインプラットフォームを通じたリード獲得が含まれます。
高額なエンタープライズ向け製品では、直接の営業担当が導入企業とコミュニケーションを密に取りながら課題を洗い出し、解決策を提案します。
一方、中小規模の企業にはディストリビューターによるパッケージ販売やオンラインによる簡易トライアルを提供することで、導入ハードルを下げています。
【理由】
こうした多面的なチャネルを整備する理由は、セキュリティや働き方改革の課題が業種や企業規模ごとに異なるためです。
多様なニーズに対応するために販売ルートを拡張し、顧客との接触機会を増やしている点が特徴となっています。
顧客との関係
製品導入後のサポートサービスやトレーニング、コンサルティングを提供することで、フーバーブレインは顧客企業との長期的な関係を構築しています。
セキュリティ分野では脅威の発生状況や最新の攻撃手法について定期的に情報提供し、迅速なアップデートを行う必要があります。
また、働き方改革ソリューションにおいては、運用フローの見直しや機能拡張のアドバイスを行うことで、顧客が効果を最大限に引き出せるよう支援します。
【理由】
なぜこのような関係構築が重視されるかというと、サイバーセキュリティや生産性向上は継続的な改善が必須の領域だからです。
単発の導入にとどまらず、アップセルやクロスセルの機会を生み出しながら信頼関係を深めることにより、リピーターの増加とポジティブな口コミによる新規獲得が期待できます。
顧客セグメント
同社の顧客セグメントは、中小企業から大企業、さらには官公庁まで非常に幅広い層をカバーしています。
特に、個人情報や機密データを扱う業種ではセキュリティ需要が高く、大規模なクラウド環境を利用する企業ほど高度な保護対策が求められます。
また、リモートワークの導入率が急激に上昇した企業では、労働時間管理や勤怠管理に課題を抱えているケースが多いです。
【理由】
こうした多様なセグメントにアプローチするに至った背景には、デジタル化や働き方改革が社会全体で加速し、業種や規模を問わず対策が必要になった現状が挙げられます。
そのためフーバーブレインでは、包括的なラインナップと柔軟なカスタマイズ機能で、多様化する顧客要求に応えているのです。
収益の流れ
同社の収益は、ソフトウェアのライセンス販売だけでなく、サブスクリプションやサポートサービス、コンサルティングなど多面的に構成されています。
サイバーセキュリティ製品については、月額や年額の利用料金が大きな柱となり、更新時の継続率が重要な指標になります。
また、追加モジュールや新機能を契約時に付加することで、アップセルによる収益拡大も狙えます。
働き方改革ソリューションでは、導入支援や導入後の継続的なコンサルティング費用が収益源となることが多いです。
【理由】
こうした収益モデルを採用しているのは、顧客が短期間で一度に高額の投資を行うのではなく、導入ハードルを下げながら継続的にサービスを使ってもらうことで長期的な関係性を築きやすいというメリットがあるからです。
コスト構造
フーバーブレインのコスト構造では、研究開発費と人件費、そしてマーケティング費用が大きな割合を占めています。
サイバーセキュリティ市場は常に新種の脅威が発生するため、エンジニアの育成や最新技術の取り入れが欠かせません。
また、国内外の展示会やオンラインプロモーションへの出展・広告宣伝費も必要となります。
【理由】
こうしたコストをしっかりとコントロールしつつ、製品力を維持・強化することが求められるのは、競合他社との差別化において研究開発が極めて重要な要素となるからです。
加えて、優秀なエンジニアやデータサイエンティストを確保するための報酬体系や研修制度などもコストに含まれ、これらを戦略的に投下することで、持続的な製品イノベーションを実現しようとしています。
自己強化ループ
フーバーブレインの自己強化ループは、製品品質の向上による顧客満足度の向上と、その顧客からのフィードバックを活かしたさらなる製品開発サイクルに支えられています。
具体的には、セキュリティ脅威の情報を収集し、AIによる脅威分析を行うことで検知精度を高め、その結果として顧客から高い評価を得ます。
その顧客満足度の高さが口コミや導入実績の拡大を呼び込み、新規顧客の獲得と売上増加へつながります。
売上が増えれば研究開発費をより積極的に投資できるようになり、さらに高度なセキュリティ機能や働き方改革ソリューションの改良が加速するという好循環が生まれます。
市場からの要望を開発部門と迅速に共有する仕組みを整えることで、新機能の追加やUI/UXの改善がスピーディに行われ、これが再びユーザー体験価値を高める要因となるのです。
この循環構造を強化し続けることが、競合の多いセキュリティ市場で長期的に優位性を維持するカギといえます。
採用情報
フーバーブレインの採用情報については、初任給や採用倍率などの詳細データが公開されていません。
平均休日は完全週休2日制を基本とし、夏季休暇5日や年末年始休暇（12月29日～1月3日）もしっかりと設けられています。
サイバーセキュリティやSaaSソリューションの開発といった専門性が高い領域であるため、高度な技術スキルを持つ人材や市場を理解した企画・営業担当の確保が企業成長のボトルネックになる可能性があります。
そのため、採用広報や人材育成プログラムをどう強化していくかが今後のポイントとなりそうです。
株式情報
同社の銘柄コードは3927です。
現時点では配当金に関する情報が公開されていないため、今後のIR発表や利益水準の変化が注目されます。
2025年1月31日時点で1株当たり株価は676円となっており、市場からは今後の成長性や安定収益の確保に関心が集まっています。
セキュリティと働き方改革の両市場は拡大が続くと予測されるため、それらに対応する事業ポートフォリオがどのように評価されるかが投資家の視点でも大きな焦点です。
未来展望と注目ポイント
フーバーブレインは、サイバー攻撃の巧妙化やリモートワークの定着によって拡大するニーズに対応するソリューション企業として、今後も注目を集める可能性があります。
特に、セキュリティと生産性向上をワンストップでサポートするという強みは、業種や企業規模を問わず幅広く展開できる強固な武器となり得ます。
また、研究開発費を先行投資しつつ、どのタイミングで収益性を高めるかというバランスが重要になってくるでしょう。
今後は新たな脅威への対応スピードの維持や、働き方改革ソリューションの機能拡充を通じ、安定収益に直結するサブスクリプションモデルを強化できるかが鍵となります。
さらに、海外市場への展開やM&Aによるサービスラインナップの拡大といった成長戦略にも期待がかかります。
テクノロジーの進歩とセキュリティリスクの増大が裏表の関係にあるなかで、フーバーブレインがどう対応し続けるかが、その将来価値を決定づけるポイントといえそうです。
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