企業概要と最近の業績
株式会社MARUWA
ファインセラミックス製品を主力とする電子部品メーカーです。
主力は、半導体の製造装置に使われるセラミック製の部品で、高い熱伝導性や絶縁性が求められる過酷な環境で使用されています。
また、スマートフォンなどの通信機器に不可欠な水晶デバイスや、LED照明なども手掛けています。
高い技術力で、半導体産業をはじめとするエレクトロニクス分野の発展を支えています。
2025年7月31日に発表された2026年3月期第1四半期の連結決算によりますと、売上高は205億3,000万円で、前年の同じ時期に比べて14.8%増加しました。
営業利益は50億円で、前年の同じ時期から24.5%の大幅な増加となりました。
経常利益は52億5,000万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は38億1,000万円となり、大幅な増収増益を達成しています。
主力のセラミック事業において、半導体市場の回復と先端半導体向けの旺盛な設備投資を背景に、半導体製造装置用部品の受注が大幅に増加したことが業績を強力に牽引しました。
価値提案
MARUWAは高品質なセラミック基板や照明機器を通じて、顧客の課題解決を実現しています。
セラミック基板の高い耐熱性と絶縁性は、通信機器や車載機器、産業機器など多種多様な分野で必要とされる重要な機能です。
この強みは自社が独自に培った材料技術から生み出されており、他社との競争優位につながっています。
また照明機器においても、高級感あふれるデザインと省エネ性能を両立させることで、一般的な照明にはない付加価値を提供しています。
【理由】
なぜこうした価値提案になったのかという背景として、同社が独自技術を開発できる研究体制を長年にわたり整えてきたことが挙げられます。
原材料の選定から製造プロセスの確立まで一貫して行うことで、高品質とコスト競争力を同時に実現している点がMARUWAの大きな特色です。
また高級照明という差別化路線を選択することにより、競合他社との単純な価格競争を回避できる側面もあります。
主要活動
同社の主要活動は研究開発、生産、販売、さらにアフターサービスまで一貫して行うことです。
セラミック基板の製造では、高温焼成や高度な加工技術を用いて高精度の製品を作り上げます。
これを実現するために、研究開発部門が新素材の検証や生産効率の向上策を絶えず模索しています。
照明機器の分野では、デザイナーとエンジニアが連携し、機能性と意匠性の双方に優れた製品を企画から生産まで担当します。
主要活動としては品質管理体制の強化も重要で、高い信頼性を保つために厳格な検査工程を整えています。
【理由】
なぜこうした活動になったのかというと、一貫生産体制を整えることで原材料の選定から最終製品の検査に至るまで全てを自社でコントロールできるからです。
これは高品質製品を安定供給したい顧客企業のニーズに応えるうえで大きなメリットとなり、製品開発サイクルを加速させて競合と差別化を図る戦略にもつながっています。
リソース
MARUWAが強みを発揮するうえで欠かせないリソースは、高度な材料技術とそれを支える製造設備です。
自社で材料の配合や製造プロセスを研究し、独自に最適化することで、高い耐久性や絶縁性を持つセラミック基板を量産できる能力を備えています。
さらに照明機器の分野では、デザイン性に優れた製品を作り出すための専門人材がリソースとして活躍しています。
こうした専門家やエンジニアがチームを組み、試作から評価までスピーディーに進める体制を構築しているのが特徴です。
【理由】
なぜこれらが主要なリソースとなっているのかというと、セラミック基板や高級照明のような高付加価値製品は、材料技術とデザイン技術の両方で高い水準を満たす必要があるためです。
特にセラミック基板の分野は高度な研究開発力が求められ、一朝一夕では模倣できないノウハウが蓄積されてきました。
このノウハウこそが、同社のコアコンピタンスとして機能しています。
パートナー
原材料の供給業者や研究機関との連携が欠かせません。
特にセラミックの主原料となるアルミナなどの品質や安定供給は、製品品質と納期に直結します。
そのためMARUWAは信頼できるサプライヤーとの長期的な関係を築くことで、原材料の安定確保を図っています。
また学術研究との連携を深め、次世代材料や製造プロセスの研究開発を進めることも重要です。
共同研究によって新たなセラミック合成技術を見いだすなど、オープンイノベーションを活用しています。
【理由】
なぜこうしたパートナー関係が発展しているのかというと、高性能材料を常に開発する必要があり、単独ではカバーできない技術領域やデータ取得を大学や研究所との協力で補っているからです。
これらのパートナーシップを通じて、新製品を迅速に市場投入し、競合他社をリードするポジションを保持できるのです。
チャンネル
MARUWAは法人向けの直販や代理店販売を中心に展開し、必要に応じてオンラインでの情報発信や展示会への出展も積極的に行っています。
大手エレクトロニクスメーカーや自動車部品メーカーなどに直接アプローチし、高機能セラミック部品の提案を行うことで大きな受注につなげています。
照明機器に関しては建築やインテリア関連の専門業者や設計事務所と提携し、高級照明を求める顧客層への販路を開拓しています。
【理由】
なぜこうしたチャンネル選択になったのかというと、BtoBのセラミック部品は技術的なやりとりが不可欠であるため、直接コミュニケーションを重視しているからです。
一方、デザイン照明はブランド価値が大切なので、専門のディーラーや代理店を通じた高級路線に特化した販売網を活用することで、顧客との質の高い接点を確保しています。
顧客との関係
長期的な信頼関係を構築するため、アフターサービスや技術サポートを手厚く行っています。
セラミック基板の場合、製品を納入して終わりではなく、使用環境や温度特性に関する相談などが継続的に発生します。
そこで専任の技術者が顧客の問い合わせに対応し、不具合や改善要望に素早く対応することで顧客ロイヤルティを高めています。
照明機器においても、設計段階から顧客と協議し、空間全体を見据えたライティングプランを提案するなどのコンサルティング要素を加えています。
【理由】
なぜこうした顧客関係を築いているのかというと、高付加価値製品は購入後の運用方法や最適化が重要であり、安定したパフォーマンスを発揮するためのフォローが求められるからです。
きめ細やかなサポートによって、リピーターや関連プロジェクトからの追加受注を狙う動きにつなげています。
顧客セグメント
MARUWAがターゲットとする顧客は主にエレクトロニクスメーカーや自動車関連メーカー、産業機器メーカーなどです。
セラミック基板は高温や高電圧に耐えられるため、厳しい環境で使用される製品を製造する企業が主な顧客です。
また照明機器では、建築デザインやインテリアの専門家、ホテルや高級住宅の施主などが顧客セグメントに含まれます。
【理由】
なぜこうした顧客セグメントを選んでいるのかというと、高性能部品を必要とするBtoB分野と、高級感や独自デザインを求めるBtoC要素の強い照明市場を併せ持つことで、リスク分散と売上の安定を図っているためです。
さらに技術力を武器に、ニッチでも高単価な案件を獲得できる点が同社の強みとして発揮されています。
収益の流れ
収益の柱はセラミック基板や照明機器の製品販売収益です。
大型受注によって一度にまとまった売上が発生するケースも多く、安定した供給体制を維持することでリピート注文につなげています。
またアフターサービスや技術サポートに関連する費用も一部収益として計上されています。
【理由】
なぜこうした収益形態になっているのかというと、製品そのものの高付加価値性があるため、製造から納品までのプロセス自体が大きなビジネスとなります。
一方で、製品導入後のメンテナンスや追加カスタマイズを必要とする企業も少なくありません。
そこでサービス面でも付加価値を提供することで、製品とサービスの両輪で継続的な収益を確保しているのが特徴です。
コスト構造
主なコストは研究開発費、原材料費、製造コスト、販売管理費などです。
研究開発費は新技術や新素材の開発に使われ、これは将来的な差別化要因を生むための投資でもあります。
原材料費においては、世界的な資源価格の動向が反映されやすいため、サプライヤーとの長期契約や在庫管理によるコスト安定化が重要です。
【理由】
なぜこうしたコスト構造かというと、高度な技術を伴う製品ほど開発期間や品質管理に時間と資金がかかるからです。
特にセラミック基板は焼成工程などでエネルギーコストも発生しますが、それを上回る付加価値を顧客が求めるため、高コストでも収益性を確保できるビジネスモデルとなっています。
また販売管理費は代理店や展示会などを活用する関係で一定のマーケティング費用を要しますが、高級照明などでブランドを高めることで長期的な利益に結びつけています。
自己強化ループ
MARUWAの自己強化ループは、高度な材料技術が高品質なセラミック基板や照明機器を生み出し、その製品力が顧客満足度を高め、さらに新規受注やリピート注文を呼び込むというサイクルが特徴です。
このサイクルが成立する背景には、同社の一貫生産体制があり、研究開発から製造、アフターサービスまでを自社でコントロールできる点が挙げられます。
その結果、製品開発のスピードと品質が常に高いレベルで維持されます。
顧客は「ここなら技術的な提案もスムーズで、長期にわたって安心して使える」と考え、結果的に新プロジェクトでも同社を指名するケースが増えます。
売上が増加すれば研究開発にさらに投資でき、より高度な技術や新製品の開発が進みます。
こうした正のフィードバックループが企業成長を加速させ、MARUWAの市場における地位をより強固なものにしているのです。
採用情報
MARUWAの大卒初任給は約23.6万円とされており、製造業の中でも比較的安定した水準を保っています。
年間休日は120日以上を確保しているため、ワークライフバランスにも配慮した働きやすい環境が整っているといえます。
採用倍率は公開されていないため正確な数字は分かりませんが、高度な材料技術に関心のある理系学生やデザインに興味がある文系学生など、多岐にわたる人材を募集しているようです。
株式情報
同社の銘柄はMARUWAで、証券コードは5344です。
配当金や1株当たり株価の詳細は最新情報を確認する必要がありますが、高収益体質を反映した堅実な経営で知られており、今後も株主還元策に注目が集まっています。
業績が好調な場合は配当金の拡大も期待される一方、原材料価格や為替の影響を受けやすい事業特性には留意が必要です。
未来展望と注目ポイント
MARUWAの今後の展望としては、セラミック基板のさらなる需要拡大が期待されるほか、高級照明機器の新たなデザインや機能性を追求する動きにも注目が集まります。
5GやIoTに対応した高周波基板の開発や、次世代の自動車用部品への参入など、多角的な成長戦略が考えられます。
また環境負荷低減を重視する社会潮流の中で、低エネルギーで生産できる素材やリサイクル性の高い製品の研究が進む可能性もあります。
さらに高級照明分野では、住宅や商業施設の高付加価値化が続く限り、デザイン性の高い照明の需要は一定の水準を保つと見込まれます。
今後は各国の経済状況や為替レートなど外部要因も経営に大きく影響するため、リスク管理やグローバル展開の戦略が鍵を握るでしょう。
国内外問わず、技術革新が急激に進む中で自社開発力を継続的に強化し、IR資料でも積極的に情報開示を行うことで投資家からの信頼をさらに高めることが期待されます。
こうした背景を踏まえると、MARUWAは独自の強みを生かしながら、新しい市場ニーズへ柔軟に対応し続ける企業として、多方面からの注目を集める存在になりそうです。
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