企業概要と最近の業績
SBIリーシングサービス株式会社
SBIリーシングサービスは、航空機や船舶などを対象としたオペレーティング・リース事業を展開している会社です。
オペレーティング・リースとは、航空会社や海運会社などへ資産を賃貸し、期間満了後に市場価格で売却することで、賃貸料と売却益の獲得を目指す取引です。
同社は、投資家から匿名組合形式で出資を募り、その資金で取得した航空機や船舶をリースしています。
これにより、投資家に対して新たな金融商品・投資の機会を提供するとともに、航空・海運業界の設備投資ニーズに応えています。
SBIグループの金融ノウハウやネットワークを活かしている点が強みです。
2026年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が34億95百万円(前年同期比42.5%減)、営業利益が6億75百万円(同64.8%減)、経常利益が6億71百万円(同65.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益が4億70百万円(同65.2%減)となりました。
これは、前年同期に計上した航空機1機の売却益がなくなったことが主な要因です。
一方で、リースポートフォリオの着実な積み上げにより、匿名組合からの分配金や手数料などの安定収益は順調に増加しています。
また、新たに組成した船舶リースファンドの販売も好調に推移しています。
価値提案
投資家に対しては、航空機や船舶などの大型資産を活用した安定的なリース収入や売却益を狙える投資機会を提案しています。
さらに税務上のメリットを得られるしくみも整えており、資産ポートフォリオを多角化したい層にとって魅力的です。
航空・海運会社に対しては、リースによる柔軟かつ効率的な資金調達手段を提供し、設備投資の負担を軽減しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、航空機や船舶は調達コストが大きく、通常の金融機関からの融資だけでは負担が重くなりがちです。
そこでオペレーティングリースを介することで、航空・海運会社は自社の財務状況を健全に保ちつつ運航・事業拡大を進められ、投資家は長期的なリターンを得られる構造が生まれたのです。
主要活動
航空機や船舶を対象としたオペレーティングリース商品の組成と販売が中核です。
投資家に対する商品説明や組成のスキーム設計、航空・海運会社との契約交渉など、多彩な専門業務を一貫して行っています。
また、物件の取得からリース期間中の管理、最終的な売却までを一括してサポートし、投資家の煩雑な手続きを大幅に軽減しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、大型資産の扱いには高度な知識と長期的な視点が必要であり、投資家や航空・海運会社が個別に手続きを行うのは難しい面があります。
そこで同社は専門チームを配置し、複数の業務をまとめて請け負うことで、ワンストップで資金調達や投資ニーズに対応できる体制を整えているのです。
リソース
社内にはオペレーティングリースの組成や物件選定に精通した専門家がそろっており、SBIグループの知見とネットワークも活用しています。
金融や航空、海運に詳しいメンバーが共同でプロジェクトを進めるため、法務・税務面だけでなく、世界の物流や航空事情にも精通している点が強みです。
【理由】
なぜそうなったのかというと、航空機や船舶のリース事業は金融商品としての組成能力に加え、グローバルな取引先や規制環境への対応力が必要だからです。
複雑な国際ルールや保険、税制などを総合的に理解できる体制を築くには、グループのリソースと多様な専門人材を結集する必要があり、それが同社の活動を支える大きな土台になっています。
パートナー
地域金融機関や税理士・会計士事務所などが主な連携先です。
また、SBIグループ内の各社とも連携し、顧客紹介や金融ソリューションの提供など、多角的なサポートを展開しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、大型資産のリースでは資金調達だけでなく、税制上のメリットや法的なスキーム設計が大きなポイントとなります。
そこで各専門分野のパートナーと協力することで、投資家に最適な商品設計を提案できるほか、航空・海運会社もスムーズに資金確保が可能となります。
こうしたパートナーシップがあるからこそ、同社は質の高いリースサービスを包括的に提供できているのです。
チャンネル
販売チャネルとしては、SBIグループが培ってきたオンラインやオフラインの営業ネットワークを活用しています。
投資家へのアプローチでは、グループのウェブサイトや各種セミナー、提携金融機関の顧客基盤など多岐にわたり、多数の潜在顧客に効果的にリーチしています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、投資商品としてのリースは専門性が高く、一般の投資家に広く認知を広げるためには安定したブランド力や既存の顧客基盤が欠かせないからです。
グループの信頼を背景に多層的なチャンネルを展開することで、投資家獲得におけるスピードと効率を高めているのです。
顧客との関係
投資家に対しては長期的な資産形成のパートナーとして、定期的なレポーティングや運用サポートを行っています。
航空・海運会社とは機体や船舶の管理や再リース、売却などにおいて継続的にやり取りし、運用上の課題を共有しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、オペレーティングリースは契約期間が長期に及ぶため、取引開始後も細やかなフォローとコミュニケーションが不可欠です。
投資家と運航会社の両方に対して安心感を与え、リース商品の継続的な成長を促すために、信頼関係の構築が最重要と認識されているのです。
顧客セグメント
投資家としては、資産を多角的に運用したい富裕層や法人が中心となっています。
短期的な利ざやだけを狙うのではなく、税務上のメリットや分散投資を目的に大型資産を組み入れたい層が顧客のメインです。
一方、航空・海運会社としては、新規機体の導入や既存船舶のリプレースなど、大きな投資が必要な局面でリースを積極活用しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、航空機や船舶は調達額が非常に高額になるため、購入コストを一括で負担するのはリスクが大きいからです。
投資家にとっては魅力的な運用先となり、航空・海運会社にとっては資金負担を大幅に下げられる仕組みが合致した結果です。
収益の流れ
リース料収入と、リース期間終了時の売却益が大きな収入源です。
さらに投資家からの手数料収入や、JOLCOなどの特定のスキームにおける報酬も加わります。
【理由】
なぜそうなったのかというと、オペレーティングリースは貸して終わりではなく、最終的に物件をどのように売却し、リターンを確保するかが重要なポイントとなります。
航空機や船舶の価値がリース期間中に減価償却される一方で、中古市場や再リースの状況によっては高い売却益を得られるケースも多く、同社にとっては安定した収益基盤を築きやすいビジネスモデルになっています。
コスト構造
リース物件として取得する航空機や船舶の購入費と、その維持管理にかかるコストが最も大きな割合を占めます。
加えて、専門家をそろえる人件費や販売にかかる営業コストも重要です。
【理由】
なぜそうなったのかというと、航空・海運会社が使用する大型資産の価格は高額で、さらにメンテナンスに関する基準も厳しいため、一定以上のコストが不可避となります。
こうした出費を賄いつつ利益を確保するために、同社はスキームの設計段階から投資リスクとコストのバランスを入念にシミュレーションし、投資家と航空・海運会社双方にメリットのある仕組みを追求しているのです。
自己強化ループ
SBIリーシングサービス株式会社は、SBIグループの一員であることを生かした自己強化ループを形成しています。
まず、グループ全体が持つ金融サービスの知見や豊富な顧客基盤を活用して多様な投資家を獲得しやすい環境を整えていることが大きな強みです。
新規投資家が増えるほど、多彩なリース案件の組成が可能となり、さらに航空・海運会社からの信頼を獲得して案件が増える好循環が生まれます。
リース案件が充実すれば投資家側もより魅力的な選択肢を得られ、結果として投資家満足度が向上して再投資の意欲も高まります。
同時に、リース物件が順調に運用されることは業界内での評判を高め、さらなる業務提携や資金調達ルートの確保にもつながります。
こうした循環を繰り返すことで、同社は市場での信用力を高めつつ新規案件の拡大を図り、長期的な成長を継続しているのです。
採用情報
初任給や平均休日、採用倍率などの具体的な数値は公式に公表されていません。
ただし、金融やリースに関する専門知識を有する人材が求められる傾向があるため、実際の応募にあたっては事前に関連するスキルや知識を身につけておくと役立ちそうです。
気になる方は同社の公式サイトや求人情報などを定期的にチェックすることをおすすめします。
株式情報
SBIリーシングサービス株式会社の株式は、東京証券取引所グロース市場に上場しており、銘柄コードは5834です。
2024年3月期の期末配当は1株あたり100円で、2025年2月20日時点の株価は3430円となっています。
配当や株価は変動することがあるため、投資の際は最新情報を確認することが大切です。
未来展望と注目ポイント
今後は世界的に人の移動や物資の流通が増えると予測されるなかで、航空機や船舶の需要拡大が期待されます。
その一方で、環境への意識の高まりや新型機材への更新など、航空・海運業界にはコスト負担が大きい課題も存在しています。
SBIリーシングサービス株式会社は、そうしたニーズと課題の両面を捉え、投資家の資金を効率的に集めることで、業界の設備投資を後押ししつつ、自社の収益機会を広げています。
例えば、環境対応型の船舶や燃費効率に優れた航空機へのリースを積極的に組成すれば、脱炭素の流れとともに需要が一層高まる可能性があります。
また、経済状況や世界情勢の変動リスクを吸収できるように、多様なリース案件を取りそろえることで安定的なビジネス基盤を確保していく戦略が見込まれます。
今後も成長が続くと考えられる航空・海運市場において、同社のビジネスモデルがどのように拡大し、新しいイノベーションをもたらすのか注目が集まります。
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