企業概要と最近の業績
SEホールディングス・アンド・インキュベーションズ株式会社
出版・教育事業とインキュベーション（投資育成）事業を二つの柱とする持株会社です。
中核子会社の株式会社翔泳社を通じて、IT技術や資格試験に関する書籍・雑誌の出版、Webメディアの運営、教育イベントの開催などを手掛けています。
また、国内外のIT関連ベンチャー企業への投資も積極的に行っており、事業と投資の両面から成長を目指すユニークな特徴を持っています。
2025年8月8日に発表された2026年3月期第1四半期の連結決算によりますと、売上高は15億3,000万円で、前年の同じ時期に比べて2.5%増加しました。
営業利益は2億500万円で、前年の同じ時期から4.2%の増加となりました。
経常利益は5億2,000万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は3億5,800万円となり、営業利益が微増だったのに対し、経常利益と純利益は大幅な増益を達成しています。
これは、主力の出版・教育事業が堅調に推移したことに加え、営業外収益として投資先の有価証券売却益などを計上したことが主な要因です。
【参考文献】https://www.sehi.co.jp/
価値提案
SEホールディングス・アンド・インキュベーションズは、専門的な知識を活かした出版コンテンツやITソリューションを提供し、お客様の課題解決をサポートすることを大切にしています。
技術書やビジネス書など、知識を求める読者や企業にとって必要不可欠な情報をわかりやすくまとめる力が大きな強みです。
このようなコンテンツを通じて学習や業務効率化を促進し、多くのユーザーが「この会社の書籍やシステムなら安心できる」というイメージを持つようになります。
【理由】
なぜそうなったのかというと、長年の出版実績をもとに培ったノウハウと、IT事業で培ってきた開発力が一体となり、読者や企業が抱える複雑な課題を幅広い角度から解決できる体制を作り上げてきたからです。
さらに、デジタル技術を活用したオンラインサービスの提供にも積極的で、紙と電子の両面から価値を提供することで時代の変化にも対応し、顧客にとって常に頼りになる存在を目指しています。
主要活動
この企業の主要活動には、大きく分けて出版事業、コーポレートサービス事業、ソフトウェア・ネットワーク事業、教育・人材事業、そして投資運用事業があります。
具体的には、専門書の企画・編集・発行といった出版関連の活動から、企業向けの経営支援やアウトソーシングサービス、システム開発やネットワーク構築まで多彩な業務をカバーしています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、IT人材の不足やデジタル化のニーズが高まる中、さまざまな企業が一括して課題解決できる窓口を求めているからです。
そこで同社は出版を皮切りに培った専門性や信頼を背景に、さらにIT開発や人材教育分野へと展開し、お客様が必要とするサービスをワンストップで提供できるようになりました。
多角的な事業を展開することで売上や利益のリスクを分散しつつ、企業や個人が抱える幅広いニーズをカバーできるのも大きな特徴です。
リソース
企業活動を支えるリソースとしては、専門分野に精通した編集者やITエンジニア、人材教育に長けた講師陣など、優れた人材が挙げられます。
また自社で開発や運用を行うための技術インフラも重要なリソースです。
【理由】
なぜそうなったのかというと、出版事業だけでなくソフトウェア・ネットワーク事業を手掛けるためには、コンテンツ制作力とIT技術の両輪が欠かせないからです。
さらに教育・人材事業を行うためのカリキュラム開発能力や、投資先企業とのコラボを推進するための投資資金も大切なリソースになります。
こうした多面的なリソースを組み合わせることで、それぞれの事業で得られた知見や人脈を別の事業領域にも活用できる体制を築き、より強固な競争力を生み出しているのです。
パートナー
パートナーとしては、出版流通や書店などの販売チャネルを担う企業、IT技術を共同開発する企業、教育プログラムで連携する研修施設や学校、そして投資先となるベンチャー企業などが考えられます。
【理由】
なぜそうなったのかというと、多角的に事業を展開しているため、単独で完結するのではなく、さまざまな専門家や業界との協力体制が不可欠だからです。
出版社としては販路を確保する流通企業との連携が必要ですし、IT事業者としては最新技術を取り入れるために外部の専門企業との協業が必要になります。
また人材教育においては、公的機関や有力な教育機関などとの連携が不可欠です。
このように幅広いパートナーがいることで、時代の変化に合わせた新たなサービスや製品を生み出す環境が整います。
チャンネル
チャンネルには、書店やオンライン書店といった出版流通経路のほか、企業向けには自社の営業担当者を通じた直接提案、あるいはオンラインプラットフォームを活用した販売や情報発信が含まれます。
【理由】
なぜそうなったのかというと、多様な顧客ニーズに対応するには複数の販売経路が必要であり、特に出版においては紙と電子書籍、そしてITサービスにおいてはインターネットやクラウドの活用が必須だからです。
またIR資料やウェブサイトなどを通じて投資家や取引先に情報を提供することも大切なチャンネルとなります。
こうした幅広いチャンネルを使い分けることで、会社の認知度向上や新規顧客の獲得を図り、長期的な売上拡大を目指しているのです。
顧客との関係
顧客との関係は、書籍を購入する一般の読者からITサービスを導入する企業まで実に多彩です。
【理由】
なぜそうなったのかというと、出版で得た読者とのつながりを基盤に、企業向けソリューションなどで継続的なサポートを行い、長い付き合いに発展させてきた経緯があるからです。
例えば出版物を通じてファンを獲得すると、セミナーやオンラインスクールへの参加など別のサービスへの展開が期待できます。
また企業との契約では、導入後の保守や追加開発を通じて、より深い信頼関係を育んでいくことが可能です。
このように一度きりでは終わらない関係を築くことで、常に新しいニーズを吸い上げながら事業を拡大しています。
顧客セグメント
この企業の顧客セグメントは、ITスキルを求める個人や技術者、専門知識を必要とするビジネスパーソン、経営効率化を図りたい企業など多岐にわたります。
【理由】
なぜそうなったのかというと、元々は専門書の読者というセグメントからスタートしていますが、その書籍を読む人が企業の技術担当者であったり、自分でITスキルを高めたい個人であったりと広がりを見せてきたからです。
さらにコーポレートサービスやソフトウェア開発を必要とする中小企業や大企業も取り込むことで、BtoBとBtoCの両面をカバーする顧客基盤を築いています。
幅広い顧客層を対象とすることで、景気変動などに左右されにくいビジネスモデルを追求しているのも特徴といえます。
収益の流れ
収益は出版物の販売、電子書籍の売り上げ、ITサービス開発の受託料、ネットワーク保守サービス、教育プログラムの受講料や人材紹介手数料、さらに投資運用による利益など多方面から生み出されています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、紙の出版だけに依存していてはデジタル化の波に押されるリスクがあるため、ITサービスや教育・人材関連、投資といった新しい分野へも収益源を広げる必要があったからです。
結果として複数の収益源を持つことで、ある部門の業績が落ちても別の部門でカバーすることが可能になり、経営の安定性が高まっています。
今後はデジタルコンテンツやオンラインサービスの利用拡大に合わせ、さらなる収益アップのチャンスが期待されます。
コスト構造
コストには人件費や開発費、書籍やウェブコンテンツの制作にかかる費用、そして人材育成のための研修投資などが含まれます。
【理由】
なぜそうなったのかというと、出版事業の編集コストと、ソフトウェア開発やネットワーク運用のための技術コスト、人材教育や投資管理など、幅広い事業領域を支える専門スタッフが必要だからです。
また販促活動やマーケティング、企業への提案活動にも相応のコストがかかります。
しかし多事業を抱えることでリスクを分散しているため、一部のコストが増えても全体でバランスを取りやすい体制となっています。
こうしたコストを効率よく管理することが、長期的な経営の安定につながっています。
自己強化ループ
SEホールディングス・アンド・インキュベーションズには、それぞれの事業が相互に補い合う自己強化ループが存在します。
出版事業で良質な技術書を世に送り出すと、読者が新しいスキルや知識を身につけて成長し、次の段階で企業向けのサービスやIT開発の需要が生まれます。
また、教育・人材事業で育ったエンジニアやビジネスパーソンがソフトウェア・ネットワーク事業の開発力強化につながり、より高品質なシステムやコンテンツを作り出すことが可能になります。
このように一つの事業で高めた力が別の事業にも波及し、全体的なサービス水準を底上げするのです。
さらに企業向けコンサルやアウトソーシングのノウハウが増えると、投資運用事業で成長中のベンチャーを支援する際にも活用でき、投資先企業との連携によって新たなビジネスチャンスが生まれます。
こうした循環が重なることで、企業全体の価値が継続的に高まり、長期的な安定成長へとつながっていく仕組みになっています。
採用情報
採用に関しては、初任給や年間休日数、採用倍率などの具体的な数値情報は公表されていません。
しかしIT人材の需要が高まる中、教育プログラムを運営していることもあって、自社での研修やスキルアップが期待できる環境が整っている可能性があります。
実際にITスキルを基礎から学びたいと考える方にとっては、出版や開発、教育という幅広い事業領域で経験を積める点が魅力かもしれません。
興味がある方は公式サイトや説明会などを通じて最新の採用情報を確認するとよいでしょう。
株式情報
銘柄はSEホールディングス・アンド・インキュベーションズで、証券コードは9478となります。
配当金は2025年3月期で年間1株あたり3.5円の予想が発表されており、株価は2025年2月28日時点で1株273円ほどとなっています。
IT関連の企業はマーケットの変動が激しい場合もあり、業績や成長戦略をどのように実行していくかが株価にも大きく影響します。
今後のIR資料などをチェックしながら、同社がどのように利益を回復させ、株主へ還元していくかに注目が集まっています。
未来展望と注目ポイント
今後は出版事業で蓄積したコンテンツ制作力やブランドを、デジタル技術と組み合わせることでさらに発展させることが期待されています。
書籍を読んで学んだ人材を教育・人材部門でスキルアップさせ、開発事業に活かすという流れは、IT業界の人手不足を補ううえで大きな強みになるでしょう。
また企業向けのコーポレートサービスを強化し、ソフトウェア・ネットワーク事業と組み合わせることで、より大きなシステムやコンサルティングの需要を取り込むことも見込まれます。
投資運用事業については、ベンチャー企業との連携次第で新たなビジネスモデルを作り出せる可能性があり、投資先との協業によってお互いに成長する好循環が生まれるかもしれません。
出版やIT分野は競合も多いですが、幅広い事業のシナジーを生かして、今後の成長戦略をどのように展開していくかに注目が集まります。
特にデジタル化の波をいち早く捉えつつ、人材教育と投資の両輪で企業全体を強化し、新しい市場へ踏み出す動きが今後の鍵となりそうです。
さらにIR資料での情報開示や株主還元策などにも期待が高まるため、株式市場での評価も含め、同社の取り組みを継続的にウォッチしていく価値があると考えられます。
コメント