THECOOのビジネスモデルと成長戦略を徹底解説
THECOO株式会社
2025年12月期第1四半期の連結売上高は8億80百万円となり、前年同期と比較して18.5%の増収となりました。
営業利益は55百万円(前年同期は10百万円の損失)、経常利益は54百万円(前年同期は11百万円の損失)を計上し、黒字転換を達成しました。
主力のファンコミュニティプラットフォーム「Fanicon(ファニコン)」において、開設アイコン(コミュニティ)数、ファン会員数ともに順調に増加し、収益を牽引しました。
クリエイターやアーティストとファンとの結びつきを深めるサービスとして、需要が引き続き拡大しています。
利益面では、増収効果に加え、広告宣伝費や人件費などのコスト管理を徹底したことが黒字化に大きく貢献しました。
【参考文献】https://thecoo.co.jp/ir/
価値提案
THECOOが提供する最大の価値は、アーティストやインフルエンサー(アイコン)とファンの強固なつながりを創出する点にあります。
既存のSNSでは埋もれがちだった濃密なコミュニケーションを、月額制のコミュニティアプリ「Fanicon」で実現していることが特長です。
ファンはライブ配信や限定投稿、グループチャットといった多様な機能を利用することで、アイコンとの距離を縮められます。
【理由】
SNSや動画プラットフォームが拡大し続ける中、より深い交流を求めるファンのニーズと、収益源の安定化を図りたいアイコン側の需要が結びついたからです。クローズドな空間にこそ熱量の高いファンが集まりやすく、これが企業収益の安定と成長を両立する要因になりました。
主要活動
THECOOの事業の中核は、「Fanicon」の開発・運営と、インフルエンサーを活用したデジタルマーケティング支援です。
アプリ自体の新機能追加や使いやすさの向上に注力すると同時に、企業向けにはiCON Suiteを活用したインフルエンサー分析やプロモーション戦略の提案を行っています。
【理由】
単にアプリを作るだけではなく、顧客となるアイコンや企業が得られるメリットを最大化する必要があったからです。ファン向けには魅力的なコミュニケーション機能を拡充し、企業向けには定量的なデータ解析サービスを提供することで、双方のニーズを継続的に満たす仕組みを確立しています。
リソース
同社のリソースとして重要なのは、アプリ開発を支えるエンジニア陣、データ解析を担う専門スタッフ、そして多くのインフルエンサーやアーティストとのネットワークです。
さらに、蓄積されるファンデータも貴重な資産になっています。
【理由】
ファンコミュニティを活性化するためには高度なシステム開発力と運営ノウハウが必要であり、またSNSの動向やユーザー嗜好を敏感にキャッチするデータ解析が不可欠だからです。これらの人材とネットワークを効果的に組み合わせることが、サービス品質の向上と新規事業の可能性拡大につながっています。
パートナー
THECOOにとってのパートナーは、アーティストやインフルエンサー、広告代理店、そして主要なSNSプラットフォームです。
アイコンとの連携によって「Fanicon」を盛り上げる一方、企業の広告案件を獲得するためには代理店やSNS側との協力も欠かせません。
【理由】
一社だけでファンコミュニティから企業広告までを独占的に完結するのは難しく、幅広いメディアや業界プレイヤーとの連携が必要だったからです。こうしたパートナーシップを築くことで、サービス開発のスピードや案件の獲得力が上がり、市場での存在感を高めています。
チャンネル
主なチャンネルとしては、自社サイトやアプリストア、SNS上のプロモーションなどが挙げられます。
新規ユーザーの獲得には、アイコン自身のSNS発信が大きく寄与しており、さらにリアルイベントやオンライン企画を通じてファンとの結びつきを強固にしています。
【理由】
ターゲットユーザーが普段利用している場所や興味を引くコンテンツを的確に見極めることが、コミュニティサービスの拡大には不可欠だからです。多彩なチャンネルを組み合わせることで認知度を上げ、ユーザーをアプリやマーケティングサービスへスムーズに誘導しています。
顧客との関係
THECOOはカスタマーサポートやコミュニティマネージャーを通じて、ファンとアイコンの良好な関係を継続的に支援しています。
企業側にはコンサルティングやデータ分析のサポートを提供し、効果的なインフルエンサーマーケティング施策を共に考えています。
【理由】
ファンコミュニティや広告キャンペーンは一過性ではなく、運用を通じて長期的に成果を出すものだからです。単にツールを提供するだけではなく、成功事例やノウハウを共有しながら伴走することが、顧客満足度を高めるうえで不可欠になっています。
顧客セグメント
同社の顧客セグメントは大きく分けて、ファンコミュニティアプリを利用するBtoCユーザーと、インフルエンサーマーケティング支援を受けるBtoBの企業担当者です。
アイコンとファンの関係構築を重視するエンタメ寄りのユーザー層と、販促効果やブランド認知拡大を狙う企業という二つの軸を持っています。
【理由】
エンタメ市場で培ったファンとのコミュニケーション手法が、企業のマーケティングにも応用できる点に商機を見いだしたからです。それぞれ異なるニーズを、同じプラットフォームと分析技術で満たせるのが強みです。
収益の流れ
同社は「Fanicon」の月額会員費や、インフルエンサーマーケティング支援の利用料金、広告収入などを主な収益源としています。
アプリ内の有料コンテンツや企業からのキャンペーン予算が積み重なり、安定的なキャッシュフローを生み出しています。
【理由】
ファンコミュニティというクローズドな環境は、一度加入したファンの継続率が高い傾向にあり、BtoBのマーケティング案件も需要増が期待できるからです。複数の収益チャネルを組み合わせることで、事業リスクを分散しながら拡大が可能になっています。
コスト構造
開発運用費や人件費、サーバー維持費、そしてマーケティングにかかる予算が大きなコスト要因です。
特にアプリの機能改修やインフルエンサーとの契約、イベント実施などは継続投資が必要な分野といえます。
【理由】
競合他社との差別化を図るためには常に新たな機能や魅力を提供し続ける必要があり、かつファンとの長期的な関係を保つためのサポート体制も欠かせないからです。この投資が将来の収益を大きくするための原動力となっています。
自己強化ループ
THECOOが展開する「Fanicon」を中心としたコミュニティサービスには、自己強化ループが明確に存在します。
まず、アイコンとファンが濃密に交流することで、熱量の高いファンが生まれます。
こうしたファンはSNS上での発信力が高いことが多く、イベントやライブ配信の情報を拡散して新規ユーザーを呼び込みやすくなるのです。
新たに参加したユーザーも、同じファン同士で交流できる環境に魅力を感じ、コミュニティに深く根付いていきます。
すると月額課金モデルによる安定収益が得られ、さらに機能開発やマーケティング投資に回すことができます。
この一連の流れが繰り返されることで「Fanicon」の知名度が上昇し、新規のアーティストやインフルエンサーも参画しやすくなり、コミュニティと収益の両面で自己強化が進む仕組みが完成するのです。
採用情報
THECOOでは初任給が公開されていませんが、エンジニアやビジネス職などの専門性の高い人材を積極的に採用している印象があります。
年間休日は120日以上とされており、ワークライフバランスにも配慮した就業環境が整いつつあります。
採用倍率も未公表ですが、急成長中の企業であるため一定以上の競争率が想定されます。
ファンコミュニティやインフルエンサーマーケティングなど新しい潮流に携われる点は魅力であり、チャレンジ精神のある人材にとってはやりがいのある職場となるでしょう。
株式情報
THECOOは東証グロース市場に上場しており、銘柄コードは4255です。
2024年12月期の配当予想は0円と公表されており、現時点では利益を成長投資に回す姿勢が鮮明です。
2024年12月18日時点での1株当たり株価は639円となっており、ファンコミュニティ市場の伸びや企業の成長性を織り込みながら株価が推移している状況です。
無配である点は成長企業に多い特徴でもあり、今後の業績拡大とともにどのように株主還元が変化していくかが注目されます。
未来展望と注目ポイント
THECOOが提供する「Fanicon」を中心とした事業は、ファンとアイコンを結ぶコミュニティ型ビジネスとして着実に成長しています。
今後はデータ分析基盤であるiCON Suiteをさらに強化し、SNSやプラットフォームの多様化に対応したインフルエンサーマーケティング戦略を拡充する可能性があります。
また、リアルイベントやオンラインライブ、限定コンテンツなどの付加価値を高めることで、コミュニティとしての魅力を一段と向上させられます。
企業からの広告予算がデジタル領域へ移行し続ける中、「深いエンゲージメントを生み出せる場」としての強みは大きな競合優位性になり得ます。
さらに、海外のファンコミュニティ市場への展開や、多言語対応を進めることも視野に入れることで、グローバルな顧客獲得が期待されるでしょう。
こうした成長戦略が実際の業績にどのように結びついていくか、今後も要注目の企業といえます。
コメント