ファーストコーポレーションの魅力 ビジネスモデル徹底解説

建設業

企業概要と最近の業績

ファーストコーポレーション株式会社

【全体の業績】

ファーストコーポレーション株式会社は、東京圏を中心に分譲マンションの建築請負をコアビジネスとして展開している建設会社です。

同社は、土地の情報収集からマンションの企画、事業計画の立案までを総合的に行い、デベロッパー(事業主)に対して土地と建物をセットで提案する「造込(つくりこみ)受注」という独自のビジネスモデルを強みとしています。

この特化型の営業手法により、一般的な競争入札とは一線を画した高い受注確度と優良な案件確保を実現しており、大手不動産会社をはじめとする多くの取引先から強固な信頼を獲得して市場での地位を確立しています。

このような独自の事業基盤を持つ同社の2026年5月期通期の連結業績は、売上高が364億1700万円となり前年同期に比べて15.6%の減収となりました。

しかしながら利益面においては、営業利益が28億9600万円で前年同期比12.3%の増益、経常利益が26億8900万円で前年同期比8.5%の増益を達成しています。

また、最終的な親会社株主に帰属する当期純利益につきましても18億8200万円を記録し、前年同期と比べて12.8%増という堅調な伸びを示す着地となりました。

このような減収増益の業績結果をもたらした主な要因としては、主に不動産事業において引き渡し物件のスケジュール調整などに伴う一時的な売上高の減少が発生した一方で、主力の建設事業が極めて好調に推移したことが挙げられます。

具体的には、東京圏における豊富なマンション需要を背景とした手持ち工事の施工が順調に進捗したことにより、建設事業の売上高が大幅に拡大して不動産事業の落ち込みを力強くカバーしました。

これらに加えて、資材価格や労務費の高騰という外部環境のコスト圧力に対しても、同社が培ってきた徹底的な施工管理の効率化や採算性を重視した選別受注の経営施策が功を奏したことで利益率が向上し、各利益項目で前年を上回る増益を果たす大きな原動力となりました。

【参考文献】https://www.1st-corp.com/ir/

価値提案

ファーストコーポレーション株式会社の最大の価値提案は、デベロッパーに対してマンション事業の「用地」と「最適な企画および設計や施工」をセットで提供することです。

一般的なゼネコン(総合建設業者)は用意された計画に沿って施工のみを請け負いますが、同社は自ら土地を探し出して提案します。

【理由】
なぜそうなっているのかというと、デベロッパーにとって最大の課題である「優良なマンション用地の仕入れ」を解決することで、単なる下請けの施工会社ではなく、共同事業パートナーとしての地位を築くためです。

同社はこの独自の手法により、2023年5月期において「造注方式」による受注比率を全体の過半数にまで引き上げています。

また、デベロッパーの事業用地取得を支援するため、自社で用地を一時的に取得して棚卸資産に計上するケースもあります。

事業を展開するエリアは首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)に限定しており、50戸から100戸規模のファミリー向け分譲マンションに特化することで、高い専門性と価値を提供しています。

主要活動

ファーストコーポレーション株式会社の事業における主要活動は、用地情報の収集と精査、ボリュームチェック、デベロッパーへの提案営業、そしてゼネコンとしての施工管理です。

ボリュームチェックとは、対象となる土地の法規制内でどのような建物がどれだけの規模で建つかを検証する作業のことです。

【理由】
なぜそうなっているのかというと、競争入札を避け、特命受注(同社を指名しての契約)を獲得するためには、上流工程である「用地発掘」と「企画力」が不可欠であるためです。

これを実現するために、同社は独自の不動産情報ネットワークから多数の非公開用地情報を日々収集しています。

集まった情報に対して、設計部門が迅速なボリュームチェック体制を敷くことで、事業化のスピードを劇的に早めています。

さらに、2023年5月末時点で在籍する一級建築士や1級建築施工管理技士といった有資格者が、高品質な施工管理体制を構築しています。

こうした一連の活動が、同社の高い収益力と提案力を支える根幹となっています。

リソース

ファーストコーポレーション株式会社を支える重要なリソースは、設計や施工管理を担う有資格者などの人的資本と、独自のネットワークです。

同社は不動産業者等から非公開の土地情報を集める強力なパイプを有しています。

【理由】
なぜそうなっているのかというと、造注方式を成立させるには、不動産仲介会社から「ファーストコーポレーション株式会社に持ち込めば、早く正確に事業化の判断をしてくれる」と信頼される専門知識とスピードが必要なためです。

2023年5月末時点の単体従業員165名のうち、その多くが建築士や施工管理技士の資格保有者で占められています。

また、代表取締役社長の中村利秋氏をはじめとする経営陣が、建設や不動産業界で長年にわたり築き上げてきた強固なパイプも大きなリソースです。

さらに、同社は自己資本比率が40パーセント台後半(2023年5月期時点)という強固な財務基盤を有しています。

この財務力があるからこそ、デベロッパーに代わって用地を機動的に一時取得することが可能となり、他社にはない提案力を発揮しています。

パートナー

ファーストコーポレーション株式会社のビジネスモデルにおいて、パートナーシップは極めて重要な役割を果たしています。

主なパートナーは、用地情報をもたらす不動産仲介会社、マンションを販売する大手や中堅のデベロッパー、そして実際の現場施工を担う専門工事会社(協力業者)です。

【理由】
なぜそうなっているのかというと、建設業の特性上、現場の職人は外部の協力会社に依存しており、また売上の出口はデベロッパーへの一棟引き渡しであるため、強力なアライアンスが不可欠だからです。

同社の主要な顧客パートナーには、株式会社オープンハウスグループ、株式会社飯田産業、MIRARTHホールディングス株式会社(旧タカラレーベン)などが名を連ねています。

また、安全で高品質な施工を実現するため、協力業者で組織される安全衛生協力会と密接な関係を築いています。

さらに、鉄筋やコンクリートなどを供給する各種建材メーカーや建材商社とも連携を深めており、安定した資材調達網を確保しています。

チャンネル

ファーストコーポレーション株式会社のチャンネル(販売経路)は、BtoB(企業間取引)による直接営業、いわゆるダイレクトセールスが基本となっています。

同社はエンドユーザー(一般消費者)に向けて直接マンションを販売することはほとんどありません。

【理由】
なぜそうなっているのかというと、同社はあくまでデベロッパー向けにマンション事業を卸す形態をとり、BtoBの深いリレーションシップを基盤としているためです。

営業部門は特定のデベロッパーに対して深耕営業を行い、強固な信頼関係を築き上げています。

また、不動産信託銀行や大手不動産仲介会社との間に情報交換ネットワークを構築し、優良な土地情報を入手するチャンネルとして活用しています。

さらに、事業主として自社ブランドの「ファーストリアルター」を展開し一部を直販するチャンネルも持っていますが、この割合は全体の売上から見るとごく僅か(2023年5月期時点)にとどまっています。

このように、特定顧客との直接的な対話こそが最大の販売経路として機能しています。

顧客との関係

ファーストコーポレーション株式会社と顧客であるデベロッパーとの関係は、単なる発注者と請負者という枠組みを超えています。

両者は事業を共に成功させるための「協業パートナー」として、長期かつ継続的な関係を構築しています。

【理由】
なぜそうなっているのかというと、デベロッパー側は用地仕入れのリスクや設計の手間を省くことができ、同社は特命受注により適正な利益を確保できるという、双方にとってWin-Winの関係性が成立しているためです。

この関係性を裏付けるように、株式会社オープンハウスグループや株式会社飯田産業といった特定の有力顧客からの継続的なリピート受注が相次いでいます。

また、コンペティション(相見積もりや価格競争)を回避した特命受注の比率が非常に高いことも、強固な信頼関係の証です。

さらに同社は、販売に協力する目的で一部の住戸を自社で買い取るといった柔軟な対応も行っており、顧客との関係性をより一層深める努力を続けています。

顧客セグメント

ファーストコーポレーション株式会社がターゲットとする顧客セグメントは、首都圏エリアで事業を展開する分譲マンションのデベロッパーに明確に絞り込まれています。

個人向けの注文住宅や、全国規模での無差別な受注活動は行っていません。

【理由】
なぜそうなっているのかというと、人口流入が継続し、マンションの需要が底堅い東京圏(1都3県)に経営リソースを集中させることで、効率的な事業運営とリスクの低減を図るためです。

エリアを限定している証拠として、同社の事業展開は東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の首都圏に特化しています。

また、対象となる物件も実需向けのファミリータイプマンション(50戸から100戸規模)に集中させており、この分野での専門性を高めています。

具体的な顧客属性としては、上場している大手および中堅のマンションデベロッパーが中心となっており、信頼性の高い企業群にターゲットを絞って安定した事業基盤を築いています。

収益の流れ

ファーストコーポレーション株式会社の収益の流れは、デベロッパーから受け取る完成工事高(フロー収益)が絶対的な柱となっています。

マンションの管理費のように毎月継続的に入ってくるストック収益ではなく、プロジェクトごとの巨大な一過性の売上で構成されています。

【理由】
なぜそうなっているのかというと、同社は用地提案や企画を行うとはいえ、本業がゼネコンとしての施工であるため、工事の進行基準または完成基準に伴う請負代金が売上の大半を占める構造だからです。

2023年5月期の売上高28,781百万円の内訳を見ると、完成工事高がそのほぼ全てを占めています。

一部の収益として、自社で開発した不動産の売却収入なども計上されていますが、構成比としては限定的です。

同社は造注方式によって価格競争を回避しているため、このフロー収益の中身が非常に良質であり、高い利益率を確保できる点が最大の特徴となっています。

コスト構造

ファーストコーポレーション株式会社のコスト構造は、完成工事原価と販管費(販売費および一般管理費)で構成されています。

完成工事原価には、材料費、労務費、そして協力業者への外注費が含まれます。

【理由】
なぜそうなったのかというと、建設業という性質上、下請け業者への支払いや鉄筋、生コンクリートなどの資材調達コストが最大の支出となるためです。

2023年5月期の売上総利益率は約11パーセントから12パーセントの間で推移しており、原価のコントロールが適切に行われています。

また、本社機能および営業や設計部門の人件費を中心とした販管費率は約3パーセント台に抑えられています。

従業員165名(2023年5月末時点)という少人数精鋭の体制を敷いていることで、高い生産性を維持し、固定費を低く抑えることに成功しています。

一方で、建設資材価格の変動が原価に直結する構造であるため、市場価格の動向には常に注視が必要です。

自己強化ループ(フィードバックループ)

ファーストコーポレーション株式会社のビジネスモデルには、企業の成長が自動的に加速していく独自の自己強化ループが存在します。

まず第一段階として、独自の強固な情報網を駆使し、優良なマンション用地情報を市場に出回る前にいち早く入手します。

次に第二段階として、その土地に対して最適なマンションの企画や設計を迅速に行い(ボリュームチェック)、デベロッパーに事業計画として提案します。

第三段階として、提案を受けたデベロッパーは自ら用地を仕入れる手間が省けるため、同社に「特命」で施工を発注します。

第四段階として、同社は特命受注により価格競争を回避し、高い利益率を確保しながら良質な施工を行います。

最後に第五段階として、その確かな実績と財務力、企画力が不動産業界でさらに評価され、不動産仲介会社からより多くの優良な用地情報が優先的に同社へ集まるようになります。

このようにして、再び第一段階の用地情報収集へと戻る好循環が形成されています。

この循環が実際に回っていることを示す数値として、2023年5月期において造注方式による受注が総受注額の過半数を占めていることや、2011年の設立以来10年以上連続で黒字成長を維持していることが挙げられます。

さらに、一般的なゼネコンの営業利益率が数パーセント程度であるのに対し、同社は2023年5月期時点で8パーセント台という高い水準を記録しており、独自のサイクルが強力に機能していることを証明しています。

採用情報

ファーストコーポレーション株式会社の新卒採用情報について、2024年度および2025年度の募集要項を想定した内容をまとめます。

新卒の初任給は、大学卒で月給260,000円(基本給と固定残業代を含む等の詳細条件あり)となっています。

年間休日総数は125日確保されており、土日休みの完全週休2日制と祝日が休日として設定されています。

特別休暇として、夏期休暇、年末年始休暇、慶弔休暇などの制度も整っています。

直近3年の新卒採用人数は、就職情報サイトの採用実績データによると毎年数名から十数名程度で推移しています。

なお、応募者数と採用者数から算出される正式な採用倍率については、会社から公表されていないため不明です。

有価証券報告書(2023年5月末時点)によると、平均勤続年数は4.5年、平均年間給与は8,638千円となっています。

同社は設立が2011年と比較的新しく、これまで中途採用が主体であったため、平均勤続年数はやや短めに出ています。

求める人物像としては、モノづくりへの情熱がある人物や、自ら考えて行動できる人物が掲げられています。

選考フローは、エントリーから始まり、会社説明会、複数回の面接と適性検査を経て内定に至るという流れになっています。

株式情報

ファーストコーポレーション株式会社の株式に関する基本情報をお伝えします。

証券コードは1430で、東京証券取引所のプライム市場に上場しています。

単元株数は100株単位での取引となっており、本決算の決算期は毎年5月です。

株主還元にも積極的で、基準日である毎年11月末時点で500株以上を保有する株主に対し、保有株数や継続保有期間に応じて金額が変動するクオカードの贈呈といった株主優待制度を設けています。

配当方針については、安定的な利益還元を経営の重要課題と位置づけています。

具体的には、配当性向30パーセント以上を目標としつつ、業績の成長に応じた利益還元を行う方針を掲げています。

株価水準については、2024年上半期時点でおよそ700円から900円台で推移しています。

単元株数である100株から算出した最低投資金額の目安は、およそ7万円から9万円台となっています。

少額から投資が検討できる水準ですが、株価や配当額、優待内容などの数値は常に変動するため、投資判断の際は必ず最新情報をご自身でご確認いただきますようお願いいたします。

未来展望と注目ポイント

ファーストコーポレーション株式会社は、さらなる飛躍に向けて中期経営計画「Innovation 2024」を策定しています。

この計画は2023年5月期から2025年5月期を対象期間としており、最終年度である2025年5月期には売上高35,000百万円、営業利益3,100百万円という高い数値目標を掲げています。

成長ドライバーとなる注力領域は、主力である造注方式のさらなる推進と深掘りです。

それに加えて、再開発事業への参画や、シニア向け住宅、賃貸マンションといった非分譲領域へもウイングを拡大する方針を示しています。

投資計画としては、大規模なM&Aや海外展開への巨額投資ではなく、国内の首都圏エリアでのドミナント戦略を強化していく構えです。

また、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の導入をはじめとするDX(デジタルトランスフォーメーション)関連投資や、人材の採用と育成への投資を重視しています。

経営陣は、徹底した管理体制を基盤にデベロッパーにとって「なくてはならないパートナー」となる長期ビジョンを描いており、サステナビリティ経営を通じて環境に配慮したZEH-M(ゼッチ・マンション)の普及にも貢献していく姿勢を見せています。

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