企業概要と最新の業績
株式会社奥村組
【全体の業績】
株式会社奥村組は、1907年の創業以来、山岳トンネル工法をはじめとする高度な土木技術と独自の免震技術を強みに、国内外でインフラ整備や都市開発を多角的に展開する総合建設会社(ゼネコン)です。鉄道や道路、トンネルなどのインフラ整備・維持管理を担う土木事業と、オフィスビルや集合住宅、医療・教育施設などを構築する建築事業を中核とし、長年の実績に裏打ちされた高品質な施工管理体制と優れた技術開発力によって、業界内で確固たる市場ポジションを確立しています。
同社の最新の連結決算(2026年3月期)は、売上高が前期比3.0%増の3072億200万円、営業利益が前期比63.7%増の159億2800万円、経常利益が前期比183.6%増の253億1300万円、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比574.3%増の183億6000万円となり、増収および各段階利益で飛躍的な増益を達成しました。
これは、主力の土木事業において手持ち工事の施工が計画通り着実に進捗したことに加え、施工効率化や徹底した工程・コスト管理の推進により建設事業の売上総利益率が大きく改善したことによるものです。また、営業外収益として為替予約評価益を計上したことに加え、前連結会計年度に発生した減損損失の反動等も重なり、利益面を強力に押し上げる要因となりました。
【参考文献】https://www.okumuragumi.co.jp/
価値提案
株式会社奥村組は、高品質で安全性の高いインフラストラクチャーであるトンネルや道路、そして防災性に優れた建築物である免震や耐震構造の施工を通じて、社会基盤の構築に貢献しています。
【理由】
なぜそうなっているのかというと、同社は創業以来の堅実経営と誠実な施工を重視しており、自然災害のリスクが高い日本国内において、人々が長期間安心して利用できる社会基盤の構築に応える必要があるためです。
なぜそうなっているのかというと、同社は創業以来の堅実経営と誠実な施工を重視しており、自然災害のリスクが高い日本国内において、人々が長期間安心して利用できる社会基盤の構築に応える必要があるためです。
この価値提案の裏付けとして、株式会社奥村組は一九八六年に日本初の実用免震ビルである奥村組技術研究所管理棟を施工した免震工法のパイオニアとしての実績を持っています。
また、山岳トンネルの掘削においても累計実績が四百キロメートル以上という国内有数の実績を誇ります。
さらに、免震や耐震施工の累計実績は五百件を超えており、こうした数字が確かな技術力の高さを物語っています。
主要活動
株式会社奥村組の事業活動の柱は、土木や建築工事の企画から設計、さらには施工管理に至るまでの一連の建設プロセスです。
【理由】
なぜそうなっているのかというと、請負工事のみに依存せず、上流の企画提案から下流の維持管理やエネルギー供給まで幅広く手掛けることで、事業全体の収益力を高めるとともに景気変動に対する耐性を強化するためです。
なぜそうなっているのかというと、請負工事のみに依存せず、上流の企画提案から下流の維持管理やエネルギー供給まで幅広く手掛けることで、事業全体の収益力を高めるとともに景気変動に対する耐性を強化するためです。
単なる建設工事にとどまらず、バイオマス発電や不動産開発などの関連事業の運営にも積極的に取り組んでいます。
具体的な活動として、ICTつまり情報通信技術を活用した遠隔自動施工システムであるスマートシールド工法などの自社開発を推進しています。
また、茨城県つくば市にある技術研究所において、継続的な研究実験を重ねて技術の高度化を図っています。
さらに、三重県松阪市では出力約一万二千キロワットの松阪木質バイオマス発電所を運用し、新たな収益源の確立にも取り組んでいます。
リソース
株式会社奥村組の事業基盤を支える強力なリソースは、地下空間の開発や免震技術に関する数多くの自社特許と、研究開発の拠点である技術研究所です。
【理由】
なぜそうなっているのかというと、難工事や特殊工法が要求される案件を自社主導で安全かつ確実に完工させるため、積極的な研究開発投資と専門人材の育成を継続的に行ってきたためです。
なぜそうなっているのかというと、難工事や特殊工法が要求される案件を自社主導で安全かつ確実に完工させるため、積極的な研究開発投資と専門人材の育成を継続的に行ってきたためです。
人的リソースの面では、二〇二五年五月時点において、施工管理を担う専門人材として一級土木施工管理技士の保有者数が約九百名、一級建築士の保有者数が約五百五十名在籍しており、高い現場対応力を有しています。
さらに特筆すべきリソースとして、極めて健全な財務基盤が挙げられます。
二〇二五年三月期末時点における同社の連結自己資本比率は五十八・二パーセントに達しており、これが景気変動への耐性や新たな成長投資を可能にする強力な武器となっています。
敷地面積約四万五千平方メートルを誇るつくば技術研究所とあわせ、確固たる経営資源を形成しています。
パートナー
株式会社奥村組のビジネスを根底から支えているのは、全国の専門工事業者から構成される協力会組織や、共同研究を進める大学機関などのパートナーシップです。
【理由】
なぜそうなっているのかというと、大規模工事や複雑なインフラ整備においてはリスクの分散と特殊技能の集約が不可欠であり、協力会社との長期的な信頼関係が最終的な施工品質を大きく左右するためです。
なぜそうなっているのかというと、大規模工事や複雑なインフラ整備においてはリスクの分散と特殊技能の集約が不可欠であり、協力会社との長期的な信頼関係が最終的な施工品質を大きく左右するためです。
具体的なパートナーとして、約八百社が参加する協力会社組織である奥和会を組織しており、現場の安全と品質を担保する強固なネットワークを構築しています。
また、大型のトンネル案件などでは、鹿島建設などの大手ゼネコンと共同企業体を構成し、互いの強みを活かした施工実績も多数有しています。
さらに、次世代の掘削技術などに関する高度な技術開発においては、京都大学などの学術機関と共同研究を行うことで、自社だけでは完結しないオープンイノベーションの枠組みを構築しています。
チャンネル
株式会社奥村組は、多様な顧客にアプローチするため、官公庁発注の入札ルートや民間デベロッパーとの直接営業ルートなど、幅広い販売経路を構築しています。
【理由】
なぜそうなっているのかというと、土木工事は国や自治体の公共事業が中心となる一方で、建築工事は民間投資に依存するという特性があるため、双方の需要に的確にアプローチできる営業拠点を全国に配置する必要があるからです。
なぜそうなっているのかというと、土木工事は国や自治体の公共事業が中心となる一方で、建築工事は民間投資に依存するという特性があるため、双方の需要に的確にアプローチできる営業拠点を全国に配置する必要があるからです。
この営業活動を支えるため、東京や大阪、名古屋、九州、東北など全国十拠点の支店網を展開し、地域密着型の営業活動を行っています。
二〇二五年三月期における土木事業の受注割合のうち、国土交通省や東日本高速道路株式会社などが発注する官庁工事の比率が約六十五パーセントを占めており、強固な公共ルートを確立しています。
民間分野においても、主要な不動産デベロッパーからの継続的な受注ルートを確保しており、公共と民間のバランスが取れたチャンネルを維持しています。
顧客との関係
株式会社奥村組は、建物の竣工後も定期的な点検や維持管理の提案を行うことで、顧客との長期的な信頼関係を構築しています。
【理由】
なぜそうなっているのかというと、数十年というスパンに及ぶ建物のライフサイクル全体をサポートすることで、将来発生するリニューアル工事や建て替え案件を他社に先駆けて優先的に受注するためです。
なぜそうなっているのかというと、数十年というスパンに及ぶ建物のライフサイクル全体をサポートすることで、将来発生するリニューアル工事や建て替え案件を他社に先駆けて優先的に受注するためです。
具体的な取り組みとして、竣工後の一年目や三年目、五年目、十年目といった節目のタイミングでの定期点検プログラムを標準化し、顧客の資産価値維持に貢献しています。
また、建物の3次元モデルにコストや仕上げなどの属性データを付加するBIMと、それを土木分野に応用したCIMを用いたデジタルツイン維持管理を提供し、施工管理の見える化を推進しています。
こうした継続的な関係構築の成果として、二〇二五年三月期の建築事業においてリニューアル工事の受注高が全体の約二十パーセントを占めるまでに成長しており、強固な関係性が数字にも表れています。
顧客セグメント
株式会社奥村組は、国土交通省や地方自治体、高速道路会社などの官公庁をはじめ、民間企業や不動産デベロッパーまで幅広い顧客セグメントを持っています。
【理由】
なぜそうなっているのかというと、公共事業が中心となる土木分野と、民間投資が中心となる建築分野のバランスを保つことで、特定セクターの景気変動に対する耐性を強化し、安定した収益基盤を確立するためです。
なぜそうなっているのかというと、公共事業が中心となる土木分野と、民間投資が中心となる建築分野のバランスを保つことで、特定セクターの景気変動に対する耐性を強化し、安定した収益基盤を確立するためです。
二〇二五年三月期の受注高割合を見ると、土木事業が全体の三十九パーセント、建築事業が六十一パーセントとなっており、両輪のバランスが取れています。
さらに内訳を見ると、土木事業における官公庁発注の比率は約六十五パーセントに達し、強固な公共インフラの需要を取り込んでいます。
一方、建築事業においては民間発注のマンションやオフィスビル、工場などの比率が約八十パーセントを占めており、官と民の多様な顧客セグメントに対して最適な価値を提供しています。
収益の流れ
株式会社奥村組の収益基盤は、建設工事の完成に伴って一括で得られる施工請負収益というフロー型の収益と、継続的に得られるストック型の収益で構成されています。
【理由】
なぜそうなっているのかというと、建設業界特有の発注サイクルの波による業績変動を緩和し、どのような経済環境下でも安定したキャッシュフローを確保して強固な財務体質を維持するためです。
なぜそうなっているのかというと、建設業界特有の発注サイクルの波による業績変動を緩和し、どのような経済環境下でも安定したキャッシュフローを確保して強固な財務体質を維持するためです。
二〇二五年三月期の連結売上高構成では、建設事業が全体の九十四・七パーセントを占める主力事業となっていますが、残りの五・三パーセントを不動産事業およびその他事業が担っています。
特筆すべきは収益性の違いであり、建設事業の平均営業利益率が約四・五パーセントであるのに対し、不動産賃貸事業などの営業利益率は約二十八パーセントと非常に高く、全体の利益水準を強力に下支えしています。
さらに、環境事業の一環であるバイオマス売電事業によって年間約三十億円規模の売上高を継続的に創出しており、ストック収益の多角化が進んでいます。
コスト構造
株式会社奥村組のコスト構造は、主に外注費や材料費、労務費から構成される完成工事原価と、人件費や研究開発費を含む販売費及び一般管理費で成り立っています。
【理由】
なぜそうなっているのかというと、実際の施工業務は奥和会をはじめとする協力会社への外注が中心となるため、この外注管理と建設資材の調達コストの最適化が、企業の利益率向上を決定づける最大のカギとなるからです。
なぜそうなっているのかというと、実際の施工業務は奥和会をはじめとする協力会社への外注が中心となるため、この外注管理と建設資材の調達コストの最適化が、企業の利益率向上を決定づける最大のカギとなるからです。
二〇二五年三月期の実績を見ると、同社の売上原価率は八十八・八パーセントとなっており、昨今の資材高騰のなかでも徹底した原価管理によって上昇を抑え込んでいます。
同じく二〇二五年三月期の販売費及び一般管理費率は六・二パーセントであり、スリムな経営体質を維持しています。
一方で将来に向けた投資には資金を惜しまず、二〇二五年三月期の研究開発費には約二十二億五千万円を、設備投資額には約四十五億円を計上しており、成長に向けたコスト投下を計画的に実行しています。
自己強化ループ
株式会社奥村組のビジネスモデルには、事業の成長を自動的に加速させる独自のフィードバックループが組み込まれています。
まず起点となるのが、二〇二五年三月期末時点で五十八・二パーセントという高い自己資本比率の財務健全性と高度な技術力を背景に、難易度の高い工事や重要な公共インフラ案件を受注することです。
次に、受注した案件において高精度な施工と厳格な品質管理を徹底することで、国土交通省発注工事の工事成績評定点平均において八十点以上を継続的に維持するという高い評価を獲得します。
この発注者からの高い評価が、次の指名受注や特命受注の増加につながり、利益率の高い案件を選別して受注できるようになるため、二〇二五年三月期末時点で約三千八百億円という年間売上高の約一年強に相当する豊富な手持ち工事量を確保し、安定した利益とキャッシュを生み出します。
そして最後に、創出された利益を年間二十二億円規模の研究開発費として技術研究所での開発やデジタルトランスフォーメーション投資へ再投資することで、さらに独自工法と施工効率が向上し、再び新たな難工事の受注へと繋がる循環が完成しています。
採用情報
株式会社奥村組は、誠実さを持ち、周囲と協調しながら自ら考え行動し、困難な現場課題に挑み続けられる人物を求めています。
新卒初任給については二〇二五年四月実績で、総合職の大学院卒が月給二十八万円、大学卒が二十六万円、高専卒が二十三万五千円となっております。
休日制度は土曜日や日曜日、祝日を休みとする完全週休二日制を採用しており、二〇二五年度実績での年間休日総数は百二十六日です。
さらに夏季休暇や年末年始休暇、リフレッシュ休暇、育児や介護の休業制度など、多様な特別休暇が整備されています。
直近の新卒採用人数は、二〇二三年度が百十二名、二〇二四年度が百二十五名であり、二〇二五年度は百三十五名を予定しています。
採用倍率は職種によって異なり、事務系総合職が志望者数約千四百名に対し採用約四十名で約三十五倍、技術系総合職が志望者数約五百五十名に対し採用約九十名で約六倍となっています。
従業員の定着率も高く、二〇二五年三月三十一日時点の平均勤続年数は十七・八年、平均年間給与は一千三十四万二千円に達しており、安定した就労環境が整っています。
選考はエントリーシートの提出や適性検査を経て、複数回の面接を行うフローとなっています。
株式情報
株式会社奥村組の株式は、東京証券取引所のプライム市場に上場しており、証券コードは一八三三です。
株式の売買単位である単元株数は百株に設定されており、決算期は毎年三月です。
株主優待制度については、二〇二五年三月期時点では実施されておりません。
配当方針については、連結配当性向七十パーセント程度を目安として掲げており、業績の動向に応じた積極的な株主還元を実施する姿勢を示しています。
さらに、業績が一時的に下振れした際にも配当の安定性を維持する方針を掲げており、長期的な視野で株主に報いる仕組みを整えています。
二〇二六年二月時点の株価水準はおよそ四千八百円から五千二百円台で推移しており、最低投資金額の目安は単元株数当たり約四十八万円から五十二万円となります。
なお、株価や配当条件といった数値は日々変動するため、実際の投資判断を行われる際は、最新の情報を証券会社や企業公式の投資家向け情報等でご自身で必ずご確認ください。
未来展望と注目ポイント
株式会社奥村組の今後の成長戦略において最も注目すべきは、中期経営計画である奥村組グループ中期経営計画の推進です。
二〇二四年三月期から二〇二六年三月期を対象期間とするこの計画では、最終年度の連結売上高三千百億円以上、連結営業利益百六十億円以上、自己資本利益率八・〇パーセント以上という強気な数値目標を掲げています。
目標達成に向けた注力領域として、山岳トンネルや地下工事における施工自動化やスマート建設の推進による生産性向上が挙げられます。
また、インフラの老朽化に伴う補修や補強といったリニューアル需要の獲得も強力な成長ドライバーです。
これらを支えるため、三カ年で総額約三百億円の成長投資枠を設定し、そのうち約百億円を省力化施工機器へ、約七十億円を技術開発設備へ、約百三十億円を環境や不動産事業へと投じる計画です。
奥村太加典社長は、単なる売上規模の拡大を追うのではなく、施工の高度化によって現場の労働環境を革新し、持続可能なゼネコン構造を確立するというビジョンを語っています。
資材高騰や人材不足という逆風をテクノロジーで跳ね返し、強固な財務体質と技術力で次なる成長ステージへと進む株式会社奥村組の今後に、大きな期待が寄せられます。



コメント